世界の舞台でコーチとして活躍する高石周さんが、スノーボードの上達に関する悩みから、環境の提案など、様々な角度からスノーボーダーの相談に乗ります。
今回は、キッカーのスピンで板をズラさずに先行動作を入れるコツについての質問です。
質問者:ママパパ
こんにちは、「そんなこともしらないの?」と笑われてしまいそうですが、質問です。
テーマは「キッカーのスピンで板をズラさずに先行動作を入れる」です。
(Yahoo知恵袋にも投稿がなくって・・・)
特ににフロントサイドがちんぷんかんぷんです。
先行動作で体を開こうとすると、どうしても一緒に板がズレ始めます・・・。
エッジはうっすらヒールにかけていますが、これは、開くと同時に、自分が思っている以上に、ヒールに乗ってしまっているということでしょうか?
前重心が過ぎるのでしょうか?(自分では前足2:後ろ足8で後重心をとっていますが。)
上手い人、900~1080とか見ても板まっすぐ抜けているのに、上半身が反時計方向に思いきり先行されているので、不思議で不思議でなりません。
この症状に悩む人は多いですよねえ。
私にもよく起こるのでお気持ち察します!
では、早速考えてみましょう。
まず板が(抜ける前に)横にスピンするように回るには、体の回転運動が必要です。
ヘリコプターのようなイメージですね。
しかしながら板に回転の反応を起こすには、肩を回しただけでは足りません。
体の中心にある「腰」に動力が伝わったときにだけ板が影響を受けます(=回ります)。
今回の症状を聞くと、つまり肩を回すと同時に板が回るわけですから、肩を回す際に腰も一緒に回っているということですね。
ここが重要なポイントです。
例えば先行動作がぜんぜん見えないのに、BSなりFSなり高回転できてしまう人を見たことないでしょうか?
こういう人たちは先行動作を肩や腕で入れずに、腰だけで一気に回しこんでしまう人たちです。
(腕の回転動力も使ったほうがより腰は回しやすいのですが)
もう一つ板が横にズレていくための要素があります。
それはエッジが掛かった側に体の重心が傾くことです。
ターンと一緒ですね。
これは体に回転運動が入らなくても板はずれて(曲がって)いきます。
この2つの「板がずれる要素」を考慮して、ではどうしたら現在の状況を改善していけるかを考えてみましょう。
① 上半身と下半身
この2つのボディーパーツが連動しないように別々に動かせるようになることがポイントです。
上半身が回ったからといって下半身がついてこない状態です。
まずは肩を(腕と共に)回し始めます。
そして回しきる前に下半身を蹴りましょう。
蹴ることで一気に腰&上半身を開放するように回します。
蹴る前に、腰が先に回ってしまうと、板が雪面を離れる前に必ずずれます。
まずは板を雪面から離すこと。
参考までに。
足が引き上がってくる時が一番下半身が軽く感じるときです。
この時にさらに腰を回しこんでいきましょう。
練習はまずは平らな場所で板をはかずに始めましょう。
次に斜面を斜滑降でエッジをかけた状態から練習します。
慣れたらコース脇のサイドヒットやこぶにタイミングを合わせてやってみます。
最後にパークジャンプで試してみましょう。
② 抜けのタイミング
単純に抜けのタイミングをぎりぎりまで待ちましょう。
下半身が待っていても上半身が待てない、またはその逆もあります。
上半身が待てないというのは上記したように、板が雪面を離れる前に動き出してしまう状態です。
下半身が待てないというのは、例えばリップを上がっている時にエッジ側に体が倒れる状態です。
つまり体の緊張から足場を早い時期からがっちり作りたくて、エッジをどんどん立てていくわけです。
結果として重心(腰、上半身)がどんどん内側に倒れて板は横に曲がっていきますし、エッジが立つほど腰が回った際のずれも出やすくなります。
これらは蹴れなくても板が雪面から離れるリップぎりぎりまで待つことでかなり改善されます。
下半身がエッジを立てすぎないように、抜ける瞬間まではエッジをかけたストレートエアをするイメージでリップを上がっていきましょう。
リップを上がっている時はとにかくじっと我慢です!
動いてはいけません!
板のセンターがリップに掛かったときが動き出すタイミングですよ。
③ ライン取り
エッジが掛かる時間を短くし、さらに上半身の先行動作を遅らせるためです。
ヒール抜けのFSスピンの場合、アプローチでのトーエッジに乗っている時間を長くし、抜ける直前のヒールエッジに乗っている時間を短くします。
もしくはトーエッジをかけるタイミング自体を遅らせて、ヒールエッジに乗る時間を短くしましょう。
これによって上半身は先行動作を入れる時間も短く余計なひねりを入れる暇がなくなります。
さらに下半身がエッジを立てて重心を余計に内側に倒す時間もなくします。
いかがでしょうか?
これらを自然にできるようになるには当然練習に時間が掛かります。
魔法のようなアドバイスがなくてすいません。
また実験結果を聞かせてください!
参考までに以下の動画も上記と併せてご覧くださいね。
http://youtu.be/1xYuAAQ0wkc
●関連リンク
高石周の教えてコーチ!「間節とスノーボード」
https://dmksnowboard.com/?p=29565
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