若きジブ王今季を振り返る/シモン・チェンバリン(2)

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dmkが始めたシモンに接触した時には、まだ若干17歳のジバーだった。あれからまだ2年しか経っていないが、シモンは若きジブ王に君臨するようになり世界的に有名ライダーになった。今年は、初の日本も体験し、スロープ大会ではベスト・オブ・ジバー賞に輝いた。久しぶりに再会したシモンに今シーズンを振り返ってもらい、これからの展望などを聞いた最新インタビュー。

Photo by Toshi Kawano
Interview by Fusak Iida

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今年はずいぶん忙しいシーズンになったね。どこの国に行った?
フィンランドに2度、日本、韓国、そしてアメリカには2ヶ月も行っていたよ。

フィンランドはやはりストリート・レールの撮影?
そう、アメリカだとストリートで撮影をしているとおまわりさんに叱られたりするけど、フィンランドはそういったことがないからね。カナダもそれほど厳しいというわけではないけど。

フィンランド撮影では良い映像を残せた?
昨年よりは少なかったけど、まずまず残せたかな。転んでアバラを痛めてしまった、こともあったけど。

ストリートのレール撮影って大きな集中力を使うと思うけど、気をつけていることは?
コーラを飲んだりして、きちんと頭が冴えているような状態を保つようにしている。自信を持って挑むけど、気分が乗っていない時には潔くあきらめるよ。

気分が乗っているとかの判断は、撮影前に決めるの?
最初は簡単なトリックでそのレールの状況や体のコンディションを確かめるのだけど、そこで決めることが多いかな。「今日は調子悪いなあ」とか思ったら素直に引き下がる。撮影している方に申し訳ないとは思うけど。

いろいろトリップしたシーズンだったけど、思い出に残っているところは?
いろいろ思い出があって、ここが一番ということではないけど、それぞれに違った文化がありおもしろかった。フィンランドも素敵なところだったし。日本は言葉も違うし、街中にあるサインも読めないから異国文化に行った感覚が強かった。だけど、日本人はみんなよくしてくれて、本当にありがたかったよ。

日本の生活はどうだった。例えばふとんを使って寝たこともあったと思うし、食事なども違うけど。
寝るところに関しては問題なかったよ。だけど、食事はちょっとだけ困ったかな。最初はおいしくいただいたけど、あまりにも魚の食事とか増えて、「ハンバーガー食べたい!」と強い気持ちになったよ。町ならどこにもファーストフードがあったけど、山にはなかったから。

スロープスタイル大会はどうだった?
とても良かったよ。特にレール・ジャムとその練習日は天気にも恵まれて、楽しめた。スロープの大会は天候も悪く、また自分も転んでしまって残念だったけど。

日本に行って多くのファンにサイン攻めにあったと思うけど、どんな気分だった?
アメリカでもそういったことはあるけど、日本のような勢いでは来ないからね。とてもありがたかったけど、ちょっと戸惑った。自分はただのスノーボーダーなのに、あんにサイン攻めにあうなんて。

日本人ジバーの印象は?
うまかったね。名前は覚えていないけど、いいライダーを見たよ。その後、韓国に行ったけど、日本と比較して韓国は遅れているように思った。これから、韓国でも良いライダーが育つだろうけど。
あと大会では、トオルやライアンにも再会できて、嬉しかったよ。ライアンは日本語がとてもうまいね。日本では、よくいっしょに滑ったよ。
※トオルはdmkからプロデュースしているハウツーDVD浪人3に出演。ライアンも同様に浪人3に出ている。

今までは年間滑走日数200日以上だったけど、シモンも本当に忙しい身になって、もうあまり練習できない環境になってしまったのでは?
確かにそうだね。トリップからトリップを続けていると、たまにウィスラーに戻って来ると休みたい気分になるし。ストリート・レールで新しい試みをしようと思っても、練習量が足りなくて不安にもなったこともあった。

