日本が誇る弾丸砲エアー「オリンピック」へ/橋本通代(4)

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INTERVIEW: FUSAKI IIDA

 

dmkとは古くから深厚がある橋本通代ことみっちゃん。
アマチュア時代から追いかけてシンデレラ街道まっしぐら。
気づけばみっちゃんは、ワールド杯で2位になるほどの活躍。
そのみっちゃんに今年は2回に渡り話しを聞いた。
彼女のコメントを読むと、そこには上達の秘訣、スノーボード・ライフの生き方のヒントが見つかるだろう。

《12月のウィスラーにてインタビュー》
フサキ(以下F):カナダのワールドカップ2戦、両方2位おめでとう! 今の気持ちは?
みっちゃん(以下M):ありがとうございます。えー、もうね、全部夢やったんじゃないかな、と。

F:そうは見えなかったけどなあ。
M:だってね、やっぱり昨年よりレベルが上がったっていうか、名前が知れた選手が出てきてるから。それも予想してたことやけど。だから今年は表彰台は難しいと思ってた。自分の目標は表彰台に3回のることやったけど、いつも目標は上に置いてるからまさかこんなにメダル取れるとは思わんかったし、自分の滑りがここまで通用するもんとも思ってなかった。
F:ワールドカップがウィスラーで終わって2位に入った時にもうひとつ表彰台に乗ったらオリンピックは確実だって言ってたけど、もう2位、2位できたからオリンピックに行くのは間違いないのかな?
M:ポイント的にはほぼ確実。でも、まだルールが変わるかもしれないから。そんなふうにならない以外は大丈夫なんだけど。
F:オリンピック確定してるから、ワールドを一生懸命回らなくてもみっちゃんの自由な戦いができるんじゃない?そんな部分はあるの?ISF系の大きな大会出たいとかさ。
M:ああ、結構それも励みに一戦一戦励みにして、やっぱりUSオープンに出たかったから。昨年はポイントのために断念したから、USオープンに出たい。あと、バートンのお祭りのニッポンオープンにも出たい。
F:ウィスラーの時のランに関しては、高いエアーを連発して最後、540°でまとめるって形でしょ。あの時、ステーネが一位でみっちゃんが二位。だけど、そのルーティーンのままではステーネには勝てないと思ったのだけど、みっちゃんは同じルーティーンを繰り返していたね。そのへんは、どう考えていたの?
M:勝とうという気持ちはあった。あったけど、まだそこまで深く考えてなくて・・・。でも、ウィスラーの時はただ勝ちたいと思ってただけで、あんまり深く考えてなくて。とりあえず高く飛ぶしかないと思ってるんです。負けてるのはローテーションのポイントだけなので、そのへん克服していきたいです。
F:720まで回ってたからね。
M:ローテーションができるということは全体の流れがジャッジを飽きさせへんくて。エアーも高いからローテーション・ジャッジと総合評価の2人のジャッジの点数が上がって、結局3つが上がるってことなんですね。
F:総合評価って2人もいるんだ。
M:ローテンションと高さと、グラブと、総合が二人いて。でも、高さと標準技はだいたいどの欄もステーネには勝ってるんですね。あたしの弱点はスピンやけど、でも、全部高くいけたら勝つことはできる。高さと、グラブをしっかりしていってこけなければ。

F:なるほど、そっか。俺はみっちゃんはひとつのポリシーがあって、同じルーティンで、しっかりと同じ位のスコアーを出すことを狙ってたと思ったんだけど、そうじゃなくて、同じことをきちんともっとやろうとしてステーネに勝とうとしてたって言うことなんだ。
M:ウィスラーの時は、表彰台は狙ってたけど、あれだけ友達に囲まれてあそこで表彰台に立てないと他では絶対頑張られへんって思ったから。フサキさんだっているし、みんなに見守られて、表彰台は狙ってたけどポイントのことまでは考えてなくて。パイプが良かったからできるだけ高く飛ぼうと思っていた。あんだけ高く飛べて表彰台に乗れたのって今までない。高く飛ぶってことはリスクがあるから、コケちゃうんですよね。でも高く飛んでポイントにつながるってことは今までない。今だかつて、あんなに飛べた大会ってない。

