子供の頃には、地元サッカーのスター選手で、将来はJリーグに行くことを疑っていなかった青年。しかし、高校生の時、怪我により挫折。その後、スノーボードと出会い、新たなる目標ができた。
しかし、アツシがライダーとして這い上がっていく時期には、上にはライオなど強力なライダーがいて、もっと若い層からも中井孝治などが台頭していた時期。それだけに今、グローバルなライダーとして活躍するまでには、様々な苦労があったことだろう。
今回のグローバル・インタビューは、33歳にして未だ現役バリバリの石川 敦士だ。そう、ご存じSCLOVER(スクローバー)と共に歩んで来たベテラン・ライダーだ。
ケガという苦労を重ねて来たからこそ、見えたこと。ベテランで今なおトップ・ライダーとして活躍できるからこそ言える深い考えなど、必見です!
Interview & Photo by Fusaki Iida
今回、Camp Of Championsに参加した目的は?
練習っす!
やっぱりトリックの練習をするのはオフシーズンですよね。
シーズンは忙しくて・・・。
シーズンに入ると、撮影で忙しいと思うのだけど、年間で練習をする期間は、いつになるの?
夏とシーズン前。
シーズン終わりが5月で、そこから6月末までトレーニングして、7、8月はサマーキャンプでスノーボードして、8月カタログ撮影が入ってきて、9月、10月でまたトレーニングして、11月からシーズン前のスノーボード。
シーズン中も技にトライするんでうまくなっていくんだけど、集中して練習しようという時間がなかなか取れなくて。
シーズンの撮影期間に入ると、ほぼゲレンデを滑らないじゃないですか。
だから、こうして夏場とシーズン前に滑ったり、技を増やすようにしています。
トレーニングというのは、体力トレーニングのこと?
というか、フィジカルです。身体をリセットしてニュートラル・ボデイポジションに戻すというようなこと。別に重いバーベルとか持ってとか、そういうものでないです。
えーと、人間の一番力の出る身体の使い方をトレーニングしています。
やってることは、もちろんストレッチもします。
ストレッチに近い、重さを持ったフィジカル・トレーニングもします。
結構ハードなこともやりますよ。
だけど、どの部分どの筋肉を使っているかを意識しながら、トレーニングすることが大事なので、常に意識しながらやっています。
身体と会話しています。
まあ、あとは筋肉を使って喜ばしてあげています(笑)。
(毎朝のストレッチングや、滑ったあとの身体のケアも欠かさない。ケガが自分を鍛えるというたくましいプラス思考の持ち主。)
この後のスケジュールは、どうなっているの?
COCには2週間いて、その後は、アメリカのマウントフッドに行きます。
向こうでは、10日間くらい過ごす予定です。
33歳にして未だ現役で、撮影だけでなく、若者といっしょに大会に出ていることにも驚かされるけど、長くやっていける秘訣は?
僕の場合。
いろんなプレッシャー、責任を感じながらやっていることですかね。
家族、スポンサー、SCLOVER、怪我。そのプレッシャーが逆に支えになってくれています。
家族はメンタルを。スポンサーは活動を。SCLOVERはベースを。怪我は自信を。
そうやって支えられています。
そのお陰で「頑張らろう」「うまくなりたい」「勝ちたい」「楽しい~」って今でもできているんだと思います。
おもしろいいのは『怪我』に対して、さほど恐怖を感じていないこと。
なんでかっていうと、怪我をして手術をしても、リハビリ&トレーニングを終えて復帰したら、うまくなっているから。
だから、怪我もポジティブにとらえられています。
それと、まだうまくなれるという気持ち、まだゴールが見えないというところで、モチベーションも下がらないですし。
ビデオで良いフッテージ(映像)を残したからって引退したいと思わないし。
「スノーボードに引退はない。」って、アキくん(平岡 暁史)にも、言われました。
ただ、競技者となると、引退はあるのかもしれないけど。
映像に関しては、飛ばない腰とかになったとしても、経験を活かすフィールドがあるかもしれないので。
(ちょっと沈黙の後)
まだ、見えないっすね。それがおもしろい。
(この夏は、ウィスラーのキャンプ・オブ・チャンピオンズで、若手のコウと共にトレーニングを続けたアツシ。)
じゃあ、何歳まで頑張りたいとか、そういったことはないんだ?
特に決めてないです。できる限り行こう!と。
ところで、アツシって、SCLOVERのボス?
