好評シリーズ! おばばスノーボーダーのちゃれんじ記 Part 4

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お待たせしました!dmk名物企画が復活です。あの好評おばばボーダーが、ほぼ一年間ぶりに帰って来ました。
スノボやるのに年齢なんて関係ねえぞ。永遠にチャレンジを続けるスノーボーダーは、どんなうまいプロにだって負けないぞ。世のスノーボーダーたちに勇気をチャレンジ精神を伝えるおばばは、世界で最も輝いているライダーだ。今回も失敗あり、笑いあり、そして感動あり!
さあ、久々によろしくお願いしまーす、おばばボーダー!

一話

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おばばは先シーズンは、またまたおもしろいちゃれんじをしただよ。

白馬さのさかスキー場に、相○盛夫くんという方がおります。
この方、たぶん?かなり有名です。時々おばばの話しの中にも登場するおっつぁんです。(注意、おばばよりも4才も年下です。)
このおっつぁんの主催する、こりゃまた有名な?AZ道場なんちゅうもんがあります。
道場なんて名前から、何するところじゃい?と思うけど、まぁ言ってみればバッジテスト目指したり、インストラクターの資格を取りたい人とか、いわゆるテクニカルの技術を更に磨きたいという人たちがじっくりとスノーボードの基礎を学ぶ場所、って言っちゃえばわかりやすいかな?
道場には2パターンあって、1つは1月から3月までの3ヶ月間寝起きを共にしながら、月曜から金曜日の五日間を毎日みっちりレッスンを受ける道場。
もう1つは、おばば達が入門した、3ヶ月間の週末にレッスンを受けるというもの。

ほんじゃあ、どうしてまたシーズン3ヶ月間をこの盛夫くんの道場に捧げることにしたかって言うと、これは至って簡単で「うまくなりて~!」これのみ。
とは言ってもいろいろ々あって、ご存じの通りおばばは先々シーズンJSBAの1級を取った。
そして、いずれはB級、さらにA級なんて取れっちゃったらいいなぁ!なんて、果てしない夢を持ち続けてきたけれど、このシーズンが終わってからしばらくして、おばばはふと思った。
このままでいいのかなぁ?何かがおばばの体の中で不完全燃焼している気がした。
 
おばばはこれからどうしたいんだ?B級が欲しいのか?本当に最終目標はA級なのか?
それ取ってどうすんべ?誰かにプチ自慢したいのかぁ?自己満足かぁ?う~ん、ちょっと違うなぁ。
そんな思いから、おばばはこれからなりたい自分の姿を頭に思い描いてみた。

そしたら答えが出たじゃんね。それは、凄~く単純で簡単な「うまくなりてー!」だった。
何かの資格がほしいワケじゃない!カッコつけてどうすんだ!
おばばの目指す“うまい”ってどんなんだろう?そう考えた時に、一つだけはっきりとしたものが・・・

それは「自然体」。どこにも力が入っていないかのように見える滑り。一番簡単そうで一番難しい滑りかも?
この滑りを目指すのに今必要なことは“基礎”だとおばばは確信した。

基礎こそが原点だ!スノーボードを始めて6年、ここにきて基礎を見直すなんて遅すぎるかもしれない。
いいえ、遅いことなんてない!見よ!桑田を。39歳でメジャーデビューしたじゃないか。
結果はどうであれ、夢を諦めずに努力すれば、誰にだって可能性ってやつは同じ分だけ神様は与えてくれてるはずだ。おばばはそれを信じて果敢にも道場の門を叩く決心をしたというわけ。
言っちゃあなんだが、おばばはもうとっくに48歳なっちまった!どうだ、参ったか!
 
さて、いよいよ道場初日の日がやってきた。
雪不足の影響で予定よりも10日程遅れてのスタートとなった道場。
この日から3ヶ月間の毎週土日を、この道場で過ごすことになる。
おばばは一皮剥けた自分の姿を想像しなら、期待に胸を膨らませ道場の初日を迎えることに。

初日の予定は、まずはレストハウスで自己紹介。
そして道場の目的や練習法、今後の予定などの説明を受ける。
さて、ここでおばばは突破しなくてはいけない関門があった。
それはズバリ自己紹介だ!何で?なんて思っちゃう人はズバリ感の悪い奴だ!

