文：飯田房貴 @fusakidmk
スノーボードのギア価格のアップ！またここ１、２年でリフト券の値上げが急上昇、そして最近ではガソリン代も高くなって、スノーボーダーたちの悲鳴が聞こえて来そうです。
それでも、やはりスノーボーダーなら、あのパウダーを味わってみたいし、ジャンプの浮遊感を味わってみたい。雪山という素晴らしい景色を眺めてみたいもの。
だからこそ、できるだけうまく節約してスノーボードを続けたいものですよね。
そんな中、俄かに盛り上がっているような中古市場。
「ヤフオク!」と「メルカリ」、そしてブックオフでもスノーボードが買えちゃうというので驚きです。
確かに日本人は、外国人と比べてモノを大切に扱う傾向が強いし、中古でもかなり良さげなモノが見つかりそう。
仮に自分がこうした中古品を買うとしたらどうだろう？
あるいは友人に勧めるとしたら、中古でもアリという判断をするのだろうか？
やはりその中古の品の劣化状況ということも選択要素に入るけど、ギアの種類にもよりますね。
スノーボードなら、ある程度、使い込んだ板の方が、返って初心者、中級者の方に合っていていいかもしれません。
バイン（ビンディング）もＯＫでしょう。使用状況（劣化度）にもよるけど、人気のバートンとかユニオンとかあったら、見っけもの！
ブーツは、さすがに嫌だな。ブーツは凄いパーソナルなギアだと思うし、こればかりは、他の人が良いと思っているものでも、自分には合わなかったりするものです。
そんな中、たまたまネットで見つけてしまった私が販売に関わっているSANDBOXヘルメット。
「なんで売るんですかー？」こんなに素晴らしい商品。だけど、中古でも値段がかなりキープできていたので、人気あるのかな？と思ってちょっと嬉しかったけど（笑）。
だけど、ちょっと待てよ。おいおい、これダメでしょ！と思いました。
なぜならヘルメットは、「ワンヒット・ワンダー」という特別で壊れやすいギアなのです。
一見頑丈そうなヘルメットは、実を言うと本来のヘルメットの役割を果たすという意味では、意外なほど脆いのです…。
実を言うとヘルメットは一度しかヒットできない設計になっている
ヘルメットというのは、あまり一般的に知られていないのですが、実を言うと一発屋なのです。
つまり、１回しかヒットできない設計になっているのです。
損傷が目に見えないとしても、一度ヒットさせてしまったらもうおしまい。例えば、ジャンプして転倒の際に頭を打ったとか、滑走中に強く転倒しヘルメットが守ってくれたというような状況でもアウト。少ないダメージのような転倒でも、おそらく繰り返し行っていたら、かなり劣化してお役目ご免になっている可能性があるでしょう。
以下、ヘルメットのことを研究しているMIPSの科学者の証言動画をご覧ください。
ちょっと驚きではないですか！
このことは、メーカーなら知っているけど、意外にショップさんの方でも知らない可能性があります。
あと、ライダーでも知らなかったり。
だから、多くの一般の人は、知らないわけです。
ちなみに私といっしょに仕事している方は、元々バイク乗りでこの事実を知っていました。だから、スノーボーダーではなく、バイク乗りなら知っているかもしれませんね。実際に検索してみると「一度でも落としたりぶつけたりしたヘルメットは買い換えないといけない」というような文章をたくさん見つけることができました。ぜひ、あなたも検索してみてください。
もちろん、ヘルメットなんてしないよりは、絶対にかぶった方がいいわけです。極端な話、頭に何もない状態よりもビーニーをかぶっただけでも、マシなんだだと思います。そう言った意味では、中古でもいいという考えもあるでしょう。
頭皮（何もかぶらない）＜ビーニー
ビーニー＜中古のヘルメット
中古のヘルメット＜新品
まっ、ざっとこんな感じの比較ができると思います。
だけど、せっかくヘルメットが必要だと思って買うなら、「ヘルメット一発屋ギア」ということを忘れずに中古ではなく新品を買った方がいいだろう、と思います。ここはケチらない方がいいよ、ということです。
頭の怪我というのは、本当、人生を左右させてしまうほどの大きな代償を伴うことがあります。保険だと思って「ヘルメットは必要なもの」と認識する必要があるでしょう。
私のおすすめとしては、ヘルメットの国際的な安全認証規格であるCE EN 1077: 2017 Class Bが付いているもの。かつては、そうした安全基準のないスノー用ヘルメットも販売していましたが、今季リリースされるような新しいヘルメットは、ほぼ間違いなくこの認証規格が付いているので、そういった意味では安心です。
飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート（本社・東京千代田区）。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる！20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は38年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ：https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター：https://twitter.com/dmksnowboard
