TOP RUNNER写真家/丸山大介(2)

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ウィスラーを拠点に構え、世界中で撮影を続ける。世界ナンバー1の呼び声が高い全米トランズ誌と契約し、北米の業界関係者にもその名は浸透。日本という殻から飛び出してグローバルに走り続けるその姿は、まさにこの世界のTOP RUNNERだ。写真家Dice-K Maru、その魅力に迫った。

 

Interview by Fusaki Iida

全米のトランズ誌での契約、さらには今年、thatをリリースし話題となっているForumとの一年契約の撮影も行って、日本人でありながら世界の舞台で大活躍するDice-Kこと丸山大介。その活躍の原動力とは?

うーん、何だろう・・・凄いものを撮りたい、という気持ちは大きいですね。日本人であろうがどこの国の人であろうが、スタイルがカッコ良くて、一緒にフォトセッションできることが最高です。「そんなことやるんだ!」と驚かされることをやってくれて、それを撮っているのが楽しいです。

マルくんのそういう言葉を聞くと、改めて幸せそうに見えるし、また最高峰にいる人だと感じます。だけど、カメラマンの中には、そうしたくてもなかなかできない人、もう1つ自分の殻を破って飛び出したいけど飛び出せない人も多いでしょう。マルくんは、そんな壁がなかったようにも見えるのですが、どうでしょう?

いやあ(笑)、そんなことないですよ。なかなか入っていけない部分もありました。でも言い訳しないで、行動に移すようにはしましたけど。そうしていくうちに言葉の壁よりも文化の違い、そこを理解していかないと撮影しても歯車が合わないことが多いと感じていましたね。ヨーロッパ人でも、フレンス語圏のカナダ人でも片言の英語しか話せないのにやっているので、その辺は感心します。波長を合わせるというんでもなく、意思表示も大事だと思います。「日本から来て何にもわからないんですけど」じゃ駄目だと思うし、ただ振り回されるか、逆に振り回すかで終わっちゃうくらいなら、やっぱり話せなくても、自分で意思表示をして、輪の中に入っていかないと。だけど、いきなり「行こうぜ」ということもなかなかできないと思うので、なるべくコミュニケーションをとるようにして、自分の存在をアピールして行くことが必要だと思います。自分がカナダに乗り込んで来た時は、実際にそんなこと意識的には考えていなかったけど、現場に入るとどんどんそんなことを感じました。「お前を撮りたいんだ、あれを撮りたいんだ、お前を撮ったらスノーイング誌に出させることができる、トランズ・ジャパンの記事がができる」と、そういうふうにアプローチしてきました。そして、紹介が新たな紹介を生み出し、どんどんリンクしていったんだと思います。

文化の違いって、具体的にどのへんだろう?

例えば、日本の文化は自分をアピールする事が恥ずかしいことだったり、相手に対して自分のことを述べるのが失礼だとか、押し付けがましいと思ったり、思われたりする文化だと思うんです。でも日本以外のほとんどの文化は、自分をアピールすること、意思表示する事を教えられながら成長してきます。日本人は自分が英語を話せなくて堂々とやって行く、という人がそんなにいないと思います。そこが大きな壁になっているのは確かなんだけど。それは日本特有のもので、海外の英語圏以外の人でも、自分をアピールしたいとか、自分がこれをしたくて、ということで入っていく。そこで自分は言葉が話せないからとか、アマチュアだとか、そういうことはないんですよね。一生懸命やっていて、そのコミュニティーに交わろうとします。日本の文化では「やりたい」という気持ちがあるのに、言葉が話せないから無理だとか、自分を表現する前にストップしちゃうんじゃないでしょうか。

そうだよねえ、こっちは床屋の姉ちゃんなんかも、全然英語話せなくて堂々としているもんね。これで商売やっちゃうんだあ、って。だけど、それはマルくん日本にいる時はわからなくて、こっち来て理解したとかなの?

