新聞誌記者に捧げたい! スノーボード・トリックの呼び方

広告 five  


STORY & PHOTO: Fusaki IIDA

いよいよ来年はイタリア・トリノ冬季オリンピック。その中でも特に注目を浴びそうなのは、世界ランキング上位の選手が揃ったハーフパイプだろう。男子では、國母和宏、中井孝治、成田童夢がナショナルチームのAチーム指定選手でメダルの期待が掛かる。女子では、成田夢露、山岡聡子がAチームだ。いずれの選手もワールドカップの表彰台経験者で、五輪での活躍が期待される。
来年のオリンピック・イヤーになれば、特に一般新聞誌やスポーツ新聞などで、彼らのことが大いに取り上げられることだろう。しかし、過去の新聞報道の実績を振り返ってみると、かなりお粗末なものが多い。というのも、彼ら新聞記者たちは一般スノーボーダーでも知っているトリックの名前を知らない者も少なくないのだ。
その背景には、スノーボードを担当する記者は、野球やサッカーと違ってマイナーなので、その担当が定着しないことにあるとか。つまり、五輪の前イヤーあたりに、デスク部長から「おい、○○。お前これからスノーボードの担当になってくれ」と言われたり。その新聞記者さんにとってみたら、そこで始めて未開の地とも言えるスノーボード世界に足を踏み始めるのである。だから、スノーボードに関する知識が弱いと。
今年、自分も1月にウィスラーで行われた世界選手権で、彼らの仕事ぶりを横目で拝見していたが、正直言って「なっちょならん!」。彼らの後頭部に延髄切りを叩き込みたくなるほどの失態だった。
というのも彼らは選手やスノーボードのことをあまりよく勉強していないから、質問内容のデリケートさがまったくなし。その内容がどうしても無知という感じで、その結果、横柄な印象になってしまうのである。メディアにやさしい童夢くんだけには、なんとか会話をするが、他のトップ選手からは半分無視されたようでもあった。
この状態を例えるなら、ちょっと昔のサッカー中田に「もっと勉強してから質問してくれ」と言われるような感じ。パイプの選手はもちろん、そんなことまで言わないが、そういう空気は漂っていたように思えた。
そこで、せめて技名ぐらいは覚えておけば?というよけいなおせっかいをしてしまおう、というのが今回の企画の趣旨。また、先日ハウツー掲示板で「スノーボードの技名って難しいですよね」と言われて、「確かにそうだ」と思うので、ここに技名を紹介するしだいである。
きっとここにアップしたからと言って、新聞記者さんがこのページを拝見するとは思えないが、ともかくこのページを読んでくれる可能性を願い、そしてまたスノーボードがもっと多くの世間に浸透していただけるように、「新聞誌記者に捧げたい!スノーボード・トリック呼び方」を贈ろう。

●この原稿は昨年、スノーボーダー誌(実業之日本社)のガールズ号で発表した内容に、加筆して制作しました。

フェイキーとスイッチ
スノーボードの初心者の方が、最初に最も気になる言葉といったら、フェイキーとスイッチでは? というのも、どちらも自分の通常のスタンスとは逆向きに滑ることを現す言葉なのに、その使い分けは曖昧なのだから。実際、自分もはっきりと「これだ!」という回答を言うことはできないのだけど、一応ニュアンスとしては、いかにも逆向きに滑ってている風の人、それがフェイキー。逆にもう前だか後ろだかよくわからないようなライディングする人は、スイッチをしている、という感じだ。

広告

ライダーで言うと、例えばスノーボード界のカリスマと呼ばれるテリエ・ハーコンセン。彼は元々もバインディングの角度が前の方に振ってあるので、逆向きに滑るといかにも後ろ向きに滑っているというのがわかる。よってフェイキーって感じ!? あと忠くん(布施)なんかは、もうレギュラーだがグーフィだがわからないようなスタンスで滑るから、スイッチと呼ぶとか。かなり強引解釈だけど、結構世間ではこういう使い分けをしている人が多い。呼び方は民主主義でないので、大人数がそう呼んでいるからって決まるものでもないかもしれないけど、やはりそういう傾向があるのは事実。

キンク・ボックスで完璧にフロントサイド・ボードスライドを全擦りして抜けたNOMISのマーク・ソラーズ。こんな難しい技なのに、なんとスイッチ!

