真夏の世界最大パーク『Camp Of Champions』。
そこでは、毎年、大きな刺激を受ける。
シモン・チェンバレン、トースタイン・ホグモらが、大物ライダーがやって来て、シーズン中の真剣撮影とは違い、楽しくパークを流す。そして、時には本気になってパーク・アイテムに挑み、この夏の痕跡を動画や写真に残す。
将来のスターを狙ったアップカマーが、自分の名を上げようと、ガムシャラにハイクし撮影をこなす。
大物ライダーたちがこれまで成し遂げて来なかった新トリックも披露する。
そして、ハイバックを外し、ボードを切って、新しいスノーボード・マテリアルの形を提案するライダー。
さらには、見たこともない新しいファッションも出たりする。
真夏の世界最大パークで見た、スノーボード界最新ムーブメントをご紹介しよう。
Photo & Text: Fusaki IIDA
ノー・ハイバック
Stepchild Snowboardsのライダー、アレックス・スタティスのバインディングには、なんとハイバックがなし!
ハイバックは、バックサイドターンでのサポートに欠かせないものだが、足首の動きやすさを出すためにこのようにしたようだ。
考えてみれば、スケートボードの場合、バインもないし、足首も固定されない。それで、あれだけの動きができるのだから、ジビングをやる場合には必要ないのかも!?今度、実験でやってみたらいいかもしれないね。
それにしてもアレックスの足回り、カジュアル過ぎ。これ、ウエアのパンツでなく、普段着のジーンズっぽい。
ボードをギザギザにカット
このボード、間違いなく目立っていた。
なんと、ボードのトップを山カットして、テールはギザギザにカットしまったんだ。
「なんでカットしたの?」と聞いたら、
「おもしろいから。」だって。
軽量化とか、何かもうちょっとマテリアル面での回答を期待したのだが。
だけど、実際に軽量化はされているし、こうしったシェイプもおもしろいから、将来、商品化されたりして!?
フーディの紐はしっかりと結ぶ
こちらの写真、元々はステッカー特集で使うために撮影したものだ。
しかし、そこで気づいたのだが、最近のイケてる若手ライダーは、フーディの紐を丁寧にしっかりと結んでいるのかも!?
フーディというラフな格好なものに、きちんとした紐結びのアンバランス感がなんともオシャレな感じがする。
新しいフーディに着こなし方法になるかもしれないね。
麦わら帽子にテンガロンハット
夏の日差しやメチャクチャ強い。曇っていても、ブラッコム・グレーシアに一日いれば顔が真っ赤になってしまうほど焼けてしまう。
そんな日焼け対策とファッションをかねた対策をしていたのが、共にウィスラーをローカルにしてRomeチームのラスティ・オケンデンとジョーダン・フィリップ。
ラスティの方は、雪山で目立つ麦わら帽子。帽子を飛ばないように、手ぬぐいのようなものを巻いていて、遠くから見たらミカン畑のおばさんようにも見える。
ジョーダンの方は、テンガロンハット。長髪とよくお似合いの格好。
二人の格好は、夏だからってことも言えるけど、日本のスプリング・ライディングでも行けそうな格好だね。ぜひ、試してみたら、どうだろう。
Sandboxヘルメットが大人気!
