誰も教えてくれなかった中国スノボ事情

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中国・北京でスノボ!?
何かピーンと来ない。まあ、噂ではできると聞いたことがあるけど・・・。
中国で仕事もしているじゃんすさんなる人物から、衝撃的とも言える中国のスノボ事情を伝えるレポートがdmk編集部にやって来た。内容を読むと、リフトの値段交渉から、私服で滑っていること、さらにはそんなレトロっぽさを出す中国でパイプもある!という衝撃情報もあった。使い古された言葉だけど、これぞまさに奔放初公開だ。中国・北京の最新スノボ事情をお伝えしよう。


レポート&写真:じゃんす

「北京でスノーボード」というとちょっと意外な響きですが、最近北京ではスキー・スノーボードが流行しており、年々スキー・スノーボード人口が増えています。北京周辺には、すでに「密雲南山スキー場」「順義蓮花山スキー場」「門頭溝龍鳳山スキー場」など13箇所のスキー場があります。
中国情報局の報道によると、旧正月中の2月1日に北京周辺にあるスキー場を訪れた人の数は1万6100人に達したそうです。前述の3箇所のスキー場は人気であり、2月1日の各スキー場の訪問者数は前年比で10%以上来場者が増えています。中でも「順義蓮花山スキー場」は前年比25%増の4200人となったということです。

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中国人は雪山に行ったらスキーを選択する人が多く、ボードはまだまだ少数人口といえます。会社の中国人の同僚の中にもボードをやる人もちらほらでてきましたが、まだ2、3人程度。中国滑雪協会によると、現在中国のスノーボーダー人口は1万人だそうです。その中で、ハーフパイプをしているボーダー人口は100人程度。ですから、スキー場にあるハーフパイプはいつもガラガラで並ぶ必要がありません。
北京では「南山スキー場」にスノーボード・パークがあり、ボーダー用の設備が整っています。


左)なんとも70年代の香りが漂うような風景で懐かしい感じがする。
右)なんと中国にはパイプもあった!写真で見る限りかなり良いコンディションだ。

料金はいくらぐらいかかるのか、というところが気になるところですが、例えば「南山スキー場」では、以下のような料金設定になっています。中国の物価を考えると、まだまだ高級スポーツと言えるでしょう。

2時間:150元(約2250円)
3時間:180元(約2700円)
4時間:200元(約3000円)
終日:360元(約5400円)

スノーボードのレンタル料金はこの金額内に含まれます。この他に押金(デポジット)が200元。ウェアーを借りる場合、レンタル料30元、押金200元。押金は後で戻ってきます。ただし、この金額設定はあくまで定価であり、交渉次第で下がります。ですので、なるべく中国人の友人か、中国語が堪能な日本人といっしょに行くことをお勧めします。


左)着替えロッカーがあるところ。男女兼用で着替えるのだろうか。まさか!?
右)食堂。やはり中華料理ばかりなのかな。カレーライスはないだろうなあ。

「南山スキー場」へのアクセスは、「東直門長距離バス乗り場」から「密雲」行きのバスに乗り、およそ1時間半です。バスの乗車料金はエアコン付きのバスが10元(約150円)、エアコン無しが8元(約120円)。「密雲」の少し手前でバスを下車し、そこから白タクに乗って約10分。料金は交渉しだいですがだいたい10元(約150円)。バスを下車すると、白タクのおじさんたちが待ち構えていますので、適当なおじさんを選んで行きましょう。このおじさんからスキー場のチケットを購入することができ、車内で値段交渉をします。

車に乗り込むと、運転手のおじさんが「もうチケット買ったのか?」と尋ねてきます。「まだだ」と答えると、「安く売ってやるよ」と言ってきて、交渉開始です。定価の3割以下まで下がれば上等でしょう。あまり値切りすぎて、険悪なムードになってもつまらないですから、適当な価格で手を打ちましょう。ただし、このおじさんがチケットを持っているわけではなく、交渉締結後に、スキー場の入口にいるダフ屋さん(自称旅行代理店)に電話をして、そのダフ屋のお兄さんを入口で待機させておき、そのお兄さんからチケットを買うことになります。私はもう10回以上行っていますが、1度も騙されたことはないので、このやり方で問題ないと思います。しかし、心配ならばちゃんとチケット売り場で正規の値段で買うか、やはり中国人の友人といっしょに行くことをお勧めします。

レンタルのスノーボードとスキーウェアーについてですが、あまり期待しないほうがいいでしょう。「南山スキー場」はウェアーとボードはまずまずのレベルでした。しかし、スキー場によっては、いつの時代のデザインだというウェアーを貸し出しているところもありますし、また、混んでいる時は前の人が使ったウェアを濡れたまま貸し出します。また、ボードについても、メンテナンスが行き届いていない場合があり、角度を変えようとして、ネジを見たら錆付いていたということもありました。こだわりがある方は持参したほうがいいでしょう。

まだスキー場ではスキーウェアーを着なければいけないという概念がないため、私服で滑っている人も多く見かけました。寒さに強い北京の人々ですから、多少の寒さはなんともないのかもしれません。写真のようにジーパン、ダウンジャケットが多かったです。日本の場合目立とうとして、トレーナーや柔道着なんかで滑っている人を見かけますが、中国の場合、単にそういう概念が浸透していないことと、ウェアーのレンタル料(30元)を浮かせているだけです。


