プロ・スノーボーダーに捧げる確定申告
EXT: FUSAKI IIDA
「フサキさん、申告ってどうやるんですか?」「これって経費に入るんですかね?」
別段、僕が申告に関するエキスパートではないが、年の功ってやつだろう。よくライダーたちから確定申告についての質問を受けることもある。
超特別に名前のあるプロ・スノーボーダーたちなら1千万以上の年収はあるが、その他、普通のプロ・ライダーたちの年収は一般サラリマンよりも低くて食って行くのが大変。多くのライダーたちがお金を工面して苦労している。
そこで、今回の特集では、確定申告についての予備知識を伝えることにして、この企画を通して、ライダーとして頑張っている人たちや、これからライダーになろうとしている人たちの助けになれば、と思うしだいである。
  
加藤高正プロのインタビューで、プロになる前に「バイト帰りのジュース代100円をも節約で我慢した」と言うが、その時の大変さを表す言葉としてひじょうに印象に残っている。だけど、もし確定申告したことで、20万円も返って来ると知ったら、どう思うだろう? それなら「やりたかった!」と思うに違いない。実際、ライダー契約料からバイト収入合わせた年収が300万円あったら、それぐらいの額は返って来るものなのだ。だけど、こうも思うだろう。「確定申告って大変そう」って。確かに申告することは面倒だ。しかし、考え方を変えて、これも1つのバイトだと思えば楽なのではないだろうか? いや、絶対楽に違いない。何せ時間が束縛されているバイトと違って、自由に空いた時間にできるのだから。
しかも、それほど難しいことではない。申告するだけで20万円ももらえる!(注:正しくは返って来る!) やってみたいとは思わないだろうか?
それと忘れてはいけないのは、申告することは国民の義務なのだ。そう、しなければならないこと「MUST」である。さらにもう1つ加えるならば、これから社会に生きて行く上で、こういった申告のこととかを知らないと、ひじょうに損である。申告することで自分の支出の詳細が見えて来るので、いわゆる最近、企業のビジネス・プランにおいて重要かつ流行でもあるキャッシュフロー(お金の流れ)がわかる。つまり、自分が使うべき支出とか抑えるべき支出とかも見えて来るのである。そう、お金に苦労しているライダーには、申告することは得することばかりだし、将来のためにも役立つのである。
ひじょうに前置きが長くなったが、僕が初めて確定申告をして戻って来た額を見た時の感動をあなたにも伝えたいのである! このあなたとは、ライダーに限らずスノーボード関連の仕事でちょっとでも収入を得ている人のことだ。「じゃあ、オレには関係ないよ」という人もかなり多くいるに違いないが、プロになるとこんなもんでも経費になるのかあ、ということで見ていただければ、結構楽しめるのでお付き合いのほどを!
所得って何?
確定申告で申告するのは、自分の所得だ。それでは、所得って何だろう? それって年収のこと? もし、あなたがそう思っているのなら、それは不正解だ。所得とは、収入から経費を引いた額のことである。例えば、スノーボードの契約金、さらにはイベントに参加した報酬、または雑誌社など報酬の合計で年間200万円もらって、さらにバイトで100万円を稼いだとしよう。あなたの年間の収入は300万円だ。しかし、経費が200万円もあったら、収入(300万円)−経費(200万円)で所得は、なんと100万円しかない。よくも100万円で世の中渡って来たと思うかもしれないが、実際、そうだったのだ。あなたはかなりの低所得者である。しかも、企業というのは、あなたから勝手に(?)源泉という名目で常に10%引いているではないか? 例えば、あなたがある月のバイトで10万円稼いだとしたら、必ず源泉で10%引かれていて1万円は税金として取られたのである。チキショーと思うかもしれないが、焦ることはない。それは一時国に預けた税金で、あなたのような低所得者には、ちゃんと所得の10%分戻って来るのだから。そう、だから申告しないと損なのです! ここで所得税の税額表を見てみよう。
平成14年分所得税の税額表
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課税所得額 |
税率 |
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330万円以下 |
10% |
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330万円超〜900万円以下 |
20% |
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900万円超〜1800万円以下 |
30% |
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1800万円超〜 |
37% |
この表を見ればわかるように、年間所得330万円以下の人は、税率が10%である。前途のように所得100万円(注:年収が300万円で経費が200万円だからそれをマイナスして100万円になったね)の人なら10万円払えばいいのである。だけど、バイトや契約金が振り込まれるたびに10%払っていたから、30万円もすでに源泉として取られているのである。本当は10万円だけ払えば良かったのにこれは20万円返してもらわなければ!ということなのだ。だから、何度も言うけど申告なのである。
これも経費?
