パーク・サン・ジン(ファーマー)/韓国でNo.1の実力とスタイルを持つライダー

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Interviewer: Takamasa Kato
Coordinator & Interpreter: Keiko Furuya

ここ数年ウィスラーにやってくる韓国人スノーボーダーの数は一昔前の日本人のようで、たくさんのスノーボーダーが訪れるようになった。それだけ韓国でスノーボードの人気が高まっているのか?と疑問に思い、昨年から交流のある韓国人プロスノーボーダー、ファーマーことPark Sung Jinに韓国スノーボード事情と韓国特有の徴兵制度についても掘り下げてインタビューをしてみた。

 

写真1加藤高正(以下T): ここ2、3年で本当に多くの韓国人スノーボーダーがウィスラーに来てハーフパイプの練習をしているけど、その中でもファーマーの滑りは、高さ、スタイル、共に誰もが注目している存在だよね。
ファーマー(以下F): ありがとう。ウィスラーは今年で3年目だけど、毎年、高正や日本人ライダーたちの滑りにいい刺激を受けてるよ。

 

T:スノーボード歴は何年?
F: 今年で7年目。パイプは5年やってるよ。でも残念ながら韓国にはいいパイプがないから、思うように練習できないのが現状なんだ。韓国のパイプはすごく固いし、整備が入るのも2週間に1回とか。(笑)

 

T:それは辛いね。それで海外でハード・トレーニングってわけだ。ウィスラーのあとはスイスに行くそうだけど、こうした海外遠征費用は韓国のメーカーから出ているの?
F: 僕はバートンからスポンサードを受けているけど、メーカーからはボードやウエアなどの用具の提供のみ。海外遠征費用をはじめスノーボードにかかる全ての費用は自分で負担してるよ。アルバイトもするし、両親のバックアップも少しある。

 

T:日本だとファーマーのようなトップライダーに対しては、当然報酬が支払われるよ。今、韓国ではスノーボード・ブームだからライダーのイメージや活動が重要になってくるよね。ライダー・イコール、メーカーのイメージにもつながるわけだから、もっともっとライダーに対する待遇レベルを上げていくべきだよね。
F:そう願いたい。もっと日本や世界に目を向けていくことが韓国スノーボードの活性化にもつながると思うけど、まだ少し閉鎖的なところがあるね。僕は世界に通用するライダーになりたいから、外国のスノーボード事情がとても気になる。特に日本のことをもっと知りたい。高正が日本のプロライダーとして、どのように活動しているのか聞いてみたいな。

 

T:オレは大会に出ることはもちろんだけど、その他にメディアに対してのアピール、例えば雑誌のハウツーであったり、いい絵を残すことであったり、そうした中で加藤高正というイメージをスクーターのライダーとして浸透させていくことが、メーカーに対してのギブ&テイクだと思っている。
F:ぜひ見習っていきたいよ。韓国も日本のように大会や雑誌等のメディアの幅を広げていかないと。

 

T:韓国の大会のこととか聞いてみたいな。今年の成績はどうだったの?
F:2位だったよ。日本のJSBAと同じように韓国にもKSBAがあるんだけど、その大会は1シーズンに1回だけなんだ。

 

T:何人くらいのプロが参加するの?
F:KSBAについては日本みたいなプロ資格がないから自己申告制なんだ。スポンサードを受けているライダーたちをプロと見なすと40人くらいかな。その中でもKSBAとFISに別れるから、大会に参加する人数はもっと少ないよ。

写真2

T:韓国のFISについてはどう?
F:FISはプロ資格があってアマチュアの大会で1~8位までがプロ資格をもらえるんだ。もちろん僕も持っていて以前はナショナルチームにも入っていたんだけど、ナショナルチームの体制への不満があって辞めてしまったんだ。

 

