独自のキャンプ理論で今年もパイプキャンプ大盛況/加藤高正

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dmkクラブの中でも最も人気が高いハーフパイプ・キャンプ。そのキャンプのメイン・コーチとディレクティングをするのは加藤高正プロだ。往来のパイプ・キャンプとは違って自主性を尊重し、そういった雰囲気の中でキャンパーたちを指導して行く、そのような姿勢が受けて、現在では日本の中でも最も人気のキャンプの1つにまで成長。今年も大盛況の中、定員オーバーのパイプ・キャンプは3月に開催される。そのパイプ・キャンプの舵取りをする高正がこのグローバル・インタビューに久々に登場した。

フサキ(以下F):今年もキャンプの募集を始まったけど、意気込みやメッセージなどを。
高正(以下T):今年で早くも3回目になったんだけど、正直ここまでキャンパーの方々に支えられるとは思ってなかったですね。お客さんが来ないとかそういう意味じゃなくて、自分のやりたいキャンプのスタイル、教え方という意味だけど。

F:高正のキャンプ・スタイルというと、能書き言わずにとにかくやってもらう、という感じだと思うのだけど、具体的にパイプ・キャンプのレッスン内容はどんな感じ?
T:基本的にはキャンパー自身が今できることをやってもらって、オレらが今、直したら良くなるところを一つしかアドバイスしない。それができたらまた次のアドバイスをあげるって感じかな。こっちから“あれやれ”、“これやれ”ってことは一切言わないよ。ただでさえまだパイプに入って滑ることに緊張してる子たちばかりなのに、こっちからやれって言ったら余計に緊張しちゃってできないっしょ。だから自分でできる範囲で頑張ってもらうってことが一番だと思ってる。

F:そもそもこういう教える方法というは、自分の経験から来ていることなの?
T:う~ん、どうだろう・・・、でもドリルとかをひたすらやらせるキャンプには「?」だと思ってたから。そういうのを見ててキャンパーがやらされてるって感じがしてて。しかもみんなつまんなそうに見えて、絶対にこれは違うなって思ってた。それで自分がキャンプに入ったら何をしたいのか、何ができるようになりたいのかって考えた時に今のスタイルがでてきたんだよね。

F:高正はdmkキャンプに初めて音楽面などの部分でもこだわったディレクターでもあるけど、教える面以外でも気を使っているよね?
T:やっぱり楽しくないとね! 音楽もその要素の一つだと思う。リズムっていうかノリっていうか、そういうのって滑ることに不可欠なものだと思うんだよね。別に音楽を聴いて滑ってなくてもどっか頭の中でリズムができるっしょ? それが自分の滑りのスタイルにも繋がっていくと思う。だから音楽は絶対だよね。あとは思い出に残ってほしいってことから夜の宴会もやってる。これは相当熱いよ!
(写真右、一見そっけない感じがするけど、かなり丁寧にやさしくコーチングしてくれる高正。先月のフリースタイル・キャンプの一コマ)

F:宴会では今年もボード・プレゼントある?
T:ヒ・ミ・ツ

F:パイプをやる人でよくバックサイドの壁でボードを返せない、という人がいるけど、どういうアドバイスを送っている?
T:ボードを返すって表現が難しいんじゃない? オレは次の壁に板を向けてあげなって言うよ。それだけでいいからって。変に板を意識させないでどういう風なラインでパイプを滑るかをまず教えるね。

F:なるほど、ライン取りを意識させて、その結果自然に返すことを教える、ということか。その他、よくキャンパーでありがちなミスとかある?その直す方法とか?
T:ミスっていうか、みんなまだまだ板を踏めてないよね。姿勢を低くっていうとお尻を下に落とせなくて、頭を下げようとしちゃうんだよね。そうすると体が前のめりになってお尻がでるだけ。だから行きたいところに滑っていけない。これが一番多いね。それをクリアするとリップまで楽に上れるようになるんだけど…。だからみんなもっとフリーランをして、顔を上げてお尻を下に落としてしっかりと板を踏むことを意識してほしい。パイプの狭いボトムの中だけでは絶対に直せないからね。