スノーボーダー誌1号(昨年)で勇亀くん(山崎プロ)なんかは、ひじょうに興味深いことを言っている。
「スタンスもアングルも左右対称の人しかスイッチではない」と。
だから勇亀くんの場合は、前足21度、後ろ足が0度かマイナス3度だから、スイッチとは呼ばない。しかもセットバック(注:スタンスの位置を後ろにセッティングして前方向にすべりやすくしてあること。多くのボードの設定は、このようなセットバックがしてある)している時点でもうスイッチでない、というのだ。
確かに角度が違うと、もう逆向きから入るトリックは、通常前向きから入るトリックと、格好が微妙に変わってしまう。だから、勇亀くんの言うこと納得できなくもない。

でも例えば前足18度、後ろ足マイナス6度とかでうまい人が逆向きで滑っていると、どっちがレギュラースタンスなのかわからなくなってしまう。だから、結局のところやはり世間では見た目で「あの人、スイッチだ!」なんて言い方をしてしまう。それと勇亀くんの定義だと、世の中にスイッチって言葉が消滅してしまいそう。だって、両足均等の角度でど真ん中の設定のスノーボーダーってどれくらいいるのかな? きっとかなり少数だろう。

あともう2つ説があるので紹介しよう。1つの説は、アプローチで逆向きに入ったらスイッチと呼び、着地のランディングが逆向きだとフェイキーだと。これだと「なんとかエア・トゥ・フェイキー」という言葉がよく聞かれるように、なんとなくしっくりくるね。
もう1つの説は、スイッチの語源から。電気のスイッチなどはまさにオンした時に「スイッチした」ということになるので、逆向きになると、スイッチである、と。つまりその解釈だと「Aさんはレギュラーからスイッチして、フェイキーになった」という言い方ができてしまって、ますます混乱しそうなんだけど。もう、結局のところ何が答えってないような気がするのだけど、ともかく世の中でもこのように勝手に解釈しているものと思いつつ、あなたの判断でフェイキー、スイッチの言い方を選んでみたら?

ちなみにハーフパイプ種目においては、ほとんどスイッチと言うのが一般的だろう。スイッチ900とかは言うけど、フェイキー900なんて言わないからね。

ということで記者さんへ。
スノーボードでは、逆向きに滑ることをフェイキーやスイッチと呼ぶけど、ハーフパイプにおいてはスイッチと呼ぶのが一般的! 例えば、逆向きから2回転半したら、スイッチ9(注:スイッチからの900回転)と呼ぶように。
ただし、壁に上がってジャンプし、そのまま逆向きになって降りることは、エアー・トゥ・フェイキーと呼ぶので、気をつけるように。

オープン180とフロントサイド180&キャブ
ジャンプしながら前方方向に回転して180すると、「オープン180だ!」と言ったり、「フロントサイド180」と言う。またその逆向きの回転だと「ブラインド180だ!」と言ったり、「バックサイド180と言ったり、さらにその言葉を略してバック・ワンなんて言ったり。

世界的には技名としての表現を、フロントサイドやバックサイドというのが定着しているようだ。
例えば、トヨタビッグ・エアーで優勝したマーク・アンドレ・ターレの技はスイッチ・フロントサイド1260とか言うからね! オープン1260というのも悪くないけど、しっくりしない。だけど、回転する方向の言葉を指す時には、オープンとかブラインドという言い方の方がしっくり来るのでは? 特にブラインドって見えない方向という意味で、いかにも背中後方から回すというイメージがある。だから、ブラインドで180回す、という言い方は、とてもいい感じ! 用語に慣れている人ならともかく、そうでない人はバックサイド180と言われても、一瞬どっち回りなんだ?なんて考えたりして!?

2年前春のXゲームから。初代スノーボード五輪(長野)金メダリストのジャン・シーメン。スイッチからのアプローチかどうかわかりにくいけど、ともかく抜けの姿勢をチェックすればどっちかわかる。

しかし、この言葉って、さっきのフェイキーとスイッチ以上に難解な言葉だね。世間ではいったいどういう分け方をしているのだろうか?

