効果抜群!オフトレ(上)

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スノーボーダーにとって悲しいオフ。しかし、スノーボードが本当に好きなら、今こそオフトレをやる期間なんだ。しばらく運動をしていないと、スノーボードに必要な運動神経が鈍ってしまう。先シーズンで蓄積された技術が、来るべきシーズンインで活かされないんだ。それって、悲しいでしょ?
実を言うとオフトレにはまだまだみんながビックリするほどの効能があるんだよ。そこで、今回はまったくのスノボ初心者さんからライダーの方まで、参考になるスノーボーダーに不可欠な効果抜群のオフトレをご紹介しよう。
講師は、カナダで本格的にコーチングを学んで来た高石 周だ。


Text: Shu TAKAISHI
Photo: Fusaki IIDA

 

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スノーボーダーに体力トレーニングは必要なんでしょうか?
「そう言えばムキムキ筋肉のプロライダーなんて、あまり見たことないな~。必要だと思うけど・・・、何でだろ?」
多くの方は、そんな認識ではないでしょうか。
もちろん、スノーボーダーにとって体力トレーニングは、もの凄く必要なんです!
今回はそんなことをいっしょに考えてみましょう。

スノーボードする上で最低限こうありたいと思うこと

1.ずっと疲れ知らずで滑りつづけていたい!だって好きなんだもん。
2.安定して滑りたい、転びたくない。雪まみれになるし痛いし。
3.ケガはしたくない!痛いですから。
4.もっとうまくなりたい!だって楽しいじゃ~ん!!

では、フィジカルトレーナーの方はこれに対してどう回答するでしょう?


持久力がないと限界は低いですし、それにはもちろん個人差もありますね。サッカーやバスケが楽しいだけでずっと続けられますか?

 

ずっと滑っていたいからフィットネス・トレーニングを!


バランス修正が瞬時にできるように体の主要部分をトレーニングしないといけませんね。 運動の中心となる腹回りの筋力をガッチリ鍛えましょう。
重心(体の中心)のすぐ下にある(バランスを司る)股関節をやわらかくも、強くもしておくべきですね。


捻る、打つ、衝撃に耐えられない、ケガでよくあるパターンですね。
自然な方向へ関節が曲がったり、体のねじれ傾きがないようにバランスのいいトレーニングで姿勢を正しましょう。
体を適度な筋肉で固めればある程度の打ち身に耐えられるんですよ。
2階から飛び降りても耐えうる筋力をつければ衝撃で潰されることはないですね。

 4
普段の生活ではしない大きく強く速い運動が必要になるでしょう。
高くジャンプ、瞬時に引き付ける、一気に回す、素早く体重移動する、バランスをキープする。
これらができれば間違いなくあなたのスノーボード上達を支えるでしょうね。
今あなたは普通にこれらができますか?またスノーボードしてたら自然にできるようになりますか?
いいトレーニングがありますよ~!

実際にはやっていることのレベル次第では強い筋力はいりませんし、持久力もさほど強化しないでいいかもしれません。
でも上に書いた4つは初心者からプロまで、誰もが願うスノーボードを楽しむ基本ではないでしょうか?
さあ、ここまで読んでトレーニングが必要だと思った方は続きをご覧ください。

では上記の4つをしっかりカバーしてくれるトレーニングって何なんでしょうか?
説明いたしましょう!

持久力 

「持久力」には2種類あります。
長くゆっくりな全身運動を継続するためにゆっくり走ったり泳いだりする「全身持久力」。
筋力は余裕があるのに呼吸が間に合わないということありませんか?
スノーボードでは一日どれだけ多く滑れるかということになるでしょう。
全身持久力は長距離走などで心肺機能(肺、心臓)を鍛えることで向上します。
例:ジョギング、スイミング、自転車など

強く速い運動を何度も繰り返しても、簡単に疲れない「筋持久力」。
呼吸が楽でも筋力が持たなくなることがありますよね。
スノーボードでは1本のフリーランをどれだけ長くできるか?が良い例でしょう。
筋持久力は筋肉を強く速く長く使用するトレーニングで向上させます。
例)短中距離走、筋力トレーニングなど 

 

 
 全身持久力  筋持久力

ストレッチ

 

運動後はスタティック・ストレッチでリラックス!