その他、いろいろ控除、つまり経費の他に所得から削減されるものはあるのだが、とりあえず大まかには以上のことを把握しておこう。僕も自信はないが、何度か税務署にも聞きに行ったので、だいたいのところは合っているだろう。そこで、ここからは「これも経費?」というお話を。
車代
ライダーに車は欠かせない。大会遠征や練習に車は欠かせないだろう。だけど、彼女とのデートにも使う車は、どのようにして経費として申告すればいいのか? そこで、登場するキーワードが事業割合。つまりスノーボードの仕事に対してどれだけの割合で使用するか?とうこと。人ぞれぞれだと思うが、スノーボードで報酬をもらってるものならほぼ半分以上は仕事関連で使っているのではないだろうか? 例えばミーティングなんかももちろん仕事になるのだから。その他、ジムへのトレーニングに行く時なんかも使ったり。きちんと割合はわからないので、だいたいでいい。だけど、嘘は良くないので、だいたい半分以上だなあ、という人は50%を経費として落とす。つまり車関係の経費、駐車場代なども半分経費で落とせるということだ。もちろん遠征に使ったガソリン代は「旅費交通費」に分類されて、100%落とすことができるし、遠征時の駐車場代も100%落とせるので、そこでは50%計算しないように。このへんのことはわかるよね? つまり、車、駐車場代は50%仕事で使うけど、その遠征に使うガソリン代やゲレンデでの駐車場代は100%だということ。
ビデオ代やテレビまでも!?
ライダーは上達するためにビデオが必要だと思うけど、どうだろう? うん、必要ということで完全にそれがスノーボード用として使うならば、100%経費に入れられる。ハンディカムなんかは100%に入れていいのでは? それではテレビはどうだろう? 実際、ほとんどはプライベートだからね。そんな人は本当は経費ではないのだけど、「いや、実のところワタシはこれはスノーボードのレッスン用で使っている」と言うことになればテレビの代金をすべて経費にしてもいい。実際、そんなことしたところでバレないので、経費に落としてもいいと思う!? いえいえ、ダメですよ。だけど、まだまだ自分が使ったお金は、ほとんど経費として使えるので焦ることはない!? 意味わからない言葉かもしれないけど、結局、所得がマイナスになってはいけないのである。というか借金しない所得をマイナスにできないことなので、おかしくなるのだ。これから先にも「えっ、これも経費になるのか!」ということを伝えるので焦ることはない。ここは真面目にスノーボードで必要な部分だけを申告するようにしよう。
えっ、ヘアー・カットも経費になる!?
