2011-12 SNOWBOARD DVD感想記(海外編)

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今季リリースされたスノーボード海外作品のDVD感想記。
dmk編集フサキが、ズバリ!素直な感想を伝えます。

Text: Fusaki IIDA

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国内作品感想は、以下のページへ
http://www.dmksnowboard.com/special/5901


Absinthe Films / twel2ve

アブセンス・フィルム。
ヨーロッパ最高峰のフィルム・プロダクションズ。
スタンダードフィルムが東の横綱なら、こちらはさながら西の横綱と言っていいだろう。
昨年は、自身のシグネチャー作品のために参加できなかったギギ・ラフが再びホーム・クルーに帰って来た。彼の活躍ぶりも気になるところだ。
  

 

そして冒頭、いきなり登場するのはギギ・ラフだ。しかし、音楽が眠い(笑)。このへんのシブい選択もアブシンスならでは、かな。
しかし、ギギ・ラフの滑りは、やはり最高にうまい。バックカントリーを自由に遊び回るその姿は、気持ちいい。山の攻め方の発想も良く、ギギのアイデアで山が自然の巨大パークになっていく。スノーボーダーとしてのクリエィティビティを広げるためにもぜひ観てほしい、と思う。ビックマウンテン・ライド・ムービーの最高峰と言われるアブシンスにふさわしいパートだ。

この後、出て来るルーカス・デバリは、より激しくバックカントリーを攻めている印象。
そして、同じミュージックのままBlair Habenichtなるライダーが登場。出演ライダー・リストに載っていないので、お友達パートぐらいかな?と思いきや、コイツがなかなかヤバい!人間は、そんな急斜面を滑ることができるのか?というくらいのシュートを男らしく攻めているのだ。

そして、出ました!ダン・ブリーゼ。昨年、ビルの屋上から屋上に飛んだ一躍スターダムに上がったライダー。X-Gamesのチャンピオンにもなった。今年は、どんなデンジャラスなことをしているか、期待が高まる。
全体的には昨年以上のフッテージに成功したと言えよう。ほぼすべての映像がデンジャラスで、プロ・スノーボーダーというか、スタントマンにも見える。リカバリーしているところも彼の滑りの内、という感じで強引に決めるところが男らしい。

真ん中ぐらいで女性最高峰ライダーのアニーが登場。彼女はさらに進化していた。
さながら女デバンという攻めっぷりだ。今季も1月の賞レースを賑わしそうだ。

なんと、中井孝治が2カットで登場する!嬉しいね。

ニコラス・ミューラー。あいかわらず凄いライダーだ。バックケントリーでの数々のフッテージ。ドロップしてからリカバリーしているような最中にさらにスピン・トリックを決めて。まったくこのライダーの乗れっぷりには驚かされる。
アブセンスの撮影方法の特徴として、ライダーのドロップ側からの後方の画が多いが、それによりライダーの気分を味わえるところも良い。

このパートの最後は、ギギ・ラフが加わる。超急斜面を躍動感ある滑りで魅了してくれる。まさにアブセンス!という感じの最高峰のパウダー・ライディング。この作品の中でハイライトだ。

さらにこの後には、ロメイン・デ・マルチとJPソールバーグが登場する。
さながら、前のニコラス、ギギの正統派コンビ vs 悪者コンビとの世界最強タッグ戦と言った流れだ。ロメインとJPは、ヤンチャなイメージで、滑りはもうちょっと汚い感じもするけど、これはこれで魅力的。特に二人同時に並行したラインでシュートを攻める姿は、必見だ!

さて、ここまで見たところでかなりお腹いっぱいだけど、まだトリのライダーが残っていた。
誰だろう?と思っていたら、ボード・メリルだ。実力者とは知っていたけど、まさかトリを取るとは。

それにしても、このパートがさらにぶったまげた!
最初は、徹底的にアーバン・ジビング。ハンパない数のフッテージ数。
終わったかな?と思ったところで、さらに今度はバックカントリーのパートへ。このフッテージ数も多く、ビックリさせられる。まるでボード・メリルのシグネチャーぐらいの勢いで迫って来る。さすがにアブシンスのトリを飾るだけのことはある。

全体的な感想としては、満腹感はかなり高い。ゲップが出てしまいそうなくらいだ。
スノーボードのDVDをあまり見たことがない方には、これぞ歴史あるビッグ・フィルム・プロダクションズという感じでオススメ。今季のスノーボーディングのやる気度アップのためにもぜひご覧あれ。


スノーボード: DVD『twel2ve(トゥエルヴ)』 トレーラー from Visualize Image on Vimeo.

