絶好調のSNOWBOARDER誌編集長が秘策を語る/森勢 健也

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フサキ(以下F):スノーボーダー誌。絶好調な売れ行きだそうですね。読者からのハガキもたくさん来ているとか。売れている要因とはどこにありますか?
森勢編集長(以下M):ちょっと今年は怖いくらい売れちゃってますね。これまでの編集者生活で、あまり売れた経験がないので、ドキドキしますね。ま、弊誌は徹底した現世利益ですから。読めば必ず幸せなボーダーになれます。うちの読者は、けっこう一生懸命ボードに取り組んでいる人が多いんですよ。パイプ、ワンメイク、フリーライディングなどなど、ジャンルを問わず、向上心のある人が多いのです。編集部もその気持ちに応えるように、アグレッシブに本作りをしてます。そんな、読者、編集部、そしてライダーも一体となって前向きな感じになっているのがいいんじゃないですかね。

F:今年から編集長になったのですが、「何か自分ならこうやる!」みたいな決意というか秘策はあったのでしょうか?
M:秘策というわけではなく、自分が読みたいものを作るという気持ちが強かったですね。というのも、読者アンケート、ライダーの意見をマーケティングしたところ、現在のスノーボーダーの技術レベルの最大多数のところに自分がいるとわかったんです。ま、いわゆる自称・中上級者ってやつですね。何年か前と違って、ボーダー全体の中でのビギナー率はかなり下がってますね。したがって、初心者・初級者の層はメイン・ターゲットではない。ということは、僕が読みたいものを作れば、より多くの人に受け入れられるのではないか、と。

F:聞くところによれば、編集長はおじさんスノーボーダー読者に一人一人メールを出しているとか?
M:全員に出しているわけではありません。時間ができた時、たまたま目に付いたものにだけですが。自分がまあ、オヤジなので、本人はまだまだ若いつもりですが、年配の方のお便りを見ると、なんか共感できるんですね。う~、俺も頑張るから、あんたも頑張ってくれ~っていう気持ちになりますね。なんか、どこへ行っても自分が
最年長ボーダーじゃないかって思ってたんですが、意外とオヤジボーダーが多いんで、心強いです。
(注:おじさんコーナーのOYAJI STYLEは読者のご意見ご感想コーナーである愛好的雪板乗魂の中にある)

F:森勢編集長のスノーボードへの関わり、経歴を教えてください。
M:14から15年くらい前、スキー雑誌の編集をやっていたこともあって、スキーは細々と続けていたのですが、その頃はボーダーって邪魔だと思っていました。それが6年前、40歳を前にして、始めちゃったんですよね。深雪用に、幅の広いスキーの板を買いにいったんですが、もっと幅の広い板を買ちゃったんですね。なあに考えてたんですかね。その冬からはボード一筋です。ウインター・シーズンの休みは必ず滑りに行ってました。狂ったようにやっていたゴルフも、12月から4月までは封印です。あー、あと会社や家族からもバカじゃないかと思われているようです。40にもなるいい大人が、金曜の夜、っていうか土曜の未明から、雪山に向かって、駐車場で
寝て、吹雪の中、リフトが動き出すのを待っていましたから、まちがいなくアホですね。でも、雪山にみんなを引きずり込むべく、頑張ってます。

:素晴らしい、っす! 編集の仕事大変だと思いますが、年間滑走日数はどれくらいあるのですか?
M:これまでは30日前後滑ってましたが、この編集部に来てからは、あまり滑れなくなりました。真駒内と旭川のワールドカップの合間に2日間滑ったのと、新潟に取材に行った時、サボって半日、吹雪で関越が止まった時2日間、五月の連休に槍ヶ岳で2日間、などなど、10日間くらいですか。

F:もし、どんな山でも滑らしてもらえる、としたらどこに行きたいですか?
M:日本でも、北米でも、ヨーロッパでも、デカい山で、フワフワのパウダーが永遠と続いていて、ヘリでガンガン運んでくれればどこでも最高ですね。本当は、自分の足では1ミリたりとも登りたくないんです。しょがないから登ってますけど。これまで行った中ではツェルマットが、なんかのんびりした雰囲気があって好きですね。もう1回行ってみたいですね。

F:ところで、最近、世間の景気同様スノー業界もひじょうに元気がないのですが、何か盛り上げるためのいい方法ってないですか?
M:今の状態が、景気がよくないと思うこと事態が間違ってると思います。これは普通、というか成熟した状態なんじゃないですかね。猫も杓子もテニスだ、ゴルフだ、スキーだと、同じものを誰もかれもやるという、うかれた状況の方がへんでしょ。本当に好きな人だけがやればいいんじゃないですかね。もちろん、今、この業界にいますから、より多くの人にスノースポーツを愛好してもらいたいとは思いますが、へんなブームになって舞い上がるのは、もうたくさんっていう感じです。

F:これ読んでいる方で、編集の仕事をやってみたいという人もいると思います。そんな方にアドバイスがあったら、お願いします。
M:悪いことは言わないからやめたほうがいいです(笑)。長生きできませんよ。やる気があれば誰にでもできます。スキルは経験がつけてくれますから。ただ、やる気を持続させるのは難しいですよ。

F:森勢編集長にとってスノーボードとは何ですか?
M:仕事を離れれば、最高のパスタイムですね。あー、パスタイムの域は越えてるかもしれないなあ。

F:最後に夢を教えてください
M:早くリタイアして、ボードとゴルフと読書して暮らしたいですね。

インタビュー後記:
やさしい笑顔を持った人は、内に秘めたるものを持っている。森瀬編集長もそんな方であると推測した。メガネの奥にある眼光は、トップ販売を続ける雑誌であるからこそ、気を引き締める、そんな印象を受けた。スノーボード界の現状把握も素晴らしく、勉強させてもらったインタビューだった。とかく編集者の方は、仕事に没頭するにあまり、滑りに行けないことが多い。そうなると、読者のニーズを認識できないということにもなるが、森瀬編集長のスノーボードと雪山を愛する精神に触れると、そんな心配が御無用のようだ。


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