ライダーズ・キラーと呼ばれる男/川室 専

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ライダーズ・キラーがいると聞いた。スポンサーを獲得したライダーたちが、その男と滑ると何か自分の滑りを見つめ直したくなるらしい。スポンサーをもっていないその男が、スポンサーを持っているライダーたちよりも実力が高いのか、ライダーという立場がなくなる、殺されるということらしい。オレはその男、川室専に興味を持ちコンタクトしてインタビューした。

Interview : Fusaki IIDA
Photo: HAKO

ライダーズ・キラーって聞いたんだけど、それについてどう思う。

なんか良く意味がわかんないですけど、友達が認めてくれたってことですかね?
あんまり自分ではこの人ライダーだからって意識はしてません。ライダーだろうがそうでなかろうが、楽しく笑えるスノーボードができる友達と滑れるのが最高の幸せだし、上達の近道だと思って滑り続けてきました。でもあの人、何々のライダーだよって耳にしたら、目がいっちゃいますけどね(笑)。いろいろなスタイルのスノーボーダーがいる中で、自分のことをリスペクトしてくれることは、ありがたいです。
ただ、自分がライダーズ・キラーというのは、どうか・・・、と。いつになっても自分の理想を追い続けていて、スポンサードのことはそこまで深く考えてなかったんですけど、知らず知らずと成長してたのかもしれません。
「キラー」って凄い言葉ですね。怖いですよ。スノーボードは温かいです。友達と笑いながら、バカなスノーボードして、うまくなっていくのが最高にハッピーなことだと思います。友達のジョークでしょ。でもそれだけ強い印象を与えることができたのなら凄い光栄なことだと思います。
それと直接メーカーからのサポートはないですけど、自分の地元のShop「メイストーム」(注:上越市春日野にあるプロ・ショップ)が応援してくれてます。店長のハタさんにはお世話になってます。妙高の山に滑りに来たときは、寄ってみてください。アットホームなお店です。

これからの活動については、どう考えているの?

以前は自分が納得できる実力をつけた上で、スポンサーを獲得したり、ライダーになるための活動をやりたいと考えていました。だけど、最近、いつまでやっていてもキリがないことに気付かされました。昨年、今年とウィスラーでスノーボードしてみて、いろいろなスノーボーダーと出会い、話す機会を持たせてもらって、それを通して気づかされたんです。永遠に自分が納得できる実力に達することはできないってことです。
ラッキーなことに自分の周りには本格的に活動してる仲間、ユウタ、ユウジくん(注:前回のインタビューに登場)がいたりいつもビデオ撮ってくれてるルームメイトのカヨちゃん、カメラマンのHAKOちゃん(注:今回の写真を撮影)がいたりといろんな人に助けられて今の自分の形があると思います。こういうインタビュー機会でフサキさんと出会えたことも、そういう仲間がいたからだと思います。本当にみんなに生かされてるな、と実感します。
今後の活動は、とにかくいい絵を残すことと、その絵をたくさんの人に見てもらえるように自分からどんどん動いて行くことですね。あと、滑りまくることです。

今季、実際に撮影してみてどう?

撮影は、難しいです。ライダーとフィルマー、カメラマンとの息が合わないと本当にいい作品はできないなと痛感させられました。自分だけがいい滑りをしてもいい作品はできないし、逆も言えると思います。精神力もいりますし、メイク率悪かったらダメですし。撮るアングルによって絵が変わるので本当におもしろい。同じ場所でもアングル一つで全然違う作品になりますので、とても大事。
天気ももちろん関わってきます。写真はでかく飛ぶだけがすべてじゃなくて、そのちょっとしたポイントを見つけてどこのアングルからどういう風に跳ぶかを頭の中で描いて滑る。最高の遊びだと思います。最近のスノーボードの流れはパークなどでいうと、アイテムがどんどんでかくなってますよね。ただそれだけに執着するのもどうかと思います。
小ちゃいものにもスノーボードの本当にfun(楽しい)の部分がたくさん詰まってます。根性試しだけのスノーボードはあんまり好きじゃないです。ケガもしたくないですし、ステップアップは一歩ずつ歩むことが大事です。お陰で、大きなケガは一回もないです。今年だと、DCのビデオ、ベネディックのビデオがそんな傾向だと思います。スノーボードビデオの新しい形だと思います。何か、凄いし、うまいし、アート的で、でも親近感があって温かい作品。そんなの作品を作ってみたいですね。だからといって攻めないわけではないです。自分のスキルをしっかり頭にいれて、友達とプッシュしていきます。偉そうなこといってますけど、まだ一年目なのでこれからって感じです。

ライダーズ・キラーにこだわって申し訳ないのだけど、なんでそう呼ばれたと思う?

うーん、とにかくいっしょに滑って、なんらかの部分を認めてくれたからだと思うんですけど・・・、滑ってる友達のパワーをもらっていい滑りができているのかも。
自分が思うかっこいいスノーボーダーってある意味アーティストだと思うんです。完全に板を操ってるスノーボーダーを見ていると本当見ていて、アートだなって凄い感じます。720や900をやっても早抜け(注:リップに出る前から、ボードを回してしまっていること)は嫌だし、しっかり踏めてないのも納得できません。アプローチのラインのきれいさっていうかとり方も凄い大事なことだと思います。かといってグラブしないと未完成とかそういうことではないです。ノーグラブで映える跳びのできるライダーって凄くカッコいいと思います。そんなことをスノーボードオタクのハジメくん(注:dmk若手ライダー。現在FORUMのライダーで、NOMISでは日本のライダーとマネージャーも兼ねる)とよくしゃべってますよ。自分も充分オタクですかね?
自分のスノーボードに妥協は絶対したくないです。そんな自分のライディングに、共感を抱いてくれた人がいるのかもしれません。