F:よく質問されるのだけど、パイプ前にやっておいた方がいいことって?
T:ストレッチングは基本的にいつもやってた方がいいね。でもオレみたいに骨盤がすぐずれたり、ずれてる人は一概にストレッチングがいいとは言えないけど・・・。
パイプに入る前はどうやって滑るかきちんとイメージして入ること! 何も考えずに滑ることは何の意味もないからね。1本1本意識して、“前の失敗は何でだろう”って考えて次に入るときは違うように入る。それでいろんなデータを自分の中に入れて自分なりの答えを見つけることが上達の近道だと思うよ。

F:高正にとってパイプというのは1つのスタイルだと思うのだけど、このパイプという存在というか魅力はどこにあると思う?
T:確かに一つのスタイルにすぎないね。俺にとってのパイプの魅力は1発飛びじゃなくて、何発も飛んで下まで行って、その中に自分のスタイル
を入れられるってとこかな。ルーティーンの組み立て方ってその人のセンスがでるっしょ!それを考えて全部イメージ通りに決めれた時は“ヨッ
シャ!”って自然とガッツポーズがでるよね。

F:ところで最近、上達しているために修行していること、または滑っていて大切にしている感覚とかある?
T:「上達」って技ってこと?それだったら意識してない(笑)。最近は単純に滑ることが上手くなりたいって思って滑ってるよ。だから大切なのはフリーラン!自分のイメージ通りに板に乗れてれば技はできるし、安心感がある。だから最近は技練とかの意識はないね。普通に滑っててかっこいいって言われたい!

F:最近、魅力あるなあ、というライダーは誰?
T:う~ん、いろんな方面で魅力あるやつが多いからなぁ… だれって一人だけは言えないよ。でも正直言って俺自身スノーボーダーとして魅力を感じるところが飛び跳ね系じゃなくなってるかも…。そんなこというと誤解をまねくかもしれないけど。そういうんじゃなくてただスノーボードが好きで好きでたまらなくて、毎シーズン山に篭って滑ってる奴らとかの気持ちっていうのに魅力を感じるんだよね。なんかわかりづらいけど…。別にプロになりたいわけでもないし、スポンサーがついてるわけでもないんだけど、単純にスノーボードが好きって奴らの気持ちに魅力を感じる。

F:今期の活動予定は?
T:基本的にPSAのプロ戦はカバーして、あとはTOYOTA BIG AIRの予選に出て、残りはキャンプやメーカーのイベントかな。今年は今まで参戦して
たFISを辞めたから日程的には昨年までよりは少し楽になったよ。やっぱり両方出てたらスケジュールがタイト過ぎて腰がもたないってことに気付
いた。遅すぎるけど(笑)。

F:そもそもFISに出ていたというのは、どうしてなの?
T:なんだろう、もともとはナショナルチームとか狙って出てたのかな。でもここ数年は大会慣れしたいのと、綺麗なパイプ滑りたいからかな。
FISはFISで楽しいからねっ。プロツアーではなかなか会えない連中とかとも滑れるしね。中井とか村上兄弟とかね。

F:先日の東京ドーム大会に出れなくて残念だったけど、あの大会を見ての感想を。
T:出たかったっすね。たぶん出られなかったライダー全員が思ってると思うけど。今年は実際に見には行かなかったんだけど、大会自体は素晴らしいと思うよ。あんな大きな場所で大勢のギャラリーがいて…。
テレビ放送もあるし実際スノーボードをやらない人たちの目にも止まるしね。大会自体はスノーボードを盛り上げるってことに関して絶対にいい、と思う。ただ不明瞭な点が多すぎるのが嫌だけどね。出られなかったから不満を言ってるんじゃなくて、なんかすっきりしないものが見えすぎてて嫌だな…。日本人出場選手の決定方法とか特に嫌だね。別に方法自体はいいと思うけど、一般から投票させてその投票数で決まるんならちゃんと投票数を公表してほしいよね。いやっそうすべきでしょ!そうすれば出れなかったライダーも絶対に納得すると思う。

