今年も行ってきましたSBJ。アジア最大のスノーボードトレードショウで、小売店向けに来期モデルを展示し、また来期の注文を受けるというビジネスの場。会場には世界からライダーも来場し、また来期モデルがびっしりと並べられ華やかな雰囲気。来期のトレンドも見えてくる注目の展示会なのです。 しかし、ここのところのスノーボード不況にも伴い、その出展数は年々減る傾向に。今年も縮小気味で寂しかったですが、その分中身の濃い取材を行えました。
と言うことで来期の最新情報満載のSBJレポートいよいよスタートです。
Photo & Text: Minoru SAITO
YONEX
独自のカーボン技術で圧倒的な存在感と満足度がウリのYONEX 。アマチュアBX レーサーからの支持率が異常に高いのは千村を始め契約選手の活躍がそのまま反映している良い例だろう。そのBXレーサーを始め、ハイスピードでクルージングするのが好きな人のために来期登場するのがCARBON TUBE MEISTER 。中高速域での安定感を高めてカービング性能に磨きをかけたこのモデルはソールも走るソールを採用し人気が出そう。そして04年発売と同時に完売だった超ハイエンドモデル AIR CARBON WALL は今期も登場するがやはり品薄の予想。もともと「今ある技術で最高のモノを!」と妥協なく仕上げられた一本だけに値段も張るがその性能は最高品質。 CARBON のみで作られた驚異のコアの実力を是非体験してもらいたい。
カーボンテクノロジーの次はナノカーボンテクノロジー。誇らしげに分子モデルが掲げられている。
Infinity
C★4の加入など何かと話題のあったInfinityだが来期はどうか? まず、大幅なラインナップの見直しが行われ全体的にラインナップはわかり易くなっている。基本的にはフリースタイルで、メインとなるのはROOTSと名付けられたパークモデルとmixTapeというツインの2ラインだろう。この他にオールラウンド1モデル、初中級1モデルの4ラインだがやはり日本の現状に合わせてパークをかなり意識したようだ。
FLUX
独自路線で世界に通用するプロダクトを送り出し続けるFLUX 。 05のラインナップはかなりバラエティに富んでいて、カラーバリエーションを含めるとなんと約30種のラインナップとある。カラーの豊富さは世界一と言って間違いないだろう。(このカラーを全てそろえるショップは大変だろうな)一番目を引くのはついに行われたハイバックの肉抜き。上位機種のハイバックが完全に見直され思い切った肉抜きで軽量化を行い、またハイバック自体も若干高くしたとのこと。また登場と同時に一気にシェアを伸ばした2ピースタイプのUNIONも大幅にラインアップを増やしての登場。1ピースと2ピース2つを展開しているのは現状FLUXくらいなものだろう。 TMS(トゥーマスクストラップ)の特許取得等もあり、その見る先は国内にとどまらず世界を相手に戦っていると言っていいだろう。
dmkお馴染みの高正プロが持っているのは来期の注目モデル。思い切った肉抜きで軽量化に成功した。
Scooter
本webでもおなじみ加藤高正、コジロー両プロが所属するScooter 。こだわりの微調整が出荷寸前まで続くという開発から生み出される製品はさすがScooterと言ったところ。高正プロが手にしているのは自身が開発を手がけるFFU 。かなりのパワーを持つこのボードだが、来期はトーションを感じやすくなるように微調整を加え、セットバックも少なくし、ディレクショナルながらツインの乗り味を感じられると言う自信作。「トーションを感じられると言ってもパワーのある中での乗りやすさみたいなもんだから、今までの FFU が乗れる人でも不満はないし、これまでFFUのパワーをもてあましていた人でもちょっと乗りやすく感じてもらえるかな?っていう程度。基本的にFFUってコアの持つパワーを活かした板に仕上げてあります。」加藤高正。
自身が開発を行ったFFU。「飛べる板と自信を持っている」by 高正
ENDEAVOR
河野伸吾がインターナショナルに活躍する ENDEAVOR 。もちろん今期も自身のシグネーチャーを世界中で販売する。 Roots と名付けられたシグネーチャーモデルは 154cm のサンドイッチ構造。「自然と共存のこの遊び(スノーボード)を提供してくれる地球、そんな環境がずっと続く為に一人一人ができることをしていこう!」というメッセージをソールに描き全世界に発信!!
