韓国平昌オリンピックを目指して!/広野あさみ

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子供の頃から英才的にスノーボードを学んで来たのではない。ごくごく普通な女性は、スノーボードに出会い目覚め、今ではオリンピックを目指すまでに成長して来ている。決して器用とは言えないタイプだけど、ここまでコツコツと歩み続けて来た。2016-17シーズンは全戦ワールドカップを出場!オリンピックに向かって着実に力を付けている広野あさみ。
今トレーニングしているカナダのウィスラーで、ワールドカップで戦って来た心境、今後の目標などを伺った。

インタビュー: 飯田房貴 fusaki@dmksnowboard.com

 

--まずは今季、長い今季ワールドカップ・シーズンおつかれさま!現在の率直な感想は?

広野:人生で一番ハードなシーズンでした(笑)。気持ちの面でも体力的にも疲れました。でも、いろいろなことを経験させてもらってこの一年で大きく成長できて、(ワールドカップを)回らせてもらえていることに感謝しています。

--世界選手権を含めてビッグエアーは6戦。スロープスタイルは7戦参加。この中での想いでは?

広野:ロシアは寒かった!マイナス30度で体感温度は40度でしょうか。寒さに慣れているハズのロシア人でさえ、驚くような寒さで板も走らずに難しかったです。
寒過ぎてエレベーターが壊れてしまって、ジャンプ台に上がるための櫓、その階段を上がるのが大変でした。ビルで言うと4、5階あるところまで登らないといけないのですが、普段は簡単に登れるはずなのにその時は上っている間に肺が凍るような感覚で。板を履いても感覚がなくて自分の身体が自分でない感じに。だから、スノーボードするのが怖かった。
無事に終わった時は共に戦ったライバルたちとよく頑張った!ってハグしました。


(外にいるだけで髪もカッチコチになったロシア。右は、ロシアの選手ソーニャと記念撮影。)

 

--そんな感覚で、あのビッグエアーしていたら、本当に怖そう。だけど、大変な中、13位という好結果を出しています。

広野:12位に入らないとワールドの枠が増やせなかったので残念な思いが残っています。

--そもそも最初からワールドカップ全戦、さらには世界選手権に出れるような状況ではなかったと聞きますが、どのようなノルマがあったのですか?

広野:最初の韓国でのビッグエアーの大会の時、オリンピックへ行くための基準などを伝えられていました。ワールドカップで12位に3回入ること。10位以内には、2回。8位以内なら1回というものがありました。
最初はワールドカップは4戦しか出れない状態だったのですが、韓国の後にドイツで12位に入ったことでさらに追加参戦が許され、また世界選手権に出れたのは、前大会で鬼塚選手が優勝したことで枠が1つ生まれて、ワールドカップで8位に入れば世界選手権に出れるということになったからです。そして、ギリギリでアメリカのマンモスで行われた大会で8位に入り、世界選手権に参加することができました。


(平昌オリンピック開催地となるビッグエアー台でのW杯も経験。)

 

--マンモスでは、U.Sグランプリ(アメリカの全日本選手権)ということもありスロープ女王と言われているジェイミー・アンダーソン始めかなりの強豪選手が参加した大会でした。そんな中、良い結果が出た原因は?

広野:天気がひじょうに悪い大会で、各選手ミスが多かったのですが、その中で私はうまく合わせることが出来ました。
風が強くて怖かったりしたのですが、その時はポジティブに考えて「逆に風に乗ってやる」と思って挑んだのが良かったのかもしれません。

--結果が出なければワールドカップに参加し続けられない。結果が出なければ世界選手権に出れない。悪天候でも結果を残す。逆境の中、良い結果を出しています。

広野:振り返ってみれば、ピンチに強くなったのだと思います。

--良い結果を残すために、絶えず行っているコンディション作り。または何か毎日やっているルーティーンとかありますか?

広野:うーん(ちょっと考えた後)。朝のルーティーンは決まっていて、まずは起きて歯磨き。コップの水一杯。朝のヨガ。その後ゆっくりして、健康的な朝食。そして準備して山へという流れです。
自分は、元々ムラがあったので、ルーティーンを大切にするようになりました。
普段からストレッチングしたり。そういった自分が決めたことをやらずには寝れないという気持ちもありますね。
朝のこうしたルーティーンのおかげもあり、夜はしっかりと眠ることにでき、スノーボードに集中できてます。

--食事なんかにも大変気を使っていると聞きましたが。

広野:なるべくオーガニックの食事をいただくようにします。添加物は食べなくなったので、コンビニ行くと、水しか買えないかったり(笑)。

--うわっ、それはストイックだ!あまりストイック過ぎるのも良くないのでは!?