はっきり言って、おばばより年上はいないと思っていた。だから、この自己紹介で年齢がばれてしまうことを何よりも恐れていたのよ。
どんなことがあろうと、自ら人前で年齢を名乗るなんて事は一度たりともなかったおばば。
スクールのちょっとした申込用紙にさえ、大胆なウソを書いてきた。
独身30才なんてのは当たり前で、時には20代を名乗る時だってあった。
 
まぁ、それはさておき、この自己紹介の関門を突破する秘策がおばばにはあった。
「ち、ち、ちかやん塗りすぎじゃない?」
「あっ、これ?」
おばばは自分の顔を指差した。
「クマ隠して、シミ隠して、シワにファンデーション埋め込みゃーこれぐらいにはなるわさぁ。」
化け物顔に妙に可愛いビーニーかぶった姿は、今思い出してもゾッとする。
 
集合時間が近づき、おばばも席に着いた。
控えめに座っていたつもりだけど、おそらくこの化粧じゃあかなり目立っていたかもしない。
気になるメンバーを上目使いで一周しながら、その時おばばの目に止まったのは・・・

「お~~っっっ!!」思わずおばばは声を上げてしまった。横に座っている主人の膝をこつきながら、やたらとニヤニヤするおばばの様子は、誰が見ても怪しい人だったに違いない。
あのね、じじいが二人いたのよ。どう見たってあの二人はおばばより年上だ!もしそうじゃなかったら、そこまで老けて見えるのは犯罪だぞ!逮捕してやる。

一人は50代半?えっ?もしかして60代かも?
もう一人はやけにカッコ付けてる。ウェアーからしてあきらかに貧乏人じゃないその様子は、こじゃれたデニム風のパンツに、革っぽい上着のウェアーを着て、上から下までかなりお金がかかっていそうなスタイルだけど、おばばには分かる!あなたは54歳です。間違いない!
 
いよいよ自己紹介の時がやってきた。
一人目二人目と次々に何かしゃべっている。でも、おばばは上の空。
さぁ、一人目のじじいの番だ。
えっ?なんだって?聞こえんぞ!B級目指しとるって?何回受けてるって?えっっっっっっ?
おばばの聞き違い?今確かに20とか、20何回とか言ったよね。
ウソでしょ?でも、おばばには間違いなくそう聞こえた。やっぱり、ここにも凄い人がいた。

そろそろ年齢を言うぞぉ。はよー言わんかい!
「私は56才になります。」
お~、いいぞいいぞ。いい歳じゃん!よ~頑張っとるじゃん!
よし、もう座っていいぞ。って、まだしゃべるんかい?
 
もう一人のじじいの番は、おばばの3人前だ。
こ洒落た格好のじじいは、立ち方もちょいとかっこをつけている。そして第一声が、「私は54才になります。こんなおやじでも頑張れるんだってところを見せたいです。」なんて、やけにでかい声で話し始めた。
おばばはこのおやじの年齢をぴたりと当てた。だから、ちょっと嬉しい。
このおやじ、「A級目指して頑張っています。」とか言っとったら、隣に座っていた連れの一人に「あんたはまだB級も取れていないでしょ。とりあえずそっちが先じゃないの?」なんて、年下におもいっきり突っ込まれとった。

そして、おばばの順番が回ってきた。
おばばは、にゃんにゃん声の可愛らしい第一声を挙げた。いつもと違う声のトーンに、呆れた顔でこっちを見ている主人の顔が視界に入ったけど、おばばは構わずしゃべり続けた。
その話しっぷりに、相○盛夫くんもウンウンと大きくうなずいていたらしい。
もちろん、自ら年齢を名乗ることなどしなかった。
 
ところで、おばばはこのおやじたちには驚いた。上には上がおるもんで、56歳のおやじはB級を受け続けて早数年?とにかくビックリするぐらいB級を受け続けているらしい。二十数回と聞こえたのは間違いじゃなかった。こりゃビックリだ!