左が河野伸吾モデル。日本人のシグネーチャーが世界中で発売されるのはひじょうに少ない。
Capita
登場以来独特のアート感覚で市場をにぎわす capita 。チームライダーの活躍もあってか北米を中心にジワジワとその勢力を広げているらしい。で、そんな capita でも異彩を放っているのがトラビス・パーカーのシグネーチャー。ボードの各部にグラブする手が描いてあるのは 04 と同じだが、 05ではよけいな注意書きなどが無くなりシンプルになった。バリエーションも 154、158 、159 となり158はノーズ&テールがパウダー対応のスワロー風切り込みがなされている。勢力を広げているのは本当らしく、ラインナップもかなりの本数となり攻めの姿勢を見せている。
白いモデルがトラビス・パーカーのシグネーチャー。グラフィックは今期をベースにシンプルになった。
Drake
良くも悪くも毎年変わらない drake がついに重い腰を上げてくれたようだ。来期はついに一部モデルでハイバックの肉抜き軽量化を実現。また全く新しいストラップモデルを発表。これは FLOW などクイック系の台頭に対抗すべく発案されたdrake流のクイックモデルE-ONE 。なんとストラップがシングルストラップになっているのだ。もちろん各部の微調整は可能となっていてどのブーツとでも合うように出来るとのこと。実際の使用感はやはり違和感なく着脱できるという点が一番のメリットのようだ。
ついにdrakeもハイバックの肉抜きを行った。左は仕上がりも美しいレディースライン。
Northwave(APX)
いろいろな問題をクリアして05についにnorthwaveの名前が再び市場に登場するようだ。これまでAPXというブランド名だったがこれで本来の状態に戻ると言うことになった。トップモデルはCP3と呼ばれるハイテクモデルでカタログのトップでマーク・フランク・モントーヤ(MFM )がモデルとしてCP3を履いて登場している。 MFMと言えばシグネーチャーなのだが、しばらくはCP3がシグネーチャーに代わるモデルとしてMFMの足下を支えていくのだろう。クイックレーシングとしてはBOAはもちろんのこと独自の新技術によるクイックも採用しており、今後クイックレーシング戦争の激化が予想される。
SESSIONS
ウエア・ブランドの老舗SESSIONS。来期は明るい色使いが多く登場する。そのメインとなるべきカラーは蛍光オレンジ!至る所にこのオレンジが効きまくっているようで、前ラインナップの中でもオレンジカラーの登場する率は異常に高く、今後のウェアは明るめが主流となっていくのだろう。しかし、レディースラインとなるとこの蛍光オレンジは全く発見できず落ち着いた色のウェアがほとんど。メンズラインとレディースラインでここまでイメージを変えてきたブランドも他にはないのでは?と言うほどで新しいチャレンジなのか、市場調査の結果なのか?とにかく老舗でありながら新しい流れを作ろうと努力を怠らない姿勢はさすがトップブランドである。
Volkl
Volklと言えばマーク・アンドレターレ。本 web はもちろん日本中でよく知られた看板ライダー。そのマークが乗るのが SQUAD シリーズ。 04 はトップシート全面に貼られたスケートボードのデッキテープが印象的だったが、今期は採用されなかったようだ(他のスポンサーのステッカーが貼れないから?)その SQUAD もラインナップには SQUADPRIME というメインのライン、ノーマルの SQUAD 、 SQUADJIBSTERというジブ用の3ラインに増え Volkl のメインとなっている。 JIBSTER はソールをエッジよりも盛り上げて、レールスライドの祭のエッジの引っかかりをなくすという手法を取っており、これまで様にエッジがボロボロになるのを軽減できるとのこと、 SQUADPRIMEはノーマル・ナロー・ワイドのウエストが準備されており、足のサイズやスタイルでも細かい選択が可能になっている。
福島大造が持つのはVolklのフリーライディングボード。独自のテールデザインでパウダーでの操作性は抜群。
ALLIAN
インゲマーが立ち上げた ALLIAN も気がつけばしっかりとその地位を確立し、中堅ブランドに成長している。今回はチームライダーのケールに話しを聞くことが出来たのでケールのナビゲートで紹介しよう。「インゲマーはとってもポップでいい板だね。ピーターも結構気に入っている。シェフの絵が描いてあるんだけど、ピーターはシェフなんだよ(???)で、オレの板だけどカナダの自然と動物がテーマで、中にはオレが撮った写真を使っているのもあるんだ。グラフィックは写真をパソコンに取り込んで、それを写真じゃなくてグラフィックに加工して使っているんだよ。だからオレのホームがこの辺で、このモービルに乗っているのもオレなんだ。このグラフィックはオレの撮った写真だしね。 ALLIAN の板は絶対に調子イイからみんな一度は絶対に乗ってみてくれ。別にオレのモデルじゃなくてもホントどれでも最高だよ!」とのこと。登場して即ビールを片手にぶらついているところをつかまえたのだが既にほろ酔い気分なのか、それともそんなキャラクターなのかサービス精神旺盛に板について語ってくれた。これからどうするの?と聞くと「ヒザをケガしているから、日本ではプロモーションがほとんどかな?でも北海道ではぜひとも滑りたいね」とのことだった。ありがとうケール!
