北京オリンピック金メダリストの平野歩夢が2023年、2024年と連続優勝を果たし、日本人ファンからも注目を集めていたDew Tourであるが、今季の開催は見送られることが決定された。Dew Tourの主催者は地元紙Summit Daily Newsに対し、「2025年にはDew Tourイベントは行われない」と発表し、長年親しまれてきたこのイベントが終了することが明らかになった。
Dew Tourは2004年後半に発表され、2005年6月にケンタッキー州ルイビルで初めて開催された。初年度にはデンバー、オレゴン州ポートランド、カリフォルニア州サンノゼ、フロリダ州オーランドといった都市を巡り、大きな成功を収めた。
初のWinter Dew Tourは2008年に開催され、夏季イベントと同様に複数の会場を巡る形式を採用した。初年度の冬のツアーはコロラド州のブリッケンリッジ、バーモント州のマウントスノー、カリフォルニアのノーススターで開催され、その後もブリッケンリッジでの開催が続いていたが、2020年2月にはコロラド州のカッパーマウンテンに移転した。
直近では、2024年3月にカッパーマウンテンにて20周年記念大会が行われ、平野歩夢が優勝して大会を盛り上げた。また、アメリカで人気のスノーボーダーやスキーヤーであるアイリーン・グー、ルーカス・フォスター、ミア・ブルックス、アレックス・フェレイラなどのトップアスリートたちが競技に参加した。
20年にわたり、Dew Tourはスケートボード、スノーボード、スキー、BMX、モトクロスなど、アクションスポーツ界のトップアスリートたちが驚異的なパフォーマンスを披露する場として知られてきた。しかし、なぜこの伝統あるプロツアーが終了することになったのだろうか?
その理由の一つとして、X Gamesの新たなチーム大会形式の導入や、ショーン・ホワイトが立ち上げた「The Snow League」の影響が挙げられる。
2023-24年シーズンの大会終了後、今後数シーズンのイベントカレンダーに変化が生じている。今年6月には、X Gamesが2026年から年間を通じたグローバルなチーム対抗形式への移行を発表した。これにより、従来の国内2大会という形式から、国際的な競技への転換が図られ、より多くのファンや選手を引きつける狙いがある。
X Gamesの発表を受け、オリンピック金メダリストであるショーン・ホワイトも、自身のアクションスポーツリーグ「The Snow League」を発表した。この新リーグは主にスノーボードとフリースキーハーフパイプ競技に焦点を当て、より自由な競技形式を目指している。
こうした動きにより、地元および地域のアスリートたちも新たな競技フォーマットに期待を寄せており、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)の厳格な競技形式から離れ、自由度の高いイベントに参加する選手が増えると見られている。
X Gamesは12月にカッパーマウンテンにてイベントを開催予定であり、The Snow Leagueも3月7日から8日にかけてアスペンにて新シリーズをスタートさせる。
Dew Tourの主催者は、アクションスポーツ業界が進化する現状について、「スポーツや文化の変化は成長や興奮、新たな挑戦の機会をもたらす」とコメントしている。「この移行により、スポーツへの多様な関わり方が増え、ファンやアスリートとの新たなつながりが生まれるであろう」。
今後、Dew Tourが再び復活するかは不明であるが、これまでイベントに参加した選手やファン、スポンサー、そして長年会場を提供してきたカッパーマウンテンに対し、主催者は感謝の意を表明した。