世界のスノーボード関係者が、本音を語るこのグローバル・インタビューのコーナーも数えること100回目になった。この記念すべき100回目のゲストを模索していたところ、各当者がなかなか見当たらない。 そんな時、「だったらオレにしてくれ!」と出しゃばったのは、当web代表の37歳オッサン・スノーボーダーのフサキ。今季ちょうどスノーボード歴20年にあたり、今、自分が行っている活動を発表したいとのこと。自身で責任持って行うwebサイトだけに、ここらでしっかりと自分の考えを伝えたい、という思いも強いようだ。 そこで、今回は3年前にdmk活動に参加していたミスターXに引き続き2代目のミスターXがインタビューを行うことになった。 |
Photo by KAOin☆akaoku & Kei
まずはスノーボーダー飯田フサキの個人としての今季の目標を教えてください。
カービング・ターンとオーリーをしっかりできるようにすることです。実を言うと、この2つは長年、自分の中でできていたものだと思っていたのだけど、昨年スノーボード 19年目にして、きちんとできていなかったことがわかりました。だから今年20年目にしっかりと自分の成功イメージに近づけるようにしないと。
カービングに関しては、雪面をエッジでエンピツのようにきれいに描くこと、という定義においてはメイクしていると言えますが、まだ完璧に乗れていないのです。問題箇所は、ヒールからトゥへの切り替え部分や、フロントサイドターン中の姿勢など。1つ1つの細かい課題を克服していきます。
あと、オーリーに関しても、確かにテールのバネを利用して、その反発で飛ぶという定義においてはメイクしているのですが、全体的にきちんとボードをコントロールしていない。昨年、 NOMIS軍団のマーク・ソラーズの撮影している時に、完璧なオーリーを見せられて「気づき」があり、シモンのVitamin JIBのオーリーをチェックして、今、治療しているところです。
なかなか、うまくできなかったのですが、今季初めにシモンから「練習に勝るものはない」というアドバイスを受け、上達エンジンが全快になりました。 それで、徐々にですが良くなっています。
飯田フサキと言うと、ハウツー作りの名人とも言われますが、そちらの方の目標はどうですか?
ハウツーやコーチの仕事をドクターの治療に例えるなら、自分の治療方法は毎年良い方向に進化していると思います。その理由は、ウィスラーでのクラブ活動や毎年行うハウツー作りの研究。ウィスラーでは毎週、火曜日と金曜日にクラブ員といっしょにビデオ撮影をしてあげて、金曜日の夜にビデクリします。そこでは、オレ以外の者でも自由にアドバイスできるというような気風があり、そこで自分自身学ぶことも多いです。
現在、スノーボードの専門誌を拝見したり、世界でのコーチングのレベルの話を聞くと、まだまだ直すべき点も多いです。そういった修正箇所がたくさん見えるので、自分はこの方面で、まだまだ成長できるという自信があります。逆に言うと、まだコーチとしては発展途上なのですが、とりあえず、ここ2、3年の間に他人の考えていることがずいぶん想像できるようになったので、そういった点では良かったかな、と。コーチングの第一歩は、その滑っている人の気持ちを理解してあげることだと考えているので。ともかく今年もこれからも愛情溢れるコーチングで、その人のライディングを癒す。つまり治療してあげたい、と考えています。そのためには、もっと自分を愛する必要があるかもしれません。自分を愛することで、他人をも愛する力を蓄えることができるからです。なんだか、話はちょっと反れてしまったけど、今年の目標はそんな感じです。
スノーボード業界全体の活動は、どうですか?
ウエブ、ビデオ、 NOMISという3つのテーマがあります。
まず、ウエブですが、自分の得意分野であるハウツーを充実させること。具体的には3分ハウツー動画を復活させて、世の中の人に上達できる楽しさを伝えたいと考えています。
あと、これからもニュースに関しては毎日更新するし、またニュース担当責任者として、自分の主観もしっかりと伝えたいと考えています。つまり、そのニュースの意味を自分なりに解釈して、ニュースの裏側や推測も交えて伝えたいなあ、と。海外のニュースではあたり前の伝え方ですが、日本の新聞報道ではそういった主観が少ない。あるのは、夕刊フジぐらいでしょうか(笑)。ともかく、自分の主観を入れないと、どんなニュースかわからないことが多い。もちろん主観なので、間違った方向に行く可能も否定しないですが、常に真実が見える努力はしていきます。
その他、ウエブでは往来の雑誌メディアではやって来なかったことも大胆にやっていきたいです。具体的な例としては、素人のおばさんボーダーが登場するちかやんの話など。ああいった素人のパワーを全面的に出せるのもウエブの特徴なので、そのような部分をもっと見せて喜んでいただけるコンテンツを発信したいなあ、と。 ちなみにすぐに続編が出るので、お楽しみに!
いずれはこのウエブを世界にも発信したいですが、まずは今年できることから1つ1つこなしていきます。
昨年は遂にメジャー発売のバイタミンジブを出しましたが、今年はどんなものを?