それでスノーボーダー誌ではどう分けているか聞いたのだけど、
「キッカーはオープンサイド、ブラインドサイドで、パイプではフロントサイド、バックサイド」ということ。ちなみに完全に統一していない、と。
なるほど、これは名案! キッカーでオープンなんとか回転スピンとか言うと、どんな技をしているのかイメージが沸きやすい。だけど、パイプでオープンとか使ってしまうと、もう世界的にもさらには歴史的にずっとフロントサイドなんとか、って言って来たから、こればっかりは変えられない。
だけど、世界的に見るとキッカーでもフロントサイド、バックサイドという表現が多いので、正式にはキッカーでもフロントサイド、バックサイドという言い方になるのかもしれない。直訳すれば、

フロントサイド・スピン(前側回転)
バックサイド・スピン(後側回転)

オープンサイド(見える方向回転)
ブラインドサイド(見えない方向スピン)

になるからね。
ともかく、オープンやブラインドという言い方は海外にもあるけど、どちらかというと日本人読者がわかりやすいうように専門誌でそう言って来た、というスノーボード用語の歴史背景もあるようだ。

それと世の中でさらに混乱しちゃう言葉は、キャブ、正式にはキャバレリアルという言葉。
これは、スイッチ(フェイキー)からフロントサイド(オープンサイド)で回転した時の名称で、例えばキャブ・ファイブ(540)と言ったら、スイッチ・フロントサイド540のこと。略してスイッチ・ファイブなんて言ってしまうことも多いけど、ともかくキャブって厄介! だって、そんな言葉をなくしたって技名としたらまったく困らないのだから。素直にスイッチ・フロントサイドなんとかって言えばいいのに! だけど、実際、雑誌に出る「cab 9」という名称って、なんだかカッコ良くて言ってみたくなるもの。こんなミーハー族が、さらにボード用語の難解度を加速させているようでならないけど、これは日本に限らず世界的に行われているということ。というか、スケートに代表される横乗り文化の特徴か!?

それとキャブというのは、スイッチからフロントサイドに回転して、自分のメインスタンスに戻す時だけ、という言い方の説もかなり強い。 パイプだとキャブ360、キャブ720、キャブ1080、キャブ1440しかなくて、ストレートジャンプだと、ハーフキャブ(180のこと)、キャブ540、キャブ900、キャブ1260しかない、ということになるんだ。技名って本当に難しいね!

その他、混乱用語たち
その他、スノーボード用語の混乱はもっともっとあり、例えばパイプではバックサイド壁でやるとメソッド・エアーでフロントサイド壁でやるとリーンと言ったり。また同じ技なのにフロントサイドでやるとステールフィッシュで、バックサイドでやるとフレッシュ・フィッシュになり。だけど、ストレートジャンプで同じことやっても、メソッド・エアーとかステールフィッシュになるのにね。ああ、ますます混乱してしまいそう・・・。
結局、これらはその形をメインに考えた呼び方なんだろう。例えば、腐った魚が語源のステールフィッシュは、まさに魚が腐ったような形のエアーだ。フロントサイドの壁を抜けたらボードをシフト(上半身と下半身を逆に捻ること。この場合には、ボードはリップのラインに対して垂直に向けるような形)させて、カカト側でつかむ姿は、まさに腐った魚のよう。対して、まったく同じグラブ技でもバックサイド側でやると、生き生きをした姿になってフレッシュ(新鮮な)・フィッシュになる。ストレート・ジャンプでは、多くの人がパイプで行うステールフィッシュのような形になるので、ステールフィッシュと呼ぶのだ。だけど、キッカーで起用にもフレッシュ・フィッシュのような形で飛んだら、フレッシュ・フィッシュって呼ぶのかな? あまり聞いたことがないけど。そう考えるとちょっとナンセンスで、もうこうなったら「後ろの手をカカト側につけて、もう片方の前の手は上に上がるエアー」っ呼ぶことにする? ああ、だけどこれだと名前長過ぎて大変だ~。オリンピックのアナウンサーが泣いてしまいそうだね。「おっと中井孝治、フロントサイド1080をやりながら、後ろの手をカカト側につけて、もう片方の前の手は上に上がるエアーを決めました!」と言っている内に、もうその滑り終わってしまったり・・・!?

その他、まだまだ混乱言葉あるぞ。パイプでブラインドサイドに回るアーリーウープ。これもやっかいな技名だ。フロントサイドの壁で行えば、そのままアーリーウープで通るけど、バックサイド壁で行うと、回り方がフロントサイド・スピン(=ブラインド回転)なので、フロントサイド・アーリーウープなの?と思われるし、そもそもパイプの技名を壁を主体で呼ぶハズだから、バックサイド・アーリーウープなのかな?と思われたり。

ああ、もう、こんなこと書いていたら、いつまでも終わらない!
そろそろまとめに入りたいのだけど、このままではさらに新聞記者さんを混乱させるだけなので、ここではこの特集の基本に返り、五輪種目のパイプの技名という観点で、基本技からお伝えしてしていこう。


