いぶし銀プロの超本音トーク/吉田 温

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はっきり言ってこのインタビューはかなりおもしろいよ! 普通プロのインタビューって無難にまとまりがちだけど、これはベテラン吉田温の本音が思う存分に出ている。雑誌ではなかなか拝見できないような過激(?)発言もあり、かなり刺激的。そして、僕たちに何か教授をしてくれる必見インタビューだ。

 

フサキ(以下F):温くんというと昔からプロとして活躍して、雑誌でもハウツーなどでお馴染みだけど、改めて自己紹介をお願いしたいのだけど。
吉田 温(以下A):自己紹介っていう欄に書く時は、オレゴンとかMt.フットとかのコーチ業でしょ。 あとハイツで始めたパイプ、パーク・ディガー。職業的には日本でも最初に近いんじゃないかなあ。

F:へえ、それは何年前なの?
A:6年前かな。プロになる前の年だから。

F:えっ、プロってもっと長いでしょ? PALMER乗ってたじゃん。Westbeach乗ってきてたでしょ。 その写真持ってるよ。
A:それがプロの1年目。

F:あれ1年目なんだ、ずいぶん1年目で名前売っちゃったね。
A:確かにあの年、オレもライオも1年目で暴れたね。

F:ライオもあれが1年目だったんだ。みんなすっごい長いと思ってると思うんだけど。その頃というと、JSBAでは温くんとライオで1、2フィニッシュってとこ?
A:ううん、ライオが1位、吉野が2位、オレが3位。

F:へえ、凄い面子だなあ。で、プロになったきっかけは?
A:96-97シーズンのJSBAの全日本で優勝してプロになった。

F:突然の全日本で優勝ってことは、今までどこに隠れてたの?
A:本当はコツコツ大会に出ていたんだけど、インバテッド・エア(注:手をつかない縦回転技)が禁止だったんだ。

F:へえ、その前まで禁止だったんだあ。
A:厳密に言えば、オレが全日本で勝つ1年前までね。JSBAの大会以外は成績良かったよ。でも、JSBAのアマチュアは禁止だったから勝てなかった。その前のシーズン、実は頚椎亜脱臼っていう大怪我で1シーズン休んでたんだ。

F:そのブランクの後によく急にガンガンと行ったね。その間に何かやっていたの?
A:やってないよ。とにかく肉体労働してお金貯めて、リハビリのつもりでサーフィンやってた。滑りも技も変わらない。できることしかやってない。その前の前の年から変わってない。いつか何とかなるんじゃないかと思ってたことを続けてただけ。

F:プロになってから、コーチの仕事でも名前通ってるよね。それは、どうやって?
A:とりあえずプロになったけど、何やるんだって感じ。実はプロになったらサマーキャンプのコーチとかできるんだろうなぁぐらい思ってた。でもすぐにはできないものだった。その時やってる人がいるし、できる人がやってるって感じ。とりあえずキャンパーでマウント・フッド・スノーボードキャンプに参加した。次の年、平住君(注;超ベテラン・プロでキャンプのコーチングに定評がある)がヘッドコーチやってたんだけどコーチ手伝ってって感じでコーチの仕事が始まった。そしてその次の年、ずっとやってた平住君がヘッド抜けたから俺がヘッドコーチやるようになった。

F:ところで、去年の夏は突然キャンパーとしてグレーシア・キャンプに参加したのは、なぜ?
A:コーチやってんのバカらしくなったっていうか。コーチという仕事にいろいろ考えるとこがあって辞めた。前にも言わなかったっけ? コーチって言えば、誰だっていっしょになっちゃうでしょ。いっしょにされたり、思われたりするのがスゲェー嫌でね。

F:いやあ、違うでしょう。温くんなんて、メチャクチャ教えるのがうまいコーチだと思うけど。
A:実際問題、この業界仕事しないとやってけないじゃない。でもコーチとかやるとスノーボーダーとしてやってく上でうまく回って行かない。やっぱり練習したいしね。

F:爆弾発言! みんな憧れだよヘッドコーチなんてさ。ヘッドコーチになったらそれ相当のお金ももらえるでしょ?
A:そんなにみんなもらってないんじゃないの? みんな実費で自分でこっちに来て滞在費は出るけどってノリでしょ? 多少小遣い程度なら出るけどね。ワンセッション200ドルとかね。