チャンピオンビジョンさんに扱っていただくことで、とても良い変化が起こりました。たくさんの方に自分の制作したビデオを見ていただけることになったのです。だけど、本当のメジャーは、世界発信だと考えているので、まだまだってところです。とりあえず北米業界を巻き込んだビジネス展開を考えています。実際にそういう動きもしています。
内容に関しては、 NOMIS代表のマットからラウリ(ヘイスカリ)でバイタミン・ジャンプを出してみたら、と提案されたので、そのようなことも考えています。ラウリがホームとしているカリフォルニアのスキー場に行き、そこで撮影したいです。
あと、シモンのビデオに関しては、新しい展開を考えています。昨年は、1つのスノーボード上達方程式を示したと思うので、今年は逆のことですね。つまり左脳的な情報系から、右脳のようなイメージ的なもの。例えば精神的なハウツーとか、見た後、元気が出るビデオとか。しかし、最終的な内容の切り口はまだ考えていません。
とりあえず、シモンにとってJPウォーカーというのが1つの上達ヒストリーで大切な存在でもあるので、なんとかシモン&JPのセッションのシーンというのは見せたいです。
ともかく、自分が長年この業界でやって来た流れである、広い層の方に喜んでいただけるものを作りたいです。言い方を変えれば、一部コア層に喜んでいただけるものでなくて、もっと多くのスノーボーダーに喜んでいただけるもの。ターゲットを広くすることは、かなり危険な賭けでもあるのですが、それができてプロのスノーボード人と言えるので、ともかく失敗を恐れずに努力するしかありません。できなかったら、ゴメンナサイ(笑)。
あと、ビデオに関しては、アキ(編集&ディレクターの松澤)という存在が大きなテーマ。彼の才能が毎年、良い形で成長しているので、そのへんの期待も大きいです。
アキは、良い作品作りのためには、かなりクールにバッサリと映像も切ることができるし、そのビデオのテーマに沿ったアイデアを徹底的に追求することができる。あたり前のことのように聞こえるけど、制作者サイドというのは、せっかく撮影したあの絵を残したい、あのアイデアを残したいと思いがち。結果的に伝わり難い世界を作ってしまうものなんです。だけど、あいつはアート心がとても強く、捨てられる覚悟を持っている。それは作品をリスペクトする気持ちが強いからでしょう。オレのアイデアをうまく形にしてくれるので、今年もどんなものが出るのか、楽しみ。ただ、またお互い躊躇模索で・・・、ともかくバイタミンから成長しないといけないし、新しい世界も見せないといけない、さらには人々の「感性の旅」のペースに合わせるってことで、結構、難しい作業なんです。感性の旅っていうのは、わかりやすく言えば人々が求めるもの、ということです。
(以下、Vitamin JIBの販売ページ)
http://www.dmksnowboard.com/shop/original/index.html
NOMISが始まりますが、その展望は?
NOMISに関しては、オレの気持ちは代表責任者です。そういった責任を背負う気持ちで仕事をする、ということです。だけど、実際にオレはカナダに住んでいるので、やれる仕事の範囲も決まってしまいます。それと、オレは日本に会社も持っていません。だから、実質の社長は日本でフィールドゲートという会社を持っているムラッチョです。ムラッチョはオレの中学生時代からの親友。お互い風呂のない家に住んでいたので、よく銭湯に行った仲だし、悩み事の相談などして、ともかく信頼が深い。そのムラッチョにお願いするような形でやっていきます。
あと、ムラッチョも元々、こういったカジュアル系の仕事をやってみたかったようなので、こんな展開になってしまっても良かったかなあ、とも思います。
というのも、オレたちは今年NOMISをやるという展開はまったく考えていなくて、前代理店となったRSSさんからの突然の撤退宣言でこういうことになったので。 当時はビックリしたけど、その後、いろいろな方と相談していくうちに「自分たちならできる!」という強い意欲が沸いて来ました。正直言えば、最初はNOMISというカンパニーを助けるという気持ちが強かったのですが、今では顧客重視の考えで、オレが参加することで購入者に喜んでいただける、という強い自信を持ってやるようにしています。日本でこの仕事に携わる人も、NOMISのカッコ良さに引かれて、どんどんプロフェッショナル魂が磨かれてくると信じています。そう、だから今では「ありがたいものをいただいた」という感謝の気持ちが強いです。
ともかく、 NOMISのブランドのイメージをこのまま高く維持できるように、NOMISを理解していただけるショップさんを中心に販売していきます。ちなみに今は、東京のローニンショップさん、埼玉のグローバル・セッションさん、福岡のアチャームさんなど。「よしっ、ウチもやりたいぞ!」という方、いましたら、ご連絡いただければ幸いです。ちなみにレンズの展示会に出展しますので。