ノリノリのケール。実はビール片手でゴキゲンだった。手にするのは自身のシグネーチャー。
LIB TECH
サンドイッチボードの登場と共にシェアを回復しつつあるLIB 。今年もジェイミーモデルを始め各ライダーのシグネーチャーをメインにやっぱり LIB というインターナショナルラインと国内企画のジャパンラインの2ライン構成で展開される。メインとなるのはインターながらひじょうに評価の高いジャパンラインもJAPARKを筆頭に展開。勇亀モデルも発売される。勇亀は最近プロのスケートボーダーとしても活躍しているだけに板のグラフィックもこれまでとは全く違ってスケートっぽい感じになっている(と思う)またジャパンのHI-LINE はロックバンド GUNS AND ROSES をモチーフにインパクトのあるグラフィックとなっている(わかる人には一発でわかります)
SP
先ほどのケールをはじめ、マーク・アンドレターレ、パーボ・テッカネンなども契約するSP 。日本ではまだまだ認知度が低いようだが実際はブーツ&バインディングのブランドで信頼と実績も持っている。まず日本で認知されている SP のバインディングだが、今期はゼブラ柄が目を引いた。 04 にロックバンドのKISSをイメージしたひじょうにRockなモデルや百獣の王ライオン(LIONKINGか?)をモチーフにしたモデルを出しただけに、今年もやってくれるだろうとは思っていたが、 05はゼブラだった。 LION →ゼブラと言うことはKISS →・・・とおもって探したらやはりありました。 05はドラキュラ。ゼブラが白ベースの明るい感じなら、ゼブラはダークブラックのダーティで危険なイメージ。こういう遊びのあるブランドは海外ならではという感じ。もちろん機能も充実でハイバックは肉抜き軽量化だけでなく、フォワードリーンにも工夫が凝らしてあり実用性も充分合格。
ゼブラ柄を大胆にあしらったSPのリミテッドモデルとブーツ。北米では中堅どころのブランドだ。
Grenade
グローブから始まった grenade もついにトータルブランドの仲間入りのようで、来期はついにウエアを本格展開する。しかし基本というかメインはやはりグローブというのは変えていかないらしく、カタログの最初に出てくるのも数多くのグローブ。 ARMY がモチーフなだけにハードな感じのモデルが多く目につくが、その機能は実際に使ってみれば驚くほどでコストパフォーマンスは非常に高い。カラーバリエーションを含めその数なんと 60 以上!ここまでのバリエーションはさすがと言ったところ。ウェアもメンズ、レディース共に ARMY スタイルの統一されたブランドイメージを保っている。驚くのはゴーグルも準備されていること。どの程度本気なのかは不明だが企業として順調に成長しているのは間違いないようだ。また来期 Grenade のオーナーであるダニー・キャスは QS との契約を取りやめ Grenade のウェアを使用するらしいのだが、その裏には QS が Grenade を買収しようとしてダニーを怒らせてしまったからだとの説がある。大企業に負けないで独自の路線を守ろうとするダニーを始め多くのライダーやスタッフにはこれからも頑張って良いものを作ってもらいたい。
HEAD
HEAD と言えば intelligence テクノロジー。もちろん来期もトップモデルを始めハイエンドモデルに標準装備。フリースタイルモデルの最高峰の TEAM はこれまでのノーズオンリーだった intelligence がノーズは intelligence チップ、テールは intelligence ファイバーと二ヶ所に搭載されるようになった。これによりフェイキーの安定性やオーリーパワーがアップするなど、さらにフリースタイラーの要求に応えられるようになった。もちろん最上位機種である intelligence も来期パワーアップ。ノーズに intelligence チップを搭載し、ソールはナノハイズピードベースとフリーランメインにオールラウンドに活躍する。
特筆すべきはバインディング。話題のトゥキャップこそないものの、 06/07 で発売予定のニューシステムモデルを極少量ながら先行販売。過去に intelligence が発表された時も2シーズン目からは大幅にラインナップが増えたことを考えるとこの新型バインディングも期待大!