F:えっ、そんなに少ないの? じゃあ頭だけ儲けちゃってるんだ。
A:いやあ、あんまり儲けてはないと思うよ。一昔前より、キャンプ熱も冷めてるような感じだし、運営側もいろいろ大変そうだよ。それより、5、6年前とかはコーチってすごく格が高かった。カナダでは、外人のプロライダーに混ざってJPマーチン(注:日本語ペラペラのアメリカ人プロ)、マサ小川(注:日本初のプロHP選でいきなり優勝し、その後も北米ビデオにも出演)、その後小松吾郎(注:若きベテランでどんなことやってもうまいプロ)っていうレベルで、アメリカ・フッドもそうだった。だけどいつしか、コーチやりたーいってプロがみんなできるみたいになっちゃって、今はまた落ち着いてるのかな?認めるコーチはいっぱいいるよ。
(注:この後、僕たちの会話はあまりにも過激で、ここでお知らせするような内容ではなくなってしまった。読者には申し訳ないけどカットさせてもらう。以下、温くんの水泳コーチをやっていた話から)

A:オレずっと7年くらい水泳のコーチ本職でやってたのね。ガキンチョ相手とかにね。あと大人は難しいね。その時、オレは選手とかは教えてなかったのね。選手コースとか教えなくって一般の子たちだけだったんだ。責任とかあるしさ、厳しい練習とかさせたくなかったしさ。スノーボードでも問題もないし、抵抗もなかった。

F:じゃあ、今コーチとかやらないで、吉田温が燃えるものって何なの?
A:一応、コーチもやるよ。ただ大きいものは抜けたけどね。今回もハイツにライオが入ったから抜けるんだけど、いきなりライオとスキー場と現場じゃあ動かないから。そこでオレは今まで5年くらいディガーやってて、内部に入ってるから契約してね。で、ハイツはうまい子だけウェルカムなんだ。って言ってもウエルカムじゃあないけど。うまい子たちのためにスキー場はどんどん有名になっていくでしょ。そうなった時にじゃあ、初心者はどうするんだってなった時に、初心者キャンプは一応開くんだ。それだけ裏、後ろのもの持って、ターゲットを絞って開くキャンプと、曽根チンがやるキャンプ。というよりどっかのツアー会社が開くキャンプ。その時に曽根チンいっしょにやるんだったらって名前があがってるから、やりやすい。あとは頼むんだったらアイツなら間違いないないって信用できるやつっているじゃん。それがたまたま話しが来たからやるかな。あとハイツのキャンプとね。だから、今燃えるものはねぇ、何だろうねえ。

F:これからの吉田温はどこへ?
A:オレは別にスノーボードだけってわけじゃないんだ。生まれたのは四国じゃん。なにもない田舎で、雑誌で見るだったんだけど横乗りとかエクストリーム系のスポーツに憧れたり、好きになったりしてた。スケートとかBMX、一人でやってた。で、中学でて東京っていうか、兄貴が藤沢いたから湘南に出会って住み着くようになった。サーフィン、スケートやって、今では千葉に住み着いて相変わらずの横乗り生活やってる。その中のスノーボードがたまたまプロになるまで伸びたって感じ。なんでもやれる環境で、やりたいようにやってる。

F:でもスノーボードはガーンと行ったよね。
A:なんか一番簡単だったんじゃないかなぁ。10年くらい前に始めて、2年目にブラッコムのケン・アッケンバックのキャンプ・オブ・チャンピオンのサマーキャンプに来て、そして今プロっていうこのポジションに立ってる。

F:ああ、じゃあマサとかいたんだ。
A:そう小川くんとかいたころ。そのサマーキャンプでフィールドが広がったと思う。寛介(太田プロ)、信吾(高橋プロ)たちに出会ったり、その後、吾郎(小松プロ)と知り合ったりできた。みんなプロだったり、プロになったり。周り、近くにそういうやつらがいたのはデカかった。

F:うん、吾郎とかは、もうガキの頃からプロだったもんね。
A:そういうやつらが周りにいたから、じゃあオレもそうなるんだろうなぁって。そう思いながらスノーボードしてたらそうなった。みんなよりは遅目だけどプロになった。

F:そうだよね。長いよね。
A:うん、でも始めたらすぐにスパーンと入っちゃうんだ。

F:でもさ、変な話しこれだけ才能がある人がスノーボード界でこれからのエネルギーをかけなくてはいけないっていう使命もあるでしょ。スノーボード界で楽しい思いもしてるだろうし。ちゃんと返さないと。
A:してないねぇ(笑)。

F:してるよー(笑)。雑誌とか取り上げられた時に嬉しくなかった? メディアとかに出てさぁ。
A:あぁ、雑誌ね。それがまた問題なんだよね。オレさぁ、今まで雑誌とかあんまり出てなかったの知ってる?