ここからが本場、初歩的技名用語

まずパイプには2つの壁があり、フロントサイド・ウォール(壁)とバックサイド・ウォールがある。前足が左になるレギュラー・スタンスの人は、フロントサイドは滑り降りて右手方向ということになる。

フロントサイド壁では、トゥ(つま先)エッジでアプローチして、途中フラットな部分(ボトム)を通過し、そしてRの部分から垂直な壁部分(トランジション)に進み、そしてさらにエアーが炸裂するリップ部分を抜け、そのままエアーして、パイプに戻って来る。

このパイプに返る運動が、パイプでは180回転したとみなされるため、さらに180を加えてスイッチで着地すると、フロントサイド360になる。多くの人が、最初に戸惑うパイプならではの技名の呼び方である。つまり、通常のスレート・エアー感覚の180回転すると、すでにパイプでは360になっていると言うこと。さらに180を加えて、レギュラー着地(注:自分のスタンスで着地、スイッチの反対語)すれば、フロントサイド540になる。

女子では最高峰の高さを出すハンナ・テーターは、五輪では900を炸裂させるだろう。ちなみにこの技はリーン・エアー。

パイプのスピンでは、トゥの方がエッジを掛けやすく回しやすいので、トゥエッジのスピン技の方が回転数が多くなる傾向。だからフロントサイド1080は、バックサイド1080よりも簡単とも言える。逆に言えば、バックサイドで1080できれば、すでに世界最高峰だ。

ちなみに今、最もパイプで強いと言われているアンティ・アウティ(トップの写真のライダー)は、フロントサイドで1080をして、そのままスイッチの状態でさらに1080をする。この2連発の1080コンボと称し、今、最もパイプの世界で熱いトリックと言われている。五輪において男子の場合には、1080は必須科目になりそうで、メダルを取るためには今、アンティがやっている1080コンボにプラスして、900や700、さらには縦回転や高さが求められるだろう。

女子では720(2回転)の争いになりそうで、最高回転数が540ならかなり高さがないと認められない傾向になるだろう。また、900をやるライダーも4、5人は出て来そうである。具体的に名前を出せば、ハンナ・テーター(アメリカ)や、ドリアン・ビタル(フランス)など。また、オーストラリアのトーラ・ブライトが行う高さあるマックツイスト(注:バックサイドの壁で行う前方縦回転技)も注目を浴びるに違いない。「女の子でこのマックの高さはあり得ない!」という感じで。ちなみにこの子、メッチャ可愛いので、要チェック。そう、スノーボード界には、可愛い女の子が多いのも特徴である。

日本の女子では、成田夢露が独特の縦回転技メロー・フリップがあり、また山岡 聡子は、720コンボをやりそうな気配。山岡の場合には、安定した技と高さが売りなので、最高スピンは720までにして、あとはきれいにルーティーンをまとめて表彰台を狙って来そうだ。

あれっ、どんどん難しい話になっているぞ。すんません、基本に返り基本グラブ技です!

まずボードのつま先部分を後ろ手でつかむ技。これはインディと言ってかなりオーソドックス。バックサイド壁でやってもフロントサイド壁でも同じ技名で、基本的には、バックイサイド・インディ、フロントサイト・インディのように呼ばれる。同じインディでも前足を伸ばす形は、さらに難易度が高いと認められる傾向で、その足を伸ばす行為をノーズボーンと言う。さらに両足を伸ばすとステフィーなんて呼ぶのだけど、最近、その言葉を聞く回数がかなり減って来て、もはや死語か!?
ちなみにこのインディ・エアーをやろうとして、テール(ボードの後ろ部分)の方をグラブすると、テール・グラブだがインディだが、わからないということで、ティンディと呼ばれてしまう。これは、かなりバカにされた用語だから、そうならないようにしたい。

