How to Spin Vol.1

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スノーボーダーなら、誰でも上手にジャンプしてスピンしたい!って思いますよね?
そこで、今回から3回に分けて、ハウツー・スピンを紹介していきます。
解説はカナダでスノーボードのコーチングしている高石周氏。
論理的な解説は目からウロコです!


Text: Shu TAKAISHI
Photo: Fusaki IIDA


第1回目の今回は、ハウツーを始める前に、基本的なパフォーマンスに、良くも悪くも影響する重要な要素を解説します。
このことを無視してトリックを追い求めても、遠回りしてしまうからです。
まずはこの根本的基本要素において「成功」or「失敗」を考えてから、次回以降掲載しますハウツー内容を考えてみてください。
以下の要素を完全に理解した上で練習に取り掛かりましょう!とっても重要なことです。


? 心技体は整っていますか?

練習をしていて失敗した時、または成功した時、すべてテクニックが要因だと思っていませんか?

健康状態はいかがですか?十分な睡眠、食事、水分摂取、練習の合間の休憩は?

心理状態はいかがでしょう?
頭の中で一度にたくさんのことを考えていませんか?それでは集中できません。
不安要素は飛ぶ前に解消しましたか?

 「基礎」はしっかり身に付いていますか?
最後に技術的なことを確認しましょう。
上手くいかない時は、技の難易度、斜面やアイテムの難易度、スピードを落としましょう。


? スタンスはそれでいいですか?

鏡の前に肩幅で立ってみましょう。

鏡の前に肩幅で立ってみましょう!
人間ですから体には必ず「ねじれ」や「傾き」が生じています。
例えば普通に立っているつもりでも右足に重心が寄っていたり、上半身が左を向いていたり。
またヒザがつま先の向きに比べて内に入ったり外に張り出していたり。
バインディングの角度はこれらを考慮していますか?

自分がやりたいスノーボーディングのスタイルに合わせたセッティングも知らないといけません。
スイッチライディングの割合は?
フリーライディング多目?パークライディング多目?

スタンスが広いほどランディングで足場は安定します。
スタンスが狭まるほど踏みやすくなります。
どちらにしても「やりすぎ」は運動の弊害になるでしょう。
上記の要素を理解して自分にピッタリのスタンスを見つけましょう。

<スタンス確認法>以下のような立ち方ができているかを確認してみましょう。
頭、両足の3点を線で結んだ三角形をフリースタイルトライアングルと言います。


この三角形からはみ出すことなくライディングができれば安定しているとされます。

ノーズ、テール方向から見た時、頭、腰、足が直線状に並んでいることが好ましいでしょう。

しゃがんだりすると、頭と腰がセンターとなる線からはみ出ますね。
しかし「天秤」のように、頭と重心のズレがセンターから同じ距離であればそのバランスは保たれます。

 

「みぞおち」がセンター上にあれば大体バランスは取れていますよ。
覚えておきましょう。

また以下のような具体的な立ち方確認法もありますよ。

1.顔は進行方向を向いていること
2.腕は軽く脇に広げ、少々前へ置く
3.各関節を軽く曲げる
4.つま先の向いている方向と膝、腰、肩の向きが同じこと
5.両足に均等の過重が掛かっていること
6.下半身はしっかり、上半身はリラックスしていること

? パフォーマンスを支える4つのバランス軸を知りましょう

スノーボードをする上で基本となるのが「立ち方、乗り方」です。
自然な立ち方ができれば良いわけですが、運動を開始すると体はいろんな不自然なバランスの取り方を始めます。
これらを知らずして、また修正せずしてハウツーもライディング分析も始まりません。
とっても重要ですよ~!
単純ですが意外と気付けないんですよね。
以下の要素が複雑に絡んでいることが多いです。
不自然、複雑なバランスの「ねじれ」はこのように分析、修正しましょう。


前後バランス
 

 

←つま先寄り

 カカト寄り→

トー側、ヒール側への傾きです。
体を横から見て、板の上に頭、みぞおち、尻が乗っている状態が理想です。


左右バランス

 

←右足荷重

 左足荷重→

 

ノーズ方向、テール方向への傾きです。
体を正面から見て、板のセンター、尻、背骨、頭が一列に真っ直ぐ並んだ状態が理想です。


上下バランス

 

↓ しゃがみ過ぎ?

 ↑   伸び過ぎ?

