文:齋藤 稔
そもそもプロとは?
今、日本でプロスノーボーダーと言えばJSBAのプロを指すと言っていいでしょう。たしかにJSBAで認定された”プロ”なのですから誰がどう見てもJSBAのプロはプロスノーボーダーです。ではそのほかにはプロスノーボーダーはいないのでしょうか?「プロフェッショナル」を辞書で調べると「専門的職業の、職業的な、専門の」などの意味があげられています。と言うことはインストラクターを職業としている人も”プロスノーボーダー”な訳です。インストラクターは他の人に自分の技術を教えることで生計を立てている方々ですから、プロ・スノーボーダーと言っていいんじゃないでしょうか?インストラクターの頂点に立つ“デモ”の方々はプロ・スノーボーダーに他ならないですし。ほかにはワールドカップを転戦している方もプロと言って間違いないでしょう。規定上はアマチュアでなければならないとかいろいろあるようですが、スノーボードが職業となっている以上その人達はプロなのです。他にはJSBAのプロでもないし、ワールドカップも出てはいない、インストラクターでもない、けれどもスノーボードで生計を立てている人も“プロ”と言っていいんじゃないでしょうか? 「プロフェッショナル」の意味からするとずいぶんたくさんの人が”プロ”と呼んでいい状況にあると思います。ではこれら「プロと呼んでもいい人達」と「プロと呼ばれている人達」の差はなんでしょうか?
プロと呼んでいい人、プロと呼ばれている人
実際“プロ”と呼ばれている人達は大会、雑誌、ビデオ等で活躍されています。つまり人の目に触れる機会が多いと言うことです。よくF1が「走る広告塔」などと呼ばれますがこの“プロ”と呼ばれている人は「滑る広告塔」と言っていいでしょう。多くのメーカーでは自分の製品をPRするためにスポンサーになっています。これはいろいろなところで自社の製品をPRするために実際に目立つ能力を持っているスノーボーダーに自社の製品を使ってもらい、多くの場で自社の製品のPRをしてもらうためです。単純に人の目に触れることの多い“プロ”の方は多くの契約金をもらいその代わりにメーカーの宣伝マンとしての責任が生まれます。この責任を果たせる人が一流の“プロ”であると思うのです。ただスノーボードで生計を立てるだけではなく、自分に課せられた責任を果たせる人これが「プロと呼ばれている人」です。自分のためだけに表彰台に立つのではなくそれを支えてくれているスポンサーのことも考えられる人、多くのメディアに登場し、スポンサーの名前も同時にアピール出来る人、このような人が“プロ”なのです。「プロと呼ばれている人」はこれが上手いのだと思います。ただJSBAのプロ資格を持っていてもそれを上手く使いこなせなければ一流とは言えないでしょう。メディアで話題になるためには自分の能力を高めて他人とは違った自分を発揮できなければなりません。また、この輝きがなければただ「スノーボードが上手い人」で“プロ”ではありません。これは企業側から見た“プロ”ですが、では一般の人から見た“プロ”とはどう違うのでしょうか?
我々一般のスノーボーダーから見た“プロ”は「○○さんみたいに飛んでみたい」とか「XXさんみたいに速く滑ってみたい」だとか夢や目標を与えてくれる人達だと思います。ビデオや雑誌でものすごいトリックやスムースで速いライディングを見せてくれ、一般の人にスノーボードの楽しさを伝えられる人、これが一般のスノーボーダーからみた“プロ”であると思います。今現在日本で“プロ”の資格を持っていてもスノーボードだけで生計を立てられる一流の“プロ”はそれほど多くは無いと思います。これは企業側からみた“プロ”と一般の人から見た“プロ”の両方を兼ね備えている人が少ないからであると思います。ここが「プロと呼んでいい人」と「プロと呼ばれている人」の差であると思います。今後はこの「プロと呼んでいい人」達が「プロと呼ばれている人」になっていけばますますスノーボードは盛り上がっていくと思うのですがみなさんどう思われますか?