専(あつし)くんのこれまでの上達したヒストリーを教えてほしいのだけど。

出身が新潟の上越市、雪国なので子供の頃からスキーをしていました。ただ、中学の時、夢中になっていたのはスケート。横乗りはスケートで充分って考えていたんです。ただ、スケートする環境が高校に入って窮屈になったのと大きなスケートボードの壁に負けて、スノーボードやってみよっかなと思ったんです。それからというものその奥の深さにどっぷりと漬かってしまいました。
当時、自分が滑ってたアライはパークとかないところだったので、友達とわけもわからず、キッカー作るぞーってランディングはめちゃくちゃフラットなとこになんの違和感もなく作ってたり、自然の地形で跳んでたりしてました。それからパイプに夢中になって、そしてパーク、人工物の出現とよりスノーボードの枠が広がったって感じです。大会にも出てました。最後にデカい山って感じで、ウィスラーに来ました。

何か上達するためのモットーは?

スノーボードに対してよけいなプライドを持たないということが、凄く大事なことだ
と思います。ナチュラル、パイプ、レール、ジャンプたくさんのカテゴリーがありま
すけど、すべてがスノーボードだと思うし、すべて楽しんでやることが自分のプライ
ドだと思ってます。本当に全部楽しいです。アイシーなコンディションが続くのだけ
は嫌ですけど、そこでスノーボードを長くやっていると、あることがうまくなり、そ
れにこだわっていると新しいことがやりにくくなったりします。新しいことに飛び込
んでいくことで自分のスノーボードをもっともっと幅の広いものにしてくれると思い
ます。羞恥心が一番の敵です。心の中でよく葛藤してます。こんなもの捨てて心からエンジョイできるスノーボードすることが最高の幸せだし、いっしょに滑る仲間も同じ気持ちになってくれたら本当に幸せなことです。
やっぱりスノーボードはすべて繋がってると思います。すべてボードの上に乗ってやれることだから繋がってますよね絶対。
とにかくピースな仲間と最高に笑ってスノーボードできることが上達の近道だし、こ
れこそスノーボードだと思います。みんな一生懸命、雪山と遊んでるのが最高です
(笑)。

今の自分のレベルを分析すると、どう?

まだまだ、成長段階です。やっぱり精神的に弱い部分がすごいあります。技術的にも、できないことだらけです。毎日、うまい人見て、刺激受けてます。

好きなライダーは?

うーん、今、パッと思いついたところでは、エーロ・エッタラ、イカ・バックストローム。彼らはとにかくカッコ良過ぎますね。パイプ、キッカー、ナチュラル、そんなカテゴリー関係なくスノーボードが本当にうまいなと実感します。心に響く滑りをすると思います。スムーズさ、力強さ。もう完全に芸術ですよ。
日本人なら、忠くん(布施)ですね。何回かいっしょに滑らせてもらったんですけど、本当にうまかったです。自分はまだまだだ、と痛感させられました。

今年の目標は?

スノーボーダーとしての自分とウィスラーのでっかい自然との関係を絵という形で表現したいです。楽しさだったり、アート的だったり。ちょっとかっこつけすぎです
かね?そして、その自分の作品をいろんな人に見てもらえるようになりたいです。

スノーボードによって、何かいろいろな世界を見たみたいだね?

そうですね。雪国から出たけど、カナダに行って1年以上過ごしたし、スイスで1ヶ月半過ごしたし。いろんな文化や凄過ぎる景色を肌で直接触れられることで自分の世界が広がったように思います。
昔、親がいろんなところに連れて行ってくれて新しい土地に行くことが好きだったこともあるんですけど、スノーボードのお陰でさらに旅の素晴しさを実感できました。
今、約20人くらいでいっしょの家に住んでるんですけど、共同生活を通して人間的に成長させてもらいました。18歳の頃、初めて共同生活した時、いろいろ大変なことばかりでしたが。
そうそう昨年5ヶ月ほど福岡にも住んでて、acharmの店長マナベさんにもお世話になりました。
いろいろな旅に行くことができたのもスノーボードのお陰だし、自分の人生観を深めてくれたのも旅のお陰だと思うし。

専(あつし)くんの夢は?
とにかく毎日、幸せを感じて生きたいです。やっぱ幸せって大きなことはもちろん、
小さなこともどれだけ幸せだと実感できるかだと思うんです。仲間とスノーボード三
昧のできる日々だったりご飯がめちゃめちゃうまくて食べながら幸せだーって言えた
り、毎晩ピースな感じになれたり、好きな人のこと思ったり、毎日にこにこしていれ
たり。
あと、自分たちの仲間で何か一から築きあげて一つの作品作って、たくさんの人の心
に届いたら凄いおもしろいことだなって思います。まだ完全に具体的になったわけで
はないですけど。

最後にスペシャル・サンクスをどうぞ。

自分を支えてくれてるたくさんの人たち、父ちゃん、母ちゃん、ばあちゃん、弟、地元の最高の仲間たち、ユウホ邸のみんな、メイストームのハタさん、シンちゃん、ウィスラーの仲間たち、福岡の仲間たち、マナベさん、今まで会ったすべての人達に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう。peace out!


川室 専
1981年8月4日生まれ
新潟県上越市仲町出身

my dear supporter: may storm

スタンス幅: 58cm~61cm
スタンス角度: 前21 後-9

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