文:飯田房貴
今回は、これからライダーを目指す人。
もしかしたら、学生さん、若い社会人の方にも良いアドバイスかな?ということを書いてみたいと思います。
先日、バラエティ番組を見ていたところ、元プロレスラーの佐々木健介に対して、あるお笑い芸人が、
「健介さんって、結局、具志堅さんみたいな立ち位置ですよね」
ということを言っていました。
なるほど、確かに芸能界にも立ち位置というのがあって、キャラがかぶれば出演できないこともあったり、逆に個性的なキャラを確立して自分の立ち位置をしっかりとキープができる芸人さんもいるのだろうな、ってことを思いました。そして、これはスノーボードの世界でも同じことが当てはまるということを思いました。
かつてシンクサンクのクルーが台頭し、スコット・スティーブンスがまるで曲芸のようなスタイルが大きな話題となりました。
そのスコットは今でも活躍しているけど、現在、その役割で大きくネット動画で活躍しているのは、スコッティ・バインのような気がします。
2000年前後、トレバー・アンドリューというキャラクターでも個性的なライダーが活躍していましたが、そのトレバーの前には同じようにキャラとスタイルが際立っていたジェフ・ブラッシーがいました。現代では、その役割をダニー・デービスが担っている感があります。
一昨年あたりドレッドヘアーでジブがカッコいい、エリック・リオンが目立っていましたが、今季その長いドレッドをカットしまいました。代わりに出て来たと言ったら失礼ですが、RYOKIがドレッドヘアーで登場し、良いインパクトを与えていると思います。
このようにスノーボード界でもキャラを確立していけば、自分の立ち位置のようなものが生まれて、うまくやっていけるものです。
でも、今の若いライダーは、そういう認識が薄いように思うのです。誰かの真似事というか。そして、ただ誰かに憧れてそこを目指して上達しているだけというか。
もちろん、最初は真似でもいいです。だけど、まだライダーになっていない段階から、将来的にはどのような立ち位置になるのか、考えていくことは大事だと思います。そうでないと、ただ闇雲に山に登って、どこに頂上があるんだか、わかんなくなっちゃうというような状態になりかねません。プロになったはいいけど、そこからどうしていけばいいか、みたいな。
かつて、僕もライダーとして活動していたのですが、とても普通のライダー像には当てはまるカッコいいものではありませんでした。
というのも、ビデオに出て活躍するようなカッコ良さもなく、大会で勝てるわけでもない。
そして、アルペンで長野五輪は目指していたのはいいけど、結局、カナダのプロ戦に出ていたぐらいで、優勝したわけではない。そういった意味では、ひじょうに中途半端でした。
でも、当時、自分のことを知っていた人は少なくないんですよ。
というのも、僕はハウツーのビデオに出演して、それをディレクションしていたし、ハウツーの本も書いてそこにも出ていました。
また専門誌、SNOWing誌では、毎月、ハウツーのコラムを書いていたし、SNOWBOADER誌では自分が出て「カービングのコツ」というようなものもやらせていました。
つまり、何をやったかというと、誰もハウツーなんてろくにやっていない時代から、ともかくハウツーのことを一生懸命にやって立ち位置を作って来たのです。
その後には、シモン・チェンバレンといっしょにバイタミンジブというDVDも作っています。
今度は舞台の影から、ハウツーを支えるようになっていたのです。
実のところ、こうした裏舞台での活動は自分が雑誌にガンガン出ている頃から初めていて、当時はベン・ウェインライト、マーク・アンドレターレというようなライダーと共にハウツーの撮影&製作をやっていましたし、ドクタービーバーという一般スノーボーダーが登場する人気ハウツーも担当していました。最終的には、決められた雑誌のページ数の中、タイトルやら文章、そして写真の構成なども考えて、どんどん知らなかった仕事にチャレンジして来ました。その結果、今、ここにいる、という感じです。
それでは、どういうふうに自分の立ち位置を考えていけばいいのか?
具体的にヒントを!
様々な方法があると思うけど、スノーボードのヒストリーを学ぶのも1つの手かな、と思います。
かつて、やっていたことで、今はやられていないことを復活させたり。
他には、今までに誰もやっていないスタイル。
こういうのは、どうでしょうか?
まったくグラブをしない。
「オレは、スノーボーダー。スケーターならグラブしてボードをつかまないとトリックを決めれないけど、オレはスノーボーダーだからグラブしねえ!」とか。
それで、グラブしない代わりにボードを引き付ける、ボードをつまめるかどうかのぐらいまで。
グラブすればエアートリックは安定するのに、グラブしないので難しい。だから、それをあえてやってスタイルを確立するみたいな。
他業種から学ぶ方法もありますよ。
例えば、芸能界を見れば、ハーフタレントやお姉キャラなどがありますね。
ライダーでお姉キャラはいないから、誰かやれば相当なインパクトですね!
まっ、脱線し過ぎました(笑
真面目な話で、女性ライダーの場合、チャンスが大きいと思います。
元々、男性よりも女性の方がライダーを目指す人は少ない。でも、ガールズの需要というのは、この業界で大きいものです。
だから、女性で超スタイリッシュにトゥイークを決めれたり、ストリートでフロントボードを決めれれば、それだけで個性になってしまうところも。
ともかく、SMAPでないけど、「ナンバー1でなく、オンリー1を目指して」、自分の立ち位置を考えよう!ということです。
誰もが、布施忠、国母カズ、角野ユウキになれるわけではない。
でも、昨日、インタビューで紹介した渡辺ユータように、個性的な活動をすれば、自分の将来が見えて来ると思います。
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