オレもしかして天然だったのかもしれない(笑)。結婚してカミさんから言われて気付いたんだけど。家の姉ぇちゃんもおふくろも、ド天然だった(笑)。

あー、確かにマルくんは天然かもしれない(笑)。
ところで、日本と海外で仕事しているマルくんだけど、国内外では何が違いますか?

海外は限界がない。意思表示したことをとことんできる。日本はそういうものをさらけ出さないのが美しい、というような文化で、さらけ出すと「あいつやり過ぎ」と思われたり、出る釘はたたかれる状態が多いと思います。自分の個性をさらけ出すことはいいことなのだけど、周りに理解してもらうまでに狭い社会だけに他人からの評価が身にまとうところがあると思います。自分が「あれをやりたい!」と思っても、やはり世間的に押さえつけられちゃう。また自分でもそう思ってしまう。海外では「あれ、やりたい!」と言えば、「あいつこういう活動しているんだ」ってことで理解されて、話が来たり、サポートされたり、あるいは同じ方向に向かっている人とのコネクションができたり。だからチャンスは多いですね。海外の方が動きやすいです。
会社の中だと、上司の人が「ダメだ」と言ったからってダメになるなんて、オレの中ではあり得ないわけです。編集でもマーケティングにいる人たちでもみんなそうなんですけど、決定権を持つくらいプライドがないといけないですよね。その人たちが窓口になって、話しあって良いアイデアを実行に移すわけだから、結局上司と相談して「ダメになりました」なんて、あってはいけないですよね。日本でも担当者がプライドを持ってやっているのだろうけど、常に上司というのが付きまとうから、各担当者が自信を持って行動を移せるように会社のシステムに変えてもらいたいです。

つまらない話だよねえ。オレはまだ狭い視野の立場だと思うけど、ウィスラーの現場に立って今のスノーボード・シーンをかろうじて知れるわけで、デスクに座っている上司がわかるわけないのにねえ。

こちらのマーケティング・マネージャーとか、本当に現場に足を運んでいると思います。そして確実に力の源である現場のデータを把握し、上司に相談する前に、上司が納得せざるを得ない企画やアイデアを会社に取り入れようと動いていますね。自分がわからないのに、上司もわかるはずがないじゃないですか。上司も責任があるだろうから、やっぱり“一方的に”「ノー」なような気がします。

マルくんがよく言う、相乗効果の話ですが、そのへんのことも改めて伺いたいです。

自分で頑張って効果を生んだとして10の力が生まれるとしますよね。それがいっしょにやっていく仲間が10人いたら100の力、あるいはそれ以上か、またはそれ以下の力が生まれると思うんです。しかし、どんなに単体で頑張っていても、やはり一人では絶対に限界があるんです。例えば一年365日あって、その内100日雪山に上がれるとしたら、その100日を有効に使いたいんです。ただし凄いライダーとつるむ事だけが僕の言いたい事じゃないんです。そのライダーのスポンサーにとって、自分のサポートするライダーの写真が豊富に使えるだけある事だって相乗効果の一つだし、僕もそれで写真を売ることができたら飯が食べれるようになります。また雑誌社にそのスポンサーのライダーの露出が多くなる事は、スポンサーしているメーカーにとって広告以上の効果があると思うんですよね。全てチームワークでリンクしているのに、それに気がつかず単体で動いていたら、自分が生み出せる効果や人に気がついてもらうチャンスが極端に減るのではないでしょうか。もちろんそれだけじゃありません。協力し合いたいみんなとコミニュケーションをとって、自分たちが進みたい道をクリエイトしていかないとダメですよね。それが僕が言いたい相乗効果です。

マルくんがコンスタントに仕事していると言うと、忠くん(布施)ですが。

忠とはずっと撮影しているけど、先シーズンは4回しか撮影していないんですよ。でもお互いにやりたいことがわかっているので、結構、波長が合います。トランズ表紙が撮れたのは嬉しかったです。

あのシチュエーションは?

