文:Showzy
ここ数年スノーボードの事故やケガについていろいろと問いただされていますが、逆エッジによる脳挫傷や、無理なエアーでの骨折、コース外での滑落や雪崩の問題など、スノーボードをする身にはまたかと思うほど耳に入ってきます。子供連れの親御さんが「ほれ、スノーボードがいるから危ないよ。注意しなさい」なんていう会話を耳にしたこともあります。楽しいはずのゲレンデでネガティブな発想をさせてしまうようなことが最近、増えているような気がします。スノーボード歴の長い立場では「同じことを何度も言わなければいけないのだろうか」というような気がしてしまうかも知れませんが、実際には初めて間もない人にとっては真新しいことばかりで、毎年毎年、ゲレンデ中央に座り込むことの危険性を知り得ない人が出てくるのでしょう。逆によく言われるゲレンデのマナーさえ守って、しかも、自分の技量を十分理解してその範疇で滑っていれば事故は起きないかと言えば、それでも起きるときは起きてしまうように思います。ゲレンデ内は刻々と状況も変われば年々様相も変化していきます。
ゲレンデ内だからと言って安全な保証はなにもない
先日ゲレンデで身障者用のスキーに乗った人と初心者ボーダーの接触事故を目撃しました。幸いにも両者ともかすり傷一つありませんでしたが、このようなパターンを初めて目撃したので少しショックを覚えました。ボーダーの方は初心者かどうかはその一瞬しか見ていないので良く分かりませんが中斜面から緩斜面に変わった辺りでコース真ん中で座り込んでる仲間の方へ、停止状態からするするっと横滑りで移動しているところへ、上から滑ってきたスキーヤーが突っ込みました。
スキーヤーは二人の間を抜けようとしたのですが、どんどん二人の間が狭まって、行き場所が無くなった模様で大きな声で「危ない」と叫んだのですが、ボーダーが振りった直後間に合わず突っ込んでしまいました。
はじめボーダーはかなりムッとした顔で見ていましたが、相手の状態からなのか、相手の人数に圧倒されたのか(サポートしていた健常者スキーヤーが4人くらい)、スキーヤーはごめんなさい、大丈夫ですか?と謝っておりましたが、すごすごと滑り降りていきました。当然被害者はボーダーで、加害者はスキーヤーとなるのでしょうが、マナーとされているゲレンデの中央で座り込んでいるボーダーも悪いです。かなりスピードに乗ってましたから、悪くしたら大変なことになっていたでしょう。また、スキーヤーの方も「ボーダーの動きが全く予想が付かなかった」と仲間に話しているのが聞こえました。
あれが、スノースクートのようなハンドルの着いたものでは、また違ったのでしょうが、一般のスキーやスノーボードのように一気に板を90度回しサイドスリップさせたりというような急な方向転換が出来ないようでした。動きが全く予想が付かなかったという言葉は、道路上で車を運転している際には全く通用しない言葉です。そのために車間距離を取りなさいだの、法定速度以下で走りなさいと決められています。
これは私に全く予想の付かない動きをする「雪上スポーツ」を意識させました。昔ながらの一般のスキーに加え、フルカーブするカービングスキーにちょこちょこと回るファンスキー、加えてどこでも急に止まる初心者ボーダー、直線的に直滑降で降りていくフリースタイラー、フルカーブでコース幅いっぱいいっぱい使うアルペンボーダー。今のゲレンデでは以前の数年前のスノーボーダーがゲレンデに溢れ出したときよりも混沌とした、各個人で滑走ラインは全く違い、ある程度予測できるのは自分と同じタイプの好みのライン取りするスタイルの人だけです。たとえば同じアルペンライダーだとしても浅回りが好きで直線的に滑るのが好きな人もいれば、深回りでゲレンデいっぱいロングターンを刻む人もいます。
私は北海道にいますので本州の屋内ゲレンデに入ったことはないですが、最近ザウスでも接触事故が少なくないと聞きます。しかも同じアルペンボードに乗った人同士で最大斜度の斜面で怒るそうですね。相手の動きを予測して自分の動きを合わせていたにもかかわらずのようです。滑走スピードと混雑が最大の問題ではあるようですが。
ですからある程度自分の前後の人の動きを予測しながら滑るのは大前提ですが、予測はあくまで予測なので近づかないというのをしっかりと胸に刻み込んでおかないといけないでしょうね。