インディと同じほどよく使われるグラブがメランコリー・グラブ。これは、前の手でカカト部分をつかんだ時の技。そのメランコリー・グラブから、エビ反りのような形がメソッド・エアーだ。さらに後ろ足を蹴って、おもいっきりボード面を正面に向けたような形になると、トゥイークと呼ばれる。ちなみに日本では、以上のような定義になっているが、外人はトゥイークもメソッドもいっしょじゃない?というライダーが多く、両方やってと伝えると「同じ技じゃん!」と突っ込まれることが多い。
冒頭にも伝えたが、この技はバックサイドで行うとメソッドで、フロントサイド壁でやればリーン・エアーになる。
さらにこのメソッドだが、ただ両ヒザを軽く曲げてなんとなくメソッドの形を作り、女の子がキャピって感じでジャンプだとギャルメソ(女の子のメソッド)ということで、バカにさらてしまう傾向があった。しかし、最近、多くのライダーたちがあえてこの技を子バカにしたように、オシャレ(?)に決めることにより、逆におもしろいトリックとして見られるようになった。五輪選手では、よく中井やコクボがお遊びでやる傾向。特に 國母はよくやる。
こういった1つの技が以前はバカにされながら、今ではオシャレ技に成長していることを考えれば、バカにされる代表トリックであるティンディも、将来にはオシャレ技に成長できるかも!?
さらに注釈。このギャルメソを発展させて、カカト側をグラブするよりも、もっとエビ反りを強くしてつま先側までグラブすると、スーツケースと呼ばれ、これも最近のオシャレ技に分類されている。

フゥー、ここまで説明して、かなり着いて来ていない人も多いかもしれないけど、もうちょっとの辛抱だ。
あと、代表的な基本技は、つま先側を前の手でグラブするミュート。そこからメソッドのようにエビ反りにするとジャパン・エアーに発展。
カカト側を後ろの手でグラブするステールフィッシュ。これは冒頭の方で説明したように、フロントサイド壁でやるとフレッシュフィッシュ。
さらにノーズをグラブすれば、ノーズ・グラブで、テールグラブもあり。スピンすれば、スイッチになって、ノーズだがテールだかわからなくなるけど、基本的には元々のスタンス側のグラブで考えればいい。例えば、あるライダーがノーズをグラブしながら180すると、逆向きになるので、テールをグラブしたようにも見えるが、ノーズグラブと呼べばいいと思う。

まとめ
以上、ここまで書いて、これは1冊の本を書くほどの大変な作業だということに気づいたので、勝手にまとめに入らせていただく。
まず、ここで述べたことは、自分なりに正しいと思い書いたが、もしかしたら若干間違っている可能性もあるので、許してね。というか、五輪選手だってわからない技名があるぐらいなのだから、なかなか完璧にするのは難しい。

あと、基本グラブ技をだいたいマスターしたら、ぜひ縦回転を覚えてほしいと思う。代表的なのは、フロントサイドで行うロデオ(フリップ)やバックサイドでやるマック(ツイスト)があるが、その他にクリプラーとか、サトゥ(フリップ)とか、これまたかなりあるので、なんとか頑張って覚えよう。
ちなみにこの技名をマスターするのは、JSBA(全日本スノーボード協会)から出ている教程本や、また各専門誌に問い合わせて、その手のムック本を購入することをオススメする。

また、選手のスタンス(レギュラーかグーフィ)を把握し、スイッチ技がどうか、ということをしっかりとパイプのビデオなど何度も見て、勉強してみよう。
パイプの大会ビデオとしては、ニッポン・オープンやUSオープン、さらには過去の五輪素材なども参考になるだろう。

そして、最後のメッセージとしては、ともかく英語と同じで技名は体で覚える、ということ。英語を勉強していても、「なんでこんな使い方をするの?」と疑問に思うことがあるが、そんなことを考えていては勉強にならない。どんどん英語を聞いて、会話をして、英語を体で覚えていかないと、なかなかその真髄には近づけないものだ。だから、スノーボードのトリック名もどんどんと体で覚えるように、スノーボードの専門誌の編集者やカメラマンなど、その道で専門している人と、いっしょに飲んで聞いてみたらいいと思うのだ。自分なんかも世界選手権中に、「なんでこんなに知らないのだったら、オレと一杯飲もう、と誘わないんだろう?」と不思議に思った。素直にわからないんだったら、聞くような環境を積極的に作ればいい。やる気しだいでは、自分ぐらいの知識はすぐに身につくし、五輪直前までの時間で、自分よりももっと技名を理解することは可能だ。さらに選手のことも理解すれば、質問の仕方もわかるだろうし、他の世界で培った記者経験がスノーボードの世界でも発揮されて、これぞプロ!という仕事ができるハズである。

世の中には、学校の勉強ができるスマートな方と、そうでなくどこでも食っていけるようなストリート・スマートと呼ばれる方がいるが、とかく新聞記者さんの場合には、良い大学に行って、良い新聞社に就職し、ストリート的なスマートさが欠ける可能性が強いように思うので、そちらの方も考えていただければ、と思う。
以上、かなり勝手にこんな特集作ってみました!

自分に質問したい方は、 [email protected] まで。

 

広告