出演ライダー:
Bode Merrill、Gigi Rüf、Dan Brisse、Nicolas Müller、Sylvain Bourbousson、Wolfgang Nyvelt、Romain DeMarchi、JP Solberg、Annie Boulanger、Lucas Debari、Johnnie Paxson、Mat Schaer

作品名:twel2ve(トゥエルヴ)
本編収録時間:53分
価格/税込価格:4,305円(本体価格:4,100円)
制作:Absinthe Films
販売元:ビジュアライズイメージ(株)

THINK THANK / Ransack Rebellion

意表を突くトリックの数々で、「え、ウソ!マジで!!」って、思わず連呼してしまうTHINK THANK。身近なアイテムを使って、超クリエイティブに遊ぶ集団だ。まるで、「誰もがこんな遊び方ができるんだよ!」っていうお手本を見せてくれているよう。ストリートスケートのビデオのように「ちょっとそこらでスノーボードして遊んできます。」という雰囲気もあり、そんなところが、さらに身近な雰囲気を感じさせてくれる。THINK THANK作品の人気たる所以だ。

今作品Ransack Rebellionも、方向性は今まで通り!観た後に、滑りに行きたくなる感じは、あいかわらずだ。

これまで出演していた、スコット・スティ-ブンスとジェス・キムラは出ていないが、奇才プロデューサーのジェシー・バートナー筆頭に、有名無名関係なくレベルの高いライダーが、優れたパフォーマンスを見せてくれる。

ジェシー・バートナーは、ワンフットとノーフットの新しい遊び方を提案。
オースティン・ヒロナカは、とてもカッコ良いスタイルの持ち主。この作品を機に人気が高まりそうな予感。
また、クリス・ベレスフォードのパートも良かった。豊富なフッテージ、またその映像素材のバラエティ感にも驚かされる。様々なおもしろいシチュエーションで、四次元トリックも見せてくれる!

ひじょうに多くのライダーをスピード感を出して次から次へと出してくる編集が、DVDとしての「起承転結」がなく、人によっては「訳がわからない」「印象が残らない」と感じさせるかもしれない。しかし「今」にうるさい人にはこれほど、旬なライダーたちのスタイルをできるだけたくさん見れることは最高の喜び。大きな刺激を受けることだろう。

これだけ豊富なメンバーの中、見事にトリを飾ったは、ニック・ビスコンティだ。彼のパートはまさにデイス・イズ・シンクサンクとも言うべき、奇妙でユニーク、そしてレベル高いライディング映像がふんだんに詰まったビックリ箱。このビックリ箱の中身は、ぜひあなたが開けてほしい!

音楽はノリノリが多く、テンション上げるにはもって来い。スピード感あり、ライディング・スタイルのバラエティーも豊富で、本当におもしろい作品だった。
最近、インターネット動画でなんとなくスノーボードを見ちゃった感がある人へ、ぜひこのRansack Rebellionを見て改めてスノーボードDVDの真のおもしろさを感じよう。


スノーボード: DVD『Ransack Rebellion 』 トレーラー from Visualize Image on Vimeo.

出演ライダー:
Jesse Burtner、Jason Robinson、Sean Black、Austin Hironaka、Sam Hulbert、Pat Milbery、Ben Bogart、Chris Larson、Tim Eddy、Chris Beresford、Ted Borland、Nick Visconti、Brendon Hupp and more"

作品概要
作品名: Ransack Rebellion(ランサック・リベリオン)
本編収録時間: 41分
発売予定日: 2011年8月13日
価格/税込価格: 3,990円(本体価格:3,800円)
制作: THINK THANK


http://thinkthank.com/

Defenders of Awesome / CAPiTA

冒頭いきなり話題のライダー、スコット・スティーブンスが登場!
元々シンクサンクのメインイベンターの一人であった彼が、約束通りのパフォーマンスを見せてくれる。考えもしなかったような新感覚ジビングは必見。今この手のトリッキーなジビングをしたら、彼の右に出る者はいないだろう。そんな活躍ぶりのパート。特に最後のワンフットでのトランスファーは劇ヤバです!

