Text: Fusaki Iida
山に上がってみると、なんと雪が降って来た。4月ももう終わるというこの時期、ウィスラーではまだ降っている。
しかし、朝から降りだしたようで、数センチの新雪の下には、固いバーンがあった。
経験した人ならわかるけど、ダマされパウダーというか、滑り難い状況。
そんな中、颯爽とトゥリー・エリアに突入するライダーが!このウィスラー春レポで長年活躍して来た、Jimmy(ジミー)だ。
朝からこんなところ滑るなんて、ひじょうにストイックなライダーである。軽装備ながらも一応はカメラバッグを持っているので、こちらは慎重にならざる得ない。狭いトゥリーで、しかもカチコチの偽パウを滑っていると、ちょっとした恐怖感のマネージメントでアドレナリンが上がって来そうだ。
すると、トゥリーを抜け出して、普通のオープンバーンのコースに出た。なんだ、撮影スポットとは関係なく、本人が滑りたかっただけか(笑)。コンチキショー、面倒な奴だ。布施忠もフリーランでは自分をイジめるかのように、積極的に固いコブとかトゥリーの中に入っていくライダーであったが、Jimmyも似たようなところがある。これぞカナダ育ちのライダーなのかもしれない。
しばらく滑ったところ、レッドに流れるデイブマリー・コースとポニー・トレイルと交わるところで、突如止まったJimmy。
その辺りには、ちょっとした林が広がっていたが、そこを飛びたいと言う。大丈夫か?しかもキューブな形のどデカい岩もあるぞ。
ライン取りを確認するJimmy。岩と木の合間の30センチほどのあたりを狙ってランディングするようだ。間違っても右に流れて岩に当たったら、大惨事。それだけは避けないといけない。
それで、どうなかったって?
ご覧の通り、Jimmyは見事なインディでポニートレイルを越えてみせた!
長年、このエリアを滑っていたが、ここを飛ぶという発想はまったく思い浮かばなかった。
プロ・スノーボーダーとは、とかくパークでどんなトリックができたかとか、どんなスタイルを見せてくれたのか、ということで評価されがちだが、こうした地形を見る目。それもひじょうに大事である。
そういった意味で、Jimmyは常にそういうことを考えながら滑っているプロフェッショナルなライダーと言えよう。
次回の撮影でも何を見せてくれるのか、楽しみだ。