なるのです。なぜなら、顔写真の撮影用でカットしたとなれば、そうなのだから! もしも撮影のために買ったシャンプーなら、それも経費とも言えるだろう。そんなこと考えて行くと、そう世の中のもんほとんどが経費になる。そう、それがプロ・スノーボーダーの凄いところです。だけど、スノーボードの報酬が100万円なのに経費で200万円も使ったら、おかしいってことなるだろう。そのへんは、うまく調整しないとならないだろう。だけど、先行投資という考え方もあるので、それもあるのかもしれない。まあ、そのへんはお近くの税務署まで聞いてください。とにかく、ここではほとんどのものは経費になってしまうよ!ということを頭に入れて置きましょう。なんだ、結局どんなものでも強引に(?)経費になってしまうものなのか!と思われるかもしれないが、実際そうなのです。これからは食事も一人で食べずに友達と食べた方がいいかもね。だって、スノーボードの話をすれば、経費で落とせるから?って。ちなみにカナダでは接待交際費は使った額の半分しか落ちないので、税理士の方に「奥さんと行った食事代のレシートも取って置こう」ってアドバイスされました。
経費内訳
さて、これまでのところ「どんなものでも経費になるんだなあ」と知ったところで、今度は実際に経費の内訳を考えてみましょう。とりあえず、何か買った時にはレシートをもらて、そこに以下の内訳項目を書いておくといいだろう。それを月ごとに封筒などに入れておくのである。
通信費
電話代、インターネット代、郵便代、宅急便代など。
旅費交通費
電車代、ガソリン代、航空券代など。その他、遠征でのホテル代もここに入るし、また空港使用税もここに入る
アパート代
これは難しいが、例えばアパートの1室をプロとしての活動オフィス用にして、そのオフィス・スペースと住む場所で事業割合を決める。そのオフィスと決めたところが全体の住むスペースの25%ぐらいなら、アパート代から25%は「オフィス費用」などの項目を作って、経費で落とせる。さらに、そこから25%光熱費も落とすことができる。
消耗品費
これは文房具とかバッテリーなどの消耗品だ。メーカーにあいさつに行くために買ったYシャツ代もこの中に入るのかも? さらにその買った衣類が例え普段着るものでもビジネスで使ったと言えるなら経費として落とせるだろう。ちょっとズルいけど。
接待交際費
居酒屋で友達と一杯!という時も、それがビジネスに関連するスノーボードの集まりなら、接待交際費である。また、遠征先で雑誌社の人とゴルフに行ったら、それも接待交際費に入れられるだろう。さらにメーカーの人に買ったお土産代などもここの仲間に入れられるぞ。彼女に買ったプレゼントもこの仲間に入れるズルいこともバレないという意味では可能だが、そんなことまで経費にしたら彼女とのラブ運が下がるかも!?
その他のモノ
その他、様々なものがあるが、その時には「その他備品」とか書くことも可能だ。また、ビジネスのための情報知識のために買った本なども「書籍代」や「図書費」などの項目で落とすことができる。あまりも同じパターンが来る場合には、堂々と新しい項目を作ってもいい。例えば「リフト券代」など。税務署であなたは、何でそんなの経費にしているの?と聞かれたら、「僕はプロ・スノーボーダーで滑るのが仕事」と言えばいいのだから。さらに「これは撮影などビジネスで使っただけのもので、プライベートでのリフト券代は落としていない」と言ったら、向こうも経費として認めざる得ないだろう。
以上。このようにして、すべてのモノをいくつかの項目に分ける。つまり、取っといたレシートにその項目をメモするなどする。それを月ごとに封筒などに入れて行き、毎月一回パソコンのエクセルなどを使って表に記すのだ。1年に1度の作業だとかなりキツくなるので、毎月書き込むなどすることが必要である。だけど、この表作り10分もあればできてしまうだろう。1年間で経ったの120分でたくさんの税金が返って来るのだ。これでもう一回海外遠征に行けるかも!?