2番目に登場するのは、ジバー戦士ダン・ブリージー。昨年、アブシンス・フィルムでビルの屋上から屋上を超える凄まじいスタントを見せて一躍話題となったライダーだ。X-Gamesでも最優秀ジバーに選ばれ、ノリに乗っているライダー。そんな彼がスコットに次に来るとは、凄まじいラインナップ。
今作品では、ジブだけでなくジャンプの映像も豊富。正直僕は彼のスタイルは、好きでないのだけど、この男らしい攻めっぷりには脱帽される。ジブでもかなり危険なことをやっているし、今、世界で最もデンジャラスなライディングをするライダーと言っていいだろう。

そして3番目、ジェシ・キムラが登場!そう、今、ガールズで最もイケてるライディングをすると言われいる彼女。その乗れっぷりは、男顔負けだ。
今回のジブも凄い!ガールズという枠を超えて、堂々と男ビデオにも出れるというほどの映像を残している。ワンフットもここまで鮮やかに決めるガールズ見たことない。最後の映像では、思わず、ウッソ!と叫んでしまった。

ケイル・ジーマ。かなりイカれたライディング。今年これまで見たスノーボードDVD作品パートの中でも最もデンジャラスなことにトライとしていると言っていいかもしれない。

ブランドン・コカード。彼も凄いライダーだ。ジブだけでなく、パウダーからジャンプなど、多彩な才能を見せる。

ローラ・ヘダー。ストリート、パウダー、ジャンプなどあらゆるステージでカッコいいシーンを見せてくれる女性ライダー。世界トップレベルのスキルは、ガールズ・ライダー必見!

TJシュナイダーがジブで、アンドリュー・バーンズがバックカントリーのパウダーを見せる。
マイク・ラブのストリートも、いいなあ。

ダスティン・クレイバンは、バックカントリーもうまいけど、特にハンドプラントがいい。今作品での巨大ウォールでのハンドプラントは見どころの1つとなっている。

そして何と言ってもフィル・ジャック。
2、3年までは、カナダのケベックのローカル・フィルムであるブラザーファクトリーにいたというフィル。きっと彼の実力者ぶりは噂になっていたのだろう、昨年、トランス作品に登場し、今年はキャピタでしかもトリだ。
このライダー、ハンパなく努力していると思う。というのも、そのフッテージがメチャクチャ多く、彼のパートを作るのに音楽を2つも用意したほどだ。シーズン中は、撮影に明け暮れていたに違いない。
そのすべての映像のレベルが高い。今年のスノーボードの賞で、彼がベスト・ビデオ・パートとか、ベスト・メンズライダー賞とか、ノミネートされるのでは?そして、X-Gamesのジバー賞を取ったり。それくらい、良かった。フィルにとって大出世作になろう。

全体を通して。
このビデオが良いことは想像していたけど、予想以上の良さだった。シンクサンクのような作品が好きな方にもオススメしたい。スノーボードの凄技を見たいという人にもぜひ!世界最高峰のレベルが見れるよ。結構な満腹感でした。ごちそうさま!


スノーボード: DVD『Defenders of Awesome(ディフェンダーズ・オブ・オーサム)』 トレーラー#1 Scott Stev from Visualize Image on Vimeo.

出演ライダー:
Scott Stevens, Jess Kimura, Dan Brisse, Phil Jacques, Tj Schneider, Cale Zima, Brandon Cocard , Laura Hadar and more"

作品概要
作品名:Defenders of Awesome(ディフェンダーズ・オブ・オーサム)
本編収録時間: 35分
発売予定日: 2011年9月4日
価格/税込価格: 3,990円(本体価格:3,800円)
制作: CAPiTA Super Corporation
販売元: ビジュアライズイメージ(株) 
 

 

VICE / POWDER AND RAILS : JAMIE LYNN

僕の記憶を辿ると、初めてジェイミー・リンを見たのは、92年の春、ウィスラーで行われたWestbeach大会だ。あの時、優勝したのは当時、僕のルームメイトでもあったケビン・ヤング、そして2位は現在、Stepchild Snowboardsのオーナー、ショーン・ジョンソン。そして3位に入ったのが、ジェイミー・リンだった。