左がTEAM、中央がintelligence、右の芯材はTEAMのintelligenceテクノロジー。
NITRO
マーク・フランク・モントーヤ(MFM)の電撃移籍した NITRO は早くも MFM モデルを発表。ここ数年よく見られる大物移籍→即シグネーチャーという動きはしっかりと押さえているのはさすがといったところ。全体的なラインナップは大幅に見直しが行われたようで、モデル数がかなり増えている。これにより細かい好みにも対応出るようになっているようだ。
ところで NITRO がトータルブランドだということはみなさん知っているだろうか?ボード、ブーツ、バインディングは当然のこと、ウエアやレンタル用のモデルもラインナップしてる。海外での活動が日本とはずれていた感もあるが、来期より日本正規代理店を変更し、国内でもシェアの拡大を目指すとのこと。昨年の TOYOTA BIGAIR でマーク・アンドレ・ターレの優勝でシェアを伸ばした Volkl のように今期エーロ・エッタラが優勝しているだけに今後の動きは要注意だろう。
MFMのシグネーチャー。今後NITROの顔としての活躍が期待される。
Rad-air
フリーライディングの名門 rad-air 。来期も tanker を筆頭にフリーライディングモデルが準備されている。この tanker 、なんと最長 200cm を用意しているとのことで究極のロングボードと言うことができるだろう。日本での認知度はまだまだだが、コアなフリーライディング派のみなさん、ロングでメローなスノーボードはいかがだろうか?
2メートルのtanker。他にはない独自の商品コンセプトが光る一本。
K2
アメリカの超大手 K2 グループのメインとなる K2 。もちろん巨大企業だけあって全て K2 ブランドで揃ってしまうラインナップはさすが。ボード、バインディング、ブーツ、ウエア、アクセサリー、バックパック etc 。注目なのはまずボードでは 10 周年を迎える zeppelin 。基本コンセプトはそのままに毎年先端のテクノロジーとライダーのフィードバックを取り込み進化を続けたある意味 K2 、 10 年の歴史の象徴でもあるこのモデルが K2 の目玉になるだろう。もちろんパウダーオールマウンテン、テクニカルフリースタイル、ビギナー向けなど全てのスタイルのライダーが満足出来る充実のラインナップは強力だ。そしてここ数年 K2 が力を入れているのがバインディングとブーツ。ブーツでは通常アウターに装着する BOA をインナーに搭載。これにより簡単に確実にライダーのフィーリングに合うブーツが可能になったとのこと。またバインディングではトゥキャップこそないものトゥがけが可能なトゥストラップを採用するなど全体的な流れもしっかりとフォローしている。
K2の山口プロが手にするのはzeppelin。販売店の評判も上々だったようだ。
STEPCHILD
シモン・チェンバレンでおなじみの STEPCHILD 。これだけ多くのブランドが立ち上がっては消えていく中でしっかりとポジションを確立しているブランド。その規模は大きくないながらもハイクオリティな製品を世に送り出している。ライダーはシモンのほかにマイク・ランケット。2人のシグネーチャーの他に3種類、計5種類のみのラインナップ。まさに北米コアブランドといった STEPCHILD だが、シモンの活躍などで徐々に日本でも浸透してきている。他とは違うハイパフォーマンスボードがほしいならチェックするべきだろう。
simonモデルは大胆にグリーンをあしらう。もちろん十字架マークもグリーン。
Lastarts
3年目を迎える Lastarts 。独自のフォーミング技術が注目され確実にカスタムフィットができるというのが大きな特徴。日本のブランドだけに足形も日本人に合わせてあり、フォーミングカスタムと相まってフィット感に関する評価はひじょうに高い。これまでの問題点だった重さを徐々に解決してきているようで来期はかなりの軽量化に成功してる。
日本人の足形にフィットし、なおかつフォーミングが可能なLastarts。写真はリミテッドの島田聡モデル。
SHIMANO
現在市場に出ている中で唯一信頼できるステップインを発売している SHIMANO 。来期は縦位置2点止めの新型 ACCUBLADE をラインナップに加える。 HB の発展型でもある ACCUBLADE はこれまでの問題点であったソールが硬くなる、雪が詰まると言った HB の問題点を解決しなおかつステップインの利便性とノーマルタイプの軽さを両立したモデル。ラインナップはこの ACCUBLADE と従来の rapidfire と2ラインの構成になる。さらに来期からはノーマルソールタイプのブーツも発売するとのことでこちらは ACCUBLADE のブーツをベースに軽さと足裏感覚を重視したパフォーマンスモデルとのこと。