あれは1月で、ずっと雪が降り続けてコンディションが良かった時で、5日目とか。オレはFORUMのthatの撮影で最初の4日間拘束されていたんです。だけど、4日撮影して彼らも疲れて来て、彼ら曰く「もう撮影ポイントがない」と言い始めたんですよね。それで「明日忠と撮影行きたいなぁ」と思っていた矢先、ちょうど忠から電話があったんです。「オレ、明日空いたんだけど、一緒に山あがらない?」と聞いたら、「良いところ見つけたからトライコーニーに行きましょう」と。そこはパウダー・マウンテンなんですけど、一番標高低いんですよ。だから「雪、大丈夫?もう、パウダー残ってないでしょ?」と聞いたら、「いや、たぶん大丈夫、遊びに行きましょうよ」ということで翌日一緒に山にあがりました。「そこで何やりたいの?」と聞いたら、「ちょっと練習がてらやっても良いですか?」ってことになり、「楽しそうじゃん!」くらいの乗りで撮りました。そうしたら・・・あんな風になっちゃった(笑)。

忠くんが海外に出る時にマルくんがアドバイスした、というのは有名な話だけど、そのへんの経緯を。

アドバイスしたというか自分も海外に出たいというのがあって、「行こうよ」って誘ったんです。アラン・クラークとかケビン・ヤングとかと、いきなり撮影なんてとてもできるような感じでなかったので。

そうなの?忠くんに前インタビューした時、「マルさんに相談した」というようなことを言っていたけど。

会って2年間ずっとアメリカやヨーロッパなど様々なところで撮影したんだけど、いつも時間が足りなくて。お金がなかったから、雑誌社に企画出して、「布施忠と鎌田純、ライオと行くトリップ」というふうに口説いて経費を出してもらいました。でも撮影2週間行って、それほど写真がない、というような状況が多くて。それが自分の中でストレスとして貯まっていたし、それなら思う存分撮影できるように住んだ方がいいじゃない、と思ったんです。それからウィスラーのカッコいい映像や写真は、スノーモービルでバックカントリーにアクセスしていることを知りました。それであるシーズン、スノーモービルをレンタルしてトライしたんですよね。8人くらいで行って、そしたら全然行けなくて、凄いロケーションなんだけど、ローカルの連中はどこにいるの?どこで撮影しているの?って。だけど、こんなに良い場所あるなら、いっぱい撮影できるなあ、と実感して今まで一緒に活動していたライダーを誘いまくりました。僕はただいっしょに撮影できるクルーがほしかっただけで、忠が本当にいっしょに来たかったのかどうかはわかりませんでした(笑)。でもその時ロシニョールから忠に「経費を出すから契約しないか」という話も出ていたし、ジャパンブランドのままだと動けないから移籍した方が良いんじゃないかという話はしていました。ライオはオリンピック目指していて大会のために来れなかったし、他のライダーもあまりこの移住計画に賛同してくれなかった覚えがあります。

忠くんは、世界メジャー級になったねえ。そうなるってのは感じてた?

