文:齋藤 稔
実はこの質問、僕がフサキ編集長に「プロになりたいんです。」とメールを出したときに聞かれた事。この質問に答えることが僕の第一歩だった。(残念ながら未だにプロにはなれそうもない)たぶん、他の一線で活躍している人に言っても同じ質問が返ってきたと思う。プロのライダーも口をそろえて言う「プロの資格を取るのがゴールなのではなく、プロの資格を取るのがスタートラインなんだ。」
スノーボードを始めた人ならかなりの確率で「スノーボードを職業にしたい。プロになりたい」と一度は思うのではないだろうか?確かに自分な好きなことで生活できるなんて夢のような話だ。しかし、現実はそんなに甘くない、思いつきでプロになれる人など一人もいない。また、プロの資格を取ってもスノーボードだけで飯を食っていけるのはわずかに一握りのトップだけだ。
他のスポーツも見てみよう。たとえばボクシング。プロとして初めて試合をやるファイトマネーはわずかに4万円ほど。年間4試合やっても16万円にしかならない。世界チャンピオンになって初めて良い暮らしができるのだそうだ。ゴルフはどうだろう。トーナメントプロとして第一線で活躍している人はかなりの年収がある。が、多くはゴルフのみで生活なんかできてはいない。人気の野球ならどうだろう。二軍でもそこそこの年収を稼ぐ選手もいる。しかし、国内でプロを目指してがんばっている人数を考えればわずかな人数というのがわかると思う。これを見てもプロとなりそのスポーツで生活していくのがいかに大変かよくわかると思う。スノーボードも例外ではない、むしろさらに厳しいと言って間違いない。
それでも10代後半~20代前半の人が会社を辞めてまでスノーボードに賭けてみると言う。別にそれは否定しない。その人の人生だからその人の自由だ。ただ、これからそのような生活をしようと思っている人はもう一度じっくりと考えてみてほしい。「会社を辞めてスノーボードに賭ける」なんだかかっこよく聞こえるが、大変な決意と情熱が必要なのを本当に理解しているだろうか?今の仕事がイヤだからスノーボードで一発当ててやるなどと考えている人は止めた方がいい。そんな気持ちでは多くのライバルに蹴落とされるだけだ。強い信念を持ち、すべての困難を克服する意志がある人だけが、初めて挑戦権を得ることができるのだと言うことをもう一度考えて欲しい。成功するのはそういったものを持っている人だけなのだから。
本当にスノーボードが好きで、本気でプロになりたいと思っている人、あなたは質問にはっきりとビジョンを持って答えられますか?厳しい現実を受け止めてそれに打ち勝つ強さがありますか?