【コラム】スノーボード雑誌の読み方2000年版

文:飯田房貴

この季節、本屋に行けばたくさんスノーボード雑誌が並んでいる。こんなにいっぱいあると何を買っていいかわからない人も多いのでは?そこで、僕が愛すべきスノーボード雑誌たちを紹介したいと思う。
現在のスノーボード雑誌乱立時代は、それぞれ生き残るためにテーマが決まっている。お客さんのニーズに対応するため、スノーボード雑誌編集者もいろいろ工夫して僕たちを喜ばしてくれるのである。

まずはスノーボード雑誌、ハードコア界のキング、トランズワールドを紹介しよう。

トランズワールド・スノーボーディング(発行:トランズワールド・ジャパン株式会社)
トランズは元々、アメリカから来た雑誌なので、外国人ライダーの情報がかなり多くてその内容も素晴らしい。例えば、テリエ・ハーコンセンのインタビューをどっぷりもってこれるのも、この雑誌ならではの強みだろう。もちろん日本人を対象にしたトリップものもかなりハイ・クオリティ。何よりこの雑誌には、スノーボードを愛するという気持ちが察することができるので、プロ・ライダーたちが読んでもかなりおもしろいのである。細かいところでは、女の子対象のページやケガに関することもあるので、本当にいたれり尽くせりである。スノーボードを愛して止まない方には、ぜひともオススメだ。
しかし、プロ・スノーボーダーなんて関係ないわい、という輩にはこの雑誌はおもしろくないかもしれない。トップ・ライダーがどこそこに行ったとか読むよりも、自分がもっとスノーボードを上達して、楽しい方がいいという方もいるだろう。そんなワケで次の雑誌を紹介しよう。

スノーボーダー(発行:実業之日本社)
トランズを右とするなら、このスノーボーダー誌は左に来る雑誌だろう。この雑誌は1冊まるごと初中級向けのハウツー雑誌である。上級者が読んでも目からウロコ的な芸当も見せるので、最近発行部数がますます上がっている。ここの読者はあまりトップ・ライダーを見たいということではないが、ここに登場するハウツーのモデルはライオなどのビッグ・ネームが登場する。その他のコーナーを見れば「できるやつはココが違う」など、誰もが知りたいような親しみやすいコーナーが多い。もともとあった大御所雑誌のスノーイングやスノースタイルそしてトランズなどと、この雑誌が一種違った独特な印象を受けるのは、この雑誌が生まれた歴史背景が関係する。この雑誌が生まれた5年前というのは、スノーイング、スノースタイルの全盛期時代でそこからトランズがハードコア層を狙ってニョキニョキ台頭してきた時代だったのだ。そんなところで生き残るには、もっと初心者や中級者を狙って、わかりやすい雑誌を目指したのである。その結果、生まれたのがスノーボーダーなのだ。

スノーイング(発行:株式会社メディアハウス)
日本で初めて季刊月刊誌となったのはスノーイングだ。歴史があるだけに広告が入っていることが強みである。世間一般的には、売れている雑誌こそ儲かっているという認識があるかもしれない。まあ、それは事実でもあるのだが、それよりももっと儲かるのは広告が入ることである。このスノーイングは前途で紹介したトランズと同様に広告が入っている雑誌で、そのへんが強い。しかし、残念なのは広告が入れば、それに左右される内容を書かなくてはいけないことだろう。例えば、4WDの車が登場する企画では、あまりスノーボードとは関係ない4WDのことまで書かなくてはいけない使命にある。そうかと言っても、流石の王道スノーイングだけあって、海外&日本コネクションも強く、コンスタントにおもしろい記事を提供してくれるている。きれいな写真&シークエンスというのもこの雑誌の特徴の1つ。また歴史的に連載コラムも長いのも特徴だ。自分で宣伝するのもおこがましいがハウツー天使他、ハロルドミヤモトのコラムなど人気コラムが多い。

フリーラン(発行:株式会社フリーラン)
フリーランは前途に紹介したスノーイング&トランズと違って広告が少ない。少ないにもかかわらず選んでいるというポリシーを持った雑誌である。広告が少ないのには、新参者の弱みだが、この混沌としたスノーボード雑誌時代に末っ子として生まれただけに、ひじょうにコアな強さを持っている。おもしろければ何をやってもいいという作りが、往来のマガジン的な作りを変えたのだ。例えば、アメリカ特集となれば、とことんアメリカばかりの特集になる。スロープ・スタイルになれば3分の1ほどの部分でその内容に覆われる。この大胆な作りは、よくぞやった!という感じだ。トランズワールドをよくコア・ファンをも満足させる雑誌だと称するが、個人的にはフリーランの方がコア・ファンを満足させているように思えることがある。この雑誌こそ、スノーボード雑誌界の最右翼かもしれない。