どんな理由があって受け続けているのか?おやじの気持ちを計り知ることはできないけど、とにかくこの年齢でちゃれんじし続ける姿は素晴らしい!
そして、このおやじは驚いたことに、ある日の道場の前日に、なんと兵庫県で開催されたテク選の予選をこなして来ていたりする。それから、地方のちっこい大会にも盛んにちゃれんじしていたり、何が驚くって、なんと毎週大阪から高速ぶっ放してくるなんて、もう限界を超えたおやじパワーだ。
おばばも誰にも負けないくらいちゃれんじしてきたつもりだけれど、この道場で出会ったおやじにには、頭が下がりっぱなしだった。
そして道場最終日の前日に、遂におやじは念願のB級を手にしたのである。
凄い!凄いぞ、おやじパワー。
 
カッコつけの54歳のおやじも凄かった。
道場で一番パワフルで、元気があってうるさかった。
自分の息子や娘たちぐらいの年齢の道場生達の中で、一番頑張っていたかもしれない。

いつでも一番が好きで、スクールでも一番最初に滑ってきたおばばのお株を、道場ではこのおやじにその大切なポジションを奪われてしまっていた。
このおやじ、とにかく要領がいい。気が付きゃいつだって、いつのまにか先頭を陣取っている。
そして、気持ちよさそうに一番で滑り降りていく。きっと、このおやじもおばばと同じで“誰よりもうまくなりたい!”と思っているんだろう。一番で滑り降りていくおやじの姿を毎回上から見ていたおばばは、このおやじに密かに闘争心を抱いてた。
いつか一番で滑ってやるぞ!おばばだって「うまくなりて~」って気持ちは誰にも負けんぞ!と頑張るんだけど、結局このおやじから一度もそのポジションを奪い取ることはできなかった。
 
おばばは素直に、このおやじ二人を尊敬する。
いくつになっても自分の目標に向かってちゃれんじし続ける姿は、眩しいほどカッコイイ!
若者たちよ!おめ~たちにはまだまだ負けんぞ!おばばもおやじも頑張っているんだ!
その姿、よ~く見ておけよ。

二話

先シーズンは、なかなか降ってくれない雪を、首を長~くして待ち続けたシーズンだったなぁ。
けれど、自然ちゅうやつは不思議なもんで、ちゃんと降るんだよね。
それでも温暖化は深刻で、一部のゲレンデは一日もオープン出来ずに終わってしまったところもあれば、あまりの雪不足で予定よりも一ヶ月早めてクローズを決めたとたん、最終日の翌日から雪がドカンと降り、全てのコースが滑走可能状態に・・・なんて、皮肉な話しもテレビのニュースで見たりすると、これまた自然の恐ろしさを感じずにはいられないシーズンだったなぁ。
 
おばばたちの先シーズンの初滑りは12月10日。
オープンのお天気が雨っぽかったから、ここはグッと我慢して来週に初滑りを延ばそう!そう決めたのに、おばばも主人も心の中じゃあ「行きて~よ~!早く滑りて~よ~!」と思っていた。
まぁ要するに、二人が我慢出来るわけがなく、結局気が付きゃおばばはとっとと支度を始めていた始末。
 
ゲレンデは予想通り、見事なアイスバーンだった。
初日だし軽く足慣らしをする程度で、今日は早々と引き上げるつもりだった。
何本か気持ちよく滑り、これ一本でちょいと早いお昼にしよう!と決めた最後の一本。
ここで大事件が・・・
 
もうレストハウスも目の前という時、おばばの目の前で主人が勢いよく転んだ。
しかも、ほとんど斜度なんてないところでだよ。
「えっ?何やってんの?どうしたの?」
「ちかやん痛い!」
「痛いって、どこが?」
「手首打っちゃったみたいで痛い!」
なんだ、なんだその情けない顔はぁ。
「おまえはそれでも男か!」って言いたくなるほど、しょぼい顔をしている。
 