これが来期登場の新システム。これまで以上に軽く快適でなおかつ雪つまりなどによるトラブルも解消されたとのこと。
ARBN
斬新なデザインと機能性、高いコストパフォーマンスでシェアを伸ばしている ARBN 。今期同様に Armor 、 radic 、 arg の3ライン構成はそのままで、ユーザーにもわかりやすいようになっている。メインとなる radic は各モデルに炎、稲妻、星と言ったシンボリックなモチーフをウェアに表現している。カラーもこれまでのアースカラーだけでなくブライトカラーも登場。主義、主張= Rock というコンセプトで新しいコーディネイトを提案している。
セッキーが着ているのはradicのトップモデル。生地やデザインだけでなく機能的にも優れている。
Undopquestion
新しく登場の undopquestion 。 MagicBoard for all of you ということで新しいスノーボードの提案、オリジナルボードの開発、独自スタイルの創造を目指す。このブランドのコンセプトを一番表してると思われるのは ULC 。バックカントリー、ゲレンデ、パウダー、グルーミング、ツリーとフィールドを選ばすにフリーライディングを楽しみたいというライダーの意見から生まれた ULC 。ワイドなノーズとスワローのようなテールと完全にオリジナルな一本。もちろん従来型のボードもラインナップされていて今後の展開が楽しみだ。
初登場のundopquwstion。写真のULCの他にレギュラータイプのモデルもラインナップされている。
Columbia
アウトドアブランドとしてスノーボードシーンに登場して以来確実に支持を集めている columbia 。ハイパフォーマンスを手頃な値段で手に入れることができるのはさすが本格アウトドアブランド。毎年人気なのはスノーボーダーが主導となって開発される limited ライン。来期も限定モデルとして展開予定とのことだが少数なだけに早めのチェックが必要。 SBX ではナショナルチームの千村格、長嶋勇也、ハーフパイプでも同じくナショナルチームの田村弥生、中島志保といったトップライダーがスポンサーを受けており、フリーライディングのみならず、全てのシーンで活躍するウエア。
BTM
モローから引き継いだ独自技術を採用する BTM 。そのスペシャルな技術がまた一つ復活する。ツインチップでもパウダーで抜群の操作性を発揮するその技術は Trust Spoon で採用される。この技術はノーズとテールを部分的に丸く盛り上げることによってパウダーを効果的に流れさすというもの。加えて最新のアルティメイトグリップと呼ばれるエッジ加工技術も採用し、独自技術と最先端の融合がはかられている。今期好評だった love & peace は来期もマービン製のスペシャルコアを採用してのラインナップとなる。
BTMの特徴を説明するセッキー。写真のコアが見える物は説明用のサンプルで実際の物はグラフィックが入る。
Sabrina SIS
上田ユキエが先頭となって日本でのレディースシーンをリードし続ける sabrina 。ついに BTM から離れて別ラインの sabrinaSIS となる。来期はラインナップも sabrina 、 sabrinaLove 、 sabrinaHane と3種類に増え選ぶ幅もかなり広がった。こちらも BTM 同様にモローからの技術がベースとなっているが、 sabrinaHane に関してはマービン製のナチュラルウッドモデルとなる。来期もレディースシーンをリードするのは間違いなさそうだ。
レディースのトップブランドに成長したsabrina。今期は3モデルの展開で、写真はsabrina。
MW
BTM から独立した、あるいは BTM のフラッグシップ!?とにかくいろんな意味で特別なのがこの MW 。なにしろカタログからして MW だけ別なのだからメーカー側の気合いの入れ具合がわかるというもの。モヒカンがトレードマークの Tingo の独自の世界観が光る MW 。
tingoの独自の世界観が広がるMW。グラフィックもBTMとは全く異なっている。
COBRAWORX
日本人の足形を研究して作られた COBRAWORX 。国産ブーツの先駆けとも言える COBRAWORX だが、実際固定ファンも掴んでおり、後発の国産ブーツに対してアドバンテージを持っている。来期は積極的に BOA をラインナップしているばかりでなく、独自のクイックレースを採用するなど使いやすさとパフォーマンスの両立を狙っている。ラインナップは 01、SP、03 となっている。