初めてBOOK &3年目BOOK(発行:株式会社双葉社)
最右翼を紹介した後には、最左翼の雑誌を登場しよう。初めてBOOKはその名の通り、スノーボード初心者向けに作られている雑誌。3年目BOOKは中級者をターゲットに出されている雑誌である。この雑誌は、あまりにも左にいるせいかスノーボード雑誌と認めらてない節がある。実際、ポータブル・サイトとして有名なSBNの雑誌紹介コーナーでは、この雑誌だけが省かれている。しかし、この雑誌は双葉社の孝行息子と呼ばれるぐらい売れている雑誌なのだから、スノーボード雑誌と認めていない業界に対して文句を言いたい!そして、この雑誌が売れている状況を考えれば、いかにこの業界がこういった層で動いているかわかる一幕でもある。そういったことを、もっと業界は勉強すべきだろう。キホン的に雑誌はおもしろくないと売れないので、これらの雑誌はもっと評価をすべきだと思う。この雑誌の良さは、編集者がプロ・ライダーの名前を知らないことにあることにも関係しているようだ。だからこそ、この読者の層にあったおもしろい雑誌が作れるのだ。雑誌作りにはこういった感性も大切なのだと言いたい。

スノーボード・ニッポン(発行:スキージャーナル社)
先程から右翼やら左翼など自分勝手にどちら寄りかを作ってきたが、この雑誌ほど右だが左だがわからないものはない。しいてあげれば斜め上?というところか。この雑誌も生まれた背景がスノーボーダーと同じような時代だったので、ハウツーてんこ盛りで勝負していている。しかも、そのハウツーは単に写真を並べたシークエンスでなく、ビデオのコマ送りのようにきれいに「滑っている&飛んでいる」イメージ通りにコンピューター処理なのである。このようなわかりやすい見せ方は今までなかったので、これは革命的なことだ。これはスノーボードで大会に出たい人にとっては良い教材だ。ハウツーの内容は、団体に関係なく大会のシークエンス、またアルペンやフリースタイルも関係なく、掲載しているとこが素晴らしい。つまりレーサーとかデモとかは、この雑誌が最後に残された?雑誌なのだ。これからもアルペンの楽しさを残すため頑張ってほしい。

スノースタイル(発行:マリン企画)
この雑誌ほど混沌した時代を生き残っている雑誌はないだろう。もともと、ここで紹介する雑誌の中では、一番の古株なのである。スノーイングと共に2代メージャー雑誌時代を経験し、その時代の中ではどちらから言うとスタイルの方が勝っているように見えた。マック遠藤氏などの良きテクニカル・アドバイザーがいて、内容はマニアまでもうならせるものが多かったのだ。アルペンに強いところから、アルペンのスタイルでフリースタイルのスノーイングと呼ばれることもあった。また、広告を選ぶというポリシーを持ったのも、この雑誌が初めてだろう。さらに言えば、JSBAスノーボード協会を応援するという姿勢からオリンピックにつながるFIS大会をレポートしないという姿勢を持ったこともあった。つまり、この雑誌は歴史的タブーをどんどん打ち破った革命的な雑誌だったのだ。この雑誌が混沌とした歴史背景があるように思えるのは、当時編集長であった今井氏が離脱してトランズを作ったところから始まっているのかもしれない。その今井氏は現在、フリーランを作っていることを考えれば、今井氏こそスノーボード雑誌界の台風だろう。理想を求めた結果、最後に落ち着いた場所がフリーランだと推測している。話しをスタイルに戻そう。現在までのスタイルは編集長が何度か変わったことにより、編集方針が変わっきたように思える。しかし、今、編集長である池田氏は「おもしろければどんなことでもやる!」という強い信念を持った男なので、今後、スノースタイル王者時代を再び復活するこをを期待して止まない。

スノーボード(発行:山と渓谷社)
この雑誌ほどうまく真ん中にいる雑誌はない。歴史あるスキー編集者たちがレベルの高い執筆を繰り広げている。アルペンもやる、デモもやる、フリースタイルもやる、バックカントリーもやる、ハウツーだってある、ともかくなんでもあるし、プロ・フェッショナルを感じさせる丁寧な作りなので、どんなスノーボーダーたちも受け止めてしまう素晴らしい雑誌だ。だけど、もしこの雑誌が現在、日本で購買に関する1番でないとしたら、その敗因はバランスが良すぎることがあげれらる。例えば、現状で日本のスノーボード界がフリースタイル王国だとしたら、そのフリースタイルを一番おもしろく見せてくれるトランズワールドが一番売れていると推測することもできるのだ。実際にはどの雑誌が一番売れているなんてことは、僕にはわからないことなのだが。話しをスノーボード誌に戻せば、この雑誌はスタイルの良き部分を継承しているようにも思える。それは個人的に尊兄するマック遠藤氏が、この雑誌にたびたび登場するからなのかもしれない。