「ストレッチ」も2種類紹介しましょう。

まずは一般的によく知られているストレッチ、スタティック・ストレッチ
スタティックス・トレッチは静的ストレッチという意味で、反動や弾みをつけずにゆっくりとしばらく姿勢を保持し筋肉を伸ばしていくストレッチです。

スタティック・ストレッチは、緊張をほぐすのが目的ですので、「運動後のクールダウン」などに適しています。

体が十分温まった状態であれば運動後でなくても例えば風呂上りでも構いません。

疲労し収縮した筋肉を伸ばします。

血流を促進させ、運動中に生産された疲労物質を除去します。
ヨガなどはこの効果が高いものの一つと言えるでしょう。

注意点:
痛みを感じない程度で行います。
20~30秒は姿勢を保持してください。
反動を使わずに行います。
体は十分リラックスした状態で行いましょう。
呼吸を止めないように行います。
どこの筋肉を伸ばしているのか、しっかり理解と意識して行うことでより高い効果を得られます。

運動前には関節周囲筋の動きを潤滑にするダイナミック・ストレッチを。

次は、ダイナミックストレッチ
ダイナミック・ストレッチは、動的ストレッチという意味で、動きの中で腕や足などをいろいろな方向に回すことで、関節の可動域を広げるストレッチ方法です。
ダイナミックストレッチは、関節周囲筋の動きを潤滑にするのが目的ですので運動前のウォーミングアップなどに適しています。

最近はスタティック・ストレッチの後は、強いゴムが伸びきったような、筋肉の収縮性が悪くなるという結果が出ると報告されています。
ですから一般的に認知されているストレッチ(=スタティック・ストレッチ)はスポーツの前のウォームアップには適切ではないと言われています。

ダイナミック・ストレッチは、関節の潤滑油となる滑液を多く分泌させ関節の動きをより滑らかにする効果があります。
「ラジオ体操」「太極拳」はこの要素が高いようです。

注意点:
充分に体を温めてから行います。ジョギングなどが適当ですね。
必ず左右対称に行います。
筋肉を傷めないよう過度な反動をつけないように気をつけましょう。
「大きく、ゆっくり」が基本です。
動かす関節や筋肉をしっかり意識して行うことで効果があります。
ダイナミック・ストレッチはそのスポーツに合った動きが入っていることが好ましいとされています。

各関節をもっともっと大きく広く滑らかに使えたらバランスは良いし上達もしますよね。

世間一般的に知られるストレッチはトレーニングの最後にやるようにしてください。
スノーボードや他スポーツの前にはウォームアップとしてダイナミック・ストレッチをしましょう。

スタティック・ストレッチ方法

身体全体をリラックスさせるために以下のスタティック・ストレッチ方法を紹介します。
ここに紹介する以外にも、たくさんの
スタティック・ストレッチがありますが、ここで紹介するものをやっておけば、だいたい身体まんべんなく伸ばすことができます。
写真とポイントを見ながら、ぜひやってみてください。

運動後のクールダウン、夜、お風呂の後などにも最適です。

     

首は力を掛け過ぎると危険です。気持ち良いところで止めるようにしましょう。

次に前も。後ろへは神経系に危険が及ぶ可能性があるのでお勧めしません。

後ろで手を組み組んだ手を上に引き上げながら顔は空を見上げましょう。

     

背中を丸めるように肩も前方へ引っ張り顔は地面を見るようにします。背中全体が伸びているのを感じてください。

頭の後ろで一方の肘を掴みます。脇の筋肉が伸びているのを感じてください。余裕がある時には、体を横に倒してみてください。 胸の前で一方の肘を押さえます。押さえた手で肘を胸に押し付けるようにして、肩の後ろを伸ばします。
 
うつ伏せの状態から腕で胸を立ち上げ「えびぞり」になります。腹筋が伸びているのを感じてください。
     
体育座りの状態から片方の足首を片方の膝に掛けます。
この状態を20秒から30秒キープします。
膝を立てている足の方向へ足を組んだまま足全体を倒しこみます。倒しこんだら膝を胸に引きつけます。お尻の筋肉が伸びているのを感じてください。