NOMISのライダーは、世界でも最も敷居が高く、それも1つのブランド価値なんだけど、日本ではウチのハジメに任せました。彼の目は確かだし、元々シモンやNOMIS軍団と仲良くいっしょに滑っていたのはハジメだったので。日本では最もNOMISを理解しているスノーボーダーで、しかもオレには足りない厳しい目でライダーを見るので、ブランドイメージを高めるためにも彼が適任者。
プロモーションに関しては、自分の最も好きな分野なので、いろいろ工夫してやっていきたいです。今までやっていないこともできると思います。ちなみにここ2年間は、たまたまですが、プロモーションやマーケティング関係の本をよく読んでいました。そこで自分なりにアレンジしたり、考え出したものもあるので、遂に実践に移せる時が来た!って気持ちでワクワクしています。
NOMISを着ることで、幸せな気分になる。オレたちは、そんなストーリー作りを継続するために、クオリティを維持し、そして何よりもシモンやマーク(NOMIS代表)と協力し合い、ブランドのイメージを高く保てるようにします。そのためには、ブランド自体が常にチャレンジ精神を持ち、今までやっていないことも恐れずに突き進むこと。NOMISというブランドに誇りを持って、全スタッフが超プロフェッショナルになること。オレたちはまだ発展途上段階ですが、その精神を見せ続けることは約束できます。
(以下、NOMISのアドレス)
http://www.nomisdesign.com/
いよいよ今月には2年ぶりに日本でフサキ・キャンプがあります。そして祭りツアーと続くわけですが豊富をどうぞ。
北海道でワタキチがおもいっきり最高のキャンプをやってくれて、本当に感謝すると共に、その後に引き継ぐオレとしては、凄いプレッシャーです。例えるなら一塁ベースにジーター、二塁にAロッド、三塁にシフィールドおじさん、そして今、バッターボックスに立っている松井のような心境です。この例えわからない方すみません(笑)。
ともかく、ワタキチがdmkチームに凄く大きなチャンスを作ってくれたので、頑張るぞ!という強い気持ちです。今さらジタバタしても大したことができないので、当日のキャンプまでにやることをやって望むだけ。自分が持っているものを精一杯出すしかない、と。「与えよ、されば得られん」ってことで、自分が持っているものは、すべて出すような気持ちでコーチング愛を見せます。その結果、自分がコーチとして、スノーボードの伝道者として、成長すると考えています。
幸いアウトカウントはないので、ホームランでなくてもヒットでもいい。点が入るように頑張ります(笑)。この点とは、キャンパーの満足や笑顔ですね。
祭りに関しては、dmk馴染みのライダーやメーカー関係者なども来られるようだし、本当に楽しみ。すでに60名以上の方が来ると聞いています。
ミッチャン(橋本)が来れるかどうか微妙なところですが、来れる可能性は高いし、実現したら嬉しいなあ、と。自分にとっては10年間ずっと応援して来たライダーなので、ぜひdmk祭りには来ていただけたら、と思います。
他にも浪人シリーズでもお馴染みのカンジ先生や、自分が最も応援している若手3人、ハジメ、トオル、タクミ。彼らと祭りでいっしょになることは、本当に楽しみ。3人のキャラクターがクラブ員に良い刺激を与えると期待しています。
ともかく、dmkツアーの原点、コミュニティ力の素晴らしさ、スノーボード好きの集まりがどれほど素晴らしいものかということを、素直にリーディングして行きたいです。ただ、闇雲に騒ぐのではなく、一人一人の参加の気持ちをケアしていきながら、最終的にはすべての参加者に満足していただくことが大切だと考えています。そして、自分も楽しむし、もちろんスタッフも楽しんでほしい、と考えています。そういった楽しいエネルギーがキャンパーにも伝わると思うので。
最後に飯田フサキの夢をどうぞ!
今、イメージしている目標をメイクすること。そして、自分の心の底の真の言葉を聞けるように、これからも自分の心に素直になれる環境作りに励むこと。そのためには、情報を遮断する時間も大切にして、自然に身をゆだねる時間を積極的に作ることも必要だと考えています。毎日ガチャガチャやっていると、いったいオレ何がしたいんだ!?ってことになりかねないから。
カナダ・ウィスラーでエネルギーを蓄えた自分が、このウエブやライブの(dmkクラブの)ツアーを通して発揮され、一人でも多くの人に深くスノーボードの楽しさや素晴らしさを伝えるように。最初は広くなくてもいいです。自分の背丈分だけ、自然な形で広がっていくことを望みます。 そうすれば、dmkクラブのように気づけば日本で最もホットで大きな集まりになっていると思うし。
「スノーボード」というテーマで人、自然、そして新しい感覚や感動といったものが融合していくこと。それが一生のテーマで、これを続けられることが大きな夢です。
飯田フサキ・プロフィール
|
生年月日: 1968年12月10日申年生まれ 家族、生活 趣味 好きなテレビ番組 好きなライダー 肩書き類 ハウツー王になった歩み ハウツー畑の仕事 現在の職種 |
このオッサンにメールしたい方は、以下まで
[email protected]