左)レポート中にレンタル・ウェアーはあまり期待しない方がいい、とあるが意外に良さそうだ。
右)確かに私服っぽい感じ。一番上の大きい写真ではジーンズ姿も確認できる。

中国では、スキー・スノーボードは初心者がほとんどです。また、多くの人はスキーの方を選びます。何でボードをやらないかと中国人の友人に聞いてみると、「なんとなく難しそうで、足が固定されるのが危険だから」ということでした。ただ、スノーボードはカッコいいというイメージは中国の若者たちにもあり、できればトライしたいとは思っているとのことでした。スキー場では、スタッフ以外でスノーボードの上級者はほとんどいません。よって、上級者向けのコースはすいていて(というより、ほとんど人がいない)リフトも待ちません。その代わり初中級のリフトはひじょうに混んでいます。

私はスノーボード暦がもう7、8年になりますが、大したレベルではありません。しかし、ここ北京ではこんな私でも上級レベルの仲間入りができるわけです。上級者気分で滑ることができるというのもなかなか気分がいいものです。

雪質ですが、雪はほぼ人口雪です。アイスバーンの箇所もあります。

日本にもまだ山奥のスキー場は棒タイプのリフトがあると噂で聞いたことがありましたが、北京ではこの棒タイプのリフトをよく見かけます。私も初めて乗りました。乗ったというよりも引きずられる感覚です。スキーの場合、股の間に挟むので多少楽ですが、ボードの場合腕に絡ませるため、腕の筋肉を使うのでひじょうに疲れます。試しに股に挟んでみましたが、前足が変な方向に曲がって痛いです。でも捉まるよりは楽です。また、リフトのスピードはすこぶる遅いので、初中級コースでは歩いて登ったほうが早かったりします。実際そうしている人も多数いました。


左)意外に規模が大きそうな北京のゲレンデ。かなり固いバーンらしい。
右)日本ではなかなか見かけることが難しいポーマーリフトだ。スノーボーダーには大変そう。

もちろん山頂まで登ることのできるチェアーリフトもあります。しかし、日本と違うところは、中国人客は必ずしもスキー・スノーボードをするためにリフトを使用しているわけではないということです。リフトで上ってる時に、降りてくる人たちとすれ違います。家族連れやカップルなどが、リフトから見える景色を楽しんでいるわけです。山頂の方ですれ違ったおじさんは電話で、友人に「オレ、今どこにいると思う?山頂にいるんだぜ!」と自慢していました。

南山スキー場からの帰り道は、スキー場を出ると、白タクが待ち構えているので、この白タクで北京市内まで行けるバス停まで送ってもらいます。料金は行きと同じく10元程度です。しかし、バス停といっても何か目印があるわけでもなく、殺風景な道路で降ろされます。初めての時は本当にバスが通るのかどうか不安になったものです。バスが遠くに見えたときはほっとしました。バスが近くに来たら手を大きく振ってバスを停めて、乗車します。


左)これがなんとバス停だ!こんなところで待っていたら二度と日本に帰って来れなさそうだけど・・・
右)おお、キッカーもあるぞ。こんなところで360を決めたら中国ではヒーローになれること間違いなし!

去年、黒龍江省のスノーボードチームにハーフパイプの指導を行っていたというプロの日本人ボーダーの方とお会いしたのですが、やはりその驚異的な成長には驚いたと仰っていました。国や省で、運動神経良さそうな子供を選別し、「キミはスノーボードをやりなさい」といってチームに入ってくるそうです。みんな子供からせいぜい15歳くらいで、その前は体操やカンフーをやっていた子供で運動神経が抜群で覚えもすこぶる早いそうです。その方も将来が楽しみだと言っていました。

先日のトリノ・オリンピックでは、「空中技巧(エアリアル)」で中国の韓選手が雪上競技で中国初となる金メダルを獲得しました。4年後のバンクーバーでは、スノーボード競技においても中国が頭角を現してくることが予想できます。日本もアメリカばかりを見ているわけにはいかず、思わぬ伏兵登場ということになるのではないでしょうか。


左)大会の模様。中国では急速にレベルが高まっている。
右)ゼッケンをつけた選手がかなりカッコ良く見える。中国スノーボード・レベルを牽引する選手だ。

以上、中国のスノーボード事情を報告させていただきました。現在の中国のスノーボードはまさに創成期といえます。日本でスノーボードが普及し始めたころと似ているかもしれません。しかし、中国のスノーボードは同国の経済発展と同じく、凄い勢いで成長しています。スノーボード人口も増加していますし、選手の育成も急ピッチで進んでいます。一度北京のスキー場にいらしてみてください。きっとその勢いと熱気を感じることができ、あなたのモチベーションも高まるはずですよ!
また、今なら日本で普通のレベルでも、北京のゲレンデならばヒーローになれます。しかし、3年後には中国人のレベルも上がるのでしょうから、来るなら今です!

レポート&写真:じゃんす

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