でも、やっぱり痛いんだろうなぁ?と思いながら、
「指、動く?手首曲がる?」
恐る恐る指動かしたり、手首曲げたりしている主人をやや冷たいまなざしで見つめながら、
「どう?」
「うん、指動くし手首も曲がる。」
そう返事をしている主人の顔が、やっとニコッとした。
「よし!ほんじゃ~折れとらん!」
おばばの愛情のこもった?一発。
 
自分が骨折した時なんて、ギャーギャー泣きわめいてほとほと困らせたくせに、立場が逆だとこうも違っちゃうんだ。
お昼を食べて一時間ほど休憩し、「今日はもう帰る?」と聞くと、
「ううん、もうちょっと滑ってく。」
「えっ?痛くないの?」
まぁいい、本人が痛くないって言うんだから、もう少し滑っていくことにした。
 
しかし、痛みがどんどん増してきたようで、主人の表情が冴えない。
「やっぱり今日はもう帰ろう!」
おばばの独断で、この日は帰路に着いた。
 
そして、家に着く頃には本格的な痛みが・・・
さすがに主人も感じたことのない痛みに心配になってきたのか、顔つきがみるみる変わってきた。
「明日仕事休んで医者に診てもらってくる。」
「お~、そんなに痛いんかい。よしよし、よ~く診てもらってこい!ついでに最近出てきたその腹の肉の中身は、ただのメタボか?それとも悪性の腫瘍か?そいつも診てもらってこい!」そう言うと・・・
「ちかやん、そりゃ診てもらえんじゃない?」
「おい!その返事かい!」
やっぱりかなり動揺しとるな。こんな時、すかさず鋭い突っ込みを入れてくる主人が、まともに返してきている。こりゃかなり深刻だぞ~?
 
そして翌朝、心細い顔で起きてきた主人の顔を見てつくづく思った。
男っちゃ~、でかい体にでかい態度で偉そうな事を言うくせに、なんと痛みに弱い生き物なんだ!
整形でレントゲン撮るくらいでその情けない顔はなんだなんだ。
 
さて、結果はと言うと・・・なんと骨折でした。えっ?
左手の親指付け根のところにある何とかっていう骨が折れちゃって、なんと全治2ヶ月。
待ちに待ったシーズンの初日で骨折しちゃうなんて、主人の気持ちを思うとなんと言って声を掛けてあげればいいのか?
おばばも骨折した時は、この世の終わりぐらい落ち込んだし、涙がちょちょ切れて止まらなかった。
なのに、その時と同じ立場にたった主人を目の前にして、おばばが主人に掛けた言葉はこうだ!
「ジタバタしたってしゃーないじゃん!2ヶ月もすりゃー治る。それまでの辛抱だ!」
とにかく、シーズン初日に骨折というおまけを付けて、おばばたちのシーズンは始まった。
 
骨折から5日後の木曜日の夜のことだった。
「じゃじゃじゃじゃ~ん!見て見て、ちかやん」
ニタニタしながらおばばの前に出した手首には、何やら黒い物がはまっている。
骨折した手と反対側の手にはめられていた黒い物の正体は・・・・
「おい!それってもしかしてHAZAKのプロテクターじゃあ、ね~のかぁ~?」
おめ~はいつの間に注文してたんだ!?
「自分の体を守るのは自分だよ。」
そりゃその通りだけど、ちょっと注文するの早くない?
5日後に届いてるってことはだよ、骨折直後には既に注文してたってことじゃん!?
ちょっと早くねぇ~かぁ。ほんとビックリだわ。
もちろん、ギプスが外れたら両手にはめて滑るらしい。
「ねぇねぇ、滑るのって当然ギプス外れてからだよね~」
「ちかやん、何言っとる?明日滑りに行くに決まっとるじゃん。」
「はぁ~?明日?その手で滑るわけ?」
「そうだよ。こんなんなっちゃってもできることはいくらだってあるだよ~。とりあえずぅ、ちかやんの滑ってるところをビデオ録るね。横滑りだって練習になるし、出来ることなんて山ほどあるよ。」
そう話す主人の目は輝いていた。一日も早く治すことが先決なんだけど、それを含めて今自分にできることは何かと一生懸命考えていた主人。
こんな主人の前向きな考え方は、おばばは大好きだ!
起きてしまったことをくよくよと悩んでいる暇があったら、これから何ができるか考えろ!
考えたら早速行動に移せ!そんな考え方ができる主人をおばばは尊敬している。
 
