【コラム】学校では教えてくれないこと

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文:齋藤 稔

今まで、みんなも昔学校でいろんなスポーツを習ってきたし、遊んできたと思う。野球・サッカー・バスケットボール・水泳・バレーボール・etc。でも、今みんなが夢中になっているスノーボードは、学校では教えてくれないものだ。スノーボードは自分の意志ではじめたもの。誰からもスノーボードをすることを強制されたり、部活動のようにおっかない監督がいるわけでもない。それでも、雪が降ると僕らはスノーボードにでかける。

スノーボードのスタイルは人それぞれ、自分のペースで楽しんでいるはず。学校では、基準があり、それにそったカリキュラムが組まれている。部活に至っては、勝利至上主義になっている場合も少なくない。高校野球を見てもらえればよくわかると思う。選手はただ勝つことだけを求められる。数年前の甲子園。現巨人軍の松井選手がすべての打席で敬遠されたのがその良い例だ。選手は果たして楽しんでいるのだろうか?今の高校球児に僕は聞いてみたい。「心から楽しんでやっている?」と。

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そもそもスポーツは遊びの延長だった。スポーツ=楽しいこと。でも、今、学校で教えているスポーツには疑問を感じる。個人のレベルに合わせて楽しむことを教えるのは確かに大変だと思う。学校という環境であるから、すべては教育のためというのもわかる。しかし、場合によってはスポーツなんかは勉強時間の邪魔くらいに考えている先生や親がいるのは寂しい限りだ。受験勉強がすべてにおいて優先されるなんて、そんなの間違っている。少年時代にはもっと人生を楽しむことを学ぶべきなのだ。

スノーボードは学校では教えてくれない。だから自分でやるしかない。お金も時間もかかる。でも、学校では教えてくれないことをたくさん教えてくれる。雪が降ったあとの肌を刺す風がどれだけ気持ちいいか。パウダーを巻き上げる足元の浮遊感。自分のレベルで上達できた時の達成感。新しくできる仲間達。他人をリスペクト(尊敬)する気持ち。学校で教えてくれる方程式なんかより、ずっと僕らの役に立つことをたった一本の板は教えてくれる。トリックを失敗しても、派手に転んでも、選手からはずされたり、できるヤツに笑われるわけでもない。スノーボードは優しく僕らに接してくれる。時には厳しく自然の怖さを教えてくれることもある。猛吹雪で前が見えなくなるとき、寒さのあまり凍えてしまいそうになるとき、僕らは自然に対する人間の無力さを感じる。それでもたった一本の板は僕らに語りかける「どうだい、最高に楽しいだろ?」。

だから今年も僕らは眠い目をこすりながらゲレンデを目指す。学校では教えてくれなかった楽しいことが僕らをずっと待っているから。

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