春という季節は、スノーボーダーにとっては、「冬が終わる」ということで、ちょっと寂しい思いをする方もいるのではないでしょうか?
しかし、春は雪がシャーベット状になり、いわゆる「シャバ雪」になります。
やわらかくなった雪は、スノーボーダーにとって転んでも痛くなく、だから春はパークの季節とも言われます。
今回のハウツー・コラムでは、改めて春のパーク・ライドの良い点や、天候による状況変化に対応するためのアドバイスをしましょう!
まず、雪がやわらかいため、ジャンプしてもランディングがより安全になる、その点は多くの方に知られるところだと思います。
そして、もう1つ春の良い点を挙げると、温かいために身体がよく動くということ。これは、大きなポイントです。
冬の間は、マイナスの気温のため、身体が冷えてしまいがち。だから、朝はしっかりとウォーミングアップすると良いですよね。
よく、うまいフリースタイラーを見ると、積極的にグラトリして身体を動かす姿が見られます。例え意識的でないにしろ、多くのうまいスノーボーダーほど、ウォーミングアップをしているように見えます。
これは、心拍数を上げる動作とも言えるでしょう。
僕はかねがねスノーボーダーにとって、どれほどの心拍数が良いのか、考えているのですが。
大ざっぱに言えば、だいたいこんな状況が良いと思われます。
走ると、息がゼーゼーしてくる。この状況では、疲れ過ぎて、良いパフォーマンスが発揮し難い。
軽く走って、ほのかに息がハアハアしているくらい。これくらいだと、身体がよく動き、良いパフォーマンスを発揮しやすい。
「自分が頭の中で描いたことが」+(温かさ=心拍数アップ)により→「実現しやすい状態になる。」
そう、ウォーミングアップって大切なんです。
キッカーでハイクする時は、息のハアハアが収まった頃、かと言って完全に収まり過ぎていないようなところで、ドロップして挑むのです。
そして、春の場合、身体が本当によく動いてくれるので、これまでできなかったトリックも実現できるものです。
もちろん、怪我にはくれぐれも気を付けてほしいけど、自分がやったことのないトリックをメイクるチャンスと言えます。
そういった意味で、春はフリースタイル上達の季節!
次に天候による雪質の変化について。
春。晴れた朝は、放射冷却によりむしろ雪が固くなる傾向にあります。
晴れた日の方が、朝、雪は固いのです。だから、朝方に滑ると、ガーガー音を鳴らしながら滑ることになります。
でも、場所にもよりますが、だいたい午前10時からお昼の12時頃までには、雪が柔らかくて適度なシャバ雪に。
そして、ランチを過ぎた頃には、シャバシャバになり過ぎたり。
だから、だいたい午前10時~午後1時までが、最適な練習時間になります。
次に曇った場合。下手したら小雨のような状況。
こういう天候が悪い日の朝は?
実を言うと、朝から雪はシャバっているものです。春独特の放射冷却にならないので。
もう、こういう時は、朝一番、グルーミング(圧雪)している状況で、ガンガン滑りたいですね。
つまり、午前9時~午後12時までが勝負になります。
以上のようなことを踏まえて、春のスノーボーディングをすれば、より効率よく練習することができると思います。
ぜひ、参考にしてみてください。
飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴30シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等のハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWing誌では、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、シーズン中は日本へ帰国しコーチングも行っている。
シーズン中は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、今なお世界中の多くの人にスノーボーダーの楽しさを伝え続けている。