F:出てなかったの?
A:バーっと出てた時はあったよ。でもライダーにはお金入んないよね。雑誌ってみんな出たかったり、出ると嬉しかったりするよね。オレはプロとしてのバロメーターにはするけど、嬉しいとかはないかな。

F:でも、雑誌に出ることで契約金とかあがるでしょ?
A:上がんなかったね。契約金が上がるところだったらいいね。そういうところじゃなかったから、そういうふうになったのかもね。

F:オレはコーディネイターとして、ハウツーの場合だったら払ってるよ。
A:そうだね、ハウツーは最低限ね。だけどオレはね、カメラマンがカメラ向けてると、そこに突っ込んで行くのはどうかと思うね。撮りたいと思って、追いかけて欲しい。カメラマンから依頼があればそうはするけど。そういうのが本来の姿だと思ってた。でも実は、撮ってもらえるように自分から行かなきゃいけないってことを最近知った。

F:どのようにして?
A:メーカーの人に言われた。広告で写真使いたかった時と、メーカー・タイアップの記事の時に写真がなかった時になんで?ってなって。それが去年。それまでは写りに行くことしなかった。

F:だけどさ、それを見てワーって思う人がいて、スノーボード買いたい、おもしろいと思ってモノを買って、吉田温が有名になっていってそれで業界って動くわけじゃない。
A:うん、逆行してるのかもしれない。だから儲からなかったのかもしれないね。オレはね、カメラマンが写真を撮るじゃない。それでどっちが上なのかなぁって、撮ってもらってるのかなーって思うんだよね。例えばの話し、金が入るのはカメラマンと雑誌だけじゃん。ライダーには金はいんないじゃん。実費だもん、契約金とかでないもんね。

F:契約金出してほしいよね。普通、北米とかみんなそういう契約してるよね。
A:まぁ、日本はミーハー・スノーボード万歳だからね。でもオレは違うよ。バンズやオークレーとかノーギャラだよ。まぁ、それは当然でしょ、オークレーなんて。オレだからそこのメーカーなんだっていうメーカーしか付いてないでしょ? オレがプロだからって付いてくれたメーカーなんてないでしょ? 全部メーカーのコンセプトや考え方とか含めてね。まぁ、バンズというものであればさぁ、アメリカのスケート、スノー、サーフィン、BMX通しても気に入ってる。

F:バンズと温くんってすごい近いイメージあるよね。
A:どんなにABCマート商品であろうと俺には関係ないからね。だからDCどうのこうのっていう問題じゃあないからね。イメージ悪かろうがアメリカのバンズっていえば世界一でしょう。まぁ、そういったところかな。

F:オレもね15年前バンズのライダーだった。日本のバンズが六本木にあった時にね。和田千鶴っていう人がいたの。
A:和田千鶴ってスノーボーダー?

F:うん、20年前とかにワールドカップとかで日本の女子で2位に入ったんだけど、その人の時に密かにバンズだったんだ。というかバンズで板だしてたんだ。スノーテックっていってね。
A:オレはもう西海岸、カリフォルニアっていうところだからね。

F:そういう匂いするね、温くん。
A:結構スノーボードーだけっていうイメージらしいんだよね。でも全然ブリブリ15才くらいからサーフィンしてスケートして、スノーにないって。スノーが一番短いけどね。

F:たまたま自分が生活していく流れの中で好きなことのうちでスノーに出会った。
A:うん、一番なんていうの、身近だったっていうか簡単に自分の中に入ってきたっていうのかな。Rっていう、湾曲部分があって、こいだりしてスピード出す感覚が好き。Rに弱いっていうか、R好きなんだよね。だからキッカーはダメでしょ。