F:そっか。あとね、ここまで来ると応援する側としてはよくばっちゃうんだけど、例えばオリンピックの年になったら未知なる競合が増えてくると思うんだ。例えばシャノン・ダンが出て来たりだとか。そうなってくると、もうちょっと何かひとつほしいところだけど。
M:何かひとつ。うん、もうそれはめっちゃ考えてて。とりあえず、今回はあれで乗り切ったけど。あたしがやっぱり一番の目標にしてるのは、オリンピックのメダルやから。
F:やっぱそこか!
M:今回はオリンピックに出るための出発点じゃないけれども、切符を得ただけやから、でもとりあえず、今シーズン中に優勝はしたいし、その後のオリンピックのメダルが一番目標やし。そう、だから絶対足りひんのはローテーションやから後1コか2コ・・・。でもまだ1年間あるじゃないですか、1コ絶対、自分のスタイル、絶対これがっ!ていう何かを作りたい。例えば今、あたしのインディ、あたしのリーンっていうスタイルがあって、次に例えば道代のマックとか。あたしのスタイルを出せたローテーションを作りたい。あと、ニッポンオープン、USオープンはできるだけいい順位を取りたい。自分をアピールしたいっていうのと。あとは3月にソルトレイクシティでワールドカップがあるんですね、そこで優勝したいっ!

F:それは重要だね。オリンピックと同じ会場かあ。
M:去年も4位になれたし、すっごいノリよくてすっごい楽しくて。あたし大体テンション上がったときってコケるんですよ。でも、そこのときはノリも良くって自分の中で納得がいく滑りができた。アメリカのノリって、いいノリですね。
F:ふーん、じゃ、今までの中でみっちゃんのどういう時がいい結果につながるの?
M:テンションが上がりすぎたらダメなんですよね、
F:怒りというか、そこまで上げたらダメなんだ。
M:うーん、怒りっていうか、楽しすぎてもダメだし。ノリでいくとあたしはダメなタイプなんですね。
F:ある程度緊張感がないとダメなんだ。
M:今回思うのは、去年も常々思ってたんですけど、まだ大会初心者やったからどういうふうに自分を持っていったらいいのかわからなくて。でも今回続けて2位取れたし、やっぱり自分で何かを得たと思うんですね。考え方のチェンジとかがあって。それは優しい気持ちでいること。

F:でも優しすぎてもダメでしょ。メロウになるから。
M:そう、もちろん。優しすぎるのはダメで。でも自分が一番いい滑りをしたいっていうのは念頭において。でも自分だけが凄いんじゃないし、みんな同じ選手。応援してくれてる子は、寒い中見てくれてる。人のことを考えられる余裕のある時はスローに考えられるんですね。例えば、今からインディする、こけたらあかんねんで、今からメソッド、こけたらあかんねんで、グラブできたで、次やで、って言い聞かせてられる。1個1個がスローで自分の中にあるんです。でもティーニュの時は、自分のことで必死になって、前やったら(吉見)マホ・サエのこと応援できてたのに、自分のことでいっぱいになって、変に自分の環境だけ整えて。自分が一番っていうふうに考えてるときの大会は絶対にダメ。
F:そっか、そういう大きな心が2位につながったんだなあ。
M:そう大きな気持ち、優しい気持ち・・・。だから思うのは、残りのパワーで勝てるのが実力やと思うんですよ。例えば、パンが3個しかなくて、自分が2個食べたくても、相手の人に2個あげて、自分は残りの1個だけでも勝てたらそれが実力だと思うんです。自分は自分と思わずに、ヘトヘトになった残りのパワーで勝てる子になりたいから。
F:みっちゃんの今のルーティンってさ、インディで始まってどうなっているっけ?
M:インディ、メソッド、リーン、バックサイドインディ、テールグラブ、バックサイドスティールフィッシュ、540。でもそれぞれのグラブに特質があるから、その壁によって変える。

F:これからメダル取るにはさ、ローテーションっていうテーマがあるって言ってたけど。ローテーションにしても、縦方向と横方向があって。720にいくのか、マックにいくのかっていう興味があるんだけど。
M:やっぱ540°じゃなくて720°がいいと思うんだけど。ただ、540より高さとスピードがいるからメイクできる時が少ないけど。720°は恐くないんですよ。でも、あたしはあたしのスタイル出せるのがいいから。今憧れてるのは、マックのトレバー(アンドリュー)みたいなマック。あれがいっつも頭の中にあって・・・
F:あれやっちゃったらヤバイでしょ。そこまではオレ、望んでないけどねえ。恐いもん、そんなのがでちゃったら。てゆうかね、それをやることによって、今できてるものをバラバラにさせたくないよ。
M:んん~、それはたぶん大丈夫だと思うんですけど。でも、どっちかっていうと私フロントに得意技が多いから。例えば720°にしてもそうだし。やっぱりバックサイドにあったほうがバランスがいいから。
F:そこまでジャッジって気にしてるもの?
M:うん、やっぱね、レベルが高くなればなるほど。みんな飽きさせへん滑りするから。男の人とか見てるとわかるけど、やっぱりみんながするような技をするよりは、バランスよくこっちでもあんなことやってる、あっちでもあんなことやってるっていう方がいいかも。