撮影を捨てて「もっと練習したい!」と思わない?
うん、思う(笑)。だけど、スポンサーがそれを許さないし、プロの仕事を選んだ以上、仕方ないこと。これから夏になるけど、そこが練習のチャンス。あとは、シーズン前にも練習できるし。来年はもっとトリップを減らして、ウィスラーにいる時間を増やしたいと思っているけどね。

多くの人たちは、シモンって擦り屋のイメージが強いと思う。本当はジャンプとか、いろいろスノーボードのうまさを持っているのに。そのことについて、どう思う?
うーん、どうかなあ。確かにそう見られているとは思う。残念ながら今年は雪も少なくてバックカントリーでの撮影が少なかったし、また今までもそういったチャンスの時にケガなどで行けなかったこともあった。なかなか、そういったバックカントリー撮影の映像を見せる機会がないけど、来年はもっと増やして、スノーボーダーとして擦りに限らず、ジャンプとかいろいろ見せて行きたいと思っているんだ。

まあ、だけどシモンもまだ20歳だからね。これからいろいろ見せれるでしょ?
今、19歳で来月20歳だよ。ともかく、これからもっと幅広いところをお見せするよ!

今、考えている新しいトリックとかは?
いろいろ考えているよ。今まであまり見たことないやつとか、やりたいね。2つのアイテムを近くに並べて、アイテムからアイテムに飛び越えて乗ってみたり。結構、スケートのビデオを見て、それを元にアイデアを考えている。スケート・ビデオにあるカッコ良さで、まだスノーボードにはない部分もあるから。

ウエブ読者に上達方法のアドバイスある?
うーん、難しいなあ。ただ、自分は楽しんで、チャンレンジしているだけ。だから、チャレンジを続ける、ということかな。

ところで、 NOMISが凄い勢いで世界に広まっているけど、どういう気分?
正直、自分でもビックリしている部分はある。だって、始めた時に、こんなことになると思いもしなかったから。もちろん、そういったブランドになるといいなあ、とは思っていたけど。日本でも販売が決まったし、徐々にグローバル・ブランドに育って来て、とってもハッピーだよ。

ここ2日間 NOMISライダーたちと撮影したけど、シモンはそれぞれのライダーの特徴などどういう印象を持っているの?
マーク(ソラーズ)は、ジャンプを始め、擦りもすべてに長けている。まだ若いし(18歳)、これから楽しみだね。ジェド(アンダーソン)もまだ13歳であれだけの実力あるからね。本当に将来はいいライダーになるよ。ラウリ(ヘイスカリ)は、本当にヤバイ!
フレイザー(アビィ)もまた違ったスタイルを持っているし、自分の最高のベスト・フレンド。すべての NOMISライダーが、良い友達でもあるんだ。

将来の NOMISライダー像は、どう考えているの?
世界中に的にNOMISライダーがいるといいと思うけど、いつまでも小さなグループでいたいね。そして、強いアマチュアのチームを形成していたい。
NOMISライダーに入るには、人格が第一条件。やはりナイス・パーソンというのが大きいかな。あとは、高い技術とカッコいいスタイルがあること。スタイルも重要ポイントだね。

最後に日本へメッセージを!
今年日本に行けて、とても嬉しかった。また来年もぜひ行きたいと思っているので、その時にぜひ日本のファンたちの目の前でさらなる進化した自分の滑りを見せたい。

●インタビュー後記
2年前に雑誌用でシモンにインタビューした時、自分が思うスタイルについてひじょうにこだわっていた。今回のインタビューでもNOMISライダー条件のところで、スタイルのことを強調していたし、これからもこのように考え続けてスノーボード界を牽引する存在になって行くのだと思う。仲間を大切にし、謙虚な姿勢を持ち、相手に対してリスペクトするシモンは、出合った人たちを魅了し続け、いつか世界で最も有名なスノーボーダーになるのかもしれない。スノーボード・ヒストリーは、常にスタイル重視論もあったけど、どちらかというと「どんな技ができるから凄い」という風潮があったと思う。しかし、そろそろみんなどんな技でもできるようになって来て、シモンのようなカッコいいスタイルのライダーが脚光を浴びる時代が来ると思うのだ。

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