すべてにおいてビッグになる!/国広 直也(2)

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直也はウインテック留学プログラムの卒業生でプロになり、今ではウインテックの講師、また雑誌などで活躍するライダーだ。今年発売したdmkハウツー・ビデオでは、テールの使い方を利用したジャンプ、オーリーなどのハウツーをくわしく解説してくれている。そんな直也にハウツーのことや、今後の活動などを聞いてみた。これを読むと、スノーボードがうまくなるかも?

Interview & photo : Fusaki IIDA

フサキ(以下F):今期の調子はどう?
直也(以下N):今シーズンは、お陰様で今まで以上に忙しいです。ちょっと体調を崩したことがあったけど、今のところ大きなケガもなく、頑張らさせてもらってます。

F:やっぱりプロ・ライダーとして日頃から風邪とか引かないように気をつけているの?
N:そうですね。今期は残念ながらしょっぱな風邪を引いてしまったけど、3度の飯をしっかりと食べてよく寝るようにしています。あと、人間は一日2リットルの水を飲まないといけないらしく、よく水分を取るようにしています。

F:昨年はテールをバネにしてスケーターのように滑るのがテーマと言っていただけど今年のテーマは?
N:今年は大きくて柔らかい体を利用したスタイリッシュな技作りが1つのテーマ。どんな普通の技から、高度な技、横回転、縦回転、3Dでも、カッコいい「直也のスタイル」を作り上げたいです。

F:普通の技ってどんなこと?
N:ベーシックなグラブ技です。インディとかメソッドとか特長を出していきたい。例えばインディのノーズボーンにしても捻られ方でずいぶん変わった感じになります。外に出したり内側に入れることで違った印象になるものです。メソッドにしても真横に蹴り出したり、斜め上に蹴るようにしたりとか。

F:メソッドってヒールサイドをつかむまでできる人が多いけど、あそからスタイルをつけて蹴り出すことって、どうやったらいいと思う。
N:まず、両手の使い方を片手ずつ覚えることが大切だと思います。グラブしていない手は上げてバランスを取るのに使います。それと、板をつかむ方の手ですが、つかむ場所を中心にして後ろ足を「グイッ」と蹴り出すといいです。グラブした手からボードが外れないように、最初は強めで握るといいですよ。慣れてきたら力を入れずに軽くグラブしてできます。必ず慣れて来ますから。

F:なるほどぉ~。つかんだところから中心に。そこがセンターバランスってことかぁ。それはディラン先生(注:直也が師匠と仰ぐディラン・バット。昨年はUSオープン・クオーターパイプでで3位に入った実績を残すニュージーランド人)に習ったの?
N:そう、ディラン先生(笑)。

国広 直也F:ディランって適当そうだけど、結構ちゃんと考えているんだな。
N:ハハ(笑)、そうですね。ちゃんと考えてますよ。何でも最初は、「簡単だよ、こんなの」って鼻に掛けられちゃうんだけど、僕が真剣に挑戦し出したら、自分のことのように熱心に指導してくれるし、成功したらとても喜んでくれる。

F:ディランっていい奴だね。ところで昨年スノーボード・ファン誌(ブラボーランド社発売)のハウツーでずいぶん露出されたけど、反響どうだった?
N:お陰さまで良かったですよ。たくさんの人に見てもらって。あと、編集の方からも一番人気のコーナーだったと言われましたから、いいものが作れて良かったです。また来年はもっといいハウツー作りたいですね。例えば、ヒップジャンプのフロントサイドの飛びとかにしてもいろいろありますから。いろんな基本をより細かくくわしく丁寧にやっていくことが必要だと思います。

F:そうだね。結構、荒々しく作っているの多いからなあ。来年はどんなの作るの?
N:まだ、全部は発表できないけど、オーリーをしっかりとできていない人多いから、それをきちんとやってみてもいいでしょうね。結構、自分ではやっているつもりでも全然できていないケースがあるから。