「しゃがむ、立ち上がる」という上下運動です。
あなたが上にも下にも一番筋力を発揮できる位置で構えるのが理想です。
しゃがみ過ぎ、突っ立ている状態は筋力を十分発揮できませんね。


回転バランス

 

 前を向き過ぎ?

  後ろに捻り過ぎ?

体軸の横回転(ねじれ)。
必要以上に体(肩、腰)が前方に開いていたり、逆に後方に閉じていませんか?
上半身の「ねじり」は最小限に抑えましょう。
リカバリーや早いパフォーマンスの切り替えに時間が掛かってしまいます。
「ねじれ」が強いほどバランスを複雑にしていきます。

 

? ライディング分析法

パークでのパフォーマンスを分析する時どこに原因があるのか?効率的に発見して修正できたら理想的ですね。
以下のように一つのパフォーマンスを4つに分けると、練習方法ももっと工夫ができますし、より細かな分析も可能です。


アプローチ (カービングターン&フラット直滑降)

スタートしてから抜ける瞬間までです。
スピンを掛ける場合、足場を固めるために「ターンスキル」が重要となってきます。
深いターンスキルは必要ありませんが、どんな状況でも両足でしっかり足場を作れるバランス・スキルは身に付けておきたいですね。
カービングターンがしっかりできていれば「アプローチ」は間違いなく安定させることができます。

またアプローチでのプリカーブ(足場を作るためのターン)の弧の大きさは上手くなるほど直滑降に近くなること。
突っ立ていても板をしっかり踏んでいる感覚がなければ、直滑降に近い「アプローチ」はできません。
(=板の上にバランス軸が直角に立っている状態)

スタート地点は直滑降して丁度いい位置を理解しておき、無駄なスピードチェックを省きます。
スピードチェックはバランスを崩す原因になり得ます。

抜け  

多くの人がここばかりをパフォーマンスの成功、失敗の原因だと考えています。
確かに重要なパートではありますが、これにこだわりすぎて全体が見えない、流れを考えた「イメージ」が持てないのでは意味がありませんね。
「抜け」は一瞬ですが、ポイントは?

1. 体軸の角度(前後左右)
よく足場を作る為にエッジを立てますが、これは極力フラットに近い方が蹴った力が逃げずに地面を蹴れるので好ましいと言えます。
またエッジが立つほど体軸も倒れやすく、空中に出てからの修正が困難になります。
蹴る方向は重力に対して90度(真上)ではなく、ジャンプの反りに対して(真横から見て)90度が好ましいでしょう。

2. タイミング
抜けのタイミングが早いと危険な転倒(ノーリー、逆エッジ踏切など)をする可能性、また減速、ランディングに届かないなどの弊害が生まれます。
タイミングは極力待てる事が理想です。
前足がリップに掛かった頃にアクションを起こす感覚くらいがちょうど良いかもしれません。

3. 抜け方(素抜け、両足ジャンプ、オーリー、ノーリー)
用途や状況に合わせて必要なバランスやテクニックを応用します。

4. 抜けでは上手くなるほど板をフラットに近づけましょう。
板がフラットなほど真上に跳ね(踏み切り)やすい、また体軸も傾き難く空中でのコントロールも容易になります。

5. 踏み切りが強いほど滞空時間が長くなる、また足の引きつけも速くなり回転速度を上げることになります。

6. 跳ねる運動がなく横回転が強いと板がしっかり雪面を離れずにエッジが引っかかる原因になりますよ。

 

空中 (目線の追う半径、エアの頂点、上半身の角度調整)

ランディングはガン見が理想。

1. 抜けてからエアの頂点まででバランスを整えます。

2. ランディング角度に対して体軸(または頭の角度)を90度に合わせていきます。

3. 目線はまずはランディングをいち早く見つけること。ランディング「ガン見」です!
早くランディングを見つけること(長く見ていられるか)で自然に合わせられることが多いです。
ヒントは頭(首)の角度です。
空中でいかに早くランディングを把握できるか!それが技の成功率を大きく左右します。

4. スピン中は(スピードやアイテムの大きさにもよりますが)目線を自分を中心にスピン半径の2~3メートルあたりで回すと、広範囲で周辺の映像を認識する事が出来ます。

5. スピンを続けたい時は「肩&腰」が常に板を先行(リード)し、スピンを止めたい時に「肩&腰」の先行(リード)を止めましょう。
板が肩のラインを追い越した時点でスピンは止まる、または減速します。

肩のラインと板の位置に注目

 

 

ランディング

1. 原則的に両足ランディングを目指しますが、少々の後傾ランディングの方が安全で確実でしょう

2. 下半身の「合わせ」を使って板は必ずフォールラインに合わせましょう。

下半身を先行させてランディングに合わせている状態

3. 自分から地面を踏みつけ立ち上がることで、ランディングのインパクトに反発しましょう。その時生まれる雪面への圧力が板を安定させます。

ランディング!! すかさず立ち上がる!

