覆面座談会 05年度スノーボード・ムービーを斬る

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思えば昨年も同じ時期に覆面座談会が行われた。あの時には、覆面座談会という大層なネーミングの割には、大したコメントが少ない、というお叱りも受けた。そこで、今回はさらに焦点を絞って、05年度に発売されたスノーボード・ムービーについて語ってもらうことにした。今年はかなり危ない直球コメントがあるので、気をつけよう。この手のコメントで不愉快になる方は、退散してください。「これも1つの意見である」と広いお心の方、以下の座談会内容に進みましょう。


優良ムービー選び

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今回、ここに集まってもらったのは、今年発売されたスノーボード・ムービーをオレたち流に勝手に評価してしまおう、と思ったから。昨年の座談会企画では「もっと直球勝負で来るかと思ったに残念だ」という批評もあったので、この「ムービーを斬る」企画では、ざっくばらんに話してもらおう、と思う。一応、すべての文章内容の責任はdmk、つまりオレ(フサキ)にあるのだけど、キミたちの顔を隠しておこう。そうしないと話ずらいだろうし。
まずは、今年もたくさんムービーがあるわけだけど、全部批評したら次の冬が来そうな時期になるから、とりあえず絞ろう。そして絞ったムービーを分析することにしよう。今年のビデオの定番というか、気になったものをざっとあげてくれる。

A:CHULK SMACK(MACK DAWG PRODUCTION)、MOMENT OF TRUTH、POPはバリバリにカッコいい路線。ストレートレールにバックカントリーに最高のフッテージを残している。
FAST FOOD(Alterna Action Films)AFTER LAMEはカッコいいけど楽しさを追求したムービー。特にAFTER LAMEはそういった印象を受ける。スノーボードがいかに楽しいか、ということを伝えてくれる。
LOVE/HATEPOSITRONはその中間で、カッコ良さと楽しさの追求。

B:カッコいい路線の3本には正統派のカッコいいライダーが出ていて、凄いフッテージを残しているよね。後に紹介した4つというのはスノーボード全体の楽しさを伝えている。

スノーボードの楽しさって何だろう?
A:カッコいい路線の方は、バックカントリーとかキッカーとか、ケガをしながら必死に撮ったワンショットを並べて収められていているカッコいいムービー。だけど、こっちの楽しい路線の方は、もちろんそういうシーンも納められているけど、もっと友達と楽しく滑っている様子が伝わる。
B:そう、ようはこれを見ていると滑りたくなってしまうんだよ。みんなでワイワイやっている姿を見ていると、楽しいよね。

AFTERLAMEは、ロボットフードだから大御所部類だよね。だけど、このFAST FOODを選んでいるワケはどのへんにあるのだろう。
A:ウィスラーのロケーションで自分たちが知っているエリアで撮影しているというところで共感はあるよね。
B:ウィスラー人のオレたちだから、という部分も否定しないけど、そうでない人でも十分に楽しめるもの。

WHITE ALBUMはどう? 個人的にはショーン・ホワイトのカッコ良さやウマさが出ていると思うけど。
A:これはシグネイチャービデオなのでいれてませんでした。でも、分類的にはCHULK SAMCKなどと同じガチンコ系。
B:ショーンのプロスノーボーダーとしての凄さと、プロスケーターとしての凄さを、彼の生い立ちとともにゆかりのある人たちのインタビューをまじえて伝えている、とにかくヤバイビデオ。

なぜ日本人のビデオがない?
A:(ノー・コメント)・・・。
B:おれは、i am 好きです。同じ日本人で親近感が湧くし、日本のトップのレベルを知るのにもいい。あと、中井くんや国母くんの世界トップレベルのパイプ・ライディングが見れるのも魅力です。結構ボーナスとかもおもしろいし。

ファーストチルドレンのボードゲームは?
B:ちょっと見てて、長さを感じたかな。以前の勢いがちょっとダウンしてるかな、って。
A:なんか、まとまりがなくなったかな。
B:以前はもっとチーム、チームしてて好きだったんですけど、よりいいライダーを集めすぎて洗練され過ぎてチームとしての一体感が薄れたかな。
A:前みたいに、こいつらクレイジーだなあ、っていうのが少なくなった。