ウェアーを着ることも、ブーツを履くことも、もちろんグローブをはめることも一人ではできないし、日常生活の全てが不自由で、何一つ満足にできなかった2ヶ月間。
きっと、健康でいることの大切さを痛感したに違いない。
そして、いつだって前向きな主人は、道場への参加も諦めることなく、講師にお願いして参加させてもらえることに。
かくして、主人の滑らない、滑れない道場がスタートした。
 
ギプスが外れるまで一ヶ月間、主人は道場で何をしていたかと言うと・・・。
道場生が次々と滑って行くのを上からじっくり観察したり、時には下で待つ講師の方達のうしろで、道場生の滑りのコメントやアドバイスを聞いていた。
もちろん、講師同士が話している内容も聞け、その話しの中に入っていっしょに語りあってもいたらしい。
人の滑りが理解出来ると、自然に自分の滑りも分かってくるようで、ここで聞いたたくさんの講師の言葉の数々は、これからの主人のスノーボードに、計り知れない希望と可能性を与えてくれたに違いない。
主人にとってここでの経験は、お釈迦様の説教よりも有り難かったことだろう。
 
おばばたちの先シーズンは、骨折というおまけが付いちゃってのスタートだったけれど、主人はこれを本当のおまけに変えてしまったわけだ!
それは、どんな事も前向きに考えられる主人へのご褒美に違いない。
“どんな出来事にだって意味があり、意味があって起きている。”
大切なことは、いつでもどんな状況の時でも、全身全霊をかたむけて取り組むことが大切。
とにかく最後まで諦めないで、前を向いて進み、どんな苦難やアクシデントも自分に与えられた試練だと思い、それに立ち向かっていかなきゃだめだ。
 
自分を磨くことの大切さ、己の魂を磨けられるだけ磨くことが、この世に生きている意味ではないのか?そんなことを、主人に教わった気がする。
 
何だか難しい話しに思えちゃうけど、何の事はない!
おばばから一言。「諦めたらダメ!前に進めば必ず道は開ける」
おばばも足がよたり、手が震え、そして腰が曲がってもスノーボードには関わっていたいと思うし、必ず叶えてみせる。
おばばのちゃれんじは死ぬまで続くよ。

三話

おばばは3ヶ月間の道場で、いろいろなちゃれんじをした。
今までやったことのない練習で、出来なかったことが出来るようになったし、まだまだ未完成の基本姿勢ももう少しで出来そうだし、とにかく沢山の自信をつけることが出来た。
そして、もう一つ。同じ目標を目指している沢山の仲間との出会いもかけがえのない宝になり、多くの友達を得ることも出来た。何から何まで充実した3ヶ月間のスノーボードシーズンだった。
でもある日ね、おばばの目指すこれからを、少~しだけ変えるような出会い?出来事?があっただよ。
 