立っている膝の反対側の肘を立っている膝へ掛け、顔は思いっきり後ろを見てみましょう。尻の他に腰周り、背中が伸びているのを感じればOK。

   
横に寝転んで上にある方の足首を背中側で掴みます。
寝ている姿勢は頭からつま先まで真っ直ぐを保ちましょう。
腿全体が伸びているのを感じるようにしましょう。
片方の足を前方へ大きく踏み出します。上半身は真っ直ぐ立ったまま、深く腰を落としてみましょう。腿の付け根が伸びているのを感じてください。腿から腹筋の奥を通る大腰筋を伸ばしています。
     
上記(右上)のストレッチから踏み出した足はそのまま、お尻を後方へ引き前足を完全に伸ばします。上半身を前の膝に倒しこみ、腿の裏を伸ばします。 さらにそのまま足は動かさず立ち上がり、今度は後ろ足を完全に伸ばします。前膝を曲げましょう。後ろ足の踵が地面から離れないようにキープします。 そのまま今度は後ろ足の踵を上げて後ろ足の膝を曲げてください。「ふくらはぎ」というよりアキレス腱が伸びる感じです。

 

 

 

体幹(腹、重心周り)トレーニング

運動の中心となる「重心」を支えます。
ここをしっかり鍛えておくとスポーツでのパフォーマンスを安定させます!
現在スポーツ界ではまずここを重点的にトレーニングすることが当たり前になっています。

 

 腹前方(腹筋)

 腹後方(腰筋)

下半身トレーニング

人間が移動したり地面の上に立つための土台ですね。
ここがしっかりしていないとスノーボードできません。

 

 

 腿表(大腿筋)

 腿裏(ハムストリング)

上半身トレーニング

下半身ほど大きな筋肉は必要ありませんが、運動を始動するキッカケは上半身です。
またバランスを助ける役割もあります。

 

 背中

瞬発力トレーニング

素早い反応、運動は常に必要ですよね。

 

ジグザグダッシュ

 高速ステップトレーニング

コーディネーション

キーワードは「反射、リズム、バランス、連動」
ようするに全身をいかに上手に使いこなすかということですね。

 

バランス

 連動

 

 リズム

 反射

お知らせ!
スタチック・ストレッチング以外の各トレーニングに関しては、次回からくわしく説明していきます。

 


トレーニング・メニュー提案

「えー、こんなにトレーニングする要素ってあるの!」
そう、思われた方も少なくないかと思います。そこで今回は、普段、運動されていないような一般のスノーボーダーが気軽に始められるメニューを考えてみました。

一週間のトレーニング例
   ジョギング、泳ぐ、自転車のどれかを20分間 & ストレッチ20分間(体中まんべんなく) 
   腹筋10~15回×2セット & ストレッチ20分間(体中まんべんなく)
   ジョギング、泳ぐ、自転車のどれかを20分間 & ストレッチ20分間(体中まんべんなく)
   背筋10~15回×2セット & ストレッチ20分間(体中まんべんなく)
   ジョギング、泳ぐ、自転車のどれかを20分間 & ストレッチ20分間(体中まんべんなく)
   腹筋10~15回×2セット & ストレッチ20分間(体中まんべんなく)
   休み


どう、これならあなたにもできるのでは?

もちろん以上のようなメニューをしなくてはいけない、ということではありません。まずは運動する癖を付けることがとても大切なのです。これを参考にして、あなたに合ったトレーニング・スケジュールを立てていただきたいのです。
日曜日をオンの日にして、他の日をオフにするなどは、あなたしだい。自分に合ったスケジュール表を立ててみてください。
実際にやった日には、カレンダーにハッピー・マークやステッカーなどを付けてみるといいのでは?
1ヶ月続いたら、自分のご褒美にお気に入りのスノーボード・アイテムをご購入するとかしたら、続けられるかもしれませんよ。大切なのは、続けること。自分にとってプレッシャーが掛からない日程を立てるようにしましょう。

次回は具体的にどうやってトレーニングしたらいいのか、さらに細かく提案していきます!
どうぞ、お楽しみに。

 

講師:高石 周
1970年4月11日生まれ 39歳
新潟県出身

現在カナダ・ウィスラーにてCSBA(カナディアンスポーツビジネスアカデミー)にて、スノーボードコーチとして活動。
また最近は、Peak Performance Projectの監督として世界に羽ばたける日本人ライダーを育成している。

Sponsors: Volkl, Flux, Cross 5

ブログ:http://sportscoaching.blog72.fc2.com/

 

 

 

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