世界の舞台でコーチとして活躍する高石周さんが、スノーボードの上達に関する悩みから、環境の提案など、様々な角度からスノーボーダーの相談に乗ります。 今回は、スピン後半の回転速度の減速についてについて。
質問者:ナツミ
先般、BSスピンで質問させて頂いた者です。
私、スノーボード人生において、体感的には約95%は右回転スピンしかしておらず、左回転のスピンは練習したことがありませんでした。
なので左回転スピンのスキルは初心者レベルです・・・。
とりあえず練習初日までに、いろんな動画見てイメトレだけはしておきました。
練習2日目の動画がこれになります。
(飛んでいるジャンプが小さすぎてわかりづらいかもしれませんが…)
https://youtu.be/auWJmOFDxf0
教えて欲しい点ですが、
●スピン中(特に後半)下半身と上半身がバラバラになっているように見えます。
原因、改善方法を教えていただきたく。
●遠回りせず、最短で上達したいと考えます。
キッカーでのメイクを目指すにあたって,まず,どういったところから練習するべきでしょうか。
全く持って何が良くて、何が悪いかわからない状態です。
練習の指針を頂ければと考えております。
ご教授お願いします。
いつも熱心ですね!
感心します!
さて、FS360の動画を見ましたが、とても良いですね!
最近始めたばかりとは思えませんよ。
しかもかなり上手い方だと思います。
では早速見つけたことを書いてみます。
キャブ360もやっていたので比較してみました。
抜けはどちらも同じクオリティーですし、何も修正点などは見つかりません。
素晴らしいです!
次に抜けた後の空中での動き。
これもほぼ同じです。
板が90度回るまで胸は前足のヒザに向いています。
その状態では上半身はすでに180度回っていますね。
その後上半身をロックして下半身を上半身と同じように180度まで引っ張ってきています。
板が180度の時点で上半身に追いつき、その後は下半身のみを回転させてランディングに合わせています。
抜けと滞空時間を見る限り、下半身を無理に合わせに行かなくても楽に360回ると思いましたよ。
参考に以下の動画の0:55あたりのFS360を見てください。
https://youtu.be/WFl62vjBFp4
このスピンでは顔と胸は板と一緒に回り続けています。
下半身に追い越されることはありません。
ナツミさんの場合はこれ以上に抜けが楽で滞空時間もあります。
あとは空中でどう動くかだけですね。
以下の動画の練習をスキー場なり屋外ジャンプ施設なりで順序良く練習してください。
特に6:00、7:15あたりが参考になるはずです。
https://youtu.be/8uTzV_HtbLY?list=PL7NJzTLJCb0WLmOsUxqIVKiW3vPPHDDvq
要するに「ランディングの際に肩が板以上に回っている180」を2つつなげる練習が、ナツミさんの現在の症状に有効と思われます。
平地、緩斜面、ぽこジャンで「ランディングの際に肩が板以上に回っている180」を何度も練習してください。
肩だけは板以上に回しこんでいることが重要です。
次に2つ目の180を1つ目の180のランディング後に即座に入れます。
つまり「FS180 +スイッチBS180」ですね。
2つ目の180ではスタンスがレギュラーに戻りますが、この時もランディングで肩が板以上に回っている状態がポイントです。
ですから板が真っすぐでも、胸は真正面を向いている状態です。
慣れてきたらこの2つの180を空中でつなげてみましょう。
そうすると最初の動画のように顔と胸が板と一緒に回るスピンになるはずです。
この2つの180をつなげる練習も平地から始めて緩斜面、ぽこジャンと少しずつ環境を移していくことで身体が正確に運動を覚えていきます。
こちらも参考にどうぞ。
私の生徒はこのようにして練習していました。
1:20あたりからご覧ください。
https://youtu.be/FeCirnDBo7I?list=PL7NJzTLJCb0XmawLEp4adFJiBf1069G8P
高石周(SHU TAKAISHI)プロフィール
新潟県長岡市出身。現在45歳。
1990年よりスノーボードを始める。1997年まで競技を続け、その後は育成の道へ。
2003年よりカナダのスポーツ専門学校でスノーボードプログラムの責任者を務め、2008年よりコーチングブログを始める。元ナショナルチームの渡部耕大、そして現在ナショナルチームで活躍する佐藤夏生など育成。その他、ビデオシーンで活躍する小川リョウキ、高尾翔馬など、日本を代表するライダーたちを育成して来た。
2012年よりコーチとして自立し、スノーボードコーチングプログラム「Snowboard Wiz」を発足。
ナショナルコーチング資格プログラム(NCCP)、カナダスノーボードコーチングプログラム(CSCP)など、カナダの各種コーチング資格を所得していて、そのコーチング・レベルはナショナルチーム・レベル。