おいしい食事を知らないと、おいしい食事を作れないと思う。
それと同じで本当に素晴らしいスノーボーディングの世界を知らないと、その世界まで辿りつかないと思う。
自分は 20歳前に日本一のスノーボーダーになりたくて、ある計画を立てた。
1年目 ニュージーランドでスノーボードの技術を磨く
2年目 カナダでスノーボードの技術を磨く
3年目 アメリカでフリースタイルの技を磨く
4年目 ヨーロッパでアルペンの技を磨く
今から 15年以上も前の話しだ。当時はジブなんてカテゴリーもなくて、様々な種目をやるのがスノーボードだったから、4年目にアルペンなんて言葉が出て来る。
それで結局、自分は挫折して(!?)、3年目にアメリカに行かなかった。実際には行こうとまで思って、ウィスラーから車で3週間もかけて(注:途中、3回も車は故障し、3回もおまわりさんにスピード違反などで捕まった)、コロラドまで下見には行ったのだけど。なんか、ムードとして「ここには住めないなあ」という印象を持ってしまった。
その内にカナダ1年目で出会った今のカミさんと結婚するようになって、またカテゴリーを絞らないと勝てないぞ!ということもあり、ウィスラーでレースの練習をしていた。
とは言いながら、中途半端でハウツー本作ったり、ハウツービデオなど撮影の道ばかりに夢中になってしまって、日本一の夢は遠くに行ったのだけど・・・。まあ、最近は世界で影響力を持つスノーボード人の一人になれればいいかな、と思う今日この頃。
ともかく、挫折はしたが海外でやって来た経験が生きて、今、一流ライダーと呼ばれる人と親交できるようになった。
今日もジブ界の最高峰と言われるシモン・チェンバリンと滑ったのだけど、とても良い刺激になる。限界リミットをどんどん上げて、自分のスノーボーダーとしての可能性を広げてくれる。今、 37歳だがチャレンジしている充実感がある。
普段、会社に行って休みの日しか行けないスノーボーダーたちが、一流に出会えるというのはなかなかないことである。だけど、一流と接する機会をできる限り作ることが大切だと思う。そして、さらにアドバイスをするなら、自分を常に高いところに置いて考えるようにした方がいい。
以前、自分がレースをしていた時、ローカルのレースでは2つのカテゴリーがあった。1つはプロのカテゴリー。もう1つはアマのカテゴリー。自分はプロでレースに出たら、ケツから2番目とか3番目になった。だけど、まったく同じコースを滑ったアマのトップのタイムを見ると、自分の方が上だった。だから翌週はアマで大会に出てみた。すると、今度は1位になれず3位とかになってしまった。プロの中に入ったらペケのタイムだった。アマなら勝てると思った自分の甘えが、悪い結果を生んだ。
これなんかも良い例で、やはり高いところに置いた方が上達するということである。
ウィスラーで滑っていると、うまいグループに付いて行くのは何か躊躇してしまう、という人もいるようだ。だけど、逆にもっとうまい人に付いて行った方がいい。常に強い相手と勝負する、という気構えが必要だ。それは一見、ビビることかもしれないが、頑張れることでもある。そして、何よりそのチャレンジは楽しいことに直結するのだ。
それで高いレベルのおいしいスノーボーディングの世界を知れば、自分もいつかはおいしいスノーボードを満喫できるようになる。
今、これを読んでいる一般の人でも一流に接して、強い相手と勝負するという気構えは可能だ。
自分が憧れているライダーといっしょに滑れるキャンプに行く。自分が最も得意とするスタイルの大会に出てみる。完全にそういったことができなくても、それに近い世界へ近づく行動をしてみる。
1年に1度でもそういったチャンスを作ってみたら、ずいぶんと張り合いのあるシーズンになるのではないだろうか。新しい自分のスノーボード経歴の1ページを作ることができることができるだろう。
ps
今、自分が応援している若手ライダーたちが、忠くんやシモンなどを尊敬するだけではなく、「強い相手と勝負」として考えてくれたら嬉しいことだと思う。自分自身の可能性を否定せずに、自分もあの世界に行くことだって可能だ!と思ってほしいのだ。 彼らだってそうすることをウエルカムだろう。そして高いレベルにいる者も妥協なく努力を続けるのだ。