文:国清 晃
はじめまして、国清 晃(クニキヨ アキラ)と申します。学生をやっています。スノーボードは2年前に始め、今年で3シーズン目になります。はっきり言ってカービングってどうやったらうまくできるのかってくらいのレベルです。
こんな私がなぜこういったところでこういった文章を書かせていただく気になったかというと、dmkクラブの主催者の飯田房貴さん(以下フサキさん)にお会いしたからです。なんで普通の学生に過ぎない私にフサキさんと親交があるのかと言いますと、私のホームページを見たフサキさんが私にメールを下さったのがきっかけでした。それ以来メールのやりとりを続けていたのですがつい先日「一回会ってお話ししてみましょう」ということになったのです。そして、飯田房貴さんに初めてお会いし、いろいろとお話することができました。私がフサキさんに求められるままに勝手にスノーボード業界についての感想やイメージを話していると、フサキさんはとても面白がって聞いてくれました。一般人である私の感想は業界にどっぷりと漬かっているフサキさんには興味深く感じられたらしく、私にそのことについてコラムを書かないかと言って下さいました。スノーボードの業界に携わる方々はプロはもちろん、みなさんスノーボードを長い間やられているわけですから、スノーボードに対する高い技術や深い知識を持っているわけです。その方々の書く雑誌の記事やハウツーは私にはとてもためになりますし、限りなく進化し続けるスノーボードの方法論により近いものだと言えます。しかし、「スノーボード・バブル」とも言える現状の中、その底辺をなし、一番の人口を抱えているのが初心者層です。この方々にとってはプロのハウツーより身近な人のアドバイスの方がためになる場合があります。ついこの前に初心者を脱出した中級者のほうが、その時期をはるか昔に経験なさっているプロの方よりもリアルで効果的なアドバイスを与えられる場合があるのです。こういった考えを支えにしながら私個人のスノーボード業界(特にメディア関係について)に対する考えを述べさせていただきます。
●初心者向けのハウツー本について
スノーボードを始めるときに私がまず買ったのは雑誌サイズのハウツー本でした。お金のなかった私はスクールなどに入らず、自力でやっていこうと考えたのです。2~3冊買ってみたのですがどれも良くわかりませんでした。当時は本の内容があまり理解できないのは自分が「ヘタクソでセンスがない」せいなんだ、と思っていましたが、その「ヘタクソでセンスのない」人が理解しにくいハウツー本ははたして良いものといえるのでしょうか。
今それらを見返してみるとフリースタイル向けの初心者本なのにモデルがアルペンライダーだったりします。初心者向けだからモデルはただうまければいいと言うのではなくて、初心者向けだからこそ最初にいいイメージを植え付けるためにも同じフリースタイルのライダーを使うべきではないのかと考えます。あとは道具の選び方などの滑り出す前の記事が足りないように思えます。ボードは長さだけではなく幅も考えること、ラチェットバックルの便利さ、しっかりとしたブーツを選ぶことの重要性など。また、だいたいのスノーボードの初心者本は「カービングのやり方」ぐらいまで言及しています。そこまでやらずに滑り出すまでの道具の選び方などからドリフトターンくらいまでで十分なのではないでしょうか?それでコストを押さえて価格を安くできるのならより良いと思います。それともやはり単価を上げないと利益がでないのでしょうか。
私の考える理想のスノーボードの初心者本は道具を揃える前に買って、カービングがどうこうとか言えるようになったら必要がなくなるような本です。あとは次の段階の本に任せればいいのではと考えます。
●スノーボードの雑誌について
スノーボードの雑誌はときどき買ったり、立ち読みしたりする程度です。¥1000近くしますからね。フサキさんにお会いしたときにスノーボードの雑誌についてどんな印象があるか?と問われたのでそこでお答えしたことも簡潔に述べます。いきなり話しは飛びますが私は大学で情報システム関連のゼミに所属している関係でコンピュータに少し興味があります。そこでまずコンピュータ雑誌の淘汰についてのお話をさせていただきます。近年、コンピュータ業界(特にパソコン)もスノーボード業界と同じようにブームを迎えています。今までは一部のマニアのものとされていたコンピュータがインターネットの普及などによって一般の人も使用するようになったのです。そこでいろいろな雑誌社から多くのパソコン雑誌が出されました。しかし現在では淘汰されてしまった雑誌が少なくありません。そういったパソコン雑誌は多くが「総合コンピュータ雑誌」といった方向性で発行されていました。ところがそういった悪く言うと「どっちつかず」な雑誌は実力のある大手の雑誌に飲み込まれていったわけです。逆に現在も生き残っているコンピュータの雑誌は大きく独自性を打ち出しています。コンピュータを使った在宅勤務に照準を絞ったものや、ある特定のプログラミング言語だけを扱った雑誌などです。
そこでスノーボードの雑誌もこれと一緒で「どっちつかずな」雑誌よりもある特定の読者層に向けた雑誌やその雑誌にしかない特徴を出したものが生き残るのではないかと考えます。現在では「SNOW STYLE」さんが独自の雰囲気と言いますかスタイルを確立しているように思います。「TRANSWORLD ~」さんもカッコいいイメージがあります。フサキさんが大きく出てらっしゃる「SNOWBOARDER」は他の雑誌よりもハウツー重視で独自性を出していると思います。その分前述の2誌に比べて「カッコ良さ」はないように感じます。でもそれで良いのではないかと思います。
●スノーボードのホームページについて
現在多くのスノーボードのページがWEB上には存在し、私も初心者向けのスノーボードのホームページを開設しています。全部を見たわけではないし、ほとんどを見ていないのでしょうが、その多くがハウツーといった感じのものを提供しているようです。ただ、雑誌のようにしっかりとしたものを提供している所は少ないようです。考えてみれば当たり前でそのハウツーの作者は技術レベルを問われないわけですし、何と言ってもホームページでの情報公開は基本的に「無償」というところにあります。お金を取って見せられるだけの立派なものを提供できる人はそうはいないわけです。だからと言ってホームページを見るときにお金を取ると言うのは非現実的だと考えます。これからもスノーボードに限らずアダルトコンテンツ以外はほとんどそういう風にはならないでしょう。私が考えたのは見る人からお金を取るんじゃなくて、優れたホームページにはスポンサーがつくようになれば良いのではないかということです。ちょうどスノーボードのプロの世界といっしょですね。そういう風な仕組みが整えばスノーボードについてだけじゃなくインターネットというメディア自体も成長していくのではないでしょうか。
ところがそんな中でもきらりと光るものを持っているホームページは多く存在します。プロが作ったハウツーには書かれていないどうしようもないことが、上達のきっかけになる人もいるはずです。そういったことからもインターネットのホームページというものは初心者が上達するきっかけとなるものを見つけ出せるという点で将来性のあるメディアだと思います。ひとりのプロによる一連のハウツーよりも何百人、何千人によるアドバイスから自分に合ったものを選択する方が効果的な場合もあるはずです。
他のスポーツに比べてまだスノーボードはホームページ全体の力が弱いと感じます。これから多くの人がいろいろなものをホームページ上で提供するようになれば、スクール代をケチるどころか本さえも買わなくても済むようになるかもしれません。でもこれこそ非現実的かもしれませんね。
以上、メディア関係についてごくごく私的な考えを述べさせていただきました。参考にしていただける方がいらっしゃれば幸いです。