うん、ステップ全部見てたから(笑顔)。次ここ行ったって感じで。
最初はMOSSにて、MOSSからGRAYに分離してスノーボードを作っていたんですけど、日本だからそんなに経費が回って来なかったんですよ。だから、海外の写真がそんなに必要ないんですよ。それでロシニョールからオファーが掛かった時、日本でなくて海外のロシならいいんじゃないの?と言ったんですよね。そしたらフランスの本社と結びついて、金額も上がって活動費がもらえるようになって。
インターナショナルになっても、自分がどれだけ力出せるのかわからなかったら、とにかくガムシャラに撮影するつもりでした。ところがそんなにとんとん拍子に撮影が始まるわけでもなく、結構だらだらの生活が始まったんですよね。そんなある日、忠が「本気でやるなら本気でやっていく!」って気持ちをシフトする時が来たんです。「えっ、何その展開?お前昨日までタラタラしていたじゃん」とも思いましたが、忠の切り替えは波半端なものじゃありませんでした。それは刺激的だった。でも結局他のライダーや忠、自分までも歯車が合わなくなって来て、そのシーズンは解散したんです。でも次の年、本気でやり始めたら、本当に凄い量の写真になったんですよね。撮ったこともないほどの写真の量をいろいろな雑誌社にバラまいている内に海外の雑誌社でも使ってくれるようになって、日本の雑誌ではインタビューページで攻めまくりました。それがこっちの現地のライダーでも目にするようになったんです。でもまだその頃は「布施忠というライダーがいるから使ってもらえないか」と言っても、正直、難しい顔をされました。そんな中、チームメートだったJFペルシャに山に一緒に連れて行ってもらうようになって、ローカルの中で忠がブレークしたんです。そのうちビデオのフレンドパートとかなら入れてもらえるとなって、それでマックダグに入れてもらうことになったんですよね。で、それからも「あいつうまい!」ってことになって、またまたボーンと広がって行って。気がつけば忠は自分のパートがもらえて、世界的に名前が浸透して行ったんです。
それで3年くらい後にBurtonからのオファーがあったんです。忠曰く「Burtonは自分の好きなイメージのブランドじゃないから乗りたくない」と言ったんですけど。「でもいつか自分がプロ・スノーボーダーとしてやっていくなら、どこかで割り切らないといけないことがある」って言ったんですよね。Rossignolはそのままやっていても給料が上がらなかったし、スノーボードのセールスのシェアもバートンと比べたら影響力は全く違うという話になって。「Burtonは絶対にポテンシャルがあるから考えてた方がいい」って話をしたんですよね。で「自分が嫌いなブランドに乗るのが嫌だったら、自分がBurtonのイメージを変える力があるんだから変えて行けばいいなじゃないか」って煽ってみたんです(笑)。「忠ならイメージを変えて行ける」と言って。忠はそれを凄く納得していましたね。自分で変えて行くことができるなら、変えて行くって。本人はその言ったことを忘れているかもしれないけど、その気持ちは今でも反映していっていると思うんですよ。忠がBurtonのワールドチームに入ったことで、バートンのイメージがかなり変わったと思うんです。いざ契約の話になった時は、忠がイメージするスノーボーディングをBurtonを通して伝えていくのが契約の最低条件にしたんです。だからシグネチャーボードは絶対条件でした。あとはユウホ(布施忠の北米代理人)が入って来たから、お金のこととか、わけがわからなくなったけど(笑)。とりあえず、そこまではつなげて。

凄いなあ・・・(溜息)。おもしろいね!今の話を聞いていると、マルくんも忠くんも素直に世界に飛び込むんだね。普通の人だったら、何かしら理由付けて躊躇するところ。

オレは中間業というか紹介するのが得意なんですよ。この人とこの人を結び付けるというのは好きなんですよ。だけど、自分が入って行くというのができない。友達でも知り合いでもいろいろな人を紹介したり繋げて来て成功している人やパートナーや親友になっている人達が結構いるんです。自分も便乗できたら良いんですけどね。ハハハ(笑)。

忠くんも、期待に応えて行ったね。

あいつはバカ正直だから。特に自分に対してバカ正直で揺るがないんですよね。例えば何か課題があったら、自分たちはその課題が大きすぎるのか、消えちゃったり、緩んじゃったり、熱い思いでもフェイドアウトしちゃったりするじゃないですか。あいつは言葉で忘れちゃっても、ずーっとそういう感覚持っているから。結構それって凄いことなんです。そんな奴を凄く尊敬しています。

スノーボード業界全体を見渡すと、忠くんだけドカーンと抜けちゃっているような状況で他が付いて来ていないように感じるのだけど、マルくんから見てどう?

