【コラム】ブランド乱立時代の背景を探る

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文:飯田房貴

最近、何かと新ブランドが登場している。特に新しいブランドを作りやすいウエア、カジュラル類の新ブランドが増えている。こうした事実をそのまま読み取れば、業界活性化とも受け取れるのだが、そこに至った背景をいろいろ考えてみると、そのまま喜べない。

スノーボードは90年中頃のいわゆるスノーボード・バブル時代を経て、そこから一気に世の景気の後退にも増して、下降線を辿っている。景気が悪くなると、まずレジャー商品の落ち込みが激しくなるので致し方ないところだが、その不景気に耐えられなくて様々な現象を引き起こした。ショップやブランドの倒産や、またスノー・リゾートの倒産など。

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特にウエア・ブランドはかなり辛い戦いを強いられているようで、その結果、PRに掛ける費用は縮小傾向だ。そんな中、大物ライダーとの契約が不可能になり、大物ライダーたち新しいスポンサー先が見つからずに新ブランドを立ち上がるという結果を招いているのだ。もちろんすべてそういったケースではないが、様々入ってくる情報を考えるとこういったケースが多いように思われる。

このような背景を考えると、必ずしも業界にとってはプラスとはならないだろう。つまり、業界の広さはまったく変わらずにむしろ狭まる傾向で、その中から新しいブランドがポコポコ生まれているに過ぎないからだ。このような流れを脱却するためには、よりユーザーがスノーボードの楽しさを発見できるようなイベントが必要だろう。スノーボードのおもしろさをより理解していただけるようなキャンプを行ったり、またその商品を知っていただけるようなイベント、試乗会など開いたり。
ウィスラーなどでは春先になると、毎週のように試乗会が行われているが、日本はひじょうに少ないと思う。春になればあたり前のように各地で試乗会が開かれているような風景があるといいと思う。

新しいブランドができることが悪いことではないが、その前にぜひとも業界一丸となって、もっと底辺層を広げることと、またその底辺層がよりコア層に成長することの実施が必要だ。プロ・ライダーの方に言いたいのは、カッコいい撮影の仕事もいいけど、ぜひ底辺層を広げるハウツーなどにも参加してほしいと思う。ハウツーは時にドロ臭いような仕事だけど、トップ選手が一般層の目で語ることによって、より多くの人たちが影響を受けるし、またそのパワーが業界を活性につながる。新しいブランドを立ち上げるのもいいけど、その前に自分は「どれだけ底辺層を広げる仕事をして来たのか?」考えていただきたい、と思う。

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