みんなで噂したものだ。誰だあいつ!って。
何しろ、ジェイミーは、この若手時代から際立ったスタイルをもっていた。エアーが高く、スピンがスタイリッシュ。当時ありがちなバレリーナのようなクルクルスピンでない。特に捻りを加えたトゥイークがカッコ良かった!そして何より、僕たちを驚かせたのは、グローブをしていなかったこと。今でこそ、グローブをしていないライダーは珍しくもないが、当時はそんなライダーは、ジェイミーだけだったのだ。

ジェイミーは、こんなことも流行らせたと思う。
スタイリッシュなメソッドに加え、スピン中、足をポーク(伸ばす)するスタイル。ノーグラブでレイト・スピン。トゥで抜けるキャブ・スピン。世界で初めてカッコ良く540を決めたのもジェイミーだったように思う。誰もがやっていない独特なスタイル。
ナロー(狭い)スタンスの全盛の中、幅広いガニーなスタンスでライディングし、現在のスノーとスケートを融合したスタイルを流行らせたのもジェイミーだろう。

凄い大袈裟な話し、現在のカッコいいと言われるスタイルのほとんどを広めたのは、ジェイミー・リンだと思うのだ。

今作品『POWDER AND RAILS : JAMIE LYNN』では、そんなジェイミー・リンが、どうやってスノーボードを始めたのか。どんなことを考えライディングしていたのか。当時の貴重な映像もふんだんに使って紹介している。

さらにおじさんボーダーを喜ばしてくれるのは、出演者たちの層々たる顔ぶれだ。マイク・ランケット、クリス・ローチ、スティーブ・グラハム、ノア・サラスネイク、ジェフ・ブラッシーなどが、ジェイミーについて、語ってくれているのである。

以前、ウィスラーで忠(布施)とアキくん(平岡)と飲んだ時、「影響を与えたライダーは誰?」と聞いたことがあった。
その時、二人とも「ジェイミー・リン」と答えた。奇しくも日本スノーボード界を支えた来た重鎮ライダーたちが、同じライダーに影響を受けていたのである。

彼のエアーは何か浮遊感を楽しんでいる感じで無理がなくスムーズにエアーやスピンをしている。もの静かで繊細な性格が滑れに現れていて、無理なくスムーズな感じに魅力を感じました。当時まったくボードのことが分からない僕にも、そのジェミーのライディングにハマりました。」とは、アキくんの弁。


唐突だが、僕はスノーボードの流れはこうしてできたのでは?と考えている。

最初に誰かがスノーボードを始めて、テリー・キッドウェルというプロが登場した。
その後、クレイグ・ケリーがスノーボードを全世界に布教を始めて、同じマウントベーカー出身の若者、ジェイミー・リンが現れた。彼はクレイグにも影響を受けたのであろうが、独創的なアイデアがあった。それが、現在のスタイルにつながっている。

そして、ジェイミーの後にピーター・ラインがいて、そこにJPウォーカーなどがバトンを受けた。JPからの後の流れは、みなさんが知っている通り。しかし、源流を辿れば、そこにジェイミーが間違いなくいたと思うのだ。

別に今、スノーボードをやっている人が、ジェイミー・リンを知らなくても結構だし、知ったところで何が変わるってもんでもないだろう。だけど、サッカー好きな人が、ペレやジーコ、マラドーナを知って、よりサッカーの歴史を知り、よりサッカーにのめり込むように、スノーボーダーもこの歴史的なレジェンド・ライダー、ジェイミー・リンを知っておいた方がいいと思うのだ。

今作品を見て、さらにスノーボードの魅力にハマってほしいと、一スノーボード人として思うのである。

この注目の作品は、本日から全国販売です!

出演者:
Jamie Lynn、Chris Roach、Noah Salasnek、Circe Wallance、Mike Ranquet、Steve Graham、Terje Haakonsen、ChrisEngelesman、Shawn Farmer、Jeff Brushie、Mike Hatchett (Standard Film)、Pierre Wikberg(Filmer)、TrevorGraves(NEMO DESIGN)、Billy Anderson (VOLCOM Team Manager)、Pat Bridges (Editor)

作品名:POWDER AND RAILS : JAMIE LYNN(パウダー・アンド・レールズ :ジェイミー・リン)
本編収録時間:29分
発売日:9月4日(日)
価格/税込価格:3,465円(本体価格:3,300円)
制作:VICE


https://dmksnowboard.com/dvd/

 

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