F:もし出ていたら、どんなことをしたかった?
T:わかんないなぁ、得意な縦回転は絶対にやってると思うけど。でもあれだけのギャラリーがいたらネクストレベルに突入してたかもしれないね(笑)。

F:最近のスノーボード業界について一言
T:前の質問とも重なってくるけど、スノーボード自体が一般のメディアに露出していくことはものすごくこの業界を盛り上げていくに当たって大事だけど、それに伴ってスノーボード業界以外の大きな力が関わってくると思うんだけど、そういうので可能性のあるものを潰したり、前に出ていく道をふさいだりするようなことが平然と起こっていっては欲しくないよね。まあ感情のある人間の繋がりだからその人の人間性とかも関わってはくると思うから、一概に僕なんかが頭ごなしに言えないけどね。

F:高正も気づけば若手からベテランだけど、今後はプロとしてどんなことをやって行きたい?
T:う~ん、プロとしての活動をいつまでやるかわからないけど、自分が滑ることによってサポートしてくれているメーカーさんが利を感じてくれなくなったらプロとして滑るのは終わりかな…。だからそうなるまでは自分から退く気はないけどね。
今の形はすごく気に入ってるし続けていきたいですね。シーズン中はプロとして出られる大会に出て、自分のやりたいキャンプを楽しくやって、夏は2ヶ月ぐらい海外で滑って、それ以外はスノーに携わった仕事をして普通に生活してって感じで。なんかなめた生活してるって思われちゃうかもしれないけど。
でも滑ってる時は常に滑りで認めてもらえるように頑張ってるよ!

F:最後にこれからパイプ・キャンプに行く人、また全国の高正を応援してくれている人にメッセージを!
T:オレの考えるパイプキャンプはとにかく楽しく滑るってこと。自分のペースで滑って、自分で考えて答えを見つけてもらうってやりかただから変に緊張しないで滑れると思う。もちろんアドバイスはきちんとするよ。難しいことは一切ないから“パイプに入りたい”、“今の段階よりうまくなりたい”って人はぜひ参加してみてください。オレらもコーチなのにってくらい滑ってるし(笑)。とにかく楽しいキャンプだよ。
dmkでキャンプをやるようになってから、本当にたくさんの人たちの声援を肌で感じることが多くなりました。体のことを親身になって心配してくれる人もたくさんいるし、キャンプにも毎回参加してくれる人も少なくありません。そういう人たちがいるからケガに負けずに頑張れるのは事実です。これからもスノーボーダー加藤高正を応援してください!

インタビュー後記:
高正とも古い付き合いになるが、プロという見た目とは裏腹にナイーブな男である。今回のインタビューでも改めて思い出したけど、高正は腰にヘルニアという病気を抱えていて、毎年ひじょうに辛い思いをしながら活動を続ける。病気はあまりにも慢性なので、彼がそういったことを抱えながら滑っていることを忘れそうだが、そう、今までに3回もヘリコプターで運ばれるほど大変な思いを続けているのだ。
プロは自分の持っているエネルギーをたくさんの人に分け与えるという義務を背負っているが、同時にナイーブな高正がプロという世界で生きて行くのも、こうしたキャンプが1つのエネルギーとなっている、そんな気がしたインタビューだった。


●高正プロフィール
出身地: 神奈川県横須賀市
スノーボード歴: 8年目
スタンス幅: 53cm
スタンス角度: 前18°/後-6°
好きなトリック: ルックバック・インディ・ブッ刺し/3D系スピン
血液型: AB
正座: 蟹座
好きなタイプの女性: 見た目はギャルぽい子、でも中身は真面目な子
芸能人で言うと: いっぱいいる!

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