広野:いやいや、たまにはダメと思っているものでもいただきますよ。だけど、毎日はしないということです。


(世界各地のビッグエアー台やスロープスタイル大会に出たことは、きっと広野選手の今後の糧となったに違いない。)

--広野あさみ選手というのは、ちょっと異色なシンデレシトーリーにも見えます。例えば、同じスロープでも鬼塚選手は、幼少の頃から大会で頑張って来た実績があるし、藤森選手にしても以前からフリースタイルのカッコ良さには定評があり、そんな中、クロスで3回も五輪に参加。だけど、あさみちゃんはJWSCに入ってから本格的にスノーボードを始めて、そもそもスロープスタイルを目指しているわけでなく、プロになったのはクロスだった。どのようにして、現在のようなオリンピックを目指すような選手になったのですか?

広野:そうですよね(笑)私だけ、誰だお前は!と言われてもおかしくないですね。
鬼塚選手も、藤森選手も。当時私がペーペーだった頃から憧れの選手でした。
頑張って戦っている姿を生で見たりする機会があって、すごく勇気をもらいました。
2人ともやるときはやる!って感じで普段はおちゃらけているのに滑るときは勝負の目をしていて真剣で、怖いはずなのにそれをあまり見せない感じがカッコいいです。
そんな部分2人には言わないけどリスペクトしてます。共に戦ってこれた戦友に感謝してます。


(左、鬼塚選手、中、広野選手、右、藤森選手。彼女たちの戦う姿を見て、大きな刺激を受けたようだ。)

 

--具体的に早く成長できた理由を挙げるとしたら?

広野:私が早く成長できた理由は、
技術面では、メーカーのサポートはもちろんですが、私より前の世代の先輩たちが、何年、何十年もかけて独自で研究して創り上げてきた貴重な技術を教えてもらったからです。
それは私だけじゃなくて、今の若い世代みんなに言えることじゃないですかね。
答えの書いてある教科書が目の前にすでに用意されていた、って感じです。
当たり前に教えてもらったり、映像を見てきたけど、その裏には先輩方の血と汗と涙が入ってるんだな、と。
だからセンスのない不器用な私でもこんなにも早く安全にここまでこれたんだと思います。

気持ちの面では、最初は、ともかく楽しい!というところから入りました。それから、レベルアップして、壁にぶつかり。また越えて、壁がありという繰り返し。そうやって新しい壁を壊している内に力を付けて来たという感じです。
それは、スノーボードの技術にしても人間的にも。
JWSCに行く前までは、共同生活とかしたことなかったら。飲み終わったコップとか洗い忘れていたりしてそれで怒られたりしました。でも今は私が若い子に怒る役目で。
今思えば当時の講師の方や、いろいろな先輩に教えてもらってここまで来れたことを感謝しています。

 

--特に先輩たちに教わったことで印象的なことは?

広野:いろいろありますが、「お前は若いんだから早く海外に出ろ!」と言われたことは大きかったですね。
それも若い時を経験した、先輩方から頂いた言葉です。
若い時に海外にもっと言っておけばと後悔しているから、お前にはそんな風に後悔してほしくないと。
それで今、こうしてワールドカップに行けるようになりました。
また、一刻も早く上達したくて無茶をしていたけど、恩師から「焦ることはない。一歩ずつ階段を登っていくようにレベルを上げるんだ」というアドバイスも大きかった。コツコツやっていけば、必ず上に行ける。その思いでやって来た感じです。

 

--こうして地道にやっていく力。そのへんがあさみちゃんの魅力でもあり武器のように思います。

広野:時々、石橋をたたき過ぎて、西田コーチに叱られることもありましたが(笑)。本当ならもっと突っ込むところで、守り過ぎてしまって反省することもあります。
逆に慎重なところもあるから今までケガしてこなかったというのもあります。
どこまで攻めたらケガするのかしないのか。そこらへんの線引きが分からなくて一歩踏み出せない自分に、コーチや仲間に背中を押してもらったりして助けてもらうことがあります。

 


(ワールドカップでは西田コーチ始め、他の選手にもサポートを受け戦い続けている。)

 

--五輪に出場するためには、どんな課題がありますか?

広野:今できる技を磨き、さらに回転数を上げること。練習しているスイッチバックサイド900、バックサイド720、フロントサイド1080、それを繋げればオリンピックに行けると信じています。

 

--広野あさみをオリンピックに行かすために、これまで多くの方が応援してくれています。最後にファンの方にメッセージをお願いします。

広野:今まで支えきてくださってありがとうございます。これからも全力で歩んで行きますので、応援よろしくお願いします!

 


(ロシアの公開練習1日目に記録していたというメッセージ。)

 

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