F:Rあんまりないね、ストレートだね。でもレールはRないね。
A:レールはだってスケートのレールだもん。レールの上を板走らせる。

F:すごい言い過ぎかもしれないけど、吉田温のスノーボーディング=Rみたいなのはあるのかな?
A:Rっていうよりも、スノー、スケート、サーフだわ。全部だよ。スケートは滑ってきてガリガリでしょ? スノーはいろんな応用。スケートでもこういうのがオレ好きとかある。

F:温くんのスケートで好きなのって?
A:オレ、ロクスラ好き。ボードスライドが好き。

F:じゃあスノーボードの場合は?
A:やっぱりハーフパイプだね。パイプのRで飛ぶのが好き。あとパンピング、好きだね。

F:今日跳んでる時に写真撮って思ったんだけど、なんかちょっと渋いよね。あれ、普通の人わかりにくいよね。横乗りにずっと精通してる人はわかるかもしれないけどさ。味があるよね。普通だったらカコーンってブッ飛んでハイOKみたいなのにね。
A:みんなは流れる飛びってことでしょ?

F:だから温君の場合さ、なんか癖があるんだよね、大人しかわらないんじゃないって言う。
A:オレの場合は上にあがるでしょ、止まるでしょ、そして降りるんだよね。

F:上に行ってピークでなんかグラブしてないんだよなあ。なんで?
A:たぶん自分のタイミングを探してるんだよ。で、ダメだったーみたいなのがあるんだよ。固まっちゃうんだ。

F:スタイルにこだわってるんだ。
A:そういうんじゃなくて、それがオレの癖で独特なもの。飛び方っていくつかあるんだ。

F:それは聞きたい!
A:飛び方って昔の場合はパンピングって主流時代。リップの高さが3m50くらい。Rで漕いでそのスピードを横に切って、ボトムを横に滑らしてた。加速ポイントっていうのがRのところだけでしょ。ランディング加速しかないんだ。ランディングの加速をそのまま斜滑降で次の壁に向かう。ボトムはスピードキープで、そのまま今度上がる時に姿勢をもう一度振り子で振り上げるの。

F:今でもそうでしょ?
A:パイプの大きさによるかな。今のスーパーパイプだと目立ったパンピングはしないね。4m超してくると、もうスピードキープの耐える滑りだね。

F:なんか漕ぐ方がおもしろい気がするんだけど?
A:漕ぐほうがおもしろいのは、いわゆるR好きの人とか加速させるっていう感覚を知ってるにはいいよね。ランページとかでスケートやBMXでR使ってスピード出し続けるじゃん。パンピングは難しいし、複雑だけど楽しいよ。やっぱり。その動きって、サーフィン、スケート、スノーなんかの独特なものだね。

F:今のパイプっていうのは耐えなんだ。
A:今耐えに近いよね。だから道具も違うよ。硬いでしょ?

F:でもオレ柔らかいの好き。ブーツからバインディングまで全部柔らかいよ。
A:オレも柔らかいの好き。柔らかいと前後の動きが出るんだ。で、その動きが好きなんだ。だけど、あのパイプになってくるとこれをやってると、ズレた時のリスクがデカイんだ。もう合わないし、あとは減速に繋がっていくんだ。だから今の滑りは、耐えてきてそのままつかみっぱでガチーンって決めた形でブッ飛んでく。

F:そういえば温くんのインディー、板が下がってるよね。
A:それはピークまでは上がるんだ。そこで決め降りるっていう飛び方のなごりだね。

F:オレ昔ウエストビーチでインディー撮ったことあるの。その時から下がってる。
A:思いっきり縦になるでしょ。

F:なるね。それって他にもそういう人いるの?
A:そうだねぇ、石川カズかな。板が縦になるっていうか、ピークでガチッて思いっきりきめる。ピークがきっちり分かる。空中で一回止まるみたいな。スゲェーカッコいい!