これだけの、ビデオ全部について話すのは多過ぎるのでカットしよう。
A:じゃあ、とりあえずPOPはカット。この中で一番売れてるビデオだけど、ロメインとトラビスのインパクトが強過ぎて全体的に見ると他が印象薄くなってしまってる。
B:音楽も結構眠くなる感じで、バックカントリーにこだわり過ぎたかな、と。
A:バックカントリーの凄さをわかっている製作者サイドから見れば凄いんだろうけど、自分たちのように普段滑っているスキーリゾートでのスノーボードとかけ離れ過ぎていまいちどれだけ凄いのかわからない。
B:バックカントリーは凄いけど、親近感のないビデオは見てて飽きる。AFTERLAMEは、もちろんバックカントリーやストリートレールもあるけど、普段自分たちが滑ってるゲレンデが少しクローズアップされててかなりおもしろい。
A:世界のトップは、ゲレンデでこう遊ぶ、みたいな。

ところで、シモンが出てるPROMO COPYは?
A:あっ、PROMO COPY忘れてた。
B:出しといた方がいいね。テンポが良くてサクサク進むし、見ていて楽しい。
A:何回も見れるし、ライダーもカッコいい。
B:POPみたいに本物嗜好な人に言わせると「パークが多い」と、言われるかもしれないけど、自分たちにはより親近感がある。

次に、カットするとしたら?
B:MOMENT OF TRUTHかな。TECH 9のビデオでストリートレール8割みたいな。
A:手摺にこだわったアンダーグラウンドなビデオ。若手がヤバイけど、レール好きじゃないと全く楽しめないかな。

まだ、多いのでもっとカットしよう。
A:CHULK SMACK。ジェレミー・ジョーンズ、JPウォーカー、DCP、ユシ・オクサネン、ルーカス・ホフマンなどのそうそうたるメンバーがいながら、っていう思いがあって。
B:MACK DAWGも昔みたいな輝きがなくなって、ちょっと大人の仕事になりつつある。やってることはめちゃくちゃ凄いけど。
A:レール、バックカントリーといろいろやってるけど見てて楽しくないかな。
B:内容の印象が薄い。ヘイキのパークでの全方向9くらいかな。

ビデオ作るの難しいね、バックカントリーだけでもダメ、レールだけもダメ、バランス良く作っても楽しさがたりないとか。 パークはダメとか。
A:そうですね。パークだったら人工物ならでは凄いアイテムや、ありえない動きが入ったトリックだったりしないと。
B:ウィスラーみたいな普通のパークじゃだめなんじゃないんですかね。

でも、i amとかではブラッコムのフッテージ使ってるよね。
B:それが世界との差じゃないんですか。
A:パイプは世界トップレベルでも、キッカーでは劣るし、バックカントリーやジブに関しては全く太刀打ちできてないから。外国のビデオと日本のビデオは使えるフッテージの選考基準が全く違うっても良く聞くし。
B:海外では「これはなし!」っていうフッテージも平気で使ってますからね。

1) The Shaun White Albumは、バイオグラフィティ調でかなりカッコいい。スケート界のレジェンドのトニー・ホークも登場。
2) Alterna Action FilmsのFAST FOODは、日本では馴染みが薄いが、覆面コンビのホーム・ゲレンデのウィスラーのロケ場所も使っていることで親しみがあった模様。
3) RED EYES FILMSのi am …は、日本人最強ビデオの名が高く、同じ日本人であることで親しみも人一倍で人気もかなり高い。
4)トランズ誌が選んだビデオ・アワードにも輝き日本でも一番売れたビデオと言われているPOPだが、覆面2人組にはもう1つ不人気。
5) カナダで最高峰作品であり、また世界中にカナディアンのスムースでクールなスタイルを印象付けたPOSITRON。布施忠もトリで大活躍しているぞ。

じゃあ、そろそろこの中から2人のトップ3を挙げてもらおう。
B:3位 i am。見てて親近感がわくし、やる気がでてくる。2位はAFTER LAME。初めて見た時のインパクトは全くなかったんですけど繰り返し見ていくうちにやってることの凄さや、ゲレンデでの凄い遊び、音楽もいいし。
A:ドキュメンタリー風に作っていて、個人のパートがないため最初は誰が誰なのか、いまいちよくわからなくて見にくかったけど、それに慣れればとてもいいビデオ。
B:噛めば噛むほど味が出る、ミヤココンブ的なビデオですね。 で、1位はPROMO COPYですね。見やすくて、フッテージのバランスも良く、適度に遊びが入り、音楽もいい。