F:勘違いオーリーだね。そういう人いる?
N:ええ、たくさんいますよ。まずはやはり上におもいっきり飛び跳ねるようにしないと。最初みんなは「テールに体重をかけて」って、ここからいきなり入ろうとするけど、そうじゃなくてもっと簡単なところからジャンプ感覚を味わった方がいい。例えば、コブがあって、そのコブの頂点に向ってヒザをしっかりと曲げた状態を作る。コブの頂点に両足の真ん中まで来たら、そこで、曲げていたヒザを伸ばしてあげて立ち上がる。そしたら、必ず少しは板が空中に出るから雪面を離れる。それで最初のジャンプという感覚を養う。それは、まだオーリーでないけど、これでジャンプ感覚を身につけておいて、次にテールのバネを利用するようにしたらいいんです。

F:なるほど~、2段階に分けるってことだね。そうすると、みんなできるようになる?
N:そうですね。空中に出たことない人は、板が離れるということを教えてあげないと。勘違いオーリーをしてる人もそこから、ステップバックしてやり直しても良いと思いますよ。

F:直也は流石にいつも現場でやっているから、よくわかっているよね。今年もハウツー楽しみにしているよ! ところで、直也はウインテックでコーチングしているけど、なかなか自分の滑りができないジレンマとかはない?
N:やっぱりないとは言えません。特にプロに上がってからの自分の練習時間がない。アマチュア時代には、特に気にしていなかったけれど、プロになると、たくさんいるプロたちにも負けたくないし、プロの中でも目立たないといけないって、思うから。じっくり自分の滑る時間が必要だと感じています。確かに、コーチングは楽しいし、今の仕事も楽しい。でも反面、やっぱ「国広直也にしかこの滑りはできないよね」って言われたいから。

F:フーム、国広直也にしかできない滑りとは?
N:人と違ったスタイル作りですよね。人と違った技を1つでもできるようにして、大きく表現したいし。

F:最初は真似からでしょ?
N:そうですね。そこからスタイル作りです。基本を覚えて、ベーシックな技を、足し算のように最初はこれやって次はこれができるようになって、という具合にどんどん増やして行かないと。エアーにしてもここで捻りを入れたらカッコいいなじゃないか、って工夫が入って来て、それがスタイルになるってことでしょ。

国広 直也F:哲学的な話で恐縮だけど、スタイルって何だろ?
N:うーん、自分の表現力。やっぱり体が固いと柔らかいことってできないじゃないですか。またその逆もそうだし。それぞれ個人差ってあるから、そこからスタイルを作って自分の体でできる表現をしないと。

F:例えば有名ライダーで体が固いのと柔らかいのって誰になるのかね?
N:自分が体が柔らかいんで固い方はあんまり気にしていなかったけど、柔らかい方ではアベ・テーター。メチャクチャ背が高いのに、体グニャグニャでテクニックも凄い。

F:もう直也も28歳になっていい年になって来たけど、これからどのようにしてこの業界に活動していきたい?
N:あっと言う間にこの年齢になってしまった! 今後は、いろんな方法で初、中級者層の拡大に貢献したい。それと、「日本人がこの大会で!?」って言う有名な大会で名前を残したい。

F:初中級者層の拡大というのは、やはり業界の底上げという観点から?
N:絶対そうだと思います。

F:おっ偉いなあ、ちゃんと考えていて。だからたくさん仕事もらえるんだな?(笑)
N:そう、だから何でもやらないといけないです。固い話になるけど、今の日本社会全体を見わたせばわかりますよね。

F:フーム、ライオとか勇亀(山崎)くんとか、そうだよね。トップでありながら底辺層を意識した仕事を積極的にこなす、という。
N:そう、凄いと思います。だけど、僕はまだ大きな大会で活躍していないから、USオープンなどの大きな大会に出てみたいです。そのためにも一歩一歩確実にやっていかないと。

F:直也ってオレから見るとオールラウンダーだよね。何でもできる、という。だけど、大会とかで活躍するためにも、そこから何か1つ特出したものがないと厳しいと思うけど、どうだろう?
N:うーん・・・、ボーダークロス(注:直也はボーダークロスでプロに上がり、またワールドカップでも日本人最高位に入っている)ですよね。だけど、ボーダークロス・ブーム去っちゃったからな。

