【コラム】メディア

文:齋藤 稔

メディア。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など、普段誰もが何気なく情報を取り込んでいる便利なモノ。スノーボードに関していえば専門誌の影響は少なくない。僕自身もメディアの端っこに立っているのだが、最近はメディアに毒される人がとても多いような気がする。

例えばファッション誌の場合、なんで各雑誌が今年の「流行はこれだ」って同じような服を載せているのか不思議に思ったことはないだろうか? 数年前のNike Air Maxの異常な値段での販売と、それを追いかける若者は記憶に新しいと思う。メディアが「これ!」って言ったらそれじゃないとダメって思っちゃう人が日本には凄く多いようだ。

もともと日本人は「世間体」という言葉を大事にする民族らしい。昔から周りを気にして「平均的」であることに執着する。良くも悪くも目立つことをさけ少数でグループを編成し、集団の一部となることで安心感を覚える。これは古くは政府の政策であり、狭い国土で多くの人間を支配するのに都合がよかった。一般市民は「おとなしい羊」であり、危険な「一匹狼」は排除することにより一部の人間が多くの人間を支配できるようになる。現在これと同じような政策を推し進める国はごくわずかだ。今はこの国も少しは変わってきているようだが、日本人に古くから刷り込まれてきている民族的な意識はそう簡単にはなくならない。最近の若者は横つながりの社会とよく言われるが、言い換えればこれも同世代との平均化が進んで来ている証拠だろう。

スノーボードは自由の国で自由な精神から生まれた遊びだ。誰かが型にはめて作り上げたものでは決してない。そのためかライダーの中には良識のある大人が眉をひそめるような強烈な個性を持っている場合も少なくない。これは日本におけるスノーボードの普及に多少はマイナスの要因となっていたようだが、今となっては見てのとおり完全に認識され、ウィンター・スポーツと言えばスノーボードというまでに成長した。この成長に貢献したのがメディアである。新しい遊びとして各メディアが競うように取り上げ、スノーボードの社会的な認識と普及に大きく貢献して来た。

しかし、今度はメディアがスノーボードをコントロールし始めてしまったようだ。いや、正確に言えばメディアに振り回される人が増えてしまったと言うべきなのだろう。数年前はハーフパイプ、ここしばらくはスロープ・スタイルがメディアの主流となり、メディアの主流になれば、それがスノーボードの主流と勘違いする人が増えてくる。(メディアが一斉にクレイグ・ケリーを取り上げ、パウダーを特集するということを一年間続ければ間違いなく来年はパウダー用のボードが飛ぶように売れるハズだ。)たしかにスロープ・スタイル、特にジブとワンメイクは主流に見えるが、これはメディアが求めるのは常に新しいことであり、今新しいのはジブ・トリックとスタイルのあるワンメイクであり、メディアに出ることで飯を食っているプロ・ライダーはメディアの求めるシーンで活躍することが求められるからだ。これをBURTONの社長ジェイクは「ヘルシーな状態ではない」と言い切っている。

メディアが主導権を握るではなくライダー一人ひとりが主導権を握る状態こそが本来のスノーボードであるハズだし、そのためには個人がもっと個性を主張していいハズだ。雑誌やビデオは学校で読む教科書程度にしか役には立たない。(言い方を変えれば少なくともその程度には役に立つ)メディアに利用されるのではなくメディアを利用することをそろそろ覚えてもいい頃だ。一番重要なのは楽しむこと。楽しむことに型はいらない。周りの目なんか気にしないでもっといろんなことにチャレンジしよう。もっと違う楽しみ方が自分には合っているのかもしれないし、そればっかりはやってみないとわからない。メディアがダサイと言い切ってもそれが最高に楽しければ、それは間違いなく自分にとってクールなことなんだ。もっと自分にとってクールなことを追い求めるんだ!

ただし、ルールやマナーを守らないで他人に迷惑をかけるのはホントにダサイので絶対にやらないように!