またもやセッキーに説明してもらう。来期COBRAWORXは積極的にBOAモデルを展開する。
PHANTOM in the DARK
ジワジワと勢力を広げている PHANTOM 。来期は大幅にラインナップを変更。 SUBLIME は大人のために最高級の乗り味を提供。テクニカルな滑りにもハイスピードクルージングにも余裕で対応できる基本性能の高さが売り。そしてメインとなるのが TEAM DECK 。これは昨年までのシグネーチャーライン(ゲレンデライン)を統一したもの。もちろん一本一本は各ライダーが個別に開発しているので実質はシグネーチャーになるのだがグラフィックの統一などを行いユーザーにわかりやすくしたようだ。この他レディース向けのニューラインを発表するなど幅広いユーザーに向けたラインナップが特徴となっている。
ちなみにアルペンのナショナルチームで活躍中の竹内智香も PHANTOM のボードを使用しているようだがこちらは今のところ販売の予定なしとのこと。ただアルペンでの技術は間違いなく製品にフィードバックするとのことで来期以降の展開が楽しみ。
池下ジェシーが持つのは来期のTEAMDECK。シグネーチャーではなくなったが実質はジェシー開発のモデルも継続。
ROME
もともとB社にいたエンジニアたちが立ち上げたROME 。腕に自信のあるエンジニアたちの集団であるのでその製品のコンセプトやテクノロジー、品質管理などもありここ数年で確実に地位を築いてきた。スタンダードなウッドコアをベースに独自の発想で新しい世界を構築する技術の結果と言えるだろう。そのROME 、来期はバリエーションも増え、多くのライダーがお気に入りの一本を手にできるような展開を行う。しかし、特筆すべきはついに発表されたバインディング。ブランド立ち上げと同時に開発が進められていると噂はあったがいよいよお披露目となった。軽量でフレキシブル、それでいて反応も的確というROMEバインディングは2機種での登場。ボードと同様に今後さらなる展開が予想されるだけに目が離せない存在となるだろう。
ついに登場ROMEバインディング。この時期に発表するだけあって完成度はひじょうに高い。
SANTACRUZ
一時期一世を風靡したSANTACRUZも来期は巻き返しを図ってくるだろう。看板ライダーのジャン・シメンに加え、昨年移籍したセス・ハウトが二大看板としてブランドイメージを引っ張る。もちろんイメージ戦略だけでなく、そのテクノロジーも他のブランドとは発想からして違っている。昨年話題となった非対称テクノロジーを今期も一部モデルに採用。これは昔あった左右非対称ボードの流れを汲む物で、ツインチップという前後の区別がないことを活かし、トゥサイドとヒールサイドでサイドカーブを変え効率的にエッジングを行うというもの。この技術を採用したボードはノーズとテールでセッティングするのではなく、トゥサイドとヒールサイドでセッティングする。
左からトップモデルのDUO GLX、セスPRO、ジャン・シメンPRO
DELTA-X
スノーボードギアでは初のグッドデザイン賞を獲得し、機能だけでなくデザイン面でも優れた評価を得ている DELTA 。細かな部分まで調整可能なベースプレートと絶妙なバランスのフレックス設定、豊富なカラーバリエーションと現在の日本の流れを良く理解したラインナップは来期も確実にシェアを伸ばしていくだろう。もちろんDELTAも上記機種ではトゥストラップが従来タイプとトゥがけ両方に対応。さらにアンクルストラップにはF1のバケットシートにも採用されているEX-GELという素材を採用。これによりストレスなく確実にホールドできるようになったとのこと。ラインナップは VIPER evolution を筆頭に5機種だが、カラーも含めると14のバリエーション。
これだけ豊富な数のラインナップが来期店頭に並ぶ。
RIDE
西田崇、平岡昭史と言った日本を代表するライダーをサポートするRIDE 。北米では人気ブランドだが日本での認知度は今ひとつだったが、この2人の活躍により徐々にだが日本でのブランドイメージも向上してきている。実際、ボードの方はバリエーションや板の作りもガラッと変わり新しいRIDEとなって評判も良く、販売店でも積極的に展開しているところが増えたようだ。そしてこのブランドの真の実力を発揮するところと言っても過言ではないのがバインディング。1ピースタイプと2ピースタイプの両方を提供する数少ないブランドで、なおかつ製品のクオリティもひじょうに高い。今期より上位機種のトゥストラップがトゥがけ対応となり最新の流れもしっかりと取り入れるなどそつがない。軽量な1ピースとアジャスタブルな2ピース。毎年進化するバインディングの中でしっかりと独自の路線を築いているRIDEバインディングに要注目!
