dmk卒業から専門誌で活躍中/堀 菜々子

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堀 菜々子

dmkの卒業生で立派に(?)スノーボードで飯を食える者が出た。
彼女は2年前、1年間ワーホリでウィスラーに来た時に、JALスキー・ツアーで働きつつ、dmkスタッフになり撮影のお手伝いをした。
初年度からいきなりケビン・サンサローンのインタビューや、シムス・ワールドチャンピオン・シップ大会で、トップ・ライダー50人のマテリアル調査など行う。
頑張り屋の彼女は、運にも恵まれてSnowBoader誌の編集部で働くようになった。
自分の1つの目標を達成でき、充実しているナナコに元上司(?)のフサキがインタビュー。

 

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フサキ(以下F): 編集部に入ってどうだい? なんかもうバリバリ第一線級ってことだけど。
ナナコ(以下N):楽しいですよ。大変なことがあっても、いろいろな面で勉強になるので。海外に住んでいたわりには、英語は苦手なので、外人ライダーにインタビューした時には、自分の英語力なさにヘコんだりもしますけどね(笑)。

F:ウィスラーでは、あまり英語は使わなかった?
N:JALツアーで働いていた時もお客さんが日本人だったから、あまり使いませんでしたね~。本当に必要だったのはお客さんとホテルの間にトラブルが起きた時くらいですね。

F:じゃあ、外人ライダーにインタビューする時は、どんな気持ちでやっているの?
N:外人ライダーにインタビューする時は、緊張します。緊張している上に英語力があまりないので、即席でいろんな質問を投げかけて行くのが難しいです。だから、事前に下準備を必ずして行きます。通訳の方に通訳をしてもらってもいいのですが、それだと話が遠くなるって言うか、私と相手のコミュニケーションが取れないので…。日本語で質問を考えてから英語を考えるとどうしても、文面上の英語になってしまいがちですよね?そうなってしまうと、なんだかおかしいので、海外のサイトでプロ・ライダーのインタビューが載っているページを見て、「こういう質問はこういう風な聞き方ができる」ということをチェックしています。もちろん、聞き方も一通りじゃなく、何通りもあるので、フランクな口語の英語でいろんなことが聞けるように、できるだけいろんな言い回しをチェックするようにしています。海外のインタビューのサイトが勉強になる点は、もうひとつあります。やっぱり、日本人と海外のインタビュアーと比べて、質問の発想が海外の人のほうがユニークな場合があるんです。そういう質問をふくらませてインタビューしていきたいですね。

F:今までナナコの中で印象に残っているライダーは?
N:最初に思った印象と大きく違ったのはトラビス・ライス。ロシニョールのメーカーさんから典型的なアメリカ人でラフと聞いていたから、どうなるもんかと心配していたんですけど。実際話してみると、とても丁寧な受け答えでいろんなことを話してくれました。「もし必要なら僕の写真を持っているカメラマン紹介するからね」と言って実際カメラマンを紹介してくれたり。最初は、大雑把でやんちゃな悪ガキっぽい人かとイメージしてたから。
他にはギギ・ラフをナンパしたこと(笑)。ボルコムのパーティで絵を見ている青年がいて。まさしくハリーポッターのような風貌で立っていたんです。まずは「いっしょに写真を撮らせてください」ってアプローチ。それで「こいつ俺のファンだな」と思うじゃないですか? いきなりギギ・ラフだけの写真を撮ったらかしこまってしまいがちだと思うんですよね。 そこから「実を言うと、私は雑誌の編集しているんだけど、読者からの質問のメールとか送ってもいい?」って感じで名刺交換をしました。
私は外国人ライダーにメールアドレスを教えてもらったら、すぐにメールするんです。そうしないと忘れられてしまうから。日本人同士だと顔も名前も覚えやすいですが、日本人が外国人の名前を覚えられなかったり、顔もなかなか見分けがつかなかったりするのは外国人も同じだと思うので、とりあえずメールを送って、「ああ、そう言えば日本でちょっと喋ったなぁ」という感じで、とりあえず記憶の片隅にでも残しておいてもらうんです(笑)。そうしておくで、なかなか会う機会が少ない外国人ライダーともコミュニケーションが取りやすくなるし、読者ページの質問に答えてもらえたりするんですよね。

