【ギア・コラム】レイヤリング うんちく編2

文:ギア博士

それでは前回の予告通りサーマル&アウターのうんちく編いってみましょう。

まずサーマルとして非常に有効とされるダウンやフリースなどはスェットトレーナー等と比べて暖かいのか?トレーナーと違い汗を吸収しないで外に出し、常にドライであるというばかりでなく、暖かいのは空気の層の働きのためです。例えば外の気温が-3℃でも体温は常に36℃くらいはありますよね。これはウェアの中に36℃の発熱体(熱を発生させるもの)を入れているのと同じといえるのです。つまりこの36℃をうまく使うことによって-3℃でも暖かく感じることができるわけです。その秘密というのが空気の層です。ダウンやフリースなどはトレーナー等と比べより多くの空気の層を作り出します。この空気の層が断熱層(熱を遮断する層)となり、体温の低下を防いでくれるという訳です。

なぜ空気の層が断熱効果を持つのかということになると、まずウェアーの中で体温によって空気が暖められので。この空気の量が多ければウェアーの外の温度の影響で空気が冷やされるのが遅くなるというわけです。簡単に言ってしまうとこんな感じですが、ダウンやフリースが暖かいのはそれ自体が暖かいのではなく、体温をより効果的に使えるからだと思ってもらえればOKです。

その次にこの暖まった空気を逃がさないでおくのにアウターの働きがあるのです。この暖まった空気を逃がさないために風をブロックする働きもアウターに求められます。せっかく暖かくなった空気の層も風で吹き飛ばされてしまってはその効果はなくなってしまいます。これは同じ気温の日でも風が強い日ほど寒く感じることや急に強い風が吹くと一気に体が冷えることをみなさん経験していると思いますのでイメージしやすいかと思います。

ではアウターには何が求められるのかとなると、かなり多くのことが求められることになります。

防水性
撥水性
浸透性
防風性

上記の防水性・撥水性・浸透性は研究室「防水性・撥水性・浸透性」http://www.dmksnowboard.com/gear/kenkyu/kenkyu-025.htmを読んでもらえれば基本的な部分が理解できると思います。今回はうんちく編と言うことで、さらに説明するとなるとこの撥水性と透湿性は快適さという面でかなり重要な意味を持っています。

撥水性ですがゴアテックスをはじめ高機能素材のほとんどがDWR加工(耐久撥水加工、Durable Water Repellentと言われる高度な撥水処理をしています。これはウェアーの表面が濡れてしまうとヒートロスといって体温を奪ってしまうことがあるのですが、これを防ぐために撥水性が必要となるのです。ウェアーの表面が常にドライであるということはヒートロスを防ぎ暖かく保つための効果の一つでもあるということですね。

次に浸透性ですが、最近はこの数値が重要視されています。というのも上記の防水・撥水・防風がしっかりしていればとりあえず暖かく過ごすことはできます。しかし、スノーボードは激しい動きを繰り返すスポーツで、意外に汗をかきます。この汗を放っておくと寒くなります。ここまでファースト・サーマルと汗を外に出し続けているので、当然アウターにも汗が届きます。この汗を効果的に外に出さないと内側で結露(水蒸気から水玉になってしまう)して、不快であるばかりでなく、保温効果にも悪い影響が出てしまうのです。これは先のウェアーの表面に撥水加工するのと同じ理由です。そのため最近のウェアーはこの透湿性が重要となってきているのです。激しい動きを繰り返すだけでなく延々とハイクアップをも繰り返すような状況では、ますます重要になります。多くのライダーがベンチレーションを効果的に使っています。ベンチレーションが必要というのは運動よりウェアー内部の温度が上昇し熱く感じた時に、効果的に熱を排出し適度な温度に保つという効果だけでなく、体から出た汗をより速く外に出すという効果もあります。これはウェアーの透湿性の限界を超えるとウェアー内部に汗がたまってしまうのでベンチレーションを使うことにより、強制的にウェアー内部の換気を行うことにより外部のドライな空気に入れ替わるということです。滑り終わった後にウェアーの表面はドライなのに内側がしっとりと湿っている等という場合はこの透湿性による汗の排出が追いついていないと考えられますので、次の購入の時により高機能な素材の物を選ぶか、ベンチレーションを積極的に使うことによって快適に過ごすことができると思います。

最後にここで紹介したレイヤリングはあくまで基本的なものです。その人個人に合わせたベストなレイヤリングはいろいろと試してみないとわかりません。ただ、機能的な面は今回までの研究室の内容で大丈夫だと思います。今後ウェアーを選ぶときには自分の目的に合わせて機能面からも選んでみると快適に過ごせると思います。デザインで高いのか?機能で高いのか?もよく考えてお気に入りのウェアーを探してくださいね。