T:オリンピックを目指すのならナショナルチームに入ることが必須条件だけど、この先ナショナルチーム入りはあると思う?
F:オリンピックは僕にとって夢だから絶対出たい。再ナショナルチーム入りも望んでいるよ。それまでに韓国ナショナルチームの体制の改善を願うだけだよ。

 

T:ぜひファーマーには韓国代表として頑張って欲しいね。ファーマーは今シーズン、日本オープンにもエントリーしていて、いい滑りをしていたよね。来シーズンも日本に来る予定はあるの?
F:今、韓国の山を離れて日本の山に篭ることを真剣に考えてるんだ。できればこれから、活動の拠点を韓国から日本へ移したいと思ってるんだけど、高正はこれについてどう思う?

 

T:それは楽しみだね!ファーマーの滑りだったら絶対日本でも通用するし、実力を試せるいい機会だよ。白馬に来てくれればいろんな情報をあげられるし、プロ戦もいっしょに回れるし、大歓迎だよ!
F:本当に!? 高正がそう言ってくれると心強いよ。実のところ日本に篭るのは初めてだし、どう動いたらいいのかよくわからなかったんだ。日本語も勉強して高正ともっとコミュニケーション取れるように頑張るよ!

 

T:俺も韓国語勉強するよ!来シーズンが楽しみだね。
F:よろしく、ブラザー!!(笑)

 

T:韓国に可愛い弟ができたよ(笑)。もう一つ、韓国のアーミー制度(徴兵制度)について聞いてみたいんだけど、スノーボーダーたちはアーミー制度に対してどんな受け止め方をしてるの?
F:アーミーへ行くと2年間はスノーボードができなくなるから、スノーボーダーにとっては本当に辛いよ。2年の間に取る遅れや、今までやってきたことができなくなるんじゃないかっていう不安もあるし。

 

T:ファーマーは今21歳だよね。アーミーへはいつ行くつもりなの?
F:4年後くらいを考えてる。もし、アーミーへ行ったら毎日スノーボードのイメージトレーニングをする(笑)。でも30歳までアーミーに行くことは延ばせるから、それまでにもっともっと練習して、できればスノーボードでアーミー免除になることを願ってるよ。

 

T:アーミー制度は韓国人男性に課せられた義務だと聞いてるけど、スノーボードで免除になるというのはどういった場合なの?
F:スノーボードに関してはアジアン・ゲームで金メダルを取るか、オリンピックで金、銀、銅メダルを取ればアーミーは免除されるんだ。そしてこれは今、僕を動かす夢であり目標なんだ。

 

T:なるほどね。大きな大会で勝って夢を手に入れることで、アーミーも免除され、好きなスノーボードを続けていけるということだね。
F:僕にはスノーボードしかないから。僕からスノーボードを取ったら何も残らないよ。SNOWBOARD IS MY LIFE……

 

T:ファーマーの熱い気持ちが聞けてうれしかったよ。本当に応援しているからこれからも頑張って欲しいよ。日本でも韓国旋風を巻き起こしてくれ!
F:ありがとう。頑張るよ!

写真3

 

●インタビュー後記
厳しい韓国のプロスノーボーダー事情の中で、ひたむきにサクセス・ストーリーを追い求める彼の姿には周りを納得させる何かを持っている。シャイであまり多くを語らないファーマーだけど、内に秘めるスノーボードへの熱く真っ直ぐな気持ちは痛いほどよく伝わってきた。きっと近い将来彼の活躍と共に韓国のプロ・スノーボード事情も大きく様変わりしてくると予感した。 Get your dream ! You can do it ! ! -Your bro Takamasa -

 

 

今回、縁があってファーマーと高正くんのインタビューに立会うことが出できて、本当にうれしく思っています。ここにスノーボードを通じで生まれた韓国と日本の友情を目の前にして、先に広がる明るい未来を感じずにはいられません。国境を越えたブラザーという絆がスノーボードによって永遠に続くことを確信しています。(通訳&コーディネイター:ケイコ)

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