トータルブランドなのだが日本での知名度はやはりボードとバインディング。実際バインディングの作りはかなりイイ。
GIRO
ヘルメットブランドでおなじみGIROからはトップモデルのFUSEとNINE.9の間に位置するG10が新たにラインナップ。カラーバリエーションもさらに増えてますます選びやすくなった。この新しいG10には半キャップタイプながらバイザー仕様もラインナップされ、各自のスタイルに合わせて選べるようになっている。この他にもBADLIEUTENANTシリーズではそのミリタリーテイストを活かしたデザインとポップなデザインをラインナップ、ヘルメットでもスタイリッシュに自分を魅せれるようになっている。一時期ほどのヘルメットに関する関心はなくなったようにも見えるがセルフディフェンスという意味ではプロテクターと同様に自身を守るために持っていたいアイテムの一つ。新しいトリックにチャレンジするときや大会に出る時、高速滑走の際などあって良かったと思うことの方が多いヘルメット。来期はもう一度自分の体について真剣に考えてみてはどうだろうか?
OAKLEY
世界中もっとも多くの場所で使用されているだろう OAKLEY 。サングラスとゴーグルだけでもそのシェアは広く、スノースポーツのみならず、陸上競技やゴルフなど、およそ考えられる限りのスポーツで愛用者がいるトップブランド。近年はアパレルやウエア、フットウェアの充実もあり、これまで以上にOAKLEYブランドを良く目にするようになった。ゴーグルでは来期ついにヘルメット対応のニューフレームが登場する。もちろん従来モデルのAとWISDOMもカラー変更が行われてよりポップなカラーも登場。また来期はグローブもラインナップに加わり徐々にトータルブランドとしてスポーツ業界に浸透していくものと思われる。
Smith
ハイクオリティゴーグルブランドとして確たる地位を確立しているsmith。来期は新型ミラーレンズがラインナップに加わる。 SM (センサー・ミラー)と名付けられたこのレンズはライトローズをベースにブルーコーティングを行い、パッと見ただけでは普通のブルーミラーレンズ。しかし可視光線透過率は70%とひじょうに高く、これまでミラーは厳しいと言われてきた悪天候時に対応する。もちろんミラーコーティングを行っているので急に天気が晴れて日差しが強くなっても対応できるという利点も忘れてはいけない。これまで「何枚ものレンズを取り替えるのが面倒だからどうにかならないか?」と考えていた人にまさにうってつけの新レンズ。また、ゴーグルのラインナップ自体はそのままだが、FUSEのSPECIALEDITIONではグラフィカルなフレームとベルトが準備され、好評だったステッカーチューンシートと合わせて個性的なゴーグルとなっている。
ニューレンズ登場でさらなる使いやすさを提供するsmith 。
マツモトワックス
デバン・ウォルッシュもライダーとなり、さらにパワーアップする本webサイトおなじみのマツモトワックス。今年は開発者である青山博士がまたしてもやってくれたぞ!昨年からのテストがついに実を結び、スノースポーツワックスとしては初となるフラーレンワックスの商品化に成功した。「このフラーレンとは炭素原子の結合の形の一つで・・・以下略」と説明してもらったのだが、この話だけでも特集が一つできるくらいなので今回は省略します。で、結論から言うと滑るのか?ってところが重要なのですが、「暖かい日は滑ります」とのこと。現在寒い状態でも効果的に滑るワックスの開発を行っているとのことで、来期はとりあえずイエロー、レッドの2種とインドア用の2種がラインナップ。また選手の間では大好評のグリーンもついにフルシリーズ化、over、EXTRA、EXTRAHIGHとフルラインナップ。全体的なラインナップも見直しが行われ使いやすく、選びやすくなった。
開発を行っている青山博士は本物の科学者。
取材後記