確かにプロライダーとして、他のライダーと比べても特化しているところはあると思います。そして忠がこうなるまでにいろいろな人が周りでサポートしてきました。普通なら「お前一人で来たんじゃないぜ」とでも言いたいのですが、周りでサポートして来ている人たちでさへ、忠に影響されて頑張っている人たちがほとんどだと思うんです。もちろん自分も含めてです。
海外に出なくても日本でも特化している人たちは沢山居ると思うんですよ。それはメディアの力不足だったり、その人たちをキャプチャー(捕らえる)できる人がいなかったりで、世にあまり伝わっていないんだと思うんです。
スノーボード文化みたいな話になっちゃうんですけど、忠って1つの日本人文化を築いていると思うんです。日本では「アクロバットみたいなことやって、スノーボードじゃないじゃん」って言っている人もいました。だけど、その人たちにもちゃんと自分たちの活動を表現して伝えていかないといけない責任があると思うんですよね。飛ばないんなら、彼らは彼らで追求すべくスノーボーディングの世界があると思うんです。自分ができないことややりもしていないことにヤジを飛ばすんじゃなくて、これからもスノーボードありのライフスタイルが楽しめて、自分たちがもっと楽しめるように、文化をちゃんと築いていかないといけないと思うんですよね。日本は景気が悪いから無理だと言って、すぐに社会や人のせいにする人多いですけど、それもどうかと思います。メーカーさんや、メディアの方たち、あるいはローカルでブイブイ言わせているライダーたちに、もっと自分たちの好きなスノーボーディングが伝わるように頑張ってもらいたいです。
忠もそうだと思うんですけど、忠だからとか、オレだからとか、特別視されるのが凄い気に食わないんですよね。同じ立場でやっているという意識は僕らの方が強いようにも感じられるし、好きなことやりまくっているんだから、それに共鳴して仲間を増やしていきたい気持ちは一緒じゃないですか。
自分がやりたいと思っていることがあるのに「あれじゃいけない、これじゃいけない」っていううんちくが多すぎるんですよね。なんか一種の見栄的なことしか感じないし。やりたいんだったらやればいいんですよ。入ってくればいいんですよ。例えば「一緒にやろう」ってなった場合、別にほったらかしにするつもりで言っているじゃないし、「一緒にやろう」というからには、本当に一緒になってやっていきたい気持ちなんですよね。「オレ、スノーモービルできないしなあ」とか、そういう何か表面的なもので押さえられちゃうと「やる気ないのかな」と思っちゃうし。逆に下手だけどやって行きたい、という人がいたら「下手なんて承知の上じゃん!」って、一緒に頑張りたいです。

結構、日本に行くと、「いっしょにやりましょう」って誘われるの?

例えば、ここウィスラーとかマンモス、フッドとかでセッションしている時、フィルム・クルーとか、ライダーとかに「いっしょにやろう」と言われたり、メールでコンタクトがあったりもしますよ。でもなんだかんだ考えたあげく、最終的「あれができないから、これもできないから」ということで話はなくなります。逆に思うと「そこまでやる気はなかったんだなぁ」とも思うし。それぞれ事情もあると思うから、一概にやる気とか言ったら失礼だけど、魅力を感じてないのかな、と思いますね。

これからのマルくんの活動と目標などがあれば、お願いします。

内容については、隠さないといけないこともあるのだけど(笑)。まあ、やって行きたいのは相乗効果ですね。ライダー、メーカー、メディア、それと自分がチームワークを組んで、目標を持って行きたいです。「こうすれば、こういう効果が生まれるんじゃないかぁ」とバクチみたいなことかもしれないけど、ある程度想像できることに、自分の力、時間を投資していきたいです。
1つのムーブメントを生んだり、ちゃんとした文化というのを築いていきたいですね。だから、今はメーカーさんに「自分をサポートしてくれ」って口説いています。海外の雑誌社とのリンクはできたので(注釈:Dice-K Maruは全米トランズ誌の契約カメラマン)、ある程度のベースはできたと思うんですよ。自分が表現できるという場所は確保できたわけじゃないですか。アメリカのトランスワールドであっても、USトランスは世界ナンバー1のスノーボード雑誌なんで、自分が追っているものを表現できる場所はあると思うんですよね。撮影したいライダー達ともセッションできるし、去年だったらForumは自分にとって大きかったです。Forumのカメラマンをやりたいと思っていた時に、Forumのフィルム・クルーから専属のカメラマンをやってとオファーがあって、自分の希望とリンクできてやったんですけど、来シーズンは同じライダーを2年も撮りたくないのでオファーを断ってしまいました。忠という人間に会う前なら、喜んで来シーズンもForumクルーと撮影していたと思いますが「やはりクリエイティブに突き進んでいかないと」と思ってます。
若手のライダーでオレをもっと必要としてくれる人たちもいるし、特に日本なんですけど、こういうライダーが海外に出て来ているってことも雑誌に載せたいんですよね。今までアジア人であるというギャップが大きかったんですけど、それは自分の中で思っていたギャップであって、世界から見てもそこに全くそんな国境の壁はないんです。本当に鎖国をしていた日本人らしい概念なんですけどね。僕の頭にもそのDNAは潜んでいました。トランスワールドは、本当に表現に自由をもたしてくれる雑誌なので、とことん僕にしかできないことをやっていくつもりです。日本人ライダーたちがもっと海外でもデビューしていけるように、あるいはその動きを見てくれている消費者の方達が夢を持てるようにしていきます。