申告書に記載しよう
1年間の自分の報酬内訳と経費の内訳を持ったら、いざお近くの申告所まで出陣だ! 申告書はもう家にある人もいればない人もいると思うので、そういう人は取りに行こう。たまたま僕が住む江戸川区は届いているのかな? というか毎年やっている人は送られる?? すみません、そのへんはよくわからないですが、とにかくない人は申告書を取りに行きましょう。
用紙は決算書と呼ばれる収入と経費を記載するものと、申告用とあるので、まずは両方に住所、名前など書く。職業は完全にスノーボードで食っていない状態なら「自由業」とでも書いておこう。
決算書には各月の収入合計を書く欄があるので、そこに収入を書く。この時の収入は、源泉で引かれる前の額を書くこと。ここが大きな注意点だ。例えば、10万円の給料でも1万円を源泉されているので9万円しかもらっていないが、ここには10万円という元にもらうハズだった金額を書いておく。
その報酬合計を「売上金額」の欄に書き、またその下の「差引金額」の欄にはそのままの数字を入れる。ここでは本来、仕入れ代金をマイナスした額を入れたいのだが、それがないのでしょうがない。とりあえず、税務署の人と相談して、その仕入代金の部分に「リフト券代」と入れてもいいと思う。つまり、スノーボードをするために必要な仕入代金は、まさにリフト券に当たると思われるからだ。例えば、スノーボード撮影するカメラマンなら、フイルム代、現像代、リフト券代が「仕入代金」に確答される(注:以前そのように税務署の人にアドバイスされた)ので、そのような解釈ができるハズである。
次にもうすでに決算書の中にある項目、「水道光熱費」「旅費交通費」「通信費」「接待交際費」「減価償却費」(注:後に述べる)などを書くこと。また自分で新たに作った項目である「図書費」や「事務所家賃」(注:アパートの中のオフィス割合代金)を自分で書き込み記すこと。
そうして、売上から仕入代金(リフト券代)、さらには経費を引いた額が所得金額だ。だいたいそこの金額が低くなるようにきちんと経費を計上してみよう。だけど、所得のマイナスはご法度である。というか、この時点でマイナスにするとどうなるのだろう? そのへんは僕にもわからないが税務署の人は、ここでマイナスにならないようにアドバイスするだろう。実際、ここでマイナスになるとおかしいものができ上がるので、それはないだろう。気合い入れて経費を計上したところで報酬より上回ったら、所得が0円以下なのでそれはナシである。
さあ、これで所得を記載する決算書がもう書けちゃったぞ!ということなんだけど、1つだけ注釈を。それは、減価償却費のこと。これは何かという言うと、例えば車など買うと、一気に300万円も吹っ飛ぶのはザラで、事業割合経費もその半分の150万円も行くものである。こういった20万以上する高価なものは、1年で経費として計算するのではなく、数年かけて経費計算して行くシステムがあり、それが減価償却費なのだ。例えばパソコンなら6年だし、車なら5年になっているのである。さらに、その細かい計算方法も、所得年月、所得価額、償却基礎金額、償却方法、耐用年数・・・、事業割合(%)などわけのわからない項目で計算するので、こればっかりは面倒だから、税務署のおじさんに聞いた方がいい。一度聞けば、次の年からはその応用で使えるでの問題ないだろう。とにかく20万円以上の高価なものは、これで計算せよ!である。車、パソコン、カメラなど。
次に申告書の記載だけど、もうここまで来たら、できたと同然。収入金額、所得金額を入れたら、所得から差し引かれる金額、例えば社会保険料などを記す。あと税金の計算とかは税務署のおじさんにも聞きながら、簡単にできてしまうだろう。その他は、所得の内訳ぐらいで、これは源泉微収金額(注:給料や契約金の報酬で勝手に10%取られたやつ)を計算するところぐらい。その他はほとんどなし!(注:たぶん、ないハズ)
 
どうだろう? とても簡単なものではないだろうか?
ここで再び申告する利点を挙げよう。
1)国民の義務
2)社会の勉強
3)キャッシュフローが理解でき必要である支出が見極められる
4)何十万円も払った税金が戻って来る
自分もまだまだわからないことだらけで、ここに書いてあることが間違っていたらすみません。だけど、だいたいは当たっているハズ。僕が初めて申告した時は3度も税務署に足を運び時間や手間もずいぶん掛かった。だけど、昨年は1回だけでたったの税務署にいたのはたった5分程度。そう、行けばいろいろ勉強できるし、今ではたった5分で申告できるのである。最初は誰でもわからないことだらけだけど、今回の特集でかなり把握できたハズ。少しでも自分の夢を近づけるためにも必要なお金を捻出できるよう、ぜひ申告をやってみよう。自分の将来のためにもやっといた方がいいことだから。あと数十万円あれば行けた海外遠征も行けることになるんだからね。
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