今回は例年よりも寂しいと各所で言われた SBJ 。事実参加ブランドも減り、入場者も少なく見受けられた。ただ、参加しているブランドはどれも元気であり、入場者も来期に向けて真剣に吟味していた。一時期のようにスノーボードであれば良いと言う時代はとうの昔に過ぎ去り、これからは高品質でユーザーの気持ちをよく知った商品を開発したブランドだけが生き残れる時代になっている。そんな中、新規参入のブランドや国内代理店を変えて、さらなる発展を狙っているブランドなど、各社がまだまだスノーボードに対する熱意を失っていないというが一番明るいニュースだろう。最後に来期の傾向をまとめてこのレポートを終わりにしよう。
ボード
すでにどのブランドのボードも各社独自のテクノロジーを開発しており。一時期あったようなスノーボードの形をしているだけというモノは市場からほぼ完全に姿を消したと言っていいだろう。その中の傾向として、コストパフォーマンスに優れたメインのラインと、そのブランド力を見せ、イメージを第一とする高価格なハイエンドモデル、新規のユーザーを獲得するための低価格なエントリーラインの3構成が一般的になっている。ただ、来期の傾向としてエントリーラインの変動は少ないが、メインのラインの価格帯が若干下がってくるようで、これに対し、ハイエンドは高価格(9万円後半以上)を維持するようだ。もう一つ特筆すべきはパウダーボードの台頭。海外大手ブランドに限ったことではなく、国内のスモールブランドでもパウダーをメインに打ちだしているブランドが増え、いわゆる「大人」のスノーボーダーの回帰を狙っているとみても良いだろう(これらパウダーボードはひじょうに高価)
バインディング
高ければ良いと言う時代は終わり、ライダーの個性に合ったモデルを選ぶ時代になっている。このためメインとなる価格帯は昨年同様、ミドルレンジのモノと予想され、3万円前後のモデルがバリエーションも豊富で選びやすく、なおかつ高品質。これに対し高価格帯は一部の固定ユーザーの間では不動の物となっており、やはりここでも「大人」向けの高品質・高価格なモノが人気があるようだ。海外大手に限らず日本のブランドもトゥキャップに対応するべく、従来の上からの締め付けと、トゥがけ両方に対応してきている。来期以降はこれが標準になるだろう。
ブーツ
比較的大きな変化はないものの、国内のシェアではBOAブーツの比率がひじょうに大きくなっている傾向は来期も変わらない。これに向け BOA 社より上位機種向けのBOA ホイーラーという新型が投入されており、これは従来の BOA ではワイヤーが伸びきって巻き取るのが大変だったり、引っかかると言うトラブルを改善する物で、中にスプリングが装備され、車のシートベルトのようにある程度までは自身でワイヤーを回収するようになっている。これにより従来に比べトラブルが減るほか巻き取る量が減る為によりお手軽で快適になるという。来期以降こういうコンフォータブル(快適性)に焦点を絞ったブーツがもっと増えてくるだろう。
ウエア
ここ数年のアースカラー、ダークカラーブームは一段落するようで、海外ではレッド・オレンジ・ブルーと言った発色の良いジャケットにダークなパンツが流行るようだ。これを反映して海外のウエア・ブランドは明るいジャケットをラインナップに復活させ、ユーザーにアピールしている。これに対し国内ではまだまだダーク系は続くとの予想からかダーク系が根強い人気のようで各社ともしっかりと押さえてあるというのが本音だろう。しかし、国内ブランドでも発色の良いウエアをラインナップに加える動きはあるようで、海外のように一気にとは行かないまでも徐々に明るいカラーがゲレンデで復活してくると思われる。シルエットは今までのルーズシルエットとジャストシルエットの2つが主流となるだろう。特に海外ではルーズシルエットに迫る勢いでジャストシルエットが浸透してきて、明るい色合いと合わせて「きれいめ」に着るのがオシャレなようだ。(もちろんバリバリのフリースタイルキッズは例外だが・・・)
ギアに関するご質問はいつでも「ギア掲示板」まで。ギアのエキスパート、ミノル副編集長がお答え致します。
http://www.dmksnowboard.com/b2s/material/light.cgi