じゃあ、来季に具体的にどんな形で出るか、楽しみだなあ。

ところが、ほとんどのメーカーさんの意見は「現状のままでいい」というのが本音なんですよね。僕は「今の現状をキープしていくためにもクリエイティブにどんどん先に進んで行かないと」と伝えているんですが。決して今儲かっていたとしても来年はいいって保証はないじゃないですか。現状の数字を崩したくないし、あるいはもっといい売り上げを望むなら、今のマーケティングでOKってことは絶対にないと思うんですよ。みんなメーカーさんも競争しているし、ライダーも競争しているし、さっき言ったフォーマットにはめて「安泰だ」って言っていちゃダメだと思うんですよ。クリエイティブにやって行かなきゃいけないのに「これがあるから大丈夫だ」とか聞くの辛いです。どんどん進んで行ってほしいですね。
雑誌社の人ともよく話をしますが、シークエンスの本が売れるからって、そんなミーハーな数字に誤摩化されちゃいけないと思っていることは伝えているんです。
確かにシークエンスの本が売れてしまうのも国民性だと思いますが、やはりスノーボードがイメージできる環境、もしくはスノーボードをしていけるライフスタイルを伝えられないと、本当にスノーボード業界は死にますね。
10年前に訪れた奇跡のバブルなんて二度と起こる訳はないけど、今よりは確実にスノーボード人口が増えるポテンシャルはあるはずです。自分たちが経験した、本当に楽しんで来たスノーボードを、後輩達に伝えられないまま終わらしてしまうのは、僕ら個々の問題ですからね。改善が必要ですよ。

どうしたら文化が築いていくんだろう。

例えばニール・ハートマンは1つの日本のスノーボード文化を創造していると思います。あるいはずっと滑り続けている小さいメーカーさんだったり、ショップの人たちでも頑張っていて、消費者の人達だって表現の立場を多く持っている人達は沢山居ると思うんです。ところがそれを伝えていくはずの媒体で働く人達が知らないケースが多いし、感じ取っていないと思うんです。本来雑誌社は報道の立場にあるのだから、編集者達は山にこもってスノーボード現場を知る必要があると思いますし、メーカーの方達も実際に自分たちでスノーボードを楽しむことをしていかないと、文化すら育たないし、伝えていくものすらなくなると思うんです。
こないだフサキくんとリフトの上でもそんな話したけど、雑誌の人たちが現場に行かないから現場がどうなっているか、わからない。現場というのはその文化が創られているプロセスそのものだから、それを知らないで他から聞いても大切なところがミッシング(失っている)していると思うんですよね。

うーん、寂しいよねえ。昨日もコンビニでトランズ誌買ったけど、広告の量とか凄くて。やはり文化が形成された上にビジネスができているから強力だよね。

日本はただフォーマットにハメているだけだと思うんですよね。クリエイティブなことに欠けていると思いますし、見えないエネルギーが本当はスノーボード業界を向上させていくのに大切なのに、そこにお金を出すのを渋っていますから。

それじゃあ、つまらないよねえ。マルくんも新しいことやっていきたいでしょ?

