【コラム】会計学から見るリルの功績

(上田)ユキエちゃんがプロデュースしているリルが今年もとても売れている。くわしい数までは把握していないが、日本で販売されている DVDの中で海外モノ合わせてみてもトップ3で売れているのではないだろうか。自分が思い付くビデオでは、ライオRED EYES率いる24/7(注:現在のところ今年のDVDの中で最高の販売数と聞いている)ぐらいしか、リルの販売パワーに対抗しているのはないように思われる。

化粧ポーチ風でしかも可愛いリル・オリジナル・デザインのキーホルダー付き。さらにエッセンシャのお試しコンディショナーもあり、超目立つパッケージだ。

もちろん内容うんぬんについては、賛否両論あるし、それは購入者などの判断に委ねられることだろう。だけど、ここでは単純に会計学から言って、どれだけリルが優れているか、またこういった優れた点を他のビデオ・プロダクションズが参考にすべきか、ということを考えていきたい。

日本で販売されているビデオの数がどれだけあるかはわからないが、ともかくかなりの数があることは確かである。主要なところで30タイトル、全部で100というところか。
その中でもガールズというテーマで行けば、海外もの(As if / Misschief Production)1つしかない思いつかない。多くのスノーボーダーに認知されて、親しみ性がある国内ものとなるとリルしかないだろう。仮に100タイトルと考えれば、100分の1の希少価値、ということになる。
日本全国でビデオを買う人の数が1万人だとしたら、その1万人すべてがターゲット入っているのだ。( ※男性がガールズビデオを買わない、というデータもあるが、むしろ男性の方が買う、という傾向もあるので、あえて1万人ターゲットという形にしておく)

例えば、今、ビデオ世界のメインと言えば、ジブというカテゴリーが思い付くが、すでに 20タイトルもある、という話もある。この世界を愛好するのはビデオ購入数の8割を占めているとしよう。すると、以下のような数字が出る。

1万人の8割で 8000人。そこから20タイトルで分割されて400人のチャンス・ターゲットになるのだ。つまり1ビデオ・タイトルに与えられた平均的な販売チャンスは400人しかいないのである。もちろんブランド・ロイヤリティ(忠誠心)というのも存在するので、例えば今、最もジブ界で知れ渡った軍団・手摺狂会系ビデオがその8000人から8割以上のシェアを奪うことも可能だろう。だけど、それで計算しても、400人掛ける8割シェアで6400という数字までしかいかない。

さらに細かいことを言うと、パッケージが凄い。あの化粧ポーチ風パッケージがお店に並べば目立つ。どのビデオよりも確実に一番目立ってしまう。PR費用というのは、会社にもよって変わるものだが、例えばその売り上げ金額の1割を費やすとしたら、あのパッケージは充分にその役割を果たしているだろう。しかも、そのパッケージ代は1割も使っていなかったりして!? まあ、あんなに強烈なPRは他にないから、本来あれぐらいのPRをイベントなんかでしていたら売り上げ金額から3割ほど使うのでは? 例えばPR費用が 100万円あるとしたら、すでに3倍の300万円のPR効果をしていることになる。つまり会計学で言えば200万円のPR費用が削減されて、しかも3割規模のPRをしたことになるのだ。

例えば、Vitamin JIBなどは、PRするためのポスターを制作したのだが、あのような斬新なパッケージがあれば、そうした費用も削減できるのである。仮にポスター制作費用で10万円掛けていたら10万円の削減。

あとあのパッケージの凄さは、パッケージほしさに友達コピーや友達から借りることなどを防いでいること。チャックのところのキーホルダーはリル特性のデザインになっていて、その購買アピールはかなり強い。例えばこうしたコピーや友達に貸した販売ロスを全体の売り上げの5%あったとすると、 1000万円の売り上げなら50万円のロスを防いだということになる。つまり、あの斬新デザインの化粧ポーチ風パッケージは、50万円の保険も賭けられていたことになるのだ。

ここで改めてリルというビデオを会計学から見てまとめてみたい。

1 ガールズ・オンリー (100%のチャンス・ターゲット)
2 ジブを始めエアーやフリーランなどカテゴリーが豊富( 100%のチャンス・ターゲット)
3 斬新なパッケージ(100%のチャンス・ターゲット)

10000人ビデオ市場ではそっくりそのまま10000のチャンス・ターゲット

逆に熾烈なマーケットを食い合っている作品の特徴は?

1 男主体のビデオ(100タイトル計算で98タイトルが男性系だから2%のチャンス・ターゲット)
2 ジブなどカテゴリーを選別(主要カテゴリー計算で80%のチャンス・ターゲット)
3 普通のパッケージ(100タイトル計算で1%のチャンス・ターゲット)

10000人ビデオ市場で98タイトルにより、98チャンスターゲットになり、さらに100タイトルでそのチャンスターゲット数は1近くに。さらにジブ・カテゴリーで0.8という悲惨な数字が出た。

つまり、ジブという主要ターゲットで戦っているビデオ・プロダクションは、リル10000チャンス・ターゲットに0.8というチャンス・ターゲットで戦っているので、10000倍以上良い作品を作らないと勝てない、という恐るべし数字が出るのである。
(注:ブランド・ロイヤリティやそのビデオの持つ評判など計算に入れない、かなり大袈裟な計算方法だけど)

ユキエちゃんといっしょに写っているのはdmkクラブの会長で、オレの中学生時からの親友。多くの男はこのデレデレでユキエちゃんの真髄を見過ごしがち(!?)。まったくしょうがないなあ~。

ガビ~ン、この苦労しているマーケットで勝負している奴ってVitamin JIBを作っているオレのことかい!?

まあ、そんなことはさておき、さらに今回はスキーヤーもちょっと出ていたね? まだスキーヤーが登場したことでそれほどのスキーヤー層への販売があったとは思えないが、他のスノーボード・ビデオがスノーボードのマーケットで食い合っていることを考えれば、あの考えは斬新で凄い。つまり、ちょっとでもスキーヤーに買っていただけた可能性があるのだから。そこからの売り上げが10万円あったら、プラス10万円。

ともかくユキエちゃんがそういった細かい数字まで、計算して制作したとは考えられないが、ある程度、ユキエちゃんの感覚としてこうしたら売れる、という作戦はあったのではないか、と推測される。そう考えると、改めて上田ユキエというプロデューサーの凄さというか、強さのようなものが浮かび上がる。あんなに可愛い顔しているのに、プロデューサーとしての実力は相当なものだと思うのだ。さらに凄いのは、そういった計算を意図として行っているようではなく、天然でやってしまっているようなところ。このコラムを読んだユキエちゃんが「フサキさん、私はそんな計算して作っているんじゃないですよ!」とお叱りのメールが来そうで怖い・・・。

注)ここで出している数字は、このコラム趣旨を伝えるための適当な数字で、実際の統計から出しているものではありません。あくまでも仮に出した数字です。