4. 「プレス」スキルなどが高いと、ランディングでの合わせやリカバリーに大いに役立ちます。

日頃からグラトリやっておくとリカバリー力もアップ!

 

? メンタルトレーニング

自分の心をコントロールするメンタル・トレーニング。

理想の興奮水準を理解し、自分の心の状態をコントロールします。
詳しくは私のブログで紹介していますのでぜひご覧ください!


目標設定

目指すべきところを決定し「やる気」をおこします。
届きそうで届かなそう、がポイント。
今日の目標は?
今月の目標は?
今シーズンの目標は?


ポジティブ思考

物事をプラスにとらえて前向きに取り組みます。
脳の学習効率も一気に上がります。
おそらく一番単純で、一番難しく、(何ごとにも)一番効果があるメンタルスキルです。


リラクゼーション

脳、体の緊張をほぐしベストパフォーマンスに近づけます。
心のリラクゼーション、体のリラクゼーション、あなたにはいつ、どっちが必要ですか?
またその方法は知っていますか?


サイキングアップ

気持ちが上がらない時に必要なスキルです。
「楽しい」「わくわく」した気持ちを自ら作ります。
音楽、会話、イメージなどを使います。

 

集中

1.内部集中
目をつぶって自分の中の心を整えている時、イメージトレーニングなどですね。

2.外部集中
自分の内ではなく、外から入る情報(景色、雰囲気など)に対してです。
以下の2つ(一点、広い集中)を含みます。

3. 一点集中
アイテムを前にしてじ~っと一点を見ている状態と言えるでしょう。

4.広い集中
フリーライディングで周囲の状況変化を常に把握する為に必要です。
あなたに必要な状況に合わせた「集中」を理解しましょう。
「リラックス、楽しい、無心、イメージ」などが「集中」を助けます。

セルフトーク

自分に対して自分で声を掛けます。
もちろんプラス思考な言葉で。
プラスの自己暗示ですね。
例: 「できるできる!!」


イメージ

ジャンプ一発というような「短い」イメージから、この一本(5発連続トリック)!、さらに一日の流れという「長い」イメージまでが持てるようになりましょう。
ダンスや演劇のように脳がリハーサルした通りの(自動化された)行動をすることで、心に余裕を持たせます。

次は基本的な「練習の進め方」です。
以下は結構当たり前のことなのですが、滑り始めるとすっかり頭から消えてしまうことが多いですね。

1. 順序良く練習のレベルを上げていきましょう。

フラット(平地)

整地された斜面、自然の地形

パークアイテム

 

例:
フラット→圧雪された斜面→地形(ポコジャン)→初級ジャンプ→中級ジャンプ・・・
180→360→540・・・

日々の練習の中でこれらを守ることで、怪我の防止、確実かつ正確な運動感覚の習得が可能となりますね。

2. うまくいかない場合はレベル(技、アイテム、スピードなど)を下げます。
レベルを下げることで感覚に余裕を持たせてあげましょう。

3. アプローチ、抜けの瞬間、空中、ランディングを分けて考えましょう。

?アプローチ、?抜け、?空中、?ランディング

技がうまくいかない時はこの4つに分けて原因を分析します。
まずはアプローチから分析を始めましょう。

4. アプローチから基礎技術を固め、次に抜け、次に空中、と順序良く基礎を固めていきましょう。
ジャンプの最初のパート「アプローチ」を安定させることが最優先ですから、まずはターンがしっかりできることが最低条件ですね。

 

今回学んだ「基礎」をしっかり理解して、その上で技術的な練習に取り組みましょう。
次回はお待ちかねのジャンプ&スピンテクニックを解説していきます。
お楽しみに!

講師:高石 周
1970年4月11日生まれ 39歳
新潟県出身

現在カナダ・ウィスラーにてCSBA(カナディアンスポーツビジネスアカデミー)にて、スノーボードコーチとして活動。
また最近は、Peak Performance Projectの監督として世界に羽ばたける日本人ライダーを育成している。

Sponsors: Volkl, A- Seven, Flux, Cross 5

ブログ:http://sportscoaching.blog72.fc2.com/

 

 

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