「ある」と「ない」

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「ある」と「ない」。何がって?
スノーボードをしている時の意識のこと。
例えば、今、あなたがキッカーを飛ぶところだとしよう。
そこであなたはどんな意識を持っているだろうか?

リフトの上からパークでの風景を見ていると、あきらかに何も考えていないな、という場面を見かけることが多々ある。きっとそういう人はとりあえずキッカーにチャレンジしようと思ってキッカーに向かって滑り出すのだろうけど、あきらかに成功メイクするための意識が何もないのでキッカーが迫るたびに様々なプレッシャーを受けるに違いない。チョッカるスピードの怖さを感じるだろうし、向こう側の景色が消えてしまうキッカー飛び出し直前のところで、頭が真っ白になってしまっているのでは? 気づけば上体が伸びきり、飛ぶどころか、飛ばされてしまう空中での上体がバラバラで撃沈される。ランディングのイメージもないから、最悪の場面ではケガをすることもあるだろう。

昨日、僕はウィスラーでのクラブ活動を通じて、あるクラブ員に対するアドバイスでなるべくその人がポイジティブな考えられるようにどんな意識をすべきか伝えた。
例えば初めてのボックスに入る場面でのこと。僕はその人が怖さを感じなければ、メイクできるのはわかっていた。なぜなら、その人はフリーランがある程度できるし、何よりそのボックスは真っ直ぐに入れば、誰でもメイクできてしまう安定感が漂うアイテムだったから。だから、僕のアドバイスは、
1)まずは観察してこれから滑る人のスピードを理解してもらうこと。ボックスに入ったとたんいよく滑るから、それほどスピードはいらないと。
2)実際にボックスに入る手前の景色をボードを外した状態で見てもらった。そうこの時に「自分に真っ直ぐに入ること」を言い聞かすんだよ、と。
3)またボックスに乗った時の景色も見せたかったので、実際にボードをつけていない状態で立ってもらった。ボックスに入るとこの景色が見えるからね。焦らずにまっすぐ、ヒザを柔らかく使おう。
4)ランディングの状況を確認。ボックスを降りると、こんなランディングになっているから、ヒザでうまく吸収してランディング。
5)ボックスでのボードの滑り加減を確認してもらうため、実際にボードをボックスの上に乗せて、手を使ってボードの滑り加減を見てもらった。

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さあ、これから滑るぞ、という場面でさらに自分が先に滑りデモンストレーションした。
これからこのボックスを滑るクラブ員の頭の中には「ある」。それは上達するための意識だ。実際にトライした時に、どれだけのものが頭の中に入っているかは定かないが、間違いなく、これだけ解説をした後だけに、自分がやるべきことはイメージでできているハズだ。そして、トライして見事に一発目でメイクして見せた! 今までやっていないボックスにチャレンジしたことで、きっとスノーボードに対する1つの壁が壊せたに違いない。1度何か壁を壊すと、その流れでフリーランなども調子良くなるものである。1つの壁を壊すことは全体の滑りをも良くしてくれるものなのだ。

おさらい。
何かトライする時に頭の中にほとんど意識がなかったら。そのトライする場面で、どんどんマイナスの材料が入って来てしまう。これがネガティブ・シンキング。
ところが、意識すべきものがあったら、その意識すべきものが恐怖感などのネガティブ要素を受けずに、ただ成功メイクする意識そのままに頭の中は覆われるので、それはポジティブ・シンキングになる。
そう考えると、「ある」と「ない」の差はとても大きい。これからスノーボードをする時、誰もが避けては通れない、新しいことにチャレンジする場面。この時にどれだけ成功するための意識があるかどうかで、ずいぶんとスノーボード人生が変わって来てしまうことだろう。

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