いや、ボスはシンジ(田中暢二)ですよ。
オレは、中心的な感じではあるけどね。ライディング現場のボスではあります。
だけど、最近は若手、というか、もう若手じゃないや。関 智晴、関 功とか、撮影も勝手にできるし、自分のスタイルを確立できるようなったから。オレはオレの動きを自由にさせてもらっています。
海外での動きがちょいちょい入ってきて、なかなか自由にSCLOVERの動きにリンクできないので、みんなと滑る時間が減って来ているんですよ。
去年もみんなといっしょに石打丸山を滑ったのは2日間だけ。
でも、SCLOVERクルーがしっかりしているから、任せられています。
SCLOVERに憧れる若手アマ・ライダーも多いと思うけど、SCLOVERに入る条件ってあるの?
難しいっすよ。SCLOVERのクルー全員が、イエスと言わないといけないんです。
(スクローバーと共に歩んだスノーボード・ライフ。その二の腕には、タトゥーもあり思いが伝わって来る。)
アツシにとって、SCLOVERとは?
まさに原点ですね。
オレがスノーボードでやっていく!と肩を押してくれたのが、初期に結成したSCLOVERクルーの島田聡、田中暢二、杉元明の3人です。
注釈:
現在、島田聡は、現在、S-WEAR(ウエア)をやってる。杉元明は、Scorpion Headwearのボスで、Quiksilverなどウエアのデザイナーでもある。
じゃあ、アツシにとっては、魂のようなものだね。
そうっすね。まさに、ベースですね。
彼らとやっていたSCLOVERの血が今でも引き継がれていって、これからも続いていくんです。
SCLOVER PEACE!!!
ところで初期の頃、SCLOVERが台頭して行くのに、メディアって大切だったと思うのだけど、プッシュしてくれた雑誌って、どこ?
最初は、SNOWing誌で今は、Transworld Snowboarding誌ですかね。
もちろん他のメディアもめっちゃプッシュしてくれて、良くしてくれています。
SNOWBOADER誌の立石さんやホリちゃにもお世話になったし。
Freerun誌も山中編集長(?)にプチトリで表紙に使ってくれたし、Snowstyle誌はもう昔からの付き合いのある今岡さんが良く使ってくれています。スタイル魔王(注:シークエンス写真を争う雑誌のコーナー名)でも初代から出ていました。
ただ、それもこれもカメラマンのヨシトくん(柳田由人)yoshitoyanagida.comがめちゃくちゃプッシュしてくれたんです。
ヨシトくんが良く繋がっているメディア、昔はSNOWingで、今はTransworldという感じで、良く露出してくれり、企画を持ってきてくれたりとすごく良くしてくれました。
マウントフッドでもTransworld Snowboarding誌のクルーと一緒に動き撮影する予定です。
本当、ヨシトくんとの話しをすると、あー長くなる・・・。本当に親父ギャグで、いやいや、いい人なんです(笑)。
2011-12シーズンに向けて石川敦士の予定は?
FLOWチームと撮影で動きたいです。スコッティ・ラーゴ、ティム・ハンフィリーズなどといっしょに、タホでスノーモービルを使って撮影していきます。
それで、その撮影素材をスクローバーのために日本に持って帰りたいですね。
まさにベテラン健在だね。今回は、とても良い話ありがとう!
それじゃあ、最後にdmk読者へのメッセージお願いします。
これからも、まだまだ頑張るんで応援、お願いします!
今年のSCLOVER 2011 DVD 『andNow』の発売が8月28日に予定しています。
麻布十番で行う東京プレミアム試写会、8月20日は、発売よりも1週間早くみれるので、ぜひみなさん来てください!
そして、ぜひDVDもみてください!
あと、テクニシャンシリーズ最新作、テクニシャン7が発売しました!
これも山に行く車の中やオフトレの素材に、ぜひ見てみてください。
今年は暑いんで熱中症に気を付けて、来るべきシーズンに備えましょう。
テクニシャン7は、dmk DVD STOREでも絶賛販売中!
石川 敦士プロフィール
誕生日:1977/10/14
出身地:埼玉県
血液型:O
Sponsors: FLOW, QUIKSILVER, SPY, eb’s, ROCKSTAR, SCORPION, AUDIO TECHNICA, 雪番長, SKINS, DVS, 勝田屋, CATAMARAN SWISS WATCHES, RAVEN, SCLOVER 3 RIDERS
スタンス:レギュラースタンス
スタンス幅:60cm
スタンス角度:前15°、後ろ-15°
好きなトリック:sb540
影響を及ぼしたライダー:デヴァン・ウォルッシュ
趣味:フットサル
好きな歌手:GAKU-MC
好きな食べ物:唐揚げ
座右の銘:成せば成る。努力。
石川 敦士ブログ
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