以上、カンタンであるが、スノーボード雑誌の読み方2000年版を、僕なりに分析してみた。スノーボードを一生楽しむのは、キホンであるスノーボードを続けることに違いないが、それ以外に雑誌を楽しむこともあがられると思う。各雑誌、それぞれ工夫しておもしろさを提供してくれるので、今まで読んだことのない雑誌も、興味ある記事があったら、購入することをオススメする。たった1行の文が、たった1コマの写真が、僕たちのスノーボード・ライフを変えてくれるかもしれないのだ。

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●以下、参考1998年3月1日に執筆、「スノーボード雑誌の読み方」

ちまたにあふれるスノーボード雑誌たち、こんなにもたくさんの中から、いったい僕たちは、何を買えばよいのだろうか?そんな疑問に対して、13年間スノーボード界を歩んだフサキ氏にお答えしてもらおう。日本のスノーボード雑誌の流れもわかるおもしろいコラムだ。

●日本最初のスノーボード雑誌は本当にスノースタイルか?
13年前スノーボードがスノーサーフィンなんて呼ばれていた頃、スノーボードが載っている雑誌を見つけるのは、とても困難な作業だった。そんな状況で、まず僕がチェックしていたのは雑誌Fineだった。当時Fineでは、スノーボードをスノーサーフィンという形で紹介し、そのモデルにはモスのライダーがデモンストレーションしていた。たぶんライダーは当時のスーパースター玉井太郎さんだったと思うが和田千鶴さんとか、コウチノリコさんという人もいたと思う。当時僕は高校1,2年生だったので記憶はあやふやだけど。そんなことはさておき、当時の技名が笑ってしまう。まず、一番あこがれがオフ・ザ・リップ。そうサーフィンの名前をそのまま直輸入していたのだ。当時はたった2ページのスノーボード特集であっても必ず小遣いはたいて買ったモノだ。
さて、問題の日本で初めての雑誌だけど、僕の記憶が正しければ 『オーリー』 だったと思う。確かこの雑誌、1年で廃刊になったけど、3回にわたって発行された。この雑誌の目玉はなんといっても、日本で初めて行われたワールドカップ模様をレポートしていることだ。当時のワールドカップの状況というと、アメリカが勝手に世界とうたってワールドカップをやっていて、ヨーロッパの選手はピーター・バウアーやジャン・ネルバ以外はでていなかったのだ。ヨーロッパでは、ヨーロッパ同士の者で大会をやっていた状況だったから、日本でやった大会こそ、世界一と呼ばれるにふさわしかったのである。ちなみに、オーバーオールで優勝したのは、マリオ・パウロ・ダベーニというイタリア選手。パイプだけでは、アメリカ勢が圧倒し、優勝はクレイグ・ケリーだった。当時のスーパースターたちのショーン・パーマー、ジェフ・ブラッシー、ティム・ウィンデルといった面々が集まって、日本での大会は非常に盛り上がったのだ。
ちょっと横道にそれてしまったが、そんなワケで、『オーリー』こそ1番はじめの雑誌だったと思う。ちなみに、昨年ぐらいに出た『オーリー』という雑誌とは、関係ないと思う。
今ある雑誌では、間違いなく『スノースタイル』こそ、1番最初に出た雑誌だろう。(僕の記憶が間違っていて、『オーリー』よりも早く出ていたらごめんなさい)しかし、毎年季刊誌として出したのは、スノーイングの方が早かった。しかし当時の『スノーイング』の内容といったら、かなりつまらなかった。だけど、僕たちは『スノースタイル』が1シーズンに1回ぐらいしか出さなかったので、その寂しい気もつを埋めるためにも、内容が薄い『スノースタイル』を6回も買ったのだ。

●大御所は『スノーイング』&『スノースタイル』か?
昔からやってきた者にとっては、やはり『スノースタイル』と『スノーイング』が2大ビッグ雑誌といえるのではないだろうか?わからない人には、プロレスにたとえるとわかりやすいと思う。プロレス界に、全日本プロレス(馬場のプロレス)と新日本プロレス(猪木のプロレス)があるのと同じだ。(もっとわかりにくくなったら、ごめんなさい)そして、ここ2年で急激に台頭した『トランズ・ワールド』こそ、格闘技系のUWFであったり、K-1であったりという例えで、この業界の雑誌の歴史がわかるのではないだろうか?(ますますわかりにくくなったら、ごめんなさい)まっ、まったくのスノーボード雑誌ビギナーたちは、『スノーイング』『スノースタイル』『トランズワールド』が、有名雑誌と思ってもらって結構。この3大誌の傾向を説明しよう。