堀 菜々子
ALLIANライダーの蛯沢くんと撮影の合間に談笑。
ナナコ「今日は晴れてよかったねー!」
えびちゃん「撮影も順調に進んだしね!」
1年目にしてバリバリ取材をこなすイケイケ娘です。

F:なるほど~。ウィスラーでのシムス大会の時にも聞いたんだっけ?
N:ウィスラーにいる時にシムスの大会でインタビューさせてもらったんですけど、ライダー一人につきたった3分くらいしかなかったので、その時に選手にメールアドレスを聞く時間は全くなかったんです。でもあとでそのライダーのサイトを見つけて、「シムスの大会でマテリアルの質問をした日本人です」、というふうなことで連絡したライダーもいます。会場内に毎日チョロチョロしてて、その辺にいるライダーたちにガンガン声かけてる日本人は私くらいしかいなかったので、幸運にも覚えてもらってたみたい。例えば、ロジャー・ヘルムスタッドセン。それをきっかけにいろんな質問に答えてもらったりしてますね。他にはデビット・ベネデックかな?シムスの大会であってから1年半後にメーカーさんのパーティで再会しました。顔は覚えてもらっていないけど、「メールしたナナコだけど覚えている?」って聞いたら、「ああ、ナナコか!元気にしてるの?!」みたいな感じでフレンドリーに接してもらえました。この例をとっても、メールは名前を覚えてもらうのにとても便利なツールだなと思いますね。

F:まだナナコは昨年4月に入って1年くらいしか経っていないけど、今までインタビューした人はだれ?
N:ミッヒ・アルビン、ヨナス・エメリー、ヘイキ・ソーサ、トラビス・ライス、ショーン・ホワイトなど…ですね。

F:ビッグ・ライダーと接して、度胸ついたのでは?
N:つきましたね。本当、私は凄い小心者でヘタレなので。自分の不得意な場面になると、昔ってすぐに逃げていたんです。嫌なことからすぐに目を背ける。子供の時も勉強が嫌になると目を背けたり。だけど、最近変わりましたね。ちょっと大人になったのかなぁ(笑)。
カナダやスイスで働いたことも要因かなあ。「自分のことは自分でしっかりやらなきゃいけない」という意識が大きくなりました。実際ちゃんとできてるかどうかは自分から見ただけでは分からないけれど。

堀 菜々子
ビデオ片手にライダーのコメントを取っている。
事前にライダーを勉強しているので話しもスムースに決まる。

F:なんか人材開発とか、宗教入った?
N:ハハハ(笑)。入ってない入ってない。いろいろ本を読んで来たから、そこから学んだものが大きかったかも。とにかく本が好きで、一週間の内に5冊くらい本を読むんです。

F:どんなもの読むの?
N:分野関係なし。推理小説から心理的な部分のエッセーとか。
エッセーだと個人的な考えが出ているので、いろいろな人の前向きな姿勢な考えを知ることができる。様々な人からアドバイスをもらっているような感じですね。
自分にとって今、難しいことでも、そのハードルを越えてみる。そうすれば、次の大きなハードルが来ても越えることができると思うから。だからまずは目の前のハードルを越えてみるんです。

F:偉いなあ。ところでナナコはウィスラーのdmkの活動でどんなことやったけ?
N:スノーボード・ニッポン誌のマテリアル調査で大会中に選手にインタビューしたり、ケビン・サンサローンの家にお邪魔してインタビューしたり。

F:あっ、そうだ。あの時はケビンの寝室でインタビューしたんだよね。
N:そう、まだ英語にも慣れていなくて戸惑ったけど、実践的なことでずいぶん勉強になったことがありました。まだ、わからないことだらけで、山に撮影に上がった時も、ただ付いて行ったという感じであまりお役に立てなかったけど。