F:全部のトップ選手のローテーションを調べたんだけど。男子で優勝する人、5回で優勝できんだね、女子の多い人は8回やってる。中井君とかさ、5回で3位になれるんだよね。
M:ん~~、どうしたらいいんでしょうね。ローテーション。なんかリクエストないですか?
F:リクエスト?! んん~、銅メダル取るなら720。金メダルとるならマック。
M:へぇええ、マック。マックでいきますか。
F:やばいでしょ、今のみっちゃんの高さでマックやっちゃったら。
M:あたし、ローテーションは1メートルくらい下がると思うんですよね(笑)。でも、それを気にしすぎるとあかんと思うんですけど。ローテーションなんてあたし初心者のローテーションなんで。
F:陽子ちゃんの縦ってあれ、何だっけ?
M:ロデオ。
F:ロデオかぁ、あれカッコいいよ。
M:カッコいいっすよ。あたしが今まで見た女の子のロデオ中で陽ちゃんのがピカイチなんです。なかなかあんな風にはできない。
F:ところで、みっちゃん、すごい有名になってるよね、おそろしいほど。ウィスラーの人もみんな知ってる、みっちゃんのこと。
M:あたし、何が嬉しいってね、やっぱりウィスラーで表彰台立てたことがほんまに嬉しかったんですよ。これこの上ない・・・。だって、ずっと指くわえて見てたんですよ。ワールドカップ出たいなぁって。こんな人たちと戦いたいなぁって。まさか自分がその舞台で表彰台に上がれるなんて・・・。これで満足してたらあかんけど、あたしにはこの上ないクリスマスプレゼントやった。
F:たぶん、オリンピック出てメダルとかとっちゃったら1年間話せないかもしれないな。
M:メダルかぁー。取りたいなぁ。やっぱ、有言実行でいきたいから、結構、自分でもこんなこと言って大丈夫かなぁ、ってこと言ってるんですけど。でもそれを逆に自分のプレッシャーにして、頑張れるようになりたいから。
F:変な話だけどさ。みっちゃんって後ろになんかすごい強いもんついてる気がしない?
M:いやいや恐い(笑)こわーーい、そう言うこと!フサキさんじゃないですか?
F:いや、オレじゃなくて。
M:フサキサンにすっごい救われてるんです。いっつもあたしがマイナス思考になるときになんか、フサキさんから電話か、メールがあったりして。それで、いつもいい方向にいくんです。
F:なんか強いもんあるとおもうんだけどなぁ。
M:あたし、占い言ったらいっつも強いって言われてね。
F:でしょ!
M:あたし凄くいい運って言われるんです。だから何が強いん?って聞いたんですよ。あたし、どんくさいし、何が強いんですかって。そしたら、周りに助けてくれる人がいっぱいいるって言われた。

F:ところで、ウィスラー&ブラッコムの中でどのコースが一番好き?
M:時期によっても違うけど。でも、あたしが好きなウィスラーのコースは、春のレッド。もうぐしゃぐしゃで、いっぱい飛ぶとこがあって。ガールズのメンツとアホなこといっぱいして滑る。
F:なるほどね、ブラッコムは?
M:ブラッコムは、全部好きやけど。どこがブラッコム感じれるかっていうと。ソーラー下のバーン。これはみんな以外に感じるかもしれんけど、パークもパイプも好きやけど。パーク横のちょっかりバーン。あの急斜面で育ててもらったってのがあるから。普通あんなとこ、スキーヤーでもちょっかりするの最初恐いじゃないですか。でも、たかしさん(注:みっちゃんが住まいの方などでもお世話になっている地元の中華職人。本人もバリバリのスノーボーダーである)に付いて、カナディアンのマネして超横ノリでちょっかりできたことが、自分の自信にもなってるし、スカッとするし。
F:今でもあーやってちょっかりするんだ?
M:するする!