F:えっ、もう終わっちゃったの(笑)! ずいぶん早かったなあ。
N:ハハ(笑) やっぱりボーダークロスのレースって、コース全体を見渡せないから・・・。それが痛いですよね。でも、一つ考えたんですけど、競輪や競艇みたいに賭けごとにしてしまったら盛り上がるかも!? 見る人はいちいち山に上がる必要ないワケだし、カメラもコースの丁度上にロープかなんかで吊るして、スタートからゴールまで無人カメラで動かす。そしたら、テレビでも見れますよね。何かおもしろくないですか?

F:それは、メチャクチャおもしろいよ! 実を言うと、オレもそれしかないなあ、と前から思ってた(笑)。だけど直也、オレが賭けしている時は、気合い入れて勝ってよ。その代わり一番人気の時は、ちょっとコケてくれ。それを狙って賭けるからさ。
N:ハハ(笑)。それは流石にフサキさんの頼みでもダメですよ。レースは厳正に!

F:はい、すみません。ところで、さっきの流行の話に戻すけど、それなら直也は今、流行のレールやらないと。
N:そうなんです。だけど、最近パイプがおもしろいですね。

F:そう言えば、今日パイプでハンドプラントとかやって調子良さそうだったなあ。
N:ハハ(笑)。ちょっと飛び過ぎちゃった。ニュージーぐらいからでしょうか。何か変わって来たなあ、と思うんです。大きなパイプでもGをコントロールして高さとか出るようになったし。パイプに入るたびに何か新しい感覚をつかんでいるような感じで。でも、まだまだですけどね。

F:直也の師匠というとディラン・バットだけど、何か最近の直也の中のマイ・ブーム的な気になるライダーっている?
N:ショーン・ホワイトの滑りに興味があります。実際見たけど、高度な技を1つのジャンプ台で5回以内で絶対に決める。そのジャンプ台が今までやったことのないジャンプ台でも必ず5回以内には決めますからね。やっぱりうまい奴の真似するって大切ですよね。スタンスとかもね。

F:うまい人について行くのも大切だよね。今日オレ直也について行って研究してたんだよ。あのテールの使い方とか。
N:そうなんですか(笑)。あれはディランの後ろを滑っていて学んだんです。ディランとかデレック(注:カナダのレジェンド的ライダーでウインテックのコーチでもある)ってパイプもうまいけど、パイプでハイクする姿あんまり見たことないんですよ。

F:えっ、そうなの?
N:そう、山の地形を使ってフリーランしながらうまくなっているんです。だから僕もあまりハイクはしないで、山の地形を使って自然にうまくなるように努力しています。コース脇にフロントサイドのヒップに変われるようなヒッツがあるし、他にもパークにはない大きなクリフがあるし、そういった地形が自分を磨いてくれるんですよね。

F:なるほど~。それでは、最後に今期の目標をお願いします。
N:今期は自分にとって大きな変革の年になりそうです。仕事では、もっとウインテック・ファンを増やせるように、精一杯努力すること。プロ・スノーボーダーとしては、もっと持ち技を増やして、どんどんいろんなところに登場する。
プライベートは、みんながハッピーになれるように努める。そして、全ての面に置いて「ビックな国広直也」を作り上げたいです。

国広 直也

インタビュー後記:
うまいスノーボーダーはたくさんいる。しかし、そこからメディアに露出されるライダーは一部である。直也はカナダで育ったライダーなので、オールマウンテンでの滑りはとてもうまいが、まだまだ様々なカテゴリーにおいて発展途上のライダーであることは確かである。そんな直也が雑誌などで活躍できる背景には、実力プラス、プロとしての使命を果たすべきこのスポーツを広める活動や努力、さらには直也自身のナイスな人柄にもあると思うのである。今回のインタビューでは改めて、そのことを感じた。大きな体を利して、もっと大きな仕事を期待したい!

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