ショーン・ジョンソン(注:PROMO COPYのプロデューサー)もたいしたもんだね。じゃあ、Aのトップ3は?
A:3位PROMO COPY、2位LOVE/HATE、1位AFTER LAME
PROMO COPYはライダーがかっこよくて、テンポもいいし見やすいGOOD MOVIEで、
LOVE/HATEは、マイキー・レブランが今年から立ち上げたKIDS KNOW PRODUCTIONというフィルム・プロダクションで、全体的にレールが多めなんですが、ノリはキングピンから引き継いだイカれたロックなノリをうまく落ち着かせて、全体的にモノクロで哀愁漂う感じに仕上げてきてます。夜にお酒でも飲みながらまったり見れる、そんな感じのビデオです。

B:凄い見やすいし、やってることはありえん、っていうことばかりで凄くいいよね。
A:で、AFTER LAMEは冒頭からデビッド・ベネデックのスノーボードを楽しみ続けているっていうインタビューで始まり、みんなの朝食風景からスケートで遊んだり、ブーツはいたりして準備してみんなで山に上がって行き、楽しく滑る。そういうオープニングで、音楽もひじょうに好きで、全体を通して何度見ても飽きないビデオですね。

じゃあ惜しくもトップ3に入れなかったPOSITRONとFAST FOODについても一言いただこう。
B:POSITRONはかなりおもしろかった。昨年期待を裏切られただけに、今年のできばえは凄かった。
A:忠さんもトリだし、2年周期でとてもいいビデオを出すね、ワイルドキャッツは。

POSITRONは今年がWHITE OUTプロダクションになって1作目っていう言い方もできるからね。
B:確かに、今までのパーティー、パーティーしてたビデオとは違って本気が伝わってきた。
A:ただ、ウィスラーのハイシーズンに雪がなくてワイルドキャッツ特有の落ち系のカッコ良さが逆に身近になかったため残念ながらトップ3に入らなかったと。
B:雪があったら、入ってたね。ワイルドキャッツのビデオ見て、今日もセッピ飛ぶぞー、みたいな。

やはりビデオは憧れる部分も大切だけど、その一方で身近に感じる部分も必要なんだろうね。そのバランス加減によって、「おもしれえ!」と思う境地に達するのかも。
FAST FOODは?
A:すげぇいいビデオで、トラビス・ウィリアムスとか好きだけど。
B:中盤まではいいけど、後半だれてくるよね。インパクト薄くなってくるし。
A:いまいち作品としてまとまらなかったかな、って。もともとトラビスはスタンダードのビデオに出る予定で、かなりいい映像を残したにもかかわらず最後の最後で使われなかったらしく、そういうのもあったのかも。

それじゃあ、とりあえず2人のトップ3が出揃ったところで、それについて語ってもらおうか。だけど、2人が選んだものを比べると、Aにはi am…がなくて、BにはLOVE/HATEがない展開で2人が揃っている部分もあり、結果的に4本あるのか。4本って中途半端だから、3本にしよう。AのLOVE/HATEの評価は2位で、Bのi am…の評価は3位だから、ちょっと申し訳ないけど、勝手にポイント制でi am…を削ってしまおう。それでは、まずはポイント・ランキングの3位のLOVE/HATEについて語ってもらおう。


LOVE/HATE
Kids Know Productions

出演ライダー:
Mikey Leblanc , Marc Frank Montoya , Justin Hebbel , Matty Ryan , Jordan Mendenhall , Andy Forgash , Scotty Wittlake , TJ Schneider , BJ Leines , Corey Smith , Janna Meyen , Mitch Nelson , Jon Kooley , Louie Fountain , Nate Bozung , Andrew Hardingham

A:まずは、ジョーダンですね。オープニングからおもいっきりやられてますからね。
B:イカれてますね。2本のレールの幅が狭く、間に落ちれば間違いなく板が支柱にひっかかってやられるだろうとわかっているレールでやられてますからね。
A:ダブルダウンのキンクをフロントで余裕の全抜きしてスイッチに270戻してアウトするプレッツェル・アウトや、ギャップのB1インをやったり、とにかくハンパなくうまいし、ブチ切れてます。
B:マイキーゆずりのロックな感じだけど、ジャケット着たりしてちょっとおしゃれみたいな。
A:それでプリシアっていう女の子が出てて。

B:キンクをバックボードで全抜きしたりとかなりレベルの高い女の子です。
A:次のミッチ・ネルソンはノーズプレスが絶品ですね。ハーフキャブからノーズプレスとか270インより難しい技をやったりと。
B:良い乗りっぷりですね。