スノーイング
とにかくどんなジャンルも取り上げる、ターゲットが大きくて、つっこみ気みのネタがないとは言えない部分もあるが、素人が読んでも、知っている人が読んでもおもしろい。あまりアルペンを取り上げない特徴だが、過去の歴史を見れば、別にアルペンはNOということではない。

スノースタイル
内容が突っ込んでいるので、知る人にとってはとってもおもしろい。ちなみに、僕もときどき買ってしまうほどおもしろい。フリースタイルからアルペンまで、取り上げていて、アルペンが好きな人は、絶対『スノースタイル』がオススメだ。マック遠藤氏のハウツーがとてもおもしろくて、納得してしまうのも特徴。でも、一般にはちょっと難しい言い回しのハウツーとも言える。

トランズワールド
とにかく横乗りに走ってるという感じだ。今の若者向けに作ってあり、とてもかっこいいと言える。ちょっと一般的には、入りにくいかもしれないけど、アメリカの雑誌と提携しているので、興味深い記事が多い。よって、僕もときどき買ってしまうのだ。どんどん新しい若手ライダーが出るのも特徴で、1番走っている雑誌とも言える。フリースタイル、飛び派には、絶対にいい。

●フサキと3大雑誌の絡み
御存じハウツー天使は、『スノーイング』の連載で、もう24回もやっている。ほかに臨時で4回もやっており、自分で言うのもおこがましいが、人気のコーナーだ。現在スノーボード雑誌のコラムでは、1番の長老だろう。スノーイングでは、ハウツー天使以外にも、いろいろ提供しているのだが、なぜ、そんなに深い仲だと言うと、実を言うと僕自身スノーイングの編集のアルバイトをやっていたからだ。当時の編集長であった新田氏に誘われて、いろいろと手伝ったのである。そんなことで、なんとなくライバル雑誌である、スノースタイルとはかかわりがないというのが、現状だ。もちろん声がかかったら、どこにも行くのが僕のスタンスだから、これから先のスノースタイル登場はありうるだろう。トランズに関しては、上級の飛びやバックカントリーになってしまうので、僕のイメージとは重ならない。よって登場は今のところないが、実のところカナダのフリーライディング・シーンで出たいという気持ちもある。

●がんばっているなあ。スキー系から登場のスノーボード雑誌たち
さて、元祖スノーボード雑誌に、追いつけ、追い抜けでやってきた雑誌たち。それが、スキー系からやってきた雑誌たちだ。簡単に表で表すとこうなる。

Skier SNOWBOARD
ブルーガイドスキー SNOWBOARDER
SKI journal SNOWBOARD NIPPON
bravo ski スノーボード 初めてbook

それ以外でもあるが、まあこれぐらいは抑えておこう。これら、雑誌の特徴は見事なまで、スキー雑誌の流れを反映しているのが特徴だ。まず、山と渓谷社のSNOWBOARD。この雑誌は、まるでSkierのように、しっかりときちんと、しかもツボは抑えておもしろく作っている感じである。編集部員たちは、スキー雑誌でもまれた超一流たちなので、感心させられる部分が多い。スキージャーナル社の、SNOWBOARD NIPPONは、スキージャーナル誌同様に、、見事なまでに、ハウツーシークエンスのオンパレード。大会をきっちりマークして、細かいところまでよく選手のレポートをしているのが特徴だ。ランキングなんかもしっかり載せてくれるので、僕は資料という意味合いからも、この雑誌を購入している。SNOWBOARDERに関しては、ちょっと変わっていて、ハウツーの作り方が今までと違う。どういうふうに違うのかというと、でっかいポイントとなる写真ドバーンの上に、シークエンスが乗っているという形。これは、今までにない作りで、とてもわかりやすく斬新である。その要因は、同じ会社のゴルフ雑誌ワッグルからの流れから来ている。このワッグルが成功した要因を、そのままうまくスノーボード雑誌へ持って来た格好なのだ。双葉社の初めてbookも、スノーボード読者のターゲットをうまく絞って、大成功した雑誌といえる。スノーボード業界では、なんとなく知名度はないのだが、実を言うとこの雑誌は、大変売れているのだ。さすが、週間大衆を作っている会社だけあって、買い手のニーズをうまくとらえているということだろう