生まれ変わった日本最速の男/鶴岡 剣太郎 (2)

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Interview: Minoru Saito

 

オリンピック日本代表を目指し全てをかけ、世界を相手に戦っていた鶴岡剣太郎。オリンピックに出場することはできなかったがそれでも日本最速の男に間違いはない。最近はメディアに登場する機会も増え活動の幅も広げているようだ。

 

M(ミノル):お久しぶりです。
K(剣太郎):ホント久しぶり。何年ぶり? オリンピックの前だから3年くらいになるのかな?

 

M:ほんと久しぶりですよね。いきなりですけど最近はどうですか?
K:今は環境を新しく作ってるところかな。ずっとオリンピックに出るのが目標でやってきてナショナルチームのトップにもなって、それ以外は考えられないような状況だったけど、実際は出れなくて。3ヶ月くらいは目標がなくなっちゃって、なんか楽しくなくなっちゃってね。でも、オリンピックの中継の日はなぜか勝手に目が覚めちゃって、気がつくとTV中継を見ていたんだよね。やっぱ、頭のどっかで気になっていたんかな~。ホント気に求めていなかったのにパッと目が覚めちゃって。で、その中継を見ていたらなんかもう一度スノーボードがしたくなった。しかももの凄く滑りたくなった。それまでW-CUPで競い合っていた連中の滑りを見ていたら悔しくならなかったっていったら嘘だけど、それ以上にスノーボードがしたくなったんだよね。で、滑ってみたらやっぱりおもしろいと。だから最近はいろんなことが楽しめるようになったし、そういう気持ちの余裕も出てきたのかな。ただ、最終目標はもう一度オリンピックを目指す。ここはやっぱり譲れないです。

 

鶴岡 剣太郎M:そういえば最近は雑誌の表紙を飾ったりとか、メディアにもでてますよね。
K:そうだね。昔はなんていうのかな、カツカツしてた。例えば雑誌の撮影とかも「それ(撮影)に出たからって速くならないでしょ?俺そんな時間あったら練習するよ」みたいな感じでメディアとか全く興味がなかった。ほんとレースとオリンピックだけしか見えていなかった。だけど今はもっと周りが見えるようになったっていうか、メディアとかスポンサーの企業だとかにも積極的に働きかけるようにしてるね。昔だったらSBJとか絶対にこなかったし。

 

M:そうですよね。僕、毎年来てるけどは初めて会ったし(笑)。
K:でしょ(笑)。でも、やっぱりオリンピックを境に変わったね。いわゆるプロ活動も大事なんだってわかってきた。それは自分の環境を良くするっていう他にバックアップしてくれるメーカーさんのためでもあるし、う~ん、なんて言うんだろ、難しいな~。いろんなことを楽しんでできるようになったし、それってオリンピックに出れなかったからこそって部分もあると思うんだよね。オリンピックには負けたけど自分には負けていない。これを糧に成長したっていうか・・・。

 

M:まぁ、結果的には出られなかったんですけど、だからこそ得られるものも多かったみたいですね。
K:それはあるね。たぶんオリンピックに出ていたらこういう考え方にはならなかったと思うし。

 

M:最近はレースとか出ていないんですか?
K:出てますよ。ただ、今は自費で行かなくちゃならないんで(笑)。でも今はボーダークロスにもでてますよ。

 

M:え~!! 前は絶対に出ないって言い切ってましたよね。それが?
K:そう。まえはレース以外は考えていなかったから。今はプロ活動の一環としてボーダークロスにもでて戦ってる。いろいろな活動をやるという気持ちになってきているから日本でボーダークロスのほうが人気があるならボーダークロスにも出て戦う。最近のコースは高速系になってきているからアルペンで全然いけるんで、出てみたら思った以上におもしろかったし。180オーバーのアルペンボードで普通に参加してますよ(笑)。

鶴岡 剣太郎

M:さすがですね。アルペンと言えば最近人気が落ちてきてますけどどうすれば生き残っていけると思います?
K:一つにはやっぱり世界で勝てるライダーが出てくること。それもカリスマも持っているライダー。世界を相手に勝てるようになればメディアでの扱いも変わってくるだろうし、カリスマがあればそれについてくるライダーも増えるしね。で、もう一つはプロとしてのキャラクターかな。プロレスラーのCさんって知ってます? 僕はちょっとした知り合いなんですけど、普段はホントに穏やかな人で美容院なんかで会っても「この人プロレスやれんの?」ってくらい普通の人なんですけど、いったんリングに上がると「おまえら、コラァ!!」みたいな感じで全くの別人。それってプロレスラーとしてのCというキャラクターなんですよ。でも、そのキャラクターにお客さんは熱狂する訳で、僕もプロとして活動していく以上そういうキャラクターってやっぱり必要なんじゃないかなと思うんですよ。まぁ、プロレスまで行かなくてもいいんですけど(笑)熱狂させられる、愛される、何でもいいんですけどいい意味でのキャラクターはあった方がいいと思うんだけど。

 

M:じゃ、最後にこれからの夢を教えてください。前はハリウッドスターでしたよね(笑)。
K:ハリウッドスターはずっと思ってます(笑)。でも今現実にしたい夢って言えるかわかんないけど、やっぱり普通の幸せっていいんだなと思うようになった。オリンピックにでれないって決まったときからホントに暗い生活してたから。普通に仕事があって、かわいい嫁さんと子どもがいて、っていう普通の幸せな家族。それで犬でもいたら言うこと無いって感じですね。

 

インタビュー後記:
オリンピック前にインタビューしたときには張りつめた雰囲気を持った鶴岡剣太郎だったが、数年ぶりに会うとまるで別人のようにリラックスしてゆったりとした雰囲気と自分に対する自身が漂っていた。一度挫折を味わった男は一回り大きくなって帰ってきたようだ。今後はプロ活動にも力を入れていくとのことで今までとは違ったメディアでの活躍にも期待したい。

 

鶴岡剣太郎オフィシャルホームページ
http://www.mojyaken.com/

2001年鶴岡剣太郎インタビュー

 

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