【コラム】達人に学ぶ-アイルトン・セナ編-

文:齋藤 稔

「レースをするのは、僕の本能だし、最も自然な姿なんだ。」

「僕がレースを続けている理由は、恐らく、走る度に新しい発見があるからだと思う。攻めれば、攻めるほど、新しいものが見えてくる。しかも、次に走った時にはまた別の発見がある、その魅力が僕をやる気にさせてくれる。」

「人生の中には、抵抗しようとしても出来ないものがある。僕には走るのを止めることは出来なかった。僕に生命を与えてくれるのは戦いだよ。この挑戦が無ければ、僕はもう、存在しないだろう…。」

1990 なぜF1を続けるのかの問いに対して

アイルトン・セナ音速の貴公子としてその名を馳せ、世界の頂上に君臨したアイルトン・セナ。彼は常に自分に挑戦し続け、そして勝ち続けた。走ることをやめられなかったセナはレース中に残念ながらその生涯に幕を下ろした。
僕たちスノーボーダーはなぜ滑り続けるのだろう?セナのように滑ることをやめることができなくなった人たちの気持ちはこのセナの言葉が表してるのではないだろうか。滑るたびに新しい発見があり、常に新鮮な輝きを感じることができる。だから僕たちは滑ることをやめられない。一度知るとやめられない麻薬。セナはレースの世界でその麻薬に捕まってしまった。僕たちはスノーボードの世界でその麻薬にとらえられてしまった。大げさに言えば僕たちは生きている事を感じるために、自分の生命力の輝きを確かめるために滑り続けているのかも知れない。最近同じ事の繰り返しと感じる人はもう一度始めた時の気持ちを思いだしてみよう。今までに無い新しい感覚、新しい感動をスノーボードは僕たちに教えてくれた。人間はなれてしまう生き物。同じ事を繰り返していると、感覚がなれてしまい感動しなくなってしまう。でも、もう一度周りを見渡してみよう。晴れた日の乾いた空気の心地よさ。吹雪の時に感じる人間の無力さ。そこには新しい発見がまだまだあなたを待っているはずだ。
セナが感じた強烈な生きているという実感を僕たちはスノーボードで感じることができる。そしてそこでは新しい発見が僕らを待っている。