シモン兄、NOMIS Design代表/マット・チェンバリン

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ジブ界ニューヒーローのシモン・チャンバリンには2人の兄がいる。一人は双子のアンドレ、もう一人は2歳年上のマットである。そして、この程マットが正式に兄弟で始めたデザイナー・ブランドのNOMIS Designを会社として立ち上げ、グローバル展開することになった。そこで、この注目ブランドのNOMIS Designを本格的にスタートさせた経緯、さらにはシモンのプロ・デビュー前の知られざるストーリーも伺ったぞ。

フサキ(以下F):スノーボードを始めたきっかけは?
マット(以下M):スノーボードを始める前はスキーをやっていたのだけど、ある日ローカル・マウンテンでスノーボーダーを見たら「とてもカッコいい!」と思って初めたんだ。当時僕は13歳、今21歳だから9年前のこと。 最初のボードはケンパーで、何かグラフェイックがカッコ良くて決めたんだ。 スケートボードをやっていたので、簡単かなあ、と思っていたけど、実際には思っていたよりも難しくて、最初の日は、転んで体中痛いを思いもした。だけど、その内にターンができるようになって、本当に楽しいと思った。もう到底スキーなんてできない、という気持ちになったよ。それで、もう次の年はシーズンパスを買ったんだ。

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F:マットがスノーボードを始めた時に、弟のシモン&アンドレ(双子)は、まだスノーボードをやっていなかったの?
M:僕が始めた年にはまだやっていなかったけど、僕がスノーボードの楽しさを話したら、弟たちも乗って来て、すぐにいっしょにスノーボード・ショップに行ってボードを買ったんだ。そして翌年、最初の山のオープンした日にシモン、アンドレを連れてスノーボードに行ったよ。それ以来、僕たちはほとんど山に行くような生活になった。ナイター施設があったから、学校が終わってから行き、結局、ほとんど毎日山に行っていたね。あと、学校が長期で休みとなる冬休みとか利用して、毎日山に通っていたんだ。

F:トリックの練習を始めたのはいつ?
M:最初の年でパークで始めたよ。360とかレールなどのトリックもね。それと、家のトランポリンを使ってトリック練習もしたし、プールに行って飛び込みながらいろいろなトリックの練習をしたんだ。

F:どうやって、シモンやアンドレにスノーボードを教えたの?
M:当時、人気のあったビデオでトリックを研究して、雪山でやっていたんだ。僕が一番年上ということもあり、最初の360とかは一番早く習得したので、弟たちに教えていたんだ。だけど、ロデオ・フリップをやるあたりから、急にシモンがクレイジーにうまくなった。シモンはあまり怖がらないでトリックに挑めるたちなので、こういった縦回転技で真価を発揮したんだ。僕が基本的な様々なことを教えたのだけど、ロデオをやったあたりからシモンが自分で勉強してうまくなって行ったんだ。

F:ところで、その最初のビデオって何?
M:DECADE。今でも僕たち兄弟の一番のお気に入りビデオだよ。

F:アンドレはどうだったの?
M:アンドレは、テクニック派でデバン・ウォルッシュのようなタイプ。僕が今まで見たライダーの中でも最もスタイルがあるんだ。

F:それだけセンスあったアンドレがシモンのようにプロになっていないのは、なぜ?
M:アンドレが、もう1つ自信を持てないようなところがあって、例えば僕が「今のトリック良かったね」と言っても「いやあ、まだまだ」と言うタイプなんだ。シモンはもっと性格的にもオープンで向上心に燃えるタイプ。だけど、アンドレはシャイで引っ込み思案のところがあるんだ。もし、アンドレがクリフとかでジャンプの練習していたら、きっと今ではデバンや忠(布施)のようなライダーになっていたと思うよ。実際、僕たち3人がスノーボードを始めた頃、アンドレが一番うまい時期があったんだ。厳密に言うと、最初、僕がスノーボードを習得して彼らをリードし、その後に一番うまくなったのがアンドレなんだよ。

F:そんなアンドレが埋もれているなんて、もったいなあ。
M:だけど、今日、ちょうど電話があって裏庭にジブ用の大きなボックスを作った、というからやる気が出ているのだと思う。今年の冬は来ないけど、来年の冬にはウィスラーに移り住む予定なんだよ。 もし、アンドレが本気になってプロになったら、双子のプロということで話題になるだろうし、とても楽しみだよ。