F:あー、そう。オレはやさしい方に逃げちゃうもんな。やっぱその辺が違うんだな。
M:でも、グルーミングちゃんとしてくれてるから。あそこで異常なスピードをずっと体感してたから、だからパイプの中でスピードだしても恐くない。限度が高いから。だから恐くない。

F:オレも明日ソーラー行きたくなってきた!
M:リフトから見ててもかっこいい。ひゅんっってちょっかりしてるとこ。度胸ありますよね。いつ逆エッジでこけるかわからん中で。あたしがウィスラーではじめたことっていっぱいあるけど、その中でもちょっかりを覚えたことは大きい。ウィスラーで覚えた3ついいことあげるとしたら。スピード。ちょっかり。それができるのがソーラーとか。
F:ちなみに後ふたつは何なの?
M:やっぱり外人の中でボード始めたこと、日本のレベルを知らずに始めたから。日本のレベルを知ってたらあたし、小心者やから、あたしはこれだけできたらいいんや。ターンできたらOK。パイプはもうちょっとしてからって。そうじゃなくて、こっちの人って楽しいことから何でも始めるじゃないですか。基礎なんてどうでもよくって、めちゃくちゃでも。外人は前は、日本のプロより前はうまくて、その人らがやってるのが普通やと思ってて。リップから1メートルくらい抜けるのなんか当たり前って思った中でできたこととか。

F:野球やゴルフで言うフルスイングを覚えてから技を覚えていった。普通基礎からだけど、限界値を知っといてそこから基本的なこととか。インストラクターやったりとか。
M:でもこれ前にも言ったけど、自分がスキーを5シーズンやったときに、2年目の時にもうモーグルの人と知り合ってモーグルやりたかったにも関わらず、本物のモーグラーになったときに基礎ができてないと嫌と思って、基礎に時間かけすぎちゃったんです。で、気づいたら24歳やったから。ボードはもう時間がないからとりあえず、やりたいことからどんどんやっていった。でも日本に帰ってみたらへたくそっていわれて。で、まだこけてたから。基礎を教えてもらって。
F:へたくそって言われてたのが、もうワールドカップで2位とか入ってるんだもんね。最後に一言お願いします。
M:ウィスラーの応援してくれた人みんなにありがとうって言いたい。今まであんないいコンディションの中で出れたことって今までないです。最高やった、あの日。


《3月のニッポン・オープン終了後にてインタビュー》
F:ニッポン・オープン3位おめでとう!今の感想は?

M:めちゃくちゃうれしかったです! まずFISではなく、初めてのISFワールドで表彰台にのれたこと。FISでは海外が多いので、英語が未熟な私は、観客の人と笑顔でしか会話できないけど、ニッポンオープンでは、笑顔と一緒に、観客の人と会話もできた。パイプの真横にリフトがあったので、リフトに乗ってるとみんながパイプに背を向けて、「みっちゃん、がんばれー!」って声をかけてくれて、きっと他の選手にも同じように応援してるんだけど、私はあんなに声援をもらったの初めてだったから、一人でひしひしと喜びをかみしめてた。だからまた成績のことが頭からすっとんで、みんなを沸かせられるように高くとぶぞー!って考えてた。そして、パイプがめちゃくちゃよかったので、安心して突っ込めました。ただ、今回の大会は悪天候のため、ファイナルが中止になり、セミファイナルの結果が適用されたので、私はラッキーでした。実力のある選手はファイナルでしっかり決めてくるから、ファイナルがなくなって悔しい思いをした人はたくさんいると思います。そんなこともありましたが、私にとっては、日頃会えない日本の友達やプロの人たちに会えたし、応援してくれた みんなに会えて本当にうれしかったです!
F:これで橋本通代はますますヤバイということが知られてきたわけだけど、どう思いますか?
M:たくさんの人に自分の滑りを見てもらえたこと本当にうれしかったです。あとは、見た人全員にわかる私の弱点。ローテーションをなんとかしたいです。高く飛んでとんで、しょぼい540°だと、せっかく応援してくれてる人もがっかりだと思うから。エアターンと同じ高さでローテーションができるように、今年の春夏がぐるぐるまわってます!もっとやばくなって、またみんなに見てもらいたいです。

F:今期も残り少ないけど今年の目標と今後の活動予定を教えてください。
M:私は3月初めのアメリカでのワールドカップで足首の靭帯が切れて、今はギブス・・・。実は軽い捻挫と思ってたいたのだけど・・・。予定していたUS OPENは断念しましたぁ・・。でも全治3週間なので、今は大阪でおとなしくしています。今年の目標というか、もう目指すはオリンピックのメダルです。4月~9月は、キャンプに参加したりしながら、ローテーションを中心にトレーニングです。9月からはまたFISワールドが始まるので、あと5ヶ月は練習に励みます!編集後記期待に応えるというのは、なかなか難しいことだと思う。それにも関わらず、みっちゃんは出会った時から、ほぼ9割打者(?)のように打ちまくる。これから先、どこまで打ちまくるのか。果たしてオリンピックでメダルが取れるのだろうか。そんな期待をしつつこれからも陰ながら応援していきたいと思っている。
橋本通代 過去のインタビュー
2000年グローバル・インタビュー
SNOWing1997年11月号

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