F:外人では?
A:昔のテリエ、ブラッシーとかかなぁ。あとロス・パワーズ。とくにB360なんかね。技によってもかわるね。でも今はどこが上がりで、どこが決めで、どこで下りるかわかんない。ピークとかわかんないし、メリハリがない。そこに好きずきが出てくるのかな。

F:なるほど。
A:スケートはそうじゃん、イメージ的にね。スケートって放物線の角度が凄いきついでしょ。まっすぐ上がって向き変えて下りるって感じじゃん。上にあがって決める、下りるって解りやすいでしょ。

F:スノーボードのビデオとかよく見る?
A:スノーボードのビデオ見てると思うでしょ? でもあんまり見ないんだよね。スケートのバーチカルとか、熱くなれるスケートのビデオ、サーフィンのビデオは見るよ。なんか刺激もらったりできるから。

F:なるほど。
A:よくさぁ、例えばハッシーとかスケート・スタイルって言うかもしれないけど、それは一概には言えない。じゃあオレと曽根カズヒロとがなんで仲いいかっていうと、これだっていうのははっきり解らないけど、スノーボードの話しはちょっとしかしない。サーフィンでしょ、スケートでしょ、ファッションに、母ちゃん(注:奥さん、彼女のこと)にトニーホークの話しでしょ。スノーボードだけだと飽きるでしょ。つまんないんだもん。だから夏とか超楽しかったよ。スノーボード下りてきてスケートパークだよ。

F:あと、飛びの種類もう一つ言ってないよ。昔はパンピング&Rでやって、今は耐え。
A:昔はさぁ、この加速のスピードでいかに飛ぶかだったのね、でも今は耐えだから助走を取れば取るほど飛ぶって言うことだよ。

F:なるほどね。
A:だから度胸試しっていう要素も強くなってはきてるね。で、オレなんか独特の滑りっていうか独特って言いたくないんだよね。時代遅れだからね。自分でわかってるよ。これはタイミングで飛ぶ飛び方。スピードが上がれば上がるほどタイミングが取り難くなる。ギリギリなんだわ。そういえば、昔のキッカーはRついてたけど、今はフラットでそのまま抜けるタイプに変わってきたね。その分距離も高さも大きくなってる。

F:いいアイデア思いついた。高さ制限してスタイルを競うって言うのどう? その中で、単純にカッコ良さを競う。誰もやってないよ、それ。
A:いいね、それちょっと考えてみようか。

F:時代に逆行する大会だけどね(笑)。大人も参加できるよ。
A:だからね。オレたちが見るとするとね。ブラインドの360ってあるじゃん? 後ろに回るやつ。で、オレが思うかっこいいっていうスタイルは上で一度ビシっととめる。それからぺらっと返す。後もう一つは、ウィーンとあがってきてそのままワンエイティーなの。昔、普通のオープン360だったら、バシっと決めてから返すのと、いわゆるシフティー180とかってあったじゃん。で、今はこっからここまでをいかにスムーズにいくかでしょ、それもどうかと思うんだ。

F:今ってそういうカッコ良さってジャッジメントしてないじゃん。
A:それってすごい点数とか付けられないいと思うんだよね。

F:だったらもう観客決めてもらったらいいじゃん。
A:だね。

F:そういう趣旨だって説明しておいてね。
A:もうコケよう何しようと、自分たちがどういうのが好きか、Aの人とBの人どっちが好きみたいにね。それが一番きれいだよね。

F:すごい普及するよ、スノーボード。みんなスーパーパイプとか来ると違うものだと思っちゃうけど、スタイル重視なんだってね。
A:よくあるじゃん、例えばどう考えてもオレが縦回転した時のほうが、黄色い声援上がってたよ。でも玄人っぽいやつらっていうのは冷ややかなんだよね。自分もそういうのあるけどね、Kフリップ。 あんなのただバク宙してるだけでカッコ良くもなんともないんだよね。でも一般人からしてみると、宙返りした!ってことでしょ。あと、外人って素直じゃん。 昨日クラブにいって思ったんだけど、日本だとヒップホップかかってる時にちょっと違う動きした時にバカにされちゃううじゃん。決めてかかるから、お手本とか教本とか規則がないとダメなんだよ。ルールなら日本、みたいにね。

F:だからオレ仕事やりやすいんだ、いつも人と違うことやってるから。
A:破ればいいんだよね。でも日本だとつらいよ、なんか自分だけ信じてやってけないもん。特にライダーなんて、評価されんだもん。

