楽しさの集約作業

広告 five  

もう最近はいよいよ発売されるバイタミンン・ジブの編集チェックで、シモンの映像ばかり見ているのだけど、彼のライディングを見て改めて思うのは、超努力家ということ。

なんか、みんな「シモンはカッコいいしセンスあるから」というふういに捉えていないだろうか? 確かにそういう側面もあるのだけど、しいてそのセンスの話で言えば、「何がカッコよくて、どうすれば上達できるのか?」そのことを理解するセンスがあったに過ぎなくて、あとは努力でうまくなった、ということだと思うのだ。

シモンの努力肌を具体的にどういうところで理解するか、ということだけど、1つにはしっかりと自分の滑りを分析できるところにある。例えばオーリーにしても、1つ1つの動きをきちんとイメージできるのだ。テールに乗って蹴るところ、空中でボードを引き付け、ボードのレベルを雪面を水平に保つところetc。細かいところまで、どのようにするとできるかどうか把握しているのが特徴で、それはまさしく努力で培った正しい感覚だと思うのだ。

広告

今でも年間200日以上は滑ると言うし、常に細かいところまで考え、上達を心がけている。その結果、どんどん新しい世界を知ることができ、スノーボードを心から楽しんでいるのだろう。

「それでは、誰でもシモンのように努力すれば、上達できるのか?」

自分の考えでは、「イエス!」
シモンのような環境で、何年も努力をすれば、シモンのようになれると思うのだ。
だけど、その環境作りってのも大変なわけだけど。

例えばシモンの場合には、子供の頃、裏庭に3つのアイテム(レールやボックス)があり、お父さんがナイター施設まで作ってくれて、毎日滑りまくったということだ。
それからもう何年も(9年くらいかな?)年間滑走日数が200日を超えるという生活を送っていて、しかも今、有名になった段階でもその努力を惜しまないのである。

そんな話を聞いたら、 「えー、オレだってそんな幸せな環境あったら、努力しまくるよ」 と言う人もいるかもしれないけど、意外にそういう環境に入っても、長く続かないものである。というのも、毎年、多くの日本人スノーボーダーが「スノーボードが好きで好きでたまらない」という気持ちで、ウィスラーにやって来るが、実際にシーズン頭から終わりまで、マメにほとんど毎日滑りまくっている奴など、オレが知る限り、かなりの人数に限られる。きっと10%にも満たない人だけだろう。

さらにプロ・スノーボーダーであっても、初志貫徹の情熱で滑っているというのは、かなり少ないと思う。個人的に知っているところでは、忠くん(布施)とか。彼はスノーボードに対する気持ちが直向だし、そういうエネルギーを感じる。シモンやその仲間、ノーミス軍団にも感じるエネルギーだ。その他、dmkの若者でもクレイジーなほど打ち込んでいる奴がいて頼もしく感じるけど、そういう連中は本当一部だろう。

世の中、いろいろ楽しいことがあり過ぎる。スノーボードを一生懸命に行う環境というのは、そういう他の楽しさを捨てることができる、というハングリー精神を持っていないと。

今年、ビデオ撮影でシモンの家に行った時、彼の楽しさはスケートやスノーボード、そして自身の宗教であるバイブルに集約されていると思った。よくありがちなプレーステーションとか、なかったし、きっとテレビとかもあまり見ていないのではないだろうか。その代わりに(?)、ケンダマがうまいのが印象的だった。今年日本で買ったばかりなのに、かなりうまい。ボールを持って穴に入れてしまう技が、できるのである! ウチのビデオ編集しているアキが、小学生の頃、一生懸命にケンダマをやっていたということだけど、そのアキよりもうまかったからなあ。まあ、シンプルな性格というか、こういうシンプル・ライフが彼のスノーボード魂を燃やし続けるのだろう。

逆の言い方をしたら、毎日、プロ野球を見てビールを飲んで(すみません、これはオレです)、友達と携帯ばかりして、プレーステーションをやっているような人はダメだと思う。好きなことをおもいっきり縮小させる、というシモンのようなシンプル・スタイルが一番上達できるし、楽しいかなあ、と。

もちろん、それぞれみんな生き方があるわけであるから、スノーボード一色にしなくてもいいわけであるが、人間の楽しさのエネルギーの掛け具合が、実のところ自分が思っているよりも少ないものであるとしたら、何かもっと捨てるものがあってもいいのではないか、と思う。

マーケットの世界では、ある会社の20%の商品が80%の利益を生むということだが、自分たちの生活もそれと同じようで、自分の人生の時間を捧げるスノーボードが、かなり幸せバロメーターの大きな部分を収めているかもしれないのだ。そう考えると、もっと小さな喜びは捨てて、大きな喜びに集中できる環境というのも大切なように思えるのだが。

あれもしたい、これもしたい、というのが、現代人の考え方だけど、あれは我慢して、これは頑張ろう!という、より楽しいことを集約させることが、本当の楽しさを感じることができ、またそうすることで、スノーボードも上達し、より幸福な感覚を与えてくれると思うのである。そういったスノーボードの楽しさを集約させる考え方のライフスタイルを送ると、よりハッピーになれるのでは!?

参考文献: 人生を変える80対20の法則
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484981068/249-8329086-2516305

広告