【最新DVD感想記】HEART FILMS – ZERO

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このコーナーは、dmkフサキ編集長による最新のスノーボードDVDの視聴感想記です。 ご購入の際にご参考ください。

Heart Films – ZERO

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普段から、スノーボード・ビデオを観ている人は、最初この作品を観ると、拍子抜けするかもしれない。
というのも、最近のビデオによくある、ストリートのレールを見せるということもなく、またキッカーなどで難しいトリックをするわけでもない。またパークやゲレンデの映像もないから、自分の普段滑っている環境にこのビデオをダブらせるようなイメージも描き難いからだ。

じゃあ、そこには何があるのか?

それは、きっとこのビデオのタイトル『ZERO』にあるようにスノーボーディングの原点なのではないか、と思う。

その証拠に、冒頭このビデオのオープニングでは、ユニークなイラストの赤鬼と青鬼が出て来る。そして、昔、昔にいたであろう鬼たちは、空から雪が舞い降りて来たので、自分たちで作ったボードで滑ることにしたのだ。その鬼たちは現代にあるようなスキー場や、パークを滑ることはない。「地形を活かして滑る」と言う。

よくよく考えてみれば、我々が普段見て「スゲー」って言っている映像。あれは、作られたものであることが多い。
例えば、バックカントリーでのジャンプ。それこそ数時間も掛けて、みんなでエイホラサッサとビッグ仕事をして、その後、ライダーが飛んで行く。そこに一瞬の気持ちよさなどはあるだろうし、決まった時の喜びはあるだろうが、ナンセンスと言えないでもない。というのも、普段、我々スノーボーダーは、そんなキッカーをこしらえてわざわざ一発飛びするなど、しないからだ。

だからこそ今回のハートフィルムは、原点に戻り、「スノーボーディングとは?」と問いたのだろう。パッケージの小さいにサブ・タイトル、「a movie about snowboardingは、まるでこれぞスノーボードじゃない?というメッセージのようだ。

このハートを観て気付くことは、これは学習するものでなく感じるものってことだ。
スノーボードの作品を観る時には、最初に見た時、ヤベー、スゲー、楽しいーってことを思う。そして、次にはそのトリックを詳細に分析するってことしない? 「ああ、あのライダー、あそこスイッチだったのかよ。」とか、「あの憧れのトリックってどうやるんだろう?」とか研究したり。
だけど、この作品では、そんな面倒なこと(?)をしないで、パウダーを滑っている気持ち良さとか、エアーをした時の気持ちよさとか感じてほしい、というものである。

作った忠くん、またフィルマー&エディターのケイジくんが、そのへんを意図して作ったか定かではないが、僕はそう思った。

そして何より、日本を代表する世界の布施忠のカッコ良さを感じる!

ベーシックなトリックでも、スタイルを極めた姿がある。それは、前途の話と矛盾もするが、何度も見て、そのカッコ良さやうまさを研究する材料になり得るのだ。
グラブした感じ、手を上げた感じ、そして何よりも川の流れのようなスムーズな感じ。そのへんの忠イズムの真骨頂が表現されている。

そして、もう1つ大事なこと。それは、コニタンの頑張りだ。
これまでハートフィルムと言うと、どうしてもその知名度やインパクト度で、布施忠ばかりに目が行ってしまうところがあったが、この作品では忠&コニタンというをフューチャーし、見事に二人の素敵な映像をたくさん残しているのだ。

残念ながら3大ライダーで行くハズだったもう一人のライダー、アキくん(平岡)は、ケガのため出遅れ映像は少ないのだが。

ここまでハートに対する思い入れが強いためか、この作品のコンセプトやメッセージばかりに筆が走ってしまうが、それぞれのパートで見所もたくさん!
特に後半に向かうカナダのパートでは、かなりエグい映像が入っているので、そのへんもぜひチェックしてほしいと思う。雪崩のように落ちるマッシュを攻めたり、巨大な岩肌なところを滑っちゃったり、何とも凄い映像の連発だ。このへんは、見てのお楽しみ!ってところだね。

「山をストリートに例える。それがオレの理想だね。」という忠の言葉にあるように、大自然をどれだけ遊び倒すか、ということがテーマ。
その自然の恩恵に包まれながら、自分の足でハイクして、たっぷりと遊んでやろう!そんなメッセージが伝わる。それが4作品目となったハートフィルムだった。

出演ライダー: 布施 忠、小西 隆文 、平岡 暁史、MAGUN、安立 風太、and more…

制作: HEART FILMS http://www.heartfilms.com/ 
国内販売代理店: チャンピオン・ビジョンズ http://www.championvisions.com/

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