それは、道場もあと二日という時の練習中のことだった。
おばばはその若者を見てびっくりした。
若者は、おばばとお揃いのdmkの手拭いを頭に巻いていた。派手な色だからすぐ気づいたし、何よりdmkのロゴにはおばばはすぐ反応しちゃうし、えらく親近感を覚えちゃう。
彼は、7、8人の集団を連れてやってきた。
おそらくdmkの手拭い野郎がリーダーで、他の子たちにグラトリを教えてるっぽい。
おばばたちの練習しているコースの脇には、ちょいと盛り上がってグラトリには最高な地形があった。
目の前にあるそれを見つけた手拭い野郎は、早速そこでちょこっとオーリーかけてB1をやって見せた。
さ~てさて、おもしろいのはここからじゃんね。
手拭い野郎が向こうで手を挙げて、みんなに合図を送っている。おばばにもその合図が「いいから思い切ってやれよ~!」と語っているように伝わってきていた。
もちろん、それはこっちで待機している若者達にもはっきりと伝わってきていたに違いない。
しかし、しばらくしても先頭の子が滑っていかない。そして一緒に待っている他のメンバーも、申し訳なさそうに遠慮がちに順番を待っている。
中にはおばば達道場生に頭を下げる礼儀正しい若者までいる。
さて、どおゆう事かと言うと・・・
手拭い野郎は、おばば達道場生軍団の練習中まっただ中のコース、しかも大胆なことにそこを横切っていったわけだ。そこにクリアーしたい地形がある限り、ちゃれんじしたいのは手拭い野郎にとったらある意味定めかもしれん。しゃ~ないか!
つまり、この状況に気づいていなかったのは手拭い野郎だけで、言い換えれば彼以外の全員が「ありゃりゃ?」と思っていたはず。
でも、おばばはその様子が微笑ましくてたまらなかった。
「いいぞー、やれやれ!」たとえ周りの状況がつかめなくても、キミのその情熱はみんなにしっかりと伝わっているぞぉ!「突っ走れーdmk!」
 
そして、おばばはその先頭の若者に「いいよ、どうぞ」という意味で、手を差し出してあげた。
そしたらぴょこんと頭を下げて、次々とキャーキャー叫びながら滑って行った。
その若い声は、ゲレンデ中に心地良く響き渡り、その光景の清々しいことといったらなかったなぁ。
もちろん、向こうで待っていた手拭い野郎も大満足だったはずだ。
がんばれ、dmkの手拭い野郎!おばばも頑張るぞ!
 
キミたちのせいで、おばばは今シーズンの目標を少し軌道修正することにした。
キミたちのひたすら楽しむ姿、夢中になって遊んでいる姿を見て、これが大切なんだと痛感した。
今までおばばが必死こいて練習している横を、楽しそうにすっ飛んだり回ったりしている若者に対して、冷ややかな視線を送り続けてきたおばば。
だいたいそんなことをする前にやることがあるだろーが!ロングターンもショートターンもまともにできないくせに、そんなことやるにゃー10年早いわ!なんて思ってた。
でも本当は、楽しそうに滑っている姿をちょっと羨ましくも思ってた。
ほら腰の位置だ!荷重だ!目線だ!なんて、振り返ればおばばのボード人生の大半がそれだった。
「うまくなりて~!」のために、この道場で基本の大切さを一から学んだ。そして、遊ぶことの素晴らしさに触れた。
だから、今シーズンはちょっと遊ぶことに夢中になってみようと思う。dmkの手拭い野郎のように・・・
おばばのボード人生まだまだこれからよん!
今シーズンもどんなドラマが待ち受けているか、おばばの活躍にこうご期待!!

ちかやんのプロフィール

なまえ: ちかやん
生年月日: 1959年6月26日
スノーボード歴: 7年
年間滑走日数: 約40日

愛用ギア
ボード: OGASAKA CT148
バイン: FLUX STREAM
ブーツ: DEELUXE VICIOUS
プロテクター: CCC & HAZAK
ワックス: マツモトワックス

スタンス: レギュラー48cm   前27度、後0度
得意技: バックサイドターンからのヒップスライド(単におしりから転ぶともいう)
スポンサー: ZORA
愛車: パジェロイオ

過去のおばばスノーボーダーのちゃれんじ記

おばばスノーボーダーのちゃれんじ記 Part 3

おばばスノーボーダーのちゃれんじ記 Part 2

おばばスノーボーダーのちゃれんじ記 Part 1

  

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