A:それから、ネイト・ボーザンとマティ・ライアン2人のパートですね。
B:かなりスケート乗りで、ウエアのスポンサーいらず、リフト券いらずな二人ですよね。ゲレンデなんか滑らねぇよ、みたいなノリで。
A:パークのキッカー飛んでも皮ジャンみたいな。
B:裏庭に雪でつくったミニランプみたいなやつで、往復してストールし続けたり。
A:BJ・ライナスとかも出てるしね。やっぱりうまい。
B:TJ・シュナイダーとかもコブでフロントフリップしたり、プレッツェルしたり結構テクニカルですね。
A:コーリー・スミスもほんとにゲレンデ滑ってないですよね。
B:わけわかんねぇとこばっかり滑ってる。
A:ヨニ・マキネンのおかげでスノーボードらしいパートがあっていいよね。
B:久しぶりに雪の上滑ってるのみた、みたいな。
A:結構気合が伝わってくるライディング。力の限り暴れまわる、そんな感じのライダー。

A:このビデオは、結構挿入的な画が何箇所か入ってきて、それがロックな作品全体をモノクロで落ち着いた、少し哀愁漂うような感じに仕上げてて、とても見やすいですね。
B:やたらみんながタバコ吸ってるシーンから、ジョン・クーリーがタバコを吸ってるシーンにつないだりと流れもあり。
A:このジョン・クーリーがテクニカル系大型ジバーで、シモンと似たタイプですね。
B:フロント、バック、キャブ270の3種類とノーズプレス、5-0、プレッツェルなどたくさんの技を使いこなせてしかもカッコいい。
A:ロケーションも技もほとんど同じものがないですね。飛びも一応キャブ9くらいはできるよ、みたいな感じで飛んでますし。

A:あと、注目したのは引退したスコッティ・ウィットレイクが出てることですね。

B:引退しても全然まったり滑ってない。やっぱりカッコいい。
A:そして、製作者のマイキー・レブラン。
B:マイキーといえば叫びとフラットランディング。すげぇ小さいし。あと、コンクリートを滑るのも得意ですね。
A:マイキーの見どころは、スケーターキラー(注:手摺をこすれないようにつけたボコボコしたもの)のついた手摺を5-0で全抜きしてるとこですかね。
B:擦るなって言ってるレールを、テールに乗ってりゃ関係ねぇよと言わんばかりに擦ってますからね。
A:あとは、パイプのプラットフォーム to ボトムのフラット・ランディングと。
B:有刺鉄線越えのステアー飛び越しフラットランディングですね。いつか、本当に死にますよ。

A:そしていよいよマーク・フランク・モントーヤ先生ですね。
B:いきなりありえないくらい落ちてますからね。
A:そして、パートにグラトリがあるのもDr.マルコの凄いところですね。
B:グラトリでパートが取れる。どんな筋肉してるんだっていうボードさばき。
A:マークはその体の強さからくる強靭なランディングとスノーボード自体のうまさからくる繊細なコントロールで、唯一無二のスタイルを確立してますね。誰も真似なんかできません。
B:絶対潰されないっていう印象のライダー。パウダーランディングなのにまるでパークでやってるかのような余裕の着地。
A:最強っていう言葉がこれほど似合うライダーはいないんじゃない。

B:で、最後はジバーオブザイヤーのジャスティン・ヘベル。
A:こいつは、スイッチ、レギュラー関係なく技ができるので人の2倍やってます。スイッチノーズプレス、スイッチ5-0、スイッチフロントボードに、スイッチプレッツェル、スイッチ270アウト・・・。
B:こんだけやりゃあジバーオブザイヤーやんねぇとな、っていうくらいやりまくってますね。
A:だいたいこんなところがとりあえずのLOVE/HATEの見どころですかね。

座談会続く・・・。


PROMO COPY
Defective Films

出演ライダー:
Andreas Wiig , Alex Auchu , Eddie Wall , Joni Malmi , Chad Otterstrom , Ikka Backstrom , Chris Coulter , Kurt Wastell , Simon Chamberlain , Travis Kennedy , JP Tomich , Eero Niemella , Darell Mathes

座談会コメントお楽しみに!

 


After Lame
Robot Food

出演ライダー:
Travis Hauck , david benedek , Jakob Wilhelmson , Bobby Meeks , Charlie Morace , Louie Fountain , chris engelsman , Scotty Arnold , Giom Morisset , Hampus Mosseson , Christoph Weber

座談会コメントお楽しみに!!

 

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