はい。結構、それも忠にやられるんですよねえ。あいつは凄えクリエイティブな人間だから、同じことをやらないんですよ。だけど、オレはどっちかと言うとぬるいお湯が好きだから、同じことにちょっとでも浸っていたいんですよね(笑)。でも、それをやっちゃいけないんですよ。クリエイティブにやっていかないと、道が開けていかないし。進行していくためにも、そんなぬるま湯に浸かる時間って本当はないと思うんですよね。どんどんどんどん自分の時間と活力をインベスト(投資)して、突き進んでいかないと。僕のスノーボードに携わっている人生は、投資人生です。
そう考えると日本のメディアだったり、メーカーさんの発想は本当に乏しいっすね。失礼ですけどね(苦笑)。
海外とどんどん差が開いていきますよね。
フォーマットさへあれば、そこに従って行けば安泰のように錯覚しますからね。

例えば、そのフォーマットって具体的にはどんなものだろう?

例えば広告を年間1千万円で契約しましょう。月々百何万払うよりは安いとして。メーカーからしてみたら、表2表3(注釈:表紙の裏にある見開きページで、最も印象度を高めることができる広告ページ)に広告を出せば、ノルマも埋められて達成感ありますよね。なんか田舎の道路工事のようですけど。でも、本題は「そのスペースをどうやって有効利用するか」ということなのに、埋め合わせるというフォーマットがあるから、そこにあるイメージを入れるじゃないですか。いい写真があるからとかじゃなく「広告に自分たちのブランド・イメージを入れて売りに出そう」というのに、そのプロセスは本当に乏しいと思うんですよね。よく「誰がこれをディレクションしているんだ!?」っていう広告ありますよね。真剣に自分たちの商品を売ろうとしてこのイメージなの?と、考えてしまいます。そこにあてはまる写真を使う、というのもおかしな話です。
消費者がコンセプトが見えないブランドを、どう指示していくんでしょうか?

読者って、結構、頭いいよね?

うん。それを見た時に読者や消費者は、スノーボード業界って活気がないんだな、って思うでしょね。広告の写真が、中の編集のページよりも勝っていたら活気があるなあ、と思いません?そこに「凄え」というものがあったら、活気があると思うんですよ。
そんなことどうでも良い人達が会社のプロモーションをし、スノーボードという文化を営んでいますからね。雑誌社にはせめて、日本の熱い現場のスノーボードシーンを取材していただきたいです。

それで、来シーズンの動きは?

話戻りますが相乗効果を狙ってチームで頑張りたいです。メーカーさんにもメリットがあって、燃えるライダーがとことん頑張れる環境になるように、また消費者の人たちにスノーボードという文化をもっと見る機会が生まれるように頑張ります。具体的な動きは、だからといって日本のライダーたちを海外に連れて来ることなんて考えていないんです。雪が良いところでベストなシーンを残すことが大切だと思うし。希望はウィスラーにいたいですよ。だけど、ウィスラーの雪が悪くて日本のシーズンが良ければ、日本にも、ヨーロッパにも行きます。
あとは、自分にビッグスポンサーが付いて、家買えるくらい裕福になりたいですね(笑)。

世界の舞台で活躍を続けるDice-K Maruのwebサイトが立ち上がった!

その作品のクオリティも凄いがバリエーションも凄い。おまけにいっしょに撮影しているライダーがビッグ・ネームで、まさにこの世界のトップ・ランナーを証明するwebサイトだ。
Dice-K Maruのこれまでの撮影した写真、仕事内容などが拝見できるのだが、その内容はまさに圧巻! これまでに撮影された雑誌の表紙がたくさん紹介されている。その数ハンパなく、まさにこの世界のトップ・ランナー。また写真を紹介するコーナーでは、1枚1枚に大きな感動を与えてくれるぞ!

ホワイトをベースにされた写真家Dice-K Maruのwebサイトは、あまりにも写真が美しくて、いつまでもこのサイトに浸っていたい気分になってしまう。

これからさらに世界で活躍するDice-K Maruが、クライアント向けに名刺代わりのように作ったサイトとも言えるが、世界中多くのスノーボーダーたちに見てほしい芸術感が満ち溢れたwebサイトだ。

http://www.dicekmaru.com/

 

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