もしもスノーボード団体種目が増えたら金メダルを獲るのはニッポン!

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文:飯田房貴 @dmkfusaki

連日、パリで熱い戦いが繰り広げられているオリンピック。私もカナダから応援を送っています。

興味深いのは、団体競技です。本来なら個人競技として行われる種目が、オリンピックをきっかけに団体戦としても実施されることが増えています。例えば、体操は元々団体競技があり、団体総合は1896年の第1回アテネオリンピックから採用されています。一方、柔道の男女混合団体戦は、2021年の東京オリンピックから新たに導入されました。これは「より多くの国・地域に機会を与えるため」であり、個人戦の一部の階級しか選手を派遣できない国・地域にも参加の機会を広げる狙いがあります。

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国際オリンピック委員会(IOC)は、大会の肥大化を懸念し、オリンピック憲章で参加選手数の上限を1万500人と定めています。実際、夏季オリンピックは1996年のアトランタオリンピックからずっと参加人数が1万人を超えており、東京オリンピックでは11,420人が参加しました。新しい種目を増やす余地はほとんどなく、何かを減らさなければ新種目を追加できない状況です。

柔道の団体戦は参加人数を抑えつつ、オリンピック競技の中でも盛り上がる団体戦を取り入れ、スポンサー費用を増やそうというIOCの意図が見えます。

出典:社会城跡データ図録 https://honkawa2.sakura.ne.jp/3982.html

一方で、冬季オリンピックの参加人数は3,000人を超えたことがありません。冬季オリンピックは常に夏季オリンピックの3分の1程度の規模で行われており、近年の冬季オリンピックの参加人数は2,000人後半で推移しています。2,000人を超えたのは1998年の長野オリンピックからで、ちょうどスノーボードが採用されたオリンピックから参加者が増え始めました。

出典:社会城跡データ図録 https://honkawa2.sakura.ne.jp/3982.html

若者に人気が高いスノーボードは、瞬く間に冬季五輪の花形種目の1つとなり、回を重ねるごとに種目数が増えています。長野オリンピックではアルペンのスーパー大回転とハーフパイプしかありませんでしたが、今ではハーフパイプ、アルペン種目に加え、スノーボードクロス、スロープスタイル、ビッグエアがあります。さらに、前回の北京オリンピックからはスノーボードクロスの男女混合も登場しました。

これはちょっと不思議な印象の種目で、先に滑った女性選手がゴールを切ったとたんに、上にいる男性選手がスタートを切れるというものです。元々、スノーボードクロスにそうした種目があったというわけではなく、オリンピックがこのような種目を新たに始めるので、FISのW杯でも採用されるようになったというもの。かなり(?)強引に新種目が作られました。

今回、パリのオリンピックを見ていて、今後の冬季オリンピックでスノーボードの団体戦が誕生するのではないかと考えました。

具体的にどんな種目で、どんな団体戦が行われるか想像してみたのですが、もしもスノーボード団体種目が増えたら金メダルを獲るのはニッポンだと感じました。

例えば、男子のハーフパイプ陣。金メダリストの平野歩夢を筆頭に、戸塚優斗、平野流佳、平野海祝など世界を代表するトップ選手が揃っています。さらに、ワールドカップで表彰台に乗ったことがある重野秀一郎や、国内選手権2位でワールドカップでも好成績を収めた山田琉聖もいます。団体戦にはおそらく5人の選手を揃える必要がありますが、日本の男子ハーフパイプチームは世界でもトップクラスの選手を揃えています。

かつてオリンピックで金、銀、銅を独占したアメリカチームでも、これほど強力なメンバーを揃えることは難しいでしょう。もし団体戦が誕生すれば、アメリカはショーン・ホワイトを復活させて上位を狙ってくるかもしれません。

オーストラリアにはスコッティ・ジェームスとヴァレンティノ・グセリという2強がいますが、それだけです。スイスもパイプが強い国ですが、金、銀を狙う選手を揃えるのは難しく、せいぜい銅メダルまでかなという印象です。

日本の女子ハーフパイプ陣も凄い選手が揃っています。
ランキング王者にも輝いた小野光希をはじめ、北京銅メダリストの冨田せな、さらにW杯でも好成績を収めて来た冨田せな、そして若い実力者選手も台頭して来ています。もしも団体戦があれば、クロエ・キムやマディ・マストロがいるアメリカと金メダル争いが繰り広げられるでしょう。

ハーフパイプ以外にもビッグエアの団体戦が考えられます。男子スロープスタイル陣も世界トップクラスの選手ばかりです。木村葵来、長谷川帝勝、木俣椋真、宮村結斗、國武大晃、荻原大翔、以上の6名の選手たちが、W杯で表彰台に立つことは簡単に想像できます。
女子では村瀬心椛、岩渕麗楽、深田茉莉、鬼塚雅といった実力者が揃っています。海外では5人の選手を揃えるのが難しい中、日本は強力な布陣を誇ります。

男子ではカナダ、アメリカ、ノルウェーなどが金メダル争いに絡むでしょうが、日本も十分に競り合うことができます。

以上はビッグエアの団体戦の話ですが、スロープスタイルはコースの長さ、運営時間からして団体戦実現は難しくなりそう。まずはハーフパイプ、ビッグエア。また、その男女混合戦が考えられるかな、と思います。

ここまで、私の勝手な空想と予想の話に付き合っていただき、ありがとうございました。しかし、もしスノーボードの団体種目がオリンピックに加われば、日本が金メダルを獲る可能性は非常に高いでしょう。冬季オリンピックに新たな興奮とドラマをもたらすこと間違いなしです!

飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は39年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard

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