COCで必ずと言っていいほど、必ず見かけるブランドと言えばSandboxヘルメット。
その普及率たるや、凄まじかった。まさに石を投げれば、Sandboxに当たるというぐらい。
欧米では、スノーボーダーたちのヘルメットが安全上から急速に広まっている。特に、ここCOCでは10代の若者が多いので、ヘルメットをしている人が多い。
また安全面というよりも、ファッション的にも付けていたいという気持ちが、このSandboxヘルメットの大人気につながっているようだ。
エコなウォーターボトル
夏場ライディングしたり、ハイクアップを繰り返すスノーボーダーにとっては、ウォーターボトルが欠かせないだろう。
しかし、通常のウォーターボトルでは、正直、足りない。
そこで、出たコーリーンのウォーターボトル。牛乳の2リットル用の陽気をそのままエコで使用。
ちなみに、このDRINK WATERは、オースティン・スミスと、ブライアン・フォックスが、最近のエナジードリンク産業に反対するために作ったブランド。
Tシャツやフーディーの売り上げの10%がキレイな水を確保する団体に寄付されるシステムになっているようだ。
http://www.wedrinkwater.com/
一風変わった新しいグラブ・トリック
スノーボードのトリックは、スケートに大きな影響を受けていると言えるだろうけど、スノーボーダーたちが独自に新しいことにチャレンジして、それを見た人がカッコいい、おもしろい、と思って定着して来たものが生き残っている。
つまり、最初は、「なんだあれ?」「見たことがないな」「「新しい!」「カッコいいじゃない!」というトリックが、今日のトリックにつながっているのだ。
今回、紹介するトリックも、これまであまり見たことなかったようなもので、おもしろい。
(左、後ろの手でテールをつかみ、前の手を上げるのはステールフィッシュ。腐った魚が語源だが、このようにボードの裏面を返していると、パイプ上のバックサイドの壁で行う、フレッシュフィッシュに見える。こうしたトリックをキッカーでやるのは、あまり見たことがない。
右、こちらは、そのまま後ろを向くという何度高そうなトリック。目線が着地から離れるので、怖そう。トリック名は、後ろ向きメソッド!?
このトリックを決めてくれたのは、ヘッドコーチのコーリーン。)
(このディロンのトリックも変わっている。左は、メソッドの形で両手でグラブしたスタイル。まあ、あることにはあったけど、このスタイル久方見ていないような気がする。
そして、この右の方も、なんとも変わっている。普通、この手のものは後ろの手をヒール側をつかむメランコリーなんだけど、これはトゥ側をつかんでいる。このトゥ側でこのように身体を捻って前に向かすのは、相当、窮屈にも思うのだが。この新しい感覚がカッコいいね!)
カメラで撮っているのはビデオです。
ここ最近、やたらと見かけるようになった一眼レフカメラによる動画、ビデオ撮影。
一昔前ならビックリするような大きなビデオカメラを持っているフィルマーがいて、まさにフィルマーを主張していたけど、最近はそのへんの(?)一眼レフのようなもので撮影する人が増えた。そう、このカメラで撮っているのは、ビデオなんです。
低価格のものでも被写体深度が浅い映像が撮れるので、映画っぽい雰囲気を楽しめる作品ができます。
人気「新」ジブ・アイテム
COCには、毎年、スノーボーダーをときめかす新アイテムが出現するが、今年、最も注目を受けたのはこのOakleyが提供してくれたウォールとステアレールを合体したアイテムだろう。
普通にダウンレールとして行うベーシックな楽しみな他には、上のレールから下のダウンレールに飛び乗る芸当のような遊び方まで様々。
もちろん壁を使ってジブするのもいい。
アイテムの特徴を活かして、撮影スポットも選べるところも良かった。
例えば、上から撮影したり、階段に立って撮影したりなど。
雪上にいつもと違ったカラーのジブ・アイテムが入ると、撮影素材の画もおもしろくなるもの。
日本でもこうした独自のユニークなアイテムが今後、増えて行きそうな気がする。
(左、アイテムのチェックをするEndevor Snowboardsのケビン・グリフィン。右、上部から下部のレールに飛び乗っていたリョウキ)
巨大パークを流せる楽しみ!
サマーキャンプというと、今回紹介したブラッコムで行われるCamp Of Championsの他にも、マウントフッドで行われるサマーキャンプも有名だ。
この2つのパークを比較して、意外と知られていない点は、パークの巨大さではないだろうか。
「COCが真夏の世界最大パークということは知っているよ。」という声が聞こえて来そうだが、
巨大イコール、流せる楽しさがある、というのは意外に理解されていない点かと思う。
このCOCに参加しているキャンパーが、「僕がよく行く冬シーズンのローカル・マウンテンよりも大きいよ。」と言っていたが、確かにこのパークは大きい。
そして、この流す感覚は、やはりスノーボーダーにとって楽しいことである。
夏のパークは、その1つのアイテムを狙ってハイクアップして撮影されることが多いが、COCの場合には冬シーズンの巨大パークのようなので流せるのである。
巨大だからこそ、巨大キッカーを3個連なることができるし、巨大ヒップも作ることができるのだ。
来年の夏は、ぜひCOCで待っているよ!
みんなもぜひ刺激を受けに来て。
http://www.campofchampions.com/