【ハウツー】あえて転ぶという選択

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文:飯田房貴

この春は幸いにして、様々な日本のトップ・ライダーと撮影したのですが、とりわけ印象的なコメントと言えば、広野あさみと撮影した時のコメント。

あえて転ぶという選択があることです。

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以前から、スノーボードの転倒に興味を持っていました。
というのも、多くのスノーボーダーの方は、転ぶということを怖がるし、特に初心者ともなれば、その怖さはかなり大きいものだし。

でも、僕は思っていたんです。
転ぶのも、スノーボードのテクニックの1つであろう、と。柔道で最初に受け身を習うように、スノーボードでもできるだけ安全に転ぶという方法がもっとあるべきだろう、と。

うまいライダーって、本当に転ぶのがうまい。
クルっと回転するような転倒でも、なんでもなかったよ、という感じのシーンってありますよね。

でも、一般のスノーボーダーの方で転ぶことに慣れていない方は、リフトで降りた時に転んで怪我をしてしまったり、また小さなキッカーでジャンプした時にも怪我してしまうケースが多々あります。

振り返って自分の場合、どうだろう?と思うのですが、30年スノーボードを続けていますが、転んで怪我をした記憶がありません。もちろん初心者の時代、固いバーンでケツを売って、トイレに座るポーズを作るのも大変だったようなことはあるし、翌日起きたら首が寝違えたように動きが悪くなったというレベルのことはあります。でも、幸いにして怪我というものはないんですよ。

トップ・ライダーの華麗な転び(?)というレベルにはいかないまでも、自分もある程度の転ぶスキルはもっているということでしょう。

 

うまい転び方はリラックスが基本

うまい転び方はリラックスが基本だと思います。
実際、初心者の方のレッスンでは、転ぶ恐怖感をなくすために、よく転び方を教えます。

まずは、リラックスすること。
身体を硬直させれば、それだけ衝撃も激しく受けることになるからです。
でも、リラックスすれば、かなり衝撃を回避してくれます。
今、家の中でもやってもらえれば、わかってもらえるでしょう。

よく小さい子供が階段から落ちちゃうようなことってありますが、意外と怪我しないもんですよね。
きっと子供って極端な話、タコのように柔らくて、怪我をし難いのだと思います。
大人と違って、転がっている時って、身体を硬直させていないのでしょう。

自分も空中一回転のような転倒した時を思い出すんですが、あの時って意外なほど、リラックスしていたように思います。
空中に放り出されながらも、リラックスしないと危ないと感じていたというか。
そして、実際、転がって、顔をあげると、「あれれ、どこも痛くないよ。」ということがありました。

 

広野あさみの転ぶという選択とは?

で、遂に今回のハウツーコラムの本題です。
広野あさみのあえて転ぶという選択あると知ったのは、巨大キッカーで撮影した時のことです。

そのXLサイズは、あさみちゃんが何度か飛んでいたものだと思うけど、朝一番で固めのバーン。思っていた以上に走っちゃったんだと思います。本来着地していたランディングのゾーンよりも飛び越して、K点越えのような状況になっちゃったんですね。
あの時、転んだ後に言ったのが、

「あれだけ飛んだら、着地していたら危なかった。大会ではやらないけど、あえて転んじゃった。」

そう、つまりあまりにも飛び過ぎたので、衝撃を逃がすためにあえて転んだのです。20メートル近くもぶっ飛んで、冷静に転ぶって対応。
あえて転ぶという技術があると知った時は驚いたし、そういうテクニックもあって、巨大キッカーに挑んでいたことに、「やっぱトップ選手はスゲー」って思いました。

みなさんも覚えておくと、有効なテクニックになる日が来るかもしれませんね!

 

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飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴30シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWing誌では、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、シーズン中に一回は日本へ帰国しコーチングも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、今なお世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。

 

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