F:でも横乗りの神様はみてるでしょ。「人知らずして憤らず」。そこまで行かないと疲れちゃうからさぁ。
A:あっ、それで話しごちゃごちゃしちゃうけど、今一番したいことは自分のアッパーラインっていう、トッドのウエットキャットでもなくロスでもなくマックナインでもなく、アッパーの延長のナインだよね。アッパー縦回転のそのままの流れで横回転にもっていってっていうね 。トッドは縦回転やった後に横回転をガチっと入れるでしょ。で、ロスは最初からタケコプターのように回しながらだからマックナインっていうのね。ただ今これだけ説明しても見たことなかったら頭の中には描けないと思うんだ。

F:うん、そうだね。
A:でもオレの中ではわかりきっちゃってるわけじゃん。今そういう技をやってるんだけど、それを完成させることかな。そういう自分だけのモノを完成させたいんだ。

F:いいなぁ、自分だけのものがあって。
A:パイプに行くいくでしょ、すぐに俺だってわかるらしいんだ。なんかエネルギー発散させてるらしいんだよね。滑りの中に出てくるから。

F:それって言葉いらない気がするよね。
A:あと転ばないかな。

F:うん、転ばないね。
A:あっ、でも今日転んだけどね。でもみんなのイメージの中では転ばないし。

F:なんでそんなにすぐできるの? ガキの頃なんかあった?
A:本気でスタントマンになりたかった。体操にも興味はあった。

F:じゃあスノーボードの上達に大切なことを教えて。
A:そうだなぁ、カッコイイものを見つけて、それに向かっていって欲しいな。それが一番の上達だと思うよ。例えばスノーボードをしながらスケートのビデオを見て、あの人のこういうのカッコイイなって言うのでもいいんだよ。

F:カッコいいって不思議な感覚だね。
A:スタイルというと、ゴチャゴチャするから、わかりやすくいえば特徴だね。うまくなるには特徴をとにかく伸ばして、強化することだよ。とにかく必要な部分だけを強化する。スノーボードの簡単なところは、トゥ・エッジとヒール・エッジを強化することと、後は飛びだ。そんだけしかやっていないんだもん。筋力強化とかじゃんくて、それに注ぐってこと。一番簡単な話は、その人と同じ道具を使って、同じスタンスのアングルで動きをマネをしていけばいいんだ。もちろん、それぞれの筋力、骨格の特徴とかはあるけど。だけどね、感覚をもらうのが一番早いよ。

F:みんななんで素直にマネしないのかなあ。
A:とにかくね。オレを抜いたらね。好きなことやってもいいよ、と思うよね。
(この後、若手スノーボーダーたちの話になる。このインタビューでは、長くなってしまったのでカットさせてもらうが、オリピックにも行った中井や村上と北海道でいっしょに滑った話など。次回のインタビューでは、改めてそのことを披露したいと思う。さらに900と720回転は近そうで、とても違うという興味深い話も登場。それも次回のインタビューで披露することを約束しとこう)

F:最後に夢を。
A:男として勝つこと。

F:いやあ、なるほど。男として勝つ!をもうちょっと教えてほしいのだけど。
A:今までは自分だけでやってきてスノーボードなどやって来た。だけど、これからは男ってことだから、なんかのために。自分だけでなくなるでしょ? 結婚したいとかじゃなくて、立派な大人になること。まだ、立派な大人じゃないからさ(笑)。例えば、自分の子供にお父さんってカッコいいと思われたいでしょ。もし、35歳になった時、周りの同じ年齢の人より、カッコいいと思われたいよね。

SPONSORS: REW OUTWEAR, VANS, arnette, BURTON BINDING, Crive, THREE WETHER, MATSUMOTO WAX, SEATLE’S BEST COFFEE, Krypton

スタンス幅: 52cm
スタンス角度: 前足18度 後足9度

インタビュー後記:
僕がチューンにお世話になっているクリプトンの伊藤さんが、いつも吉田温を頼りにしているのを知っていた。そして、若手ライダーを見る吉田温の目を信頼していることも知っていた。だから、吉田温には前から興味を持っていた。夏のグレーシア・キャンプでいっしょに撮影をして、そして、この冬、ウィスラーで再び会いこのインタビューをしたのだった。
このインタビューの後、僕が思ったのは「吉田温は正直だな」ということ。それがなぜ新鮮に聞こえたのか? そう、今、正直に自分の考えを述べる人、正直に行動する人が減ったからかもしれない。


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