F:そんなことないよ。エネルギッシュで、凄い奴だと思っていたから。
N:あのマテリアルのインタビューでは実際には80人ものプロライダーに話を聞かせてもらったので、ずいぶん度胸がつきました。まだライダーの名前も顔もよくわからなくて、有名ライダーでもみんなにビデオに名前を言ってもらったりしてました。
考えてみたら、ケリー・クラークとかドリアン・ビタルもいたんですよね(笑)。そんな選手を並ばせて、「今からこんなマテリアルの調査をしているのだけど、協力してもらっていい?じゃ、そこの端の人から名前とスポンサーから教えて!」なんて仕
切ったりして…。

F:だけど、あの時わかったんじゃない? 本当のトップ選手って本当にいい人柄が多いって。
N:そう、トップになる人って受け答えもいいし、やはり心が強くなきゃやっていけないんだなあ、と思いました。

F:ナナコは元々テレビの仕事をやりたかったんだよね。
N:そう短大でもそういうことを勉強してたし。だけど、就職したところはまったく関係ないところで。だけど、そこの会社で英語の研修を受けることになって、同時期に入った人たちがみんな自分より英語力も学歴も上で。それでヤバイ、英語を勉強しなくちゃ!という気持ちになり、すぐに「やばい!駅前留学だ!」と思い、「体験入学お願いします!」と電話してました。

F:凄い! 人間は自分が思ったことをすぐに行動することが大切だから、そういう素直な気持ちが大したもんだ。
N:ええ、かなりビビりましたから。根っからの小心者ですから(笑)

F:それをきっかけに英語したわけだし、何か今までの経験がすべて生かされているようだなあ。
N:そうですね。本当にうまくそういうことになってると思います。だからJALでガイドしていた時も「先を見越して行動しろ」とアドバイスされて勉強して。今の仕事でもそのことがすごく役に立っているんじゃないかと思います。経験して無駄なことって無いんだなぁと思いますよ。いいことはもちろん、つらいことも、悲しいこともすべて。

F:オレも遅ればせながら、最近そんなことがわかって来て、すべての物事で事前にイメージできていることが大切だと思った。(この後、オジサンの語りに入ってしまいインタビューを忘れて、スシ時代のことまで語りだすのでカット)
N:ああ。だから1日の始まりで、もう全部今日のイメージを作っておきます。例えば、外国人のインタビューの時も「この質問に対してこう答えるかもしれないから、この質問を用意しておこう」という答えに対する質問を何パターンか考えていたりし
てます。

F:これからの堀菜々子の方向は?
N:先のことはわからなけど、とりあえず目の前の編集という仕事を一生懸命やっていきたい。たくさんの読者からおもしろいなあ、と思われるような原稿を書ければいいなと思います。

堀 菜々子F:夢は?
N:うーん、そのうち結婚したいです。もし、できるならばね(笑)。
最終的な夢は「あぁ、いい人生送ってきたなぁ、すごーく、すごく楽しかったなぁ!
あぁ~幸せ~」と思いながら、笑顔いっぱいで幸せ気分で人生の幕を下ろすこと。
なんでこんな夢かって?結婚もそうだけど、死ぬ時に「すごい幸せだった」って思うことも、自分の頑張りだけでできるものじゃないと思うから。他の願望って、がんばったらなんとかなるかもしれないから、夢に入らないのかも。

F:最後に一言…
撮影のために雪山に行く時、車を持ってないので電車で行くことが多いのですが、ラッシュ時間に大荷物とボードを持って電車に乗ったり、新幹線に乗ったりすると、会社に行くみなさまから「おいおい、こんな平日からいい歳した姉ちゃんが働かずに山に遊びにいくんかよ~!?」的な冷たい視線を頂きます。そんな視線の先にいるのはこれから雪山に新幹線通勤する私かも知れないので、お手柔らかにお願いします…。

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