世界の舞台でコーチとして活躍する高石周さんが、スノーボードの上達に関する悩みから、環境の提案など、様々な角度からスノーボーダーの相談に乗ります。
今回は、ここ最近、かなり鋭い質問を投げかけ続けているママパパさんから。
周コーチは、回転力をコントロールするポイントを伝えます!
質問者:ママパパ
丁寧な解説ありがとうございます!!(T0T)
イメトレしすぎて返信おそくなり申し訳ありませんでした。
そ、そして!できました!ほぼズレの無いヒール抜きフロントサイド。友人も思わず「オオ!」と歓声をあげてくれました。これがあるからボードがやめれない(ムフフ)高石さん凄すぎです。
だけど、ここで新たな問題発生!
スピンが強力過ぎて、グラブ出来る気がしません・・・。たぶん、「抜け」を気にしすぎて、空中姿勢に繋げられていないのが原因だと思うのですが・・・。ここで「プロがやっている感覚」の壁にあたりました。ひょっとしてブログのテーマになるのでは!?
トッププロのFS1260とか、セミプロのFS720でも、かなり早いタイミングでグラブが持てちゃってますけど、あれって、抜け出た瞬間の回転力って、「180くらいのスピン力→ちょっと回ってから、一気に回す」なんですか?
それとも「720や1260分のスピン力」を感じているんですか?
高石さんのHOW TOでは「抜けは90°くらい」となっていますが。抜け出た時の感覚、勢いについて書かれた雑誌、ブログは日本では存在しないようなので、ご教授頂ければ幸いです。
再度のご質問に普段の強い熱意を感じます!
また普段からよく疑問を持ち考えていらっしゃる様子に感銘を受けます!しかし今回の質問も鋭いところを突いていらっしゃいますね~。そしてよく分析しておられます!
早速考えてみましょう!
かなり前のブログ記事に書いた「スノーボードで運動力学を考える」という記事に、回転力はどのようにして得るのかを書いています。かなり面倒なことを書いていますが、重要な部分のみ見逃さずに読んでいただければご理解いただけると思います。以下、5つのページをご覧ください。
http://sportscoaching.blog72.fc2.com/blog-entry-166.html
http://sportscoaching.blog72.fc2.com/blog-entry-219.html
http://sportscoaching.blog72.fc2.com/blog-entry-218.html
http://sportscoaching.blog72.fc2.com/blog-entry-222.html
http://sportscoaching.blog72.fc2.com/blog-entry-229.html
要するに以下2つが回転力をコントロールするポイントとなります。
① 腕の回転力の利用
② 体感筋、足筋の伸張反射の利用
腕の回転力は例えばフィギュアスケートのような回し方です。大きく広げた腕を回して、その腕を内側にたたみ込んで勢いを得ます。体感筋、足筋の伸張反射の利用というのは、体の筋肉を横方向なり上方向なりに伸ばして、その筋肉が急激に伸ばされることで起こる「縮もうとする反射」を利用し、さらに自らその反射に合わせて筋を意図的に力を入れることで、重たい下半身を引っ張り上げるものです。トッププロはこの2つの方法を用いて回転力を最大限に得ようとします。
例えばママパパさんが、むしろ回転力を抑えたい場合、以下を実行することで抑えることが可能です。
● 腕の回転を小さくする
● 蹴りを弱くする
● 上半身と下半身の捻りを少なくする
例えば回転は抑えたいが上には大きく跳ね上がりたい場合、しっかり下半身は蹴りながらも、腕の回転は抑えて、上半身の捻りを少なくすればOKです。
ただし抜け(実際は空中)で得た回転力を殺さないように、板と肩のラインは一緒に回っていくイメージを持ちましょう。上半身を捻らなかったといって、空中で板が肩を追い越したら、その時点で回転は止まってしまいます。トッププロが高回転を実現する場合、必ずしも強烈な上半身の捻り角度が必須なのかというとそうでもありません。
では何が重要なポイントになるのか?
それは上半身を捻る「初速」と、その直後にいかに速く筋を「収縮」させるかです。
これはブログ記事からも説明がつきますね。
上半身を捻る初速は腕の振りでヘルプすることが可能です。
そしてその急な筋の伸ばしに強い筋収縮を意図的に掛けることで、伸張反射はより強く起こります。この伸張反射が強いほど、下半身が引き上げられる(回される)勢いは強烈になりますよね。
だから上半身は(板と肩が同じライン上にあるのを0度として)90度くらい回せれば十分なんです。その代わり上半身の捻りと蹴る動作は一瞬にして起こらないといけません。感覚としては90度捻り終わる前に蹴ってないといけないわけですね。抜けを待つほど自然とこの状態になります。
仮に90度以上捻っても、筋力が強ければ下半身を引っ張って来れますが、捻りすぎて筋を伸ばしすぎると筋を縮めるために非常に大きな負担が掛かってしまいます。これが捻りすぎると余計下半身が重く感じる原因です。このように捻りが90度くらいで蹴って抜けることができれば、抜けや空中に出てからのバランスコントロールも容易ですし、したがってエアの早期にグラブも可能になります。また筋の収縮が速いほど下半身がグラブしやすい位置に速く上がってきますので、トッププロが早い時期にグラブしているのも納得できますよね。
また実験結果を聞かせてください!
下記URLから投稿を確認できます。
http://6218.teacup.com/snbw/bbs
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