F:そう言えばシモンが「アンドレはスケートもうまい」って言っていたね。
M:アンドレのスケートはスポンサーをもらえるほど、とてもうまいしカッコいい。だけど、あいつはシャイだから、そういうアプローチをしないんだ。いつアンドレが変わるのかわからないし、もしかしたらずっとシャイなのかもしれないけど。

F:だけど、マットにしてもプロになれたチャンスがあったと思うのだけど、どうしてならなかったの?
M:僕もスノーボードが大好き、というか愛しているけど、弟たちの成長を見ているのが楽しかったんだ。だから、ビジネス面でスノーボードに関わりたいと思い、NOMISを始めたんだ。

F:NOMISを始めたきっかけは?
M:僕たちがもっと若かった時に、アンドレ、シモンたちといっしょに始めたんだ。当時、僕たちはショップに行って洋服を買っていたけど、あまりカッコ良くないのに値段が高かったから、もう自分たちで作ろう!と思ったんだ。自分たちで作ったら、もっとカッコ良く作れると思ったんだ。

F:NOMIS(ノーミス)の名前の由来は、シモン(SIMON)を逆さに呼んだということが有名だけど、誰がネーミングしたの?
M:ある日、僕の部屋に集まってネーミングを考えた時に、いろいろな候補が出て来て、結局、僕たち兄弟3人で決めたんだ。 ロゴに関しては、僕の友達が決めた。ログに特別な意味はないのだけど、とてもカッコ良くて多くの人に気に入ってもらっている。彼の名前はマイク・ハーソンで、今ではNOMISのチーム・マネージャーなんだ。

F:ビジネスを始めるのにあたり不安はなかった? 21歳のマットがお金を集めてくるのも大変なことだと思うのだけど。
M:NOMIS自体は、ここ数年の前からずっとあった。その間に僕たちはTシャツやパーカーを作った。だけど、本当はもっとジーンズとか、ジャケットとか作りたかったんだ。しかし、そのためにはお金が必要になって来る。シモンが急激に知名度が上がって行く中で、多くのスノーボード業界の方が、NOMISを扱いたいし、自分でも着たいと言ってくれたんだ。そんな中、今ではシモンの友達となった出資者のコーラン・マクドナルドが現れて、NOMISのビジネスに大きな興味を持ってくれた。それで、僕がビジネス・プランを作成して、会社がスタートしたということなんだ。今のオーナーは、僕とシモン、そしてコーランの3人。アンドレはオーナーになっていないけど、僕たちとってはいろいろなアイデアなどを提供してくれた大切なパートナーだよ。

F:ヨーロッパでの販売も決まって、グローバルな展開になっているけど、そのようなコネクションはどこから?
M:シモンがニクソン・ジブ・フェスタなど優勝して知名度が上がり、それと共にNOMISも多くの業界人に知られるようになった。その中で、様々な人がNOMIS Designに興味を持ってくれて、助けてくれたんだ。その結果、今では北米とヨーロッパに販売が決まった。そして、ぜひ日本でも販売したいと考えているんだ。

F:これだけスノーボードやスケートのブランドが多い中で、どのようにしたらいいと考えているの?
M:まず僕たちは決して他の真似はしないということ。常に他が自分たちを真似るようにリードする。それと常にキッズ(注:この場合はティーンなどの若い世代)たちの意見を聞くとうこと。というのも最新のファッションを見つけているのは常にキッズたちなんだ。例えば、この日本の雑誌(SnowBoader誌)に出ているシモンとフレイザーを見てよ。あきらかに違うし、今の業界の中でクレイジーなファッションでカッコいいでしょ。そう、常にキッズは素晴らしいデザインを発見する先駆者なんだ。もし、シモンとかが日本に行って、新しいファッションを見つけてカッコいいと言ったら、僕は「じゃあ、作ろう!」と言うよ。絶対に僕の方からこれを着ろ、という形では押し付けない。常にキッズたちに声に耳を傾ける。

F:ガールズのモデルも作っている?
M:イエス。ジーンズやシャツなどあるよ。

F:最後にマットの夢を教えて。
M:ビジネスを成功させること。だけど、リッチとかパワフルを求めているのではなく、家族がみんな幸せになってくれるように。

以下、NOMIS Designウエブ・サイト
http://www.nomisdesign.com/

●インタビュー後記
とっても家族思いで常に回りの幸せを考えるナイス・ガイ! そんなマットが代表を勤めるNOMIS Designだけに、これからもっと多くの人に広がる予感がした。僕もこのデザインを大変気